3人の勇者と俺の物語
104章 リクの神殺し
リクは動けずにいた。相手は槍。早さでは分が悪い。
それでもリクは鍛錬を繰り返しどんな速度であろうと劣っているつもりはなかった。
それでも微動だに出来なかった。
それほど槍を携えたアルス神は強敵だった。
【ふむ、このままではいかんな。私から仕掛けてやろう】
わざとらしく芝居がかった台詞と共に槍の穂先がリクの頬をかすめる。
反応できていなかったら顔を貫かれていた、台詞とともに撃ち込まれたにも関わらずギリギリだった。
頬から落ちる一筋の血のしずく、それを武器にするつもりはなくとも女性の顔に傷をつける相手に、
リクの炎が灯る。
カッ
アレス神のかぶっていた兜が真っ二つに割れる。
割ったのはもちろんリク、お返しとばかりに愛斧を振り下ろす。
予備動作もなく神速の一撃だ。アレスとしては完全に避けたつもりであったが兜をかすめ見事に切り裂いた、アレス神の額からも一滴の血が流れる。
【ほほう、やるではないか】
「アルス様もね」
それが合図かのように打ち合いが始まる、アレス神の苛烈な突きを斧で撃ち落とし、避け、そして撃ち込む。よほどの達人でなければ二人の間で繰り広げられている攻防は捉えることは出来ない。
一撃一撃が早く鋭い槍の攻撃を威力で勝る斧によって手数の不利を覆す。
リク以外の斧の使い手であったなら槍アルスは一瞬で勝負を決めていただろう。
相性としては槍の方に分がある。
しかしリクは今までの経験と持ち前のセンスによってそれを補い、そして覆そうとしている。
「真・龍気武装」
リクを龍気と覇気が包み込み戦闘力を増大させる。
【ぬ・・・・・・】
大きく槍を弾かれる、撃ち込まれる攻撃に威力が増す。接近される事が増えていく、
【人の身でありながらこれを使わせるとは・・・・・・】
アルス神も光り輝くオーラを身にまとう【神気】と呼ばれる聖なる衣。
二人の打ち合いは目に見えて早く重くなっていく。
【久方ぶりの本気での打ち合い! これは滾るな! 感謝するぞ!】
幾重もの斬撃が二人の間を満たしていた、全力戦闘同士考えるような戦闘はすでに置き去りにしている。アルス神は突き、払い、いなし。槍の基本となる攻撃を愚直に、すさまじい速度と力で行う。
リクは突きを時には避け、時には打ち払い、そこに隙が生じれば攻めに転じる、
切り払い、切り落とし、切り上げ、無数の斬撃を繰り返す。
お互いの鎧が爆ぜ装飾が切り裂かれていく、全身の小傷は数えきれない、
痛みもすでに感じない、体と斧が一体になったかのように振るい続ける。
リクは顔を歪める、全力の龍気を纏っての戦闘は体への負担が大きい、
この状態をしてアルス神にはまだ余裕があるように見える。
しかし、リクにも策はある、体が悲鳴を上げ肉体が軋む、しかし力は益々湧いてくる。
彼女の能力臥薪嘗胆、自らが追い込まれれば追い込まれるほど彼女は力を発揮するのだ。
【ぬ、これは・・・・・・】
アレス神の鎧の肩の部分がはじけ飛ぶ、胴当てに斧が当たり火花を散らす。
受ける槍の余裕がどんどん無くなっていく。
リクはすでに余計なことを考えずに無心で攻撃をしていた、
ある種の境地にいたろうとしている。
槍が突かれる起点を攻める、払おうとする起点を潰す、後の先ではなく先の先。
真の達人が至る境地に足を踏み入れ始めていた。
相手が何をしようとするのか、自分の行動に対してどう反応してくるのか、
その全ての情報が最適化され、そして自らの行動理念となって体に染み付いている。
幾度と無く死線を超えての鍛錬が今完成形を迎えようとしている。
渾身の斧を受け止めた槍が大きく弾かれる、
幾重の攻撃を繰り返し受けている事でいなすことが出来ずまともに受けてしまった、
一撃の重さから言えば斧の一撃、リクの一撃を正面から受け止めるほどの実力差は存在しない。
まともに正面から攻撃を防御してしまえばその威力により、
自らの武器を弾き飛ばされてもおかしくはない。
なんとか大きく槍をずらすことでその衝撃を少しでもずらしてやりは手放さずには済むが、
体勢は大きく崩れてしまう。
すぐに立てなおそうとするがその隙をリクは見逃さない、
斧を撃ち込んだ勢いを活かして体を回転させてすかさず2撃目を放つ、
アルス神は強引に体勢を崩しながらも槍を振り下ろし斧の一撃を打ち払う、
ガキン
金属同士が激しくぶつかり合う音、やりによる防御が間に合った。
しかし同時に思う。軽すぎる。全力を込められた一撃を受けたその手には想像よりも重さが無かった。
アレス神がリクに目をやるとリクはすでに別の斧を振るった後であった。
それを認識すると同時にアレス神の視覚は暗転する。
リクの渾身の一撃はアレス神の首を一撃のもとに撥ねていた。
落とされた首からはキラキラと光の粒子が吹き出し、そして肉体も消滅していった。
ここにリクによる神殺しは成る。
リクの中のアルス心への復讐心は境地へ至ることで昇華されていた。
今は武人として頂に近い位置に至れたことを素直に喜んでいた、
そして全てを出し切ったリクはそのまま気を失ってしまうのだった。
それでもリクは鍛錬を繰り返しどんな速度であろうと劣っているつもりはなかった。
それでも微動だに出来なかった。
それほど槍を携えたアルス神は強敵だった。
【ふむ、このままではいかんな。私から仕掛けてやろう】
わざとらしく芝居がかった台詞と共に槍の穂先がリクの頬をかすめる。
反応できていなかったら顔を貫かれていた、台詞とともに撃ち込まれたにも関わらずギリギリだった。
頬から落ちる一筋の血のしずく、それを武器にするつもりはなくとも女性の顔に傷をつける相手に、
リクの炎が灯る。
カッ
アレス神のかぶっていた兜が真っ二つに割れる。
割ったのはもちろんリク、お返しとばかりに愛斧を振り下ろす。
予備動作もなく神速の一撃だ。アレスとしては完全に避けたつもりであったが兜をかすめ見事に切り裂いた、アレス神の額からも一滴の血が流れる。
【ほほう、やるではないか】
「アルス様もね」
それが合図かのように打ち合いが始まる、アレス神の苛烈な突きを斧で撃ち落とし、避け、そして撃ち込む。よほどの達人でなければ二人の間で繰り広げられている攻防は捉えることは出来ない。
一撃一撃が早く鋭い槍の攻撃を威力で勝る斧によって手数の不利を覆す。
リク以外の斧の使い手であったなら槍アルスは一瞬で勝負を決めていただろう。
相性としては槍の方に分がある。
しかしリクは今までの経験と持ち前のセンスによってそれを補い、そして覆そうとしている。
「真・龍気武装」
リクを龍気と覇気が包み込み戦闘力を増大させる。
【ぬ・・・・・・】
大きく槍を弾かれる、撃ち込まれる攻撃に威力が増す。接近される事が増えていく、
【人の身でありながらこれを使わせるとは・・・・・・】
アルス神も光り輝くオーラを身にまとう【神気】と呼ばれる聖なる衣。
二人の打ち合いは目に見えて早く重くなっていく。
【久方ぶりの本気での打ち合い! これは滾るな! 感謝するぞ!】
幾重もの斬撃が二人の間を満たしていた、全力戦闘同士考えるような戦闘はすでに置き去りにしている。アルス神は突き、払い、いなし。槍の基本となる攻撃を愚直に、すさまじい速度と力で行う。
リクは突きを時には避け、時には打ち払い、そこに隙が生じれば攻めに転じる、
切り払い、切り落とし、切り上げ、無数の斬撃を繰り返す。
お互いの鎧が爆ぜ装飾が切り裂かれていく、全身の小傷は数えきれない、
痛みもすでに感じない、体と斧が一体になったかのように振るい続ける。
リクは顔を歪める、全力の龍気を纏っての戦闘は体への負担が大きい、
この状態をしてアルス神にはまだ余裕があるように見える。
しかし、リクにも策はある、体が悲鳴を上げ肉体が軋む、しかし力は益々湧いてくる。
彼女の能力臥薪嘗胆、自らが追い込まれれば追い込まれるほど彼女は力を発揮するのだ。
【ぬ、これは・・・・・・】
アレス神の鎧の肩の部分がはじけ飛ぶ、胴当てに斧が当たり火花を散らす。
受ける槍の余裕がどんどん無くなっていく。
リクはすでに余計なことを考えずに無心で攻撃をしていた、
ある種の境地にいたろうとしている。
槍が突かれる起点を攻める、払おうとする起点を潰す、後の先ではなく先の先。
真の達人が至る境地に足を踏み入れ始めていた。
相手が何をしようとするのか、自分の行動に対してどう反応してくるのか、
その全ての情報が最適化され、そして自らの行動理念となって体に染み付いている。
幾度と無く死線を超えての鍛錬が今完成形を迎えようとしている。
渾身の斧を受け止めた槍が大きく弾かれる、
幾重の攻撃を繰り返し受けている事でいなすことが出来ずまともに受けてしまった、
一撃の重さから言えば斧の一撃、リクの一撃を正面から受け止めるほどの実力差は存在しない。
まともに正面から攻撃を防御してしまえばその威力により、
自らの武器を弾き飛ばされてもおかしくはない。
なんとか大きく槍をずらすことでその衝撃を少しでもずらしてやりは手放さずには済むが、
体勢は大きく崩れてしまう。
すぐに立てなおそうとするがその隙をリクは見逃さない、
斧を撃ち込んだ勢いを活かして体を回転させてすかさず2撃目を放つ、
アルス神は強引に体勢を崩しながらも槍を振り下ろし斧の一撃を打ち払う、
ガキン
金属同士が激しくぶつかり合う音、やりによる防御が間に合った。
しかし同時に思う。軽すぎる。全力を込められた一撃を受けたその手には想像よりも重さが無かった。
アレス神がリクに目をやるとリクはすでに別の斧を振るった後であった。
それを認識すると同時にアレス神の視覚は暗転する。
リクの渾身の一撃はアレス神の首を一撃のもとに撥ねていた。
落とされた首からはキラキラと光の粒子が吹き出し、そして肉体も消滅していった。
ここにリクによる神殺しは成る。
リクの中のアルス心への復讐心は境地へ至ることで昇華されていた。
今は武人として頂に近い位置に至れたことを素直に喜んでいた、
そして全てを出し切ったリクはそのまま気を失ってしまうのだった。
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