3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

72章 街、爆誕!

 わけも分からず魔法で転移させられたら目の前に街が生えてきた。
 何を言っているのかわからないと思うが、一番わからないのは俺達だ。 
 建物の中は快適で、見たこともないような設備が整えられていた。
 水が出る、排泄物を汲み出さなくていい、シャワーがある、ベットが柔らかい。
 何なんだこれは、夢でも見ているのだろうか?
 しかも、確か若い男衆を中心に野盗まがいな活動を行うと息巻いて出て行ったはずだ。
 農地にはあっという間に作物が、収穫できる、どうなっている、どうにかなりそうだ。
 全ては神の奇跡、ワタル様という生き神様の奇跡と教えられた。
 そうだ、それしか考えられない。
 そうか、私は神に救われたのだ。おお神よ。
 ん? 街ができた記念の宴? 全部ワタル様が提供? なにそれ? 大丈夫? 
 流石に不安なんだけど・・・・・・
 なんじゃこりゃ!? うーーーまーーーいーーーぞーーーーー!! 
 神だ絶対に神だ!! 神はここに居たのだ!!
 俺はワタル様に忠誠を誓うぞーーーー!! 

                             村民談

 【ワタルっち街まで作るんだね、しょうがないからここも守ってあげよう! 守られるっていいよね、えへへ。護るよ護るよ~! 私はダーに守られてるからねキャッ】

                            女神談

 東西に伸びる街道に合わせて周囲を防壁で大きく囲まれている、
 今までの領地とは比べ物にならない範囲だ。街を作るからね。
 防壁周囲には堀も形成しておく、流石に跳ね橋ではなく石橋をかける。
 防壁には等間隔に石像を用いた防御設備ガーディアンを設置していく。
 精霊の力を借りてリビングきた石像スタチューにする。これで街の守りも万全だ。

 街道整備を行いその後区画整備だ。東西には門を構えてそこを結ぶメインストリート沿いには、
 将来商業設備となる建築物を並べていく。
 中央には女神像を飾る噴水だ。
 住民の憩いの場にしよう。
 ランナバウト式のような円形に通りを設置。
 重要な設備はここに集中させる。

 南東にも道を伸ばしていく。この十字の道が大通りだ。
 基本的には大きく4つの区画に分ける。

 北西部の地殻を高くしていき城壁による日光問題のクリアと排水の管理をしやすくする。
 ここを農耕地帯とする。いずれは交易による食料管理をしていくが、
 一部食料は自給自足していったほうがいいだろう。
 商会の高品質なものではない一般的な、環境変化、病気に強く育成が早い作物を植えていく。

 北東部分に村民や今後増えるであろう住民のための取り敢えずの住居を次々と作っていく。
 一軒家を50棟、マンション型10部屋タイプを10棟魔法でサクサクと建てていく。
 中央部の一角に大衆浴場、大型温泉設備は作る。これだけは譲れない。
 ワタル達が過ごす館は北東部の中央通り側に作る。商会設備の並びに作る。

 冒険者ギルド、商会ギルド、市役所的な建物、学校の箱もすでに作っておく。
 ココらへんの誘致はゲーツに一任しておこう。
 彼女は大変優秀な文官の才能があるので安心して任せられる。

 ワタルは取り敢えず形の出来た、といってもオーバーテクノロジーの塊のような街なんだが、
 まぁ、とにかく一仕事終えて日はすっかり傾いていた。
 一仕事終えたら、お約束の宴だ。
 今回は村民の皆さんや他の商会参加者全てこの地に集める。
 広大な更地がある、ワタルはキャンプファイアーをやりたかったのだ。

 設営にもワタルは張り切った。テーブとベンチを次々と創りだす。
 皆が慣れた手つきで配置していく、これは宴が終わったらこのまま各所に配置して、
 街の設備として利用するつもりだ。
 バーベキューコンロに似た形態の物も用意する。
 成分さえあれば何でも作れる。成分がなくても地殻操作ができるワタルはノリノリだ。

 そんなわけで、数百名規模のバーベキュウ大会の準備は完成したのであった!

 なお、教皇様もお忍びで(付け髭外して)参加している。
 この宴に参加してワタルの料理を体験した教皇様は他の3王に大層自慢して、
 ワタルはしょっちゅう料理を提供しに女神の寝屋に向かうハメになる。
 喜んで食べてくれるのが好きなワタルは、なんだかんだ言ってその要請に応じていた。

 各地から集められた食材は皆の手でどんどん処理されていく。
 ワタルはタレ作りだ。食材の声を聴いていると目の前にタレができていた。
 何を言っているのかわからないが、ワタルにとってはそれがあたりまえのことなのだ。

 女神の盾自慢の野菜もたっぷりと提供する。
 肉はそれなりの品質ながら下処理はワタルが完璧に行ってくれている。
 ワタルの調理している姿は一部には後光が見えると言われて、信仰の対象になっている。

 村人にとって初めてのワタルの料理は信仰心を高めるのにテキメンであった。
 ゲーツの計画通りにみな洗の、ワタルを尊敬して喜んで仕える姿をみて、
 ゲーツは会場の隅で満足気に微笑んでいた。

 この宴において教皇の助言のもとこの町の名前がヴェルテポネと名付けられる。
 後にこの大陸第二の大都市となる街の誕生である。

 村民にとって各部屋にシャワーがあることも驚愕ではあったが、
 公衆浴場に驚かされた。地殻操作による完全な天然温泉だ。
 魔法によって不純物処理されて還元式ではあるものの、
 普通の一般市民は湯船に浸かるという行為をしたことがない。
 しかし、一度味わってしまえば湯船の誘惑から逃れることは出来ない。
 しかも大衆浴場は思わぬ効果があった。
 年頃の男女が湯船に浸かり、湯上がりの普段と違う一面を見る機会が増えるわけだ、
 そりゃーもう、ほれてまうやろ~

 生活環境の改善も大きいが、勇者の盾商会が手を付ける街では出生率や結婚する人が増えている。
 気が付かないうちに国家規模で貢献していたのであった。
 主力商品が精力剤なんだからそりゃそうなんだけどね。

 新天地での驚くほど快適な生活を手に入れた元盗賊たちの村人は、
 末永くワタル達に感謝するとともに、優秀な商会の職員になっていくのであった。

 また、今回のことで衝撃を受けた【輝きの道】とエステポネの冒険者ギルドは、
 サウソレスと同じように冒険者に塔挑戦を義務付けていく活動を広げていく。
 冒険者達の自力の底上げは【黒】による一般モンスターの凶暴化に対応するだけでなく、
 既存のダンジョン攻略にも良い影響を与え、世界全体の経済活動はますます活発になっていく、
 嬉しい副反応を見せていた。


 

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