みんな無課金俺課金(課金するとは言っていない)

穴の空いた靴下

20章 新世界

「Congratulations!!!!」

そのシステム音とともに目の前に光り輝く水晶球? のような物体が浮かんでいる。

「こんなの今までなかったね……」

「……キス……タカシト……」

「サオリさん?」

「ふぇ!? な、な、なに!?」

「いや、アレアレ」

さっきの頭突きは強烈だったからなぁ……

「ほ、ほんとね何かしら……」

ふよふよと浮いている玉に触れてみる。その瞬間周囲が真っ白になった。
壁も地面も天井も全て白、どこまでも白。
目の前には光。

「うぉっ! まぶし……」

『やっとここまで来る子が出たんだね!!』

ものすごく元気な子供の声が聞こえる。

「君は……?」

『ああ、ごめんごめん! 僕は絶対神! 一応このゲームの生みの親だよ!』

「おお、そうでしたか!よろしくお願いします。」

とりあえず偉い人には丁寧に接しよう。

『長かったんだよねー、なかなかコレ手に入れてくれる人がいなくて……』

「コレ……?」

『うん! この絶対神の水晶! これをプレイヤーが手に入れることで、
初めて僕がこのゲームの仕様変更セカイソウゾウが出来るようになったんだ!』

「世界創造……?」

なんか話が急すぎて頭が追いつかない、こういう時に頼りになるのは……

「今の話だと、このゲーム自体を作ったのは貴方じゃないの?」

『そうそう、師匠は飽きたとか言って放り投げたくせに、
こんなめんどくさい事するからなかなか手を出せなくて待ってたんだよ!
待ってる間にいろんな事考えてたのにナーンも出来なくてヤキモキしてたんだけどね!!
君たちにはすっごい感謝してるんだよ!でも、さすが師匠の秘蔵っ子は強いね!
そのスキルっていうか操作方法は、次のパッチ(セカイノコトワリ)に絶対入れよっと。』

「世界の理……」

『んで、悪いんだけど今から緊急メンテ(ハカイトソウゾウ)入れるから外に送るね!
新しいパッチでもっともっと面白くするから!楽しみにしててね!!』

「え……!?まってもっと聞きたいことが!?」

サオリが声をだす前に俺たちは外に出されていた。

そしてしばらくして空に文字が浮かびだし、声が聞こえた。

『この世界ゲームに生きる皆さんこんにちは!
僕は絶対神です! よろしく! 
今からこの世界をもっともっと面白くする緊急メンテになります!
ご迷惑をかけますが明日の12:00までダンジョンとかサブクエは停止するね!
みんなにもっともっと楽しんでもらえるように張り切るから楽しみに待っててね!
仕様変更の内容は9:00にはお知らせするからねー!!じゃーねー!!』

さっきの子供の声が世界に響き渡った。
みんなポカーンと空を見上げている。

その後勇者たちはいくつかのグループを作って作戦会議とか情報交換をしていたんだけど、まあ俺たちが一番進んでるからいろんな人から「どういうこと!?」ってDMとか直接聞きにくる人が絶えなかった。

俺が聞きたいよ……

「つまり君たちが90階にたどり着いて、
この水晶に触れたら絶対神が現れたと……」

「はい……」

いま俺らはこっちの世界で一番大きいギルド
【ドラゴンファング】
のマスター 香川カガワ 雅功マサトシさんと代表して話している。
36才で現実世界では社長さんをしてたらしく、
こっちのまとめ役みたいな人らしい。職業は会社経営者。
余談だけど俺はLv92の高校生になっている。だからなんだ。
周りにもギルドマスターさんがたくさん集まっている。

絶対神の水晶はアイテム扱いなんだけど最初から具現化していた。
普通アイテムはインベントリーに送られてそれを使用する形で具現化する。
これは特別なアイテムだということはそこら辺からもわかる。
タッチパネルになってるみたいで世界地図とか、
ヘルプなんかもあるので俺たちも見られるコンソールと
ほとんど変わらないんだけどね。
不思議な事に俺らから距離が空くと手元に現れる。
アイテムは具現化するとしまえないから邪魔なんだよね……

「正直何も話しできなくて、一方的に外に出されてしまったんですよね。」

「結局明日の9:00の情報待ちになりそうだな。
ありがとう、話を教えてくれて。しかし、やっと変化が訪れるのか。
もう何百年も同じことをして、何人もの友人が消えてしまったりもしたが、
変化があることは嬉しいものだ。」

「私たちは来て日が浅いもので……でも、少しわかります。」

最初は楽しい。でもこれがずーっと続いていくと、
疲れてくるし、飽きてくるんだろうな……
いくらやることがたくさんあるとはいっても、
何十年、何百年も続けろと言われたら自信はない。
さらにメインであるダンジョンはまるで歯がたたない。
それでやる気を出し続けるのは無理ってもんだ。
最低限日々を過ごせるゼーニを稼いで何をするでもなく過ごす。
そんな勇者も多いと聞く。

「ガチャがたくさん引ければやる気も出るんだが、
君みたいな力がない我々は都市の開発も進まないから、
結局デイリークエも少数しかでない。輝石を得る機会は時間経過。
5日我慢して引いても良くてR、極稀にSR。
育成も下層階だとある程度で頭打ち。
嫌気をさして無謀な特攻で消えていく友人もたくさんいた。
今では私なんかが最古参になっている始末なんだよ。」

「そういえば皆さんはなんで女神のとこを叩いていたんですか?」

「……正直申し訳ないというしかないな、強制されていたわけではないんだが、
各種族の神から話の経緯を聞いていて、なんというか、
楽しむイベントみたいになっていたんだ、
女神の勇者も他の都市にもいけるから抵抗もほとんどしなかったし……」

「それぐらい変化に飢えていたんだよ、女神様には申し訳ないことをした……」

周りの人も同意する。
正直、それはどうでもいいんだけど。

(よくなーーーーーーい!!)

どっかのだれかの心の声が聞こえるが、今は目の前の問題に備えるしかない。

「ま、明日にならないと何も出来ない、
今日は変化を祝って皆で楽しもう!!」

その日の夜はこの世界の殆どの勇者が集まって大騒ぎした。
屋外でバーベキュー的な物をしていろんな店から食材を集めて、
明日からの英気を養うことになった。







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