3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

54章 S級との出会い

 教皇様との面会プレッシャーから開放された俺達は、
 3日間ほど肩慣らしで冒険者ギルドの依頼をこなしていた。

 鉱山に住み着いたモンスター退治、サウソレスへの物品運搬、農場開拓、
 そして、聖山近くの森に突如現れた強力な魔物討伐依頼。

 前者の3つはあっという間にこなした、そして嫌な予感のする魔物討伐に参加する。
 なぜ嫌な予感がするかというと、どうやら猪のような外観なのだが特徴が、
 脈打つような黒黒とした紋様が身体に浮かび上がっているそうだ。

 魔物討伐は3パーティ合同だった。
 俺達の女神の盾 A
 聖騎士隊のPTである 新緑の風 A
 そして 灰燼の進撃 S。
 S級PTが参加だった。カレンとバッツがにがーい顔をしていた。
 灰燼の進撃は自分たちでつけた名前じゃなくて、
 このPTが通った後は何も残らないところからその名前がついたそうだ。
 4人のPTでありながらとんでもない攻撃力で猪突猛進、
 合同依頼にこれほどふさわしくないPTもないです、ってカレンさんはため息をついていた。
 しかもこの4人、みんな変なフードと仮面をつけている。
 俺はつかつかとそのPTのところへ歩いて行く、
 真っ赤なフードに白い仮面に近づいた。

 「教皇様何やってんですか?」

 めっちゃくちゃビクンとしていたが顔を横に振った。
 何を言っているんだい君は? みたいなアメリカ人みたいなリアクションされた。

 「まぁ、いいですけど、こないだのお返しです、
 魔力の波動変えるなら振幅だけじゃなく色も変えたほうがいいですよ」

 あふれだす魔力、わかりにくくしてるけど教皇様と同じ気配をハッキリと感じたのでお返しだ。
 その場を離れると残りの3人から詰め寄られていた。
 あと、たぶんあの大剣持ってる人はサウソレスの王様だよね、足運びとか気配が一緒だ。
 ジーっと見てると目があって怪しいぐらい目をそらされた。

 「ワタル様灰燼のメンバーを知ってるんですか?」

 「まぁ、ちょっとね」

 別に教えなくてもいいだろう。さっすがワタル様です! って勝手に解釈してくれた。
 カイも変な顔していた。惜しいとこまでは気がつくんだろうけどね、
 俺はカイの能力とカレンの能力あるから。
 あと、昔の小さな魔法操作をしていたから繊細な変化にも敏感なのさ。
 詳しく聞くと灰燼のメンバーの名前は
 「ああああ」「いいいい」「うううう」「ええええ」みたいな適当な名前って聞いてさらに確信した。
 まぁ、いいや。

 もし魔神の欠片が相手だとすれば、あのでたらめな教皇ジーク様とか、
 サウソレス王のゲバルト王ぐらいの強さは必要だと思う。

 敵の位置はクウがすぐに捉える、新緑の風は横一列に広がって踏破式の散策をしている。
 灰燼と俺らは一直線に目的地へ向かう、
 新緑のメンバーに止められたけど急がないと。
 正直新緑のメンバーでは耐えられないと思う。

 目的地につくと巨大なイノシシがぐちゃぐちゃと何かを食べていた。鹿だ。

 「こんな巨大なワイルドベアは見たことない」

 「食べごたえありそう」

 リクとクウが物騒なことを言う。

 「アレが付いた動物を食べる気にはならないなぁ」

 ワイルドベアにはしっかりと漆黒の紋様がついていた。
 様子をうかがっていると灰燼の皆さんがいきなり攻撃をぶっ放した。
 なるほどチームプレイは皆無だ。

 「カレン、灰燼のメンバーにあの影の攻撃を食らうと、
 生半可な魔法じゃ治せないことを伝えておいて!」

 仕方ないので俺達も参戦だ!

 黒猪はワイルドベアとしては異常なほど巨大らしい。
 ワイルドベアはキノコとか果物とかを食べる温和な動物で、
 攻撃でも加えなければ人間なんて相手にしない、
 決して鹿の内臓をグチャグチャと食べたりしない。
 口元から胸元が真っ赤でスプラッタだよ、ちょっと気持ち悪い。
 取り敢えず後から新緑のメンバーが来られても困るので周囲に土壁を作ってこいつの逃亡も防ぐ。
 すでにリクとクウが突っ込んでいる、
 黒猪はえらく巨大に伸びている牙で剣と斧を上手に受けている。
 かなり動きは機敏だ。
 そこに灰燼のメンバーの一人が斬りかかる、

 ガギャン!!

 ものすごく重い金属同士がぶつかり合う音が森に響く。
 バッツも渾身の一撃で切り込む、黒猪同じように牙で受ける。

 ベギィ!

 今度は鈍い音がして見事牙がぶらーんと折れた、
 強力な攻撃を連続でくらい耐え切れなかったか、

 「ちぃ!」

 灰燼のメンバーがちょっと悔しそうだ。
 いいぞバッツ!
 2つのPTがガンガン攻撃を加えて傷は増えていく、
 俺もパイルバンカーや魔法でかなり手傷を与えて行くのだが、

 ベギィ!

 今度は灰燼のメンバーが大剣で牙をへし折った、
 でも、ズズズッと紋様が伸びて牙が元の位置に戻っていく、
 最初に折った牙もこれで治ってしまった。
 今は黒く包まれた牙は頑丈さが上がってしまい、攻撃力が上がってしまった。

 高熱から過冷却のコンボはやってみたけどすでに対応されてしまったようで効果は薄い。
 これ学習してるとなるとどんどんきつくなっていくよなぁ。 
 俺はパイルバンカーに最近構想・実験していたことを実施する。
 超音波振動して超音波ブレードみたいに撃ちこむか、
 水を超高速で回転させるかで切れ味が上がらないか、俺はそれを試していた。
 前者は魔法で出した盾でやるのが難しくて至近でしか使えなかった。
 後者は慣性のエネルギー理解によって反動なくパイルバンカーが使えるようになった俺に、
 ぴったりだった。パイルバンカー改・水刃だ。
 顔めがけて斧を振り下ろす、それに黒猪は受けようと意識が斧へ向く、
 今だ死角になるような位置に3枚の魔法盾に水魔法を操作して巨大化させる!

 ギャリギャリギャリ……グシャァ

 体毛の硬さにすごい音がしたけど深々と盾が突き刺さり血しぶきが舞う。

 「今だあそこを狙え!」

 大きく傷つけられた部分を集中的に狙う。
 決め手に書いていた灰燼のメンバーも支持に従ってくれた。
 繰り返される激しい攻撃によって紋様による修復も追いつかないようで、
 ついには内臓がズルリと出てきた。
 即座にカイの魔法が内臓を焼く。

 ギュルルルルルルルル

 香ばしいホルモンの香りが森を包み、俺達の腹の虫が激しく鳴った。

 「皆! さっさと倒して焼き肉だ!!」

 なんとも緊張感にかける俺の掛け声、効果は抜群だ!

 残念ながら倒した黒猪は灰になって消えてしまった。
 今日は絶対焼き肉、いやホルモン焼きにしよう。心に誓った。

 消えていく黒猪を目の前にして灰燼のメンバーもほっとしたようだ。

 「でたらめな強さだな君たちは」

 観念したのか教皇様が仮面を外した。
 仮面の下には面会した教皇様の面影はあるが白ひげがなかった、付け髭だったのか。
 そしてまだ50歳くらいのおじ様だった。

 「ああ、それにその武器は何だ見たことがない」

 ゲバルト王も仮面を外した。やっぱりこの人も只者じゃなかったね、
 戦闘中の動きも半端ない。気がついていたんだろ? ってイタズラっぽい笑顔もかっこいい。
 他のみんなは少し驚いていた。カイは合点がいったような顔をしていた。
 残りの二人はヤレヤレって感じで仮面を外さなかった。

 「説明してくれるんだろう?」

 ゲバルト王に問われ俺たちは自分たちの知っていることを話した。
 魔神のこと、龍脈のこと、魔神の欠片、魔神の使徒のこと、女神の盾のこと。
 二人共自ら情報を集めており、特に疑われることはなかった。

 「まったく、厄介な物をうちの国に持ち込んでくれたな」

 灰燼の残りの一人が仮面を外してそう言った。女性だった。

 「女王様……!?」

 リク・カイ・クウが驚いている。女王様と言われた戦士は、
 フードを下ろすと身体がキラキラとした光りに包まれ男性の姿から女性の姿へ変わる。
 この人もとんでもない強さだった、物凄い速さで細身のレイピアを扱って黒猪の行動を阻害していた。
 って、デケェ!! とんでもなくデケェ!!
 身長じゃないよ!? ダッダーンボヨヨンボヨヨン! って頭の中で言ってしまった。

 「いずれうちにも来るのかよ、めんどくせーなー」

 最後の一人は仮面を外すと隻眼だった。眼帯をつけた白髪のイケメン。
 方天戟っていうんだっけかな? 槍のような武器で戦っていた。
 もちろんこの人も規格外に強かった。

 「その髪と眼帯、まさかウェスティアの龍、ジークフリード皇太子……」

 バッツが驚いている。珍しい。
  教皇様は魔法の詠唱を開始する、転移魔法陣のようだ。
 
 「お主ら、あとで奥の院へ来てくれ。儂らは先に帰るでな」

 一方的にそう告げると転移魔法で消えてしまった。

 しばらくすると壁を破壊した新緑の皆様が来た。
 戦いの後と灰になってしまったけど大量の血痕を確認して共同で報告へ行くことになった。

 今日は驚いてばっかりだよ。


  ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■

  イチノセ ワタル
 Lv75→78 【目覚めし勇者】
 HP 7640→9547 (+30910)
 MP 5475→6894 (+25640)
 Str 407→468 (+2390)
 Agi 418→431 (+2360)
 Vit 412→431 (+2360)
 Dex 600→642 (+2430)
 Int 633→705 (+3210)
 Luk 210→260 (+750)

 【スキル】 女神と神獣の盾 勇者の力【覚醒】 深謀遠慮 神算鬼謀  明鏡止水 
古今無双Lv10 神の料理人 神のマッサージ師 農畜産業の神 建築技工の真髄 
 酒神との会話New! 言語理解 大器晩成 行動最適化Lv10 魔導の真髄Lv10 異次元魔法Lv10
 護る力 農業魔法Lv10 生活魔法Lv10 龍気 
 生殺与奪(拷問スキル上位化)New! 聖剣操作Lv9 罠 幸運Lv5 詠唱破棄

 【称号】 聖剣の聖女との絆 苦痛と快楽の申し子New! ドラゴンスレイヤー 覚醒した勇者
 神々の加護 カイとの絆 カレンとの絆 バッツとの絆 魔の真髄を知りし者
 龍脈の加護 酒神バッカスに愛されし者

生殺与奪:あらゆる苦痛を与えることが出来る。あらゆる快楽を与えることが出来る。

 リク
 Lv41→42 【武の頂を昇りし者】
 HP 15867→17259
 MP 3941→4285
 Str 2015→2143
 Agi 1432→1504
 Vit 1653→1732
 Dex 1197→1310
 Int 975→1020
 Luk 503→524

 【スキル】 聖斧の力 金剛Lv10 魔力操作Lv10 斧技Lv10
 不撓不屈Lv10 気功弾 未来予知Lv9New! 臥薪嘗胆  
 竜神闘気Lv10 幸運Lv5 龍気 一騎当千 鑑定 マジックボックス【極大】

 【称号】決意し者 闘気を纏いし者 神々の加護 勇者との絆
 ドラゴンスレイヤー 龍脈の加護


  カイ
 Lv41→42 【魔導の極みに至りし者】
 HP 7045→8124
 MP 19456→23145
 Str 740→793
 Agi 889→985
 Vit 764→801
 Dex 1421→1632
 Int 2495→2765
 Luk 543→564

 【スキル】 聖杖の力 深謀遠慮 神算鬼謀 明鏡止水 
 不屈Lv10 天賦の魔力 魔導の真髄Lv10 罠 建築 龍気 魔道具作成 
  幸運Lv5 鑑定 マジックボックス【大】 杖術Lv10 詠唱破棄

 【称号】決意し者 暴走する魔力 神々の加護 真・勇者との絆 
 ドラゴンスレイヤー 魔導の極み 龍脈の加護 魔の真髄を知りし者


 クウ
 Lv41→42 【剣の極みを掴む者】
 HP 13257→14867
 MP 10005→12345
 Str 1320→1403
 Agi 2774→2912
 Vit 1198→1299
 Dex 1802→1999
 Int 2081→2201
 Luk 3104→3333

 【スキル】 聖剣の力 天才 未来予測Lv10 不屈Lv10
 運命操作Lv10 忍の極意 侍の極意 魔力支配Lv10 二天一流Lv10 環境把握Lv10 
 聖魔魔法Lv10 事象操作魔法Lv10 龍気 風林火山 暗器の極み
 センス○ 鑑定 マジックボックス【無限】 

 【称号】決意し者 神々の加護 勇者との絆 ドラゴンスレイヤー 龍脈の加護
 太古の血脈覚醒 森羅万象 

  カレン=グリーンフィル
 Lv35→40 【聖弓の狂信者】
 HP 14024→19523
 MP 16421→19954
 Str 684→848
 Agi 985→1178
 Vit 705→896
 Dex 1784→2221
 Int 1301→1798
 Luk 398→521

 【スキル】聖弓の力 魔力操作Lv10 魔力支配Lv10 乾坤一擲 羊裘垂釣
 異次元魔法Lv10 魔弓術Lv10 万里眼 身体活性Lv10 夢幻泡影 風光明媚New!
 生活魔法Lv10 細工Lv10 調合Lv10New! 鑑定 強行踏破Lv6New! 信仰Lv10
 龍気 魔力矢 アイテムボックス【大】幸運Lv5

 【称号】 天弓 森の友 狂信者 真・勇者との絆 龍脈の加護 異次元の魔導を極めし者

 風光明媚:自然界に存在する精霊や動物などに愛される。精霊、召喚魔法超強化。


 バッツ=ドラギオン
 Lv35→40 【道を切り拓く大剣】
 HP 25987→34211
 MP 6854→8213
 Str 2399→3174
 Agi 1398→1592
 Vit 2175→2941
 Dex 827→1021
 Int 705→887
 Luk 335→431

 【スキル】聖大剣の力 両手剣Lv10 古今無双Lv10 換骨奪胎(鍛冶精錬裁縫合成上位化)New!
 明鏡止水(並列思考上位化) 龍気 武士の深淵 勇往邁進 理非曲直 幸運Lv5

 【称号】 両刀使い オシャレマイスター(*´ω`*) 龍脈の加護 神々の加護
 真・勇者との絆 武の極みを見た者 製造の神に愛されし者

 換骨奪胎:古きことから新しきものを作る。武具・鉱石・縫製製造系スキル最上位。

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