女神と契約した俺と悪魔と契約した七人の女の子
5
 夕日が消え、薄暗くなった空はまさに俺の心情を語っているようにはっきりしない色だった。
そんな空を見上げて、今の自分にイライラしながら俺はある事を思い付いた。
「プリンでも買ってやるか」
明日でもいいかなとか思いながらも妹の笑顔を見れるならと思い、プリン専門店『ミラーノ』に俺は訪れていた。
店内も店外も西洋の小さな家みたいでいかにもグリム童話に出てきそうなその建物の中に入る。
建物の中には、女性が一人いた。
それは店長である、佐々木さんだ。
30代前半の女性で昔、パリの方で修業をしていたと彼女は言っていた。
店長さんが俺の顔を見て、
「いらっしゃぁ〜い、あら陸空君……今日もプリン?」
と尋ねてきた。
週に一回は最低でも通っている為に顔を覚えられたのだ。
「あ、どうも……今日もお綺麗ですね」
イケメンスマイルをかまし、俺はいつも通りに挨拶というの名のお世辞(本当に美人だけど)を言いつつ、ショーウインドウに飾られたプリンの数々を見る。
すると、店長が「いつもの?」と尋ねてきた。
俺は「はい、一つお願いします」と言うと、店長が少し不思議そうな顔をしていた。
「本当に一つでいいの?」
「あ、はい。今日は一つでいいんですよ」
「もしかして金欠?」
「はい、ちょっと……色々とありまして」と俺が言うと、店長が俺に「困った時はお互い様さ」と言ってプリンを一個おまけしてくれた。
「ありがとうございます」
俺がそう言うと、「どういたしまして」と言ってプリンを箱の中に詰めている。
すると、奥の方から何やらツインテールを揺らしながら、凄い勢いで走ってきているのが見えた。
ツインテールの妖精というべきか。
勿論妖精というのはこの世界には居ないわけだけど、俺にとっては妖精であり、天使であり、幼女の彼女は
「お兄ちゃーん」と言って、飛びついてきた。
別段、俺は彼女のお兄ちゃんでは無い。
何故か俺はこのツインテール幼女――愛ちゃんにめちゃくちゃ好かれている。
「こ、こらっ! お兄ちゃんが困ってるじゃないか。離れなさい!」と佐々木さんが言うも、愛ちゃんはそんなの知らないと言わんばかりに俺に縋りよる。
あまりの可愛さだったので高い高いをしてあげると満足したのか奥の方へと行ってしまった。
子供というのはこれだから良いのだ。
元気が一番。
「いつも悪いね。陸空君。あの子の面倒を見て貰ってさ」
「い、いえ。そんなこと無いですよ。それに面倒を見たって言ってもただ高い高いをしてあげただけじゃ無いですか」
「まぁーそれが嬉しいのさ。家は父親が居ないからね……。あの子は父親の愛情を知らないんだ。本当に申し訳無いと思っている。だが仕方ないさ。っと、シンマリした話をしてしまったな。ほ、ほら」
プリンの入った箱を受け取る。
それを自分の方へと寄せるが彼女の手が一向に離れない。
店長が困った顔をして「最近……人手不足でね……どうだい、陸空君、働いてみないかい?」と言われた。
なるほどー。つまり、プリン一個おまけの裏側ってわけか。
突然の出来事に少し焦りながらも「勉強があるので……ちょっと……すいません」と断った。
でもプリン専門店で働くのも楽しいかもな。
「そ、そうか……あ、そうだ。恵美ちゃんはダメかい?」
恵美……確かにこの話を恵美に言えば恵美は確実にするとか言いそうだが、中学生だからなぁ〜。だから法律的に無理だろ。
「あ、恵美は中学生ですから……」
「あっ、そっか……困ったなぁー。そうだ!
陸空君の学校でバイトをしたい人がいないか聞いてもらえないかい? 今回のプリンがお駄賃って事でダメかい?」
まぁ、確かにおまけしてもらったのは何回かあるし、それに佐々木さんの悲しい顔は見たくない。
それに愛ちゃんの悲しい顔もね。
「はい、わかりました。絶対ではありませんが、探してみますよ」
「それは感謝するよ」
店長の困った顔が無くなったので良かったと思いつつ、俺はミラーノを後にしたのであった。
「ありがとうございましたぁ〜」
彼女の元気溢れるその声が俺のさっきまでの変な気持ちを晴らせてくれた。
本当に佐々木さんは不思議な人だ。
だけどそれと同時に彼女の闇は深そうだ。
そんな空を見上げて、今の自分にイライラしながら俺はある事を思い付いた。
「プリンでも買ってやるか」
明日でもいいかなとか思いながらも妹の笑顔を見れるならと思い、プリン専門店『ミラーノ』に俺は訪れていた。
店内も店外も西洋の小さな家みたいでいかにもグリム童話に出てきそうなその建物の中に入る。
建物の中には、女性が一人いた。
それは店長である、佐々木さんだ。
30代前半の女性で昔、パリの方で修業をしていたと彼女は言っていた。
店長さんが俺の顔を見て、
「いらっしゃぁ〜い、あら陸空君……今日もプリン?」
と尋ねてきた。
週に一回は最低でも通っている為に顔を覚えられたのだ。
「あ、どうも……今日もお綺麗ですね」
イケメンスマイルをかまし、俺はいつも通りに挨拶というの名のお世辞(本当に美人だけど)を言いつつ、ショーウインドウに飾られたプリンの数々を見る。
すると、店長が「いつもの?」と尋ねてきた。
俺は「はい、一つお願いします」と言うと、店長が少し不思議そうな顔をしていた。
「本当に一つでいいの?」
「あ、はい。今日は一つでいいんですよ」
「もしかして金欠?」
「はい、ちょっと……色々とありまして」と俺が言うと、店長が俺に「困った時はお互い様さ」と言ってプリンを一個おまけしてくれた。
「ありがとうございます」
俺がそう言うと、「どういたしまして」と言ってプリンを箱の中に詰めている。
すると、奥の方から何やらツインテールを揺らしながら、凄い勢いで走ってきているのが見えた。
ツインテールの妖精というべきか。
勿論妖精というのはこの世界には居ないわけだけど、俺にとっては妖精であり、天使であり、幼女の彼女は
「お兄ちゃーん」と言って、飛びついてきた。
別段、俺は彼女のお兄ちゃんでは無い。
何故か俺はこのツインテール幼女――愛ちゃんにめちゃくちゃ好かれている。
「こ、こらっ! お兄ちゃんが困ってるじゃないか。離れなさい!」と佐々木さんが言うも、愛ちゃんはそんなの知らないと言わんばかりに俺に縋りよる。
あまりの可愛さだったので高い高いをしてあげると満足したのか奥の方へと行ってしまった。
子供というのはこれだから良いのだ。
元気が一番。
「いつも悪いね。陸空君。あの子の面倒を見て貰ってさ」
「い、いえ。そんなこと無いですよ。それに面倒を見たって言ってもただ高い高いをしてあげただけじゃ無いですか」
「まぁーそれが嬉しいのさ。家は父親が居ないからね……。あの子は父親の愛情を知らないんだ。本当に申し訳無いと思っている。だが仕方ないさ。っと、シンマリした話をしてしまったな。ほ、ほら」
プリンの入った箱を受け取る。
それを自分の方へと寄せるが彼女の手が一向に離れない。
店長が困った顔をして「最近……人手不足でね……どうだい、陸空君、働いてみないかい?」と言われた。
なるほどー。つまり、プリン一個おまけの裏側ってわけか。
突然の出来事に少し焦りながらも「勉強があるので……ちょっと……すいません」と断った。
でもプリン専門店で働くのも楽しいかもな。
「そ、そうか……あ、そうだ。恵美ちゃんはダメかい?」
恵美……確かにこの話を恵美に言えば恵美は確実にするとか言いそうだが、中学生だからなぁ〜。だから法律的に無理だろ。
「あ、恵美は中学生ですから……」
「あっ、そっか……困ったなぁー。そうだ!
陸空君の学校でバイトをしたい人がいないか聞いてもらえないかい? 今回のプリンがお駄賃って事でダメかい?」
まぁ、確かにおまけしてもらったのは何回かあるし、それに佐々木さんの悲しい顔は見たくない。
それに愛ちゃんの悲しい顔もね。
「はい、わかりました。絶対ではありませんが、探してみますよ」
「それは感謝するよ」
店長の困った顔が無くなったので良かったと思いつつ、俺はミラーノを後にしたのであった。
「ありがとうございましたぁ〜」
彼女の元気溢れるその声が俺のさっきまでの変な気持ちを晴らせてくれた。
本当に佐々木さんは不思議な人だ。
だけどそれと同時に彼女の闇は深そうだ。
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