二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?

ハタケシロ

第23話 新品ですよ!

翌日。

ついに来た。というか、やって来たなこの日が。

アニメの勉強会と考査対策の勉強会。
二つの意味での勉強会が。

はっきり言おう。憂鬱だ。
何が悲しくて3次元の女の子たちを我が聖域に入れねばならんのだ。

昨日の夜に智和にLINEでこのことを話したら、「羨ましすぎるんだよぉお!!!」と電話がかかってきた。「代わろうか?」って言ったら、「いや、俺にはあの美少女3人を1人で相手する体力も精神も勇気もねぇ」という返答をもらった。つか、体力は使わねぇだろ。いや、使うか。ツッコミに。

そして、俺は今、あやつらが来るのを嫁の相手をしながら待っている。かれこれ嫁、いや嫁たちの相手を昨日の夜9時から今現在までの午後1時までしている。

気づいたら今まで相手してたんだからしょうがないよね☆そして、うん!寝不足だぜ!!正直、勉強会とかやる前に寝たいぜ!

でも、いいって言った手前、ここでバックれたら半殺しに遭うだろう。柏木に。家に居ることは分かってるんだし。

だから勉強会が終わるまでは寝不足を感じさせないほどの集中力をはっきしてサクッと今日を終わらせよう。うん。それがいい。

ちょうど、セーブをして、一息つこうとした時に、チャイムがピンポーンとなった。あいつらが来たのだろう。

「は〜い。どちら様ですか?」

扉越しに対応し、素性を聞く。

一応、あいつらじゃない可能性もあるため、誰なのかを聞くのは当たり前だろう。この前、アニソン(萌え系)をがっつし歌いながら扉をあけて玄関に出て、訪問販売に来たお姉さんをドン引きさせて以来、我が家には訪問販売の類も来ないのだが、念のため。頼んでおいたグッズが届いたのかもしれないし。

「すいませ〜ん。訪問販売なんですけど〜」

おっと、どうやら珍しく我が家に訪問販売が来たらしい。この前のお姉さんの会社ではなく、別の会社が来たのか?

「あ〜すいません。うち、そういうのいいんで〜」

人見知りの俺だけど、扉越しに相手と話すのならしっかりと応対できる。人見知りを甘く見るなよ!

「お話だけでもどうですか?」

「いえ、いいんで」

訪問販売は話を聞くと長くなるし、買わされるはめになりやすいからな。ここはしっかりと断っておこう。

「じゃあせめて!せめて商品だけでも見てください!」

せめてで商品見ろって……。この訪問販売おかしくない?そこはせめてお話だけでもだろ。

「最後の1個?んー違うかな?最初で最後なのかな?と、とにかく!商品だけでも!!」

1人で何かいいながら、解決してなおも言い迫る訪問販売。さすがにしつこいな。

俺は覗き穴から訪問販売の人を見る。帽子を深く被っていて顔は見えないけど、スカートを穿いているから女性だということは分かる。これで男性だったら軽くトラウマになるな。

「いや、ほんとにいいんで」

再度断る。

「お願いします!ほんとに!せめて商品だけでも!!」

しかし、訪問販売側も食い下がらない。

仕方ない。相手は女性だ。俺のこのキモ顔を見せれば引いてくれるだろう。俺は軽く自分をディスりながら扉をあけて顔を出すことにした。べ、べつに自分の顔がキモイからって涙なんかでてないんだからねっ!

「あの、ほんとにいらないんでお引き取りを……」

俺がこう言うのと同時くらいに、訪問販売の人は俯きがちだった顔をあげて笑顔いっぱいに言った。

「商品は私ですよ!陽向さん!世界に1つだけの商品ですよ!!それに、新品ですっ!!」

「…………(ニッコリ)」

俺もまた笑顔いっぱいに開けていた扉を、ゆっくりと閉め

「なんで閉めようとするんですかっ!?」

れなかった。

閉めようとした扉を訪問販売の人、もとい、霧咲が抑える。正直ちょいと力を加えたら閉めれるんだけど、そんな乱暴なことはしたくない。3次元とはいえ女の子だし。つか、この力……霧咲も女の子なんだな。3次元じゃなきゃほんとにいいのに。

「いや、なんて言うか、商品が要らないから……かな?」

「ひどいです!!私傷ついちゃいますよ!?」

「あ、うん。ごめん」

「新品なんですよ!?新品!それでも要らないんですか?」

「新品だろうがなんだろうが、3次元なんざ……ふんっ」

「鼻で笑わないで下さい!陽向さんはひどいです!それにやっぱり調教しないと陽向さんはだめですね!!」

「もう、言い直しすらしないんだな」

調教とかもう普通に言っちゃってるよ。

「あっ、きょ、矯正です!」

「遅いからな!?」

さすが霧咲。霧咲ワールド全開だぜ!

「とにかくだ。うちは3次元の女の子の商品は取らないって決めてるんで、お引き取り願いたい」

「そんな〜!!ん〜今なら私の知り合いの中学生のメアドを特典として付けたりしますけど…どうですか!?」

「まじで!?……んん。いや、い、要らなくもないんだけど、もう他の女の子取ってるんで要らないです」

「断り方が新聞勧誘の時と同じなんですけど!え?というか陽向さん?他の女の子取ってるんですか?」

「おい。目が笑ってないぞ。取ってないから、取ってないからな!?」

「ふ〜。そうですよね。陽向さんが3次元の女の子を取るはずないですよね。そこは安心、信頼できます」

「おう。そこは信頼してくれていいぞ」

こんなのを信頼されてもって感じなんだけど、信頼されないよりはいいだろう。

「陽向さんは他の3次元の女の子が作った物ではなく、私が作るものだけを食べて、血と肉を作り、私が作った物で成長して、陽向さんに輸血が必要な時は私の血を輸血して、私色に染め上げて、私がいないと生きていけないような体にこれからなるんですもんね!」

「どこのヤンデレだ!!」

怖い!霧咲が怖い!!
キミ〇ぼっちじゃない!のヒロインみてぇだなぁ!!

なんでこういう時に限って、桃とか柏木とかいねーんだよ!一人じゃ霧咲を抑えらんねーよ!わざわざバラバラに俺んちに来るようにしやがって!3人いっきにこられてもそれはそれで、大変なんだけど!

「で、一応聞くけど、他の二人は?」

「あとから来ると思います!」

「そうか」

「はい!そうとなったら時間がないですね!」

「なんでだ?」  

「篠原さんと、柏木さんが来るまでに陽向さんを私色に染め上げないと……って、陽向さんっ!!ちょ、閉めないでください!!なんでまた、閉めようとしてるんですか!」

「これから俺を自分色に染め上げようとするやつを普通、家に上げるか!?」

扉の攻防。
本日2度目。

さっきより、ちょっと力を加えてるせいか、やや俺の方が優勢だ。


☆ 

「わ〜これが陽向さんのお部屋ですか〜」

扉の攻防を何分かしていて、埒があかないと思った俺は、仕方なく霧咲を家にあげた。玄関先で言い争っているのをずっとして、近所迷惑になるのもやだったし。

俺の部屋にあがった霧咲は、物珍しそうに俺の部屋を物色する。

「思ってたよりアニメのグッズとかないんですね?」

「アニメのグッズとか、嫁はコレクションルームっていって別の部屋に居るんだよ。ここは主に俺が生活全般を任せてる部屋」

「なるほど。だからアニメのグッズとかはなくて、陽向さんの匂いや普段の生活具合がいたるところに残ってるんですね」

「怖いこと言うなって。つか、なんで、しらっと俺のベットに潜り込んでんだ」

「眠くて」

「嘘つけ」

「陽向さんに包まれるような感覚になるかなと思いまして」

「出ろ!今すぐでろ!」

ダメだ!抑えられねー!!早く来てくれ二人共!!二人が来たところで抑えられるかは、分かんねーけども!

「それと、私の匂いを残そうかと」

「マーキングか!お前は犬かよ」

「犬……。はいっ!私は陽向さんの!陽向さんだけのペットなんで!!」

「大きい声でそんなこと言うなっ!!」

「ここに、首輪とリードもちゃんとありますよ?」

「今日ここに何しに来た!?勉強ですよね?!二つの意味での!なのになんでそんなもん持ってきてんだよ!しかも、チョーカーじゃなくて、ガチな首輪だし!」

やたら大きなカバンだなって思ってたらそんなもん入れてたのかよ。つか、まだいろいろと入れてますよね?

「つか、よく男のベットに入ろうと思うよな。普通なら嫌なんじゃねーの?」

清潔潔白な女の子なら、男のベットになんざ嫌がって普通入らないだろ。汚いとかって思われてるだろうし。俺は綺麗にしてるけどね!

「陽向さんのベットだから入ってるんですよ!」

「へーあ、うん。おっと誰か来たみたいだな」

「陽向さんひどいです!」

ピンポーンとインターホンが鳴ったので俺は玄関へと向かう。霧咲は……ほっとこう。

さてと、誰が来たのか。

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