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穴の空いた靴下

12章 ちょろい

サオリは自分の領地の屋敷のベットでコンソールをいじっていた
時々体勢をゴロゴロと変えながら、
たまにあーーーー、とかうーーーーーとか言いながら
急に止まったと思ったら顔を赤らめて枕に顔を埋めたり
落ち着きがなかった

ちょっと前

サオリはタカシと夜ご飯を食べていた。
サブクエを幾つかクリアしていろんな機能が開放されたのだけど
領地クエが開放されたのはサオリにとって何よりも嬉しかった。
領地システムはまぁ箱庭のなかでもデコレーション要素が高く
特に女性はいかに可愛くするかでアピールする絶好の場になっていた。
花壇で絵を描いたり、日本庭園みたいにしたり、ふしぎの国のアリスみたいな
様々な形にデコレーション出来るのだ。
ついでに言えばお屋敷も与えられて、室内もかなりいじれる。
ゼーニはタカシと60階層まで行っているのでかなりの額を持っているので
サオリでもほぼ自由に改造出来た。
現実でも結構なプレイヤーなサオリはこの領地とお屋敷システムには
こだわりを見せていた。
でも、どちらかと言えばゲーム自体の装備やそういった方にも
かなりゼーニがかかるのでそこまで自由にいじれていないことが不満であった
しかし今は装備にお金をかけなくていいし
かなりの金額をコレにかけられるのだ
「今日はここまでにしましょう」
まだ日も高いけどついついそう言って領地いじりに熱中してしまった。
タカシが夜ご飯に誘いに来た時も
思い描いていた領地をニタニタと眺めていて
だらしない姿をタカシに見られてしまった。

そのあと街にでてレストランで食事をしてみようって話になって
今タカシと食事をしている。

「サオリ先生はすごいよねー」
「何?急に」
「だって、モンスターとかの情報とか戦略とかすごい知ってるよね」
「ああ・・・私は出来る限り楽に攻略したいからそういうのはよく考えてたの」

友達少ないからソレしかすることがなかった・・・
サオリはいわゆる喪女なのだ
見た目は可愛いのに親から否定され続けてきた結果、主に勉学のことでだが
自分の能力を過小評価する傾向にあった。
日本有数の進学校で成績も上位、背は小さいが運動もそつなくこなす。
勉強重視な学校の中ではかなり出来る方と言っても良かった。

ただ、人と接するのが苦手だった。
学校内ではそれが悪い方には働かなかったのでいじめられたりはしなかったが
ある意味高嶺の花のような感じでみな積極的に接点を取らないようになっていた

周りはマイナスではなくむしろプラスな意味で
邪魔しないようにそっとしてたのだが

サオリ自体の思考はマイナスであったために
皆から疎まれて放置されている、ただ自分から行くほどの積極性もなく
結果中学3年間帰宅部で家に帰ってからは親を満足させるために勉学をして
僅かな時間はファンタにつぎ込んでいた。
モンスター知識なんてものは一人でいた時間の長さを示すようなもので
誇るようなものでは無いというのが彼女の考えだった。

しかしタカシからすれば自分よりも年下でちっこい女の子が
モンスターの的確な対処法までも知っており、
効率のいい戦い方やアイテムの使用方法などを
教えてくれるサオリを単純に尊敬していつの間にか先生と呼んでいた。

「俺いつも適当にやって適当に楽しんでたから
あんな状態だったら諦めてたよ、でもいろんな対処方法を
教えてくれてその通りにやると倒せないと思った奴でも倒せて
ほんとに尊敬する!」

タカシの素直な感想もサオリには他にやること無いのかよ、
と言われているような気がして嬉しくなかった、

「サオリ先生は中3で年下でそんなに可愛いのにいろんなこと知っていて
知識も考えもすごくて、ああ、なんか自分が小さい人間に思えるよ・・・」

「え・・・?」

「ん?」

「今・・・なんて・・・?」

サオリはそう思ったと思っていたけど実際には小さくつぶやいてしまった。

「え、だって年下で可愛いのにすごいなーって・・・俺なんか言っちゃった?」

「・・・・・・・・・・・帰る」


気がついたら私は屋敷のベットにいた
さっきからDMダイレクトメール告知がうるさい
試しに開けるとタカシからで

「なんか気に触ること言った?ごめん、謝るから」
とかそんな感じ、だんだん卑屈になってこんなゴミ虫うんぬんと
最初のヴェルダンディみたいな文章になってきた

通知がうるさいので、
「大丈夫気にしないで、おやすみ」
と返信しておいた。

タカシは、いい人なんだと思う。
顔も、、、、気にしてなかったけど、結構・・・かっこいい気もするし
背も高い、水泳部だって言っていたけど確かに結構いい体をしてる・・・
いい体・・・水泳部って・・・
オリンピックとかの水泳選手ってカッコイイ体つきしてるよね・・・
タカシも脱いだらすごいのかな・・・
脱いだら・・・

頭から湯気が出そうだった。

そう、サオリはタカシの

「可愛い」

という言葉を何度も何度も頭のなかでエコーをかけながら反芻していた。

いままで誰一人そんなことをいう人はいなかったのだ
小学校から進学校に進んだサオリの周りには
やはり進学校らしく勉学に優れた人が多く

また日々競争であるため一般的な学校に比べると
その手の話が少なかった。

さらにサオリは喪女、周囲は高嶺の花と思ってなのだが、だったため
余計にそういう免疫がなかった。

合わせて、現状である。
普通に考えればとんでもない状態になっており
ゲームで興奮していたとはいえ本能では怖かったのだ
そういった心理状況で

そういったことに多感なはずの中学3年の少女は

一言で恋という病に落ちたのであった。

タカシは実はモテるのだった。

身長は180、部活は水泳部、成績は真ん中ちょっと下くらい、
運動も水泳は人よりできるけどほかは普通かちょっと下

ただ性格はさっぱりしていて人にやさしく自分にもやさしい
つまり、あんまり本気にならないタイプなのだ

部活もみんなのためになら頑張る、
たとえば個人種目よりもリレーのほうが良いタイムがでる。
そういう奴だった。

それでもまぁ器用な人間だったのでそれなりにこなしていく。
身長だけでモテるのが高校生、さらに悪く無いからちょっとカッコイイ顔
優しい、特に後輩人気は結構あった。

しかし、彼は男友達と遊んでる方が楽しい系と
鈍感系と間が悪い系の属性を持っていた。

たとえば女の子が告白のために声をかけようとすれば
偶然先生に呼び出されたり

どう考えても二人で出かけようという誘いに
クラスみんなを集めてしまったり

やっと二人で出かける約束した日に朝から熱を出したり

まぁ、そういう感じで本人は自分がモテることに1mmも気がついていないし
無自覚だった。

周囲の友人は、何か悪霊でも取り付いているのだろう。
関わるのはよそうと
本人にモテることを伝えなかった。

一度そういう風な話になったら全力で否定して周りを呆れさせたのだ。

いいやつだしつるんで遊ぶと女の子がついてくるから
いい目を見る奴もいた。
「タカシのおかげで彼女が出来ました」
そんなことを言われたこともある。

まぁ、そんな感じで
タカシは無自覚にサオリさんを落としていたのである。

「明日から・・・どんな顔して会えばいいんだろ・・・」

枕に顔を突っ込んでサオリはそうつぶやいた。

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