刹那玻璃の思い込み、聞き流し、解るコテン?

ノベルバユーザー173744

光源氏の心理状態、揺れ動き……

『光源氏』はと言うか『源氏物語』は、一番に言われていたのは、最初の『ロリコン』……つまり、『ロリータコンプレックス』の小説だと言うことです。

『ロリータコンプレックス』通称『ロリコン』は和製英語で、『Lolitaロリータ』と『complex』の事で、『Lolita』と言うウラジミール・ナボコフの小説の、登場人物の少女を愛する中年の男性の話から作られたものです。

こちらの言葉は日本で一般的に用いられるものですが、心理学上は『エフェボフィリア(Ephebophilia)』、もしくは『ペデラスティ(pederasty)』となります。

日本では1970年代に『ロリータコンプレックス』と言う名称が用いられ一般的になるのですが、『エフェボフィリア』は、思春期の男女に向かう性的嗜好を示し、この性行を持つ人を『エフェボフィル(Ephebophile)』もしくは『エフェボファイル』と言います。
古代ギリシア語の『エペーボス(Ephebos)』『青年』と言う言葉と、『ピリアー(philia)』『友情的な愛』の造成語で、これは、まだ『精神的な愛情』に近いものです。

『ペデラスティ』は、思春期の男女に向かう性欲となるので、こちらは強い感情になるかと思います。



ですが、平安時代は、正式な結婚と言うのはなかったとしても、身分の高い皇子等は元服をすると『添いふし』という同年代もしくは少し年上の貴族の娘がはべり、共寝ともねをするということがありました。
これは、成長していく東宮、もしくはそれに準ずる位の皇子の元に自らの娘を送り込み、皇子を生んでもらう。
そうすることで自分の権力を磐石にすると言う有力な貴族の政略的な意味合いもあり、当時は跡取り息子ではなく娘を多く持ちたいと言う貴族も多かったようです。

もしくは、先日説明をした藤原彰子ふじわらのしょうしは数え年10才で宮中に入内じゅだいするのです。

当時は男児は元服の前に童殿上わらわでんじょうと言い、正式ではないものの宮中で形ばかりの出仕をします。
その時のそつのない動きや、ハキハキとした受け答え等を覚えてもらい、出世に役に立てる……と言うものです。
しかし、賢すぎると妬まれ、オドオドしていたりすると馬鹿にされ、とても難しいものだったようです。

女児はほとんど、小さい頃から徹底的に家の中で礼儀作法や管絃や歌(和歌)、最低限の学問を学びます。
最低限と言うのは、時代劇でもお分かりの通り、当時の高貴な身分の人には女房が傍に控え、声が通るものの、仲介をして、返事を送るため、内側で何を話していても、『通訳』してくれるのです。
その代わり、女房は中流階級の学問を学んだ才女が多く、清少納言や紫式部、和泉式部と言った才女を集めるため、競って娘を入内させる親は才女の情報網を作り、娘が成長し入内することになると、その才女の親や夫に声をかけて、出世等を引き合いに出して娘を出仕させるのです。



紫式部は、夫の何人かいる妻の一人で、父と共に任地に下る……地方に行っていて結婚が遅く、娘が生まれてすぐ年の離れた夫が死に、未亡人となります。

当時は通い婚が主流で、位が上がっていくと自らの屋敷をたてたり、正妻の実家を修復増築してそこに住み、側室を別棟に置くことが多かったようです。
良く奥方を『北の方』と呼ぶのは、当時の建築様式で中央北側が主とその正妻が住み、左右にいくつかの別棟があり、回廊で繋がれ、その別棟に子供たちや側室が住んでいた為です。
大きな屋敷には真ん中に池を作り、船を浮かべ……と言うような事もあったようです。



紫式部は通い婚であり、父の家で娘を育てながらこの頃から『源氏物語』を書き始めます。

それよりも前より、父の為時ためときが有名な文学者で、漢文等に詳しいと知られていました。
その上、二人の子供のうち、娘がとても賢いと知られていて、藤原道長ふじわらのみちながが、出仕を持ちかけたのです。
迷っていたものの、彼女は父の出世によって、自分の娘の将来を思い、出仕したのだと思います。

迷っていた理由は、元々賢いと噂されていて、鼻持ちならないと言う噂が流れていたことや、別の人に仕えていたものの、才知に長けた『清少納言』の存在があったからだと言われます。
『清少納言』は『枕草子まくらのそうし』の筆者で、文章から言ってもとても鋭い目を持つ、そしてしっかりした人のようです。
『清少納言』と比べられるのがとても嫌だったらしく、その上余り人と関わるよりも読書をしたり、『物語』を書くことの方が好きだったようです。

しかし、出仕を決め、彰子の教育係……特に漢文、和歌を中心に教えていたようです。



そして、書き始めていた『物語』が、噂に上っていた『光の君の物語』が世に知れ渡るようになるのです。

で、長くなりましたが、『ロリコン』と言うのは、物語の中の『若紫わかむらさき』のじょうで、元服をして『源』の姓を与えられた『光の君』が、正妻の『葵の上』との間がしっくりとせず、それでいて『藤壷ふじつぼの宮』を思い悩む日々に、戯れに覗いた古い屋敷に小さな『若紫』を見つけ、『藤壷の宮』にうり二つであることに驚きます。
身元を調べ、『藤壷の宮』の兄の娘で、母をなくしたものの正妻の反対でそのまま置き去りの少女を連れ去り、屋敷で育てること、そして成長した彼女を自らの妻にする事を指すのです。



時代背景など長くなりましたが、今宵はここまで……。

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