オレハ、スマホヲテニイレタ
2-閑話 クラト冒険譚1-ぼっちゃん-
吾輩はスライムである。
名前はクラト(分身)。
ご主人様に従ってからというもの、僕のスライム生はかつて無いほどに充実している。
スライムとは世界の掃除屋と呼ばれるほど人、獣人、魔人にとっては無害な存在である。(God Searchより)
そんな風に世界中の生物に思われ、また自分達もそうであると考えてこれまで生きてきた。いや、考え、というのは正確ではない。考える知能すら同族たちにはないのだから。
スライムが唯一持つ"食欲"に従い、より大量に食するために立ち寄ったウィンブルス王国の近場の森でご主人様に出会ったことは僕の唯一にして最大の幸運だ。
ガサッ
そんなことを考えているとまた何も知らない獲物が近づいてきたようだ。
「ぶぉぉ、ぶごっ。」
僕は木の上、地中、背後の茂みを包囲しつつ、茂みから姿を現した魔物の特徴を"God Search"で検索する。
「長い鼻、その両側にこれまた長い牙、大きな体に負けないほど大きな耳。・・・検索っと。」
「んー、なになに。エレファント系がヒット?もっと絞り込む、っと。えー、色は黒、場所はー、森?」
「あ、出た。ブラックエレファントかー。討伐難度がA~Sで、特徴が巨体の割りに素早いことか。まぁ、速さには自信があるけどね。さてと。」
僕は目の前の魔物がそこまで厄介な魔物でないと知ると、包囲に回していない体の二割ほどでブラックエレファントの前に立ちふさがる。
「ぶごっ!ぶぉぉぉぉぉぉ!」
地面からにゅっと現れた敵にブラックエレファントは立ち止まることなく即座に反応し、僕が最近のお気に入りである、両手に大きな鎌を持ったウォーマンティス(討伐難度B)の姿を作りきる前に突進してくる。
べちょっ!
形を形成中で身動きがとれない僕にブラックエレファントの突進が炸裂し、まだ流動体であった僕は綺麗にブラックエレファントの顔に張り付く。
「むー、折角ウォーマンティスの形で格好よく一刀両断しようと思ったのにぃ!ご主人様が言ってたよ!変身中は攻撃しちゃダメだって!」
僕はそんなことを考えながら、ブラックエレファントの顔に張り付いた状態でミニウォーマンティスを量産する。
「こんな躾のなっていない悪い子はこうだっ!」
そういって"God式"で最近知った新しい知識を使った無数のミニウォーマンティスが、ブラックエレファントの顔の上でその両手を振り上げる。
ザクッザクザクッ
「ぶぉぉぉぉぉっ!ぶおっ!」
「おっ!?」
思ったより深くまで鎌が刺さったことでブラックエレファントは暴れまわり、僕は予想外の"超音波振動"の切れ味に踏ん張ることを忘れる。
暴れまわるブラックエレファントの顔の上で踏ん張ることを忘れるとどうなるか。
ぺいっ
「あーれー。」
答えは吹っ飛ばされる、だ。
「包囲は終わり!ブラックエレファントを食べちゃってーーーー!」
僕は潜んでいる残りの分身にそう指示しつつ空を飛ぶことが出来る魔物の形成を始める。
うにうにうにっ
だが、慣れない浮遊感でうまく体を操作することが出来ずにいた。
その間にぐんぐん高度が下がっていく。
迫る、光輝く湖の水面。
うにうにうにっ
そして僕の抵抗虚しく、形成前にその時は訪れる。
ぼっちゃぁぁぁぁぁん!!
僕はその日、始めて水泳をした。
あってよかった。"God式"
名前はクラト(分身)。
ご主人様に従ってからというもの、僕のスライム生はかつて無いほどに充実している。
スライムとは世界の掃除屋と呼ばれるほど人、獣人、魔人にとっては無害な存在である。(God Searchより)
そんな風に世界中の生物に思われ、また自分達もそうであると考えてこれまで生きてきた。いや、考え、というのは正確ではない。考える知能すら同族たちにはないのだから。
スライムが唯一持つ"食欲"に従い、より大量に食するために立ち寄ったウィンブルス王国の近場の森でご主人様に出会ったことは僕の唯一にして最大の幸運だ。
ガサッ
そんなことを考えているとまた何も知らない獲物が近づいてきたようだ。
「ぶぉぉ、ぶごっ。」
僕は木の上、地中、背後の茂みを包囲しつつ、茂みから姿を現した魔物の特徴を"God Search"で検索する。
「長い鼻、その両側にこれまた長い牙、大きな体に負けないほど大きな耳。・・・検索っと。」
「んー、なになに。エレファント系がヒット?もっと絞り込む、っと。えー、色は黒、場所はー、森?」
「あ、出た。ブラックエレファントかー。討伐難度がA~Sで、特徴が巨体の割りに素早いことか。まぁ、速さには自信があるけどね。さてと。」
僕は目の前の魔物がそこまで厄介な魔物でないと知ると、包囲に回していない体の二割ほどでブラックエレファントの前に立ちふさがる。
「ぶごっ!ぶぉぉぉぉぉぉ!」
地面からにゅっと現れた敵にブラックエレファントは立ち止まることなく即座に反応し、僕が最近のお気に入りである、両手に大きな鎌を持ったウォーマンティス(討伐難度B)の姿を作りきる前に突進してくる。
べちょっ!
形を形成中で身動きがとれない僕にブラックエレファントの突進が炸裂し、まだ流動体であった僕は綺麗にブラックエレファントの顔に張り付く。
「むー、折角ウォーマンティスの形で格好よく一刀両断しようと思ったのにぃ!ご主人様が言ってたよ!変身中は攻撃しちゃダメだって!」
僕はそんなことを考えながら、ブラックエレファントの顔に張り付いた状態でミニウォーマンティスを量産する。
「こんな躾のなっていない悪い子はこうだっ!」
そういって"God式"で最近知った新しい知識を使った無数のミニウォーマンティスが、ブラックエレファントの顔の上でその両手を振り上げる。
ザクッザクザクッ
「ぶぉぉぉぉぉっ!ぶおっ!」
「おっ!?」
思ったより深くまで鎌が刺さったことでブラックエレファントは暴れまわり、僕は予想外の"超音波振動"の切れ味に踏ん張ることを忘れる。
暴れまわるブラックエレファントの顔の上で踏ん張ることを忘れるとどうなるか。
ぺいっ
「あーれー。」
答えは吹っ飛ばされる、だ。
「包囲は終わり!ブラックエレファントを食べちゃってーーーー!」
僕は潜んでいる残りの分身にそう指示しつつ空を飛ぶことが出来る魔物の形成を始める。
うにうにうにっ
だが、慣れない浮遊感でうまく体を操作することが出来ずにいた。
その間にぐんぐん高度が下がっていく。
迫る、光輝く湖の水面。
うにうにうにっ
そして僕の抵抗虚しく、形成前にその時は訪れる。
ぼっちゃぁぁぁぁぁん!!
僕はその日、始めて水泳をした。
あってよかった。"God式"
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