二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?

ハタケシロ

第65話 心が一つに

友人部で文化祭の出し物が決まらない中、学校では中間テストが終わっていた。
俺はいつもどおりの点数で順位にしたら下から数えたほうが早いくらいの位置。まぁいつも通りだ。

桃たちもいつも通りの点数を取ったみたいで安堵していた。
以外だったのが柏木だ。赤点の一つや二つあると思ったら無いという。
勉強できる感じの不良なんですね。柏木さん。
柏木がしっかり勉強を始めたら……いや、考えるのはよそう。俺が友人部で1番のバカになっちまうからな。

月も変わり10月になった。
来月の頭には文化祭がとうとうやってくる。
とうとうと言っても何も決めてない俺たちは早く何をやるかを決めなくてはならない。

その前に今日はクラスの出し物を決めるため、放課後に我がクラスは全員残っている。
まだ文化祭の出し物を決めてないのは3A以外全クラスだ。……うちの高校大丈夫なのか?

「以外だよな3A以外全クラスがまだ決まってないなんて」

クラス会議でも特に発言のしない俺は、智和に話しかける。

「ん?どうしてだ?」

「いや、だってさ。あれだろ?クラスでも売り上げか来場数、もしくはどっちも1番だったら賞金が出るのに、どこも決まってないなんて」

先生が言うように賞金が出るなら皆やる気が上がるはずなのに、出し物を決めてないなんてやる気なさ過ぎだろ。普通なら盛り上がるのに。

「もしかし陽向お前、知らないのか?」

「え?何を?」

「去年のクラス別No.1、現3年A組元2年A組の文化無双を……!!」

「なんだよ文化無双って」

「文字の通り無双したんだよ現3年A組が去年文化祭で」

「文化祭で無双ってどうすんだよ。訳分からねぇぞ?」

「学校に来場してくるお客さんが片っ端から現3年A組の教室に入ってたんだよ」

「なんで?」

「そりゃお前決まってるだろ。超イケメン&美女コンビの深夜さんと真昼さんがそのクラスに揃ってたからだ」

「深夜?真昼?」

「知らないようだな。うちの高校じゃほぼ全員顔と名前くらいは知ってるだろうな。桃さんたちと一緒で」

「桃たちと?へーそりゃすごい」

「まぁその2人が同じクラスになったことで勝つのは必然。お客さんもその二人目的で来るわけだ。となると、去年の惨状を知ってる3A以外の先輩方は勝てるはずのない文化祭にやる気がでない。で、俺たち1年は先輩から話を聞いて意気消沈してるってわけだ。だから他のクラスも決まってないってわけ」

「なるほどなー」

「そこでだ。今年は学校の計らいで2位にも賞金を出すことにしたぞ」

「「せ、先生!?」」

智和と話していたら、後ろから急に先生に喋りかけられた。つか、先生いつの間に!?

「去年の深夜と真昼のコンビはアホみたいな売り上げをたたき出したからな。今年もそれをされたらほかのクラスじゃ到底叶わん。という事で2位にも賞金が出る」

「まじすか?!」

「おおマジだ。学校側も文化祭を盛り上げようとしているからな。というわけだ。やる気を出してお前らも会議に参加しろよ」

「「う、うす」」

2位にも賞金が出ると聞いて、俺と智和だけじゃなくクラス全員の目の色が変わった。
この感じなら他のクラスも盛り上がるに違いない。

「で、では皆さん改めて文化祭で何をやりたいですか?」

委員長が改めてみんなに問いかける。
さっきとは違い、みんな真剣に考えているため違った沈黙が訪れる。

沈黙が支配する中で、智和が俺に話しかけてきた。

「なぁ陽向」

「どうした?」

「文化祭最低でも二位にはなりたいよな?」

「そりゃあな」

2位でも賞金が出るんだったらそりゃ2位でもなりたい。あわよくば1位になりたいが、まぁ無理だろう。

「それとだ陽向。俺たちは友達だよな?」

「どうしたんだよ改まって。友達に決まってるだろ?」

「だよな。でだ、友達ってのは友達のお願いを聞いたりするよな?」

「まぁできる範囲のことなら聞くけどな。ん?俺になにか頼みごとがあるのか?」

「ある。すまないが陽向。分かったとだけ言ってくれないか?」

「なんかよく分かんねぇけど、分かった」

「よし……」

そう言うと智和はゆっくりと立ち上がり、みんなの視線を集める中で言い放った。

「女子の皆さん!!特に篠原さんとセラフィさん!」

「私……ですか?」

「わたくしですの?」

「陽向がどうしても篠原さんたちのメイド服姿を見たいって言ってるんだ!俺は止めたさ。己の欲を満たすがためだけに篠原さんたちに迷惑をかけるのはよくないってな。けど、陽向はこう言った。確かに桃たちのメイド服姿は見たい!見たいに決まっている!しかしだ!俺は自分の欲を満たすためだけに桃たちのメイド服姿を見たいんじゃない!このクラスで文化祭2位を取りたいから着てもらいたいんだ!だから頼む女子の皆さん!メイド服を装着してメイド喫茶なるものをやって頂けないだろうか。このクラス女のレベルは高い。普通にやっても上位は狙えるはずだ。しかし我がクラスには校内でもトップクラスの美少女2人が在籍している!これはチャンスだ!このチャンスを逃すわけにはいかない。もしかしたら1位だって取れるかもしれない!このクラスは今年で終わりだ。来年からは別々のクラスになってしまう。だから最初で最後の1年E組の思い出を!伝説を作ろうじゃないか!そのためには女子の皆さんの力にかかっている!安心してくれ雑用その他業務はここにいる陽向と俺、そしてクラスの男どもが担当する!思いっきり女子の皆さんにはメイド喫茶をやってもらう!篠原さんとセラフィさんにはうちの稼ぎ頭として働きやすいように陽向を随時そばに置いておくから安心してくれ!陽向もそれで売り上げが上がるのならと言って了承している!だから女子の皆さん!メイド服を着てくださいお願いします」

長々と智和が喋った後に一瞬の沈黙が訪れた。

「よく言ったぞ関」

一人の男子生徒が智和を称える。

「確かに文化祭で俺らに残された道は女子のメイド服姿しか残ってない」

どこからともなく男子生徒の声が漏れる。

「桃たんとセラフィたんのメイド服姿なら……勝てる!」

確信の声が響く。

「まぁ私たちにかかってるって言うのなら着てあげないこともないけど。ね?」

「うん。そこまで言われたんじゃやるしかないでしょ」

一人また一人と女子たちの目の色が変わる。

「決まりだな」

先生が教壇に立ち、クラス全員を見渡す。
クラス全員の顔を見たあとで小さく頷いたあと、号令をかけた。

「いいか!我々はこれよりオペレーションメイド喫茶を実行する!手は抜くな!全力でぶつかれ!そうすれば四皇だろうが七武海だろうが大将だろうが倒せる!いいか!これは命令だ!2位いや、深夜&真昼を倒して1位をもぎ取れ!」

「「「はい!!!」」」

今ここにE組の心が一つになった。

俺はと言うと何が起きているのかさっぱり分からなくなり、呆然とするしかなかった。
なにこれ?

(陽向くんが着て欲しいと言うのなら……!!)

(ようたが着て欲しいと言うのなら……!!)

俺が知らないところで桃とセラフィが燃えていた。

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