3人の勇者と俺の物語
141章 復活
「「「セイ!!!!」」」
床に降ろされたセイにリク、カイ、クウが駆け寄る。
セイに反応はなく一瞬不穏な空気が流れる。
『ダイジョブだ魔法で眠ってもらってる。逃げようとしてくれないからプロポがな、
それよりも頼みがある、俺を治してくれ。そして俺の仲間を助けてくれ!』
「すでにやっています、動かないで下さい」
カレンはすでにドニに回復魔法をかけている、ドニも気が付かないうちにドニの傷はほとんど治っていた。
『おお、全然気が付かなかった。すげえなお前らはやっぱり。
さて、急いで戻らねーと。一緒に来てくれるか? 説明は移動しながらする!』
「仕方ない、リク、カイ、クウ! セイは任せるぞしっかり守れ!」
ドニは立ち上がり開かれた扉から真っ直ぐ伸びる廊下を走りだす。
『無駄に広いんだよなこの城、俺たちしかいねーのに』
「説明してくれドニ、何があった?」
『ああ、そうだな。お前らが城で時間をかけてくれている間に俺達の傷も癒え、
バルビタール様の新しい肉体が出来上がって一気にお前らとの戦いに挑むつもりだったんだが……』
--------------------------
『ようやく我が魂を納めるにふさわしい器が完成したな』
バルビタールの門前には培養液で満たされた巨大な試験管があった。
その内部には別次元でのバルビタールの姿に似た形をした【器】が完成していた。
バルビタールがこちらの世界に来てから龍脈の力を得た。
自らの力との親和性が大変良かった龍脈の力を利用して、弱い人の女のカラダではない自分自身の最強の肉体を創りだそうと考えたのだった。
「ちょっとバル君、弱い女の体って私の事!?」
口をとがらせて抗議する少女、セイだ。
『いや、その、声出てた?』
『はい、ハッキリとおっしゃってました。弱い人の女、と』
そばで控えるプロポが代わりに応える。
「勝手に連れ去ってきて、我が器だ-とか言ってたくせに!」
『仕方ないだろ! セイは戦いに向かないのは事実だし、この体から移動するのにセイのその女神の力のせいでリスクが高すぎるんだから!』
「そんなことこっちは知らないわよ! それに用済みならさっさと家に帰して!」
『い、いやそれはだなぁ……』
もごもごと口ごもるバルビタールの代わりにズバッとプロポが答える。
『バルビタール様はセイ様のことが大好きだからそばに居て欲しいのです』
『お、おい! プロポ!!』
「だから、何度も言ってるでしょ。その格好のバルちゃんは好きだけど。
ペットとしか思えないって!」
『だ、だからこうしてお主に合うように体を作ったんじゃないか!』
「ふーん……、でも私今の姿のイメージが強すぎるからなぁ……」
セイは試験管内の【器】を眺める。
黒髪の両脇から羊のような角、額にも角がある。顔つきは過去のバルビタールより少し若めだが、
そのせいか美青年と言っていい顔つきであった。
本来ウイルスに犯される事がなかったバルビタールの姿。と言った感じだ。
「そもそもあなたこの世界をぶっ壊すんでしょ?」
『それも説明しただろ? 最初はそういう感情に満たされて人間も虫けらみたいに思ってたんだけど、
なんか、なんでそんなこと考えていたのか解んなくなって、冷静になっていくとその、あれだ』
『冷静になってセイ様を見たらあまりにバルビタール様の好みにピッタリで一発で恋に落ちた、
そしたらこの世界でセイ様と一緒にのんびりと過ごしたくなった。
身の回りの世話とかしてくれる人とか、まぁ、寂しいから少し魔人を作ったりもしながら自分の体も作るからとりあえず力を取り戻すためにいろいろやってみるかぁ。でございます』
『ちょ、おま』
「へー」
実はこのやり取りは何回もされている。
今ではすっかりバルビタールの威厳はセイには通用しなくなっている。
魔剣バグオスの破壊と肉体の破壊によってウイルスは除去され、
本来の一魔人に過ぎないバルビタールに戻っていた。
過去に手に入れた強力な力の記憶があるためプロポや4魔将のような強力な魔人を作り出す力は持っていた。
魔人は交配によっても人と同じように生まれるが、高位の魔人が生み出すことも出来る。
兎にも角にも新しい肉体がついに完成したのだ。
バルビタールはとうとう今の体から生まれ変わることが出来る。
しかも新しい肉体はこの世界の龍脈の力をふんだんに利用しているために以前よりも強力な肉体になっている。
試験官から培養液が抜かれていき静かにその扉を開く。
『今こそ、我が魂と肉体は結び付けられる!!』
バルビタールは魔法陣を展開する、2つの魔法陣がバルビタールと【器】を包み込む。
2つの魔法陣は少しづつ距離を縮めて融合していく。
バリバリと周囲に雷を飛ばしながら少しづつ一つになっていく。
セイもプロポも4魔将も固唾を呑んで見守っている。
やがて魔法陣から放電する雷が収まっていき、魔法陣が消える。
そこに立っているのは先程の器とウサギが一匹。
『バルビタール様おめでとうございます』
プロポは男の前に跪き身にまとうローブを掲げる。
その男はそのローブを鷲掴みバサッと身にまとう。
今この瞬間、魔人バルビタールが完全に復活したのだった。
『おめでとうございます!』
『我らが王の復活、いや誕生だ!』
足元ではうさぎがぴょんぴょんとまるでバルビタールの復活を喜ぶがごとく飛び回っていた。
床に降ろされたセイにリク、カイ、クウが駆け寄る。
セイに反応はなく一瞬不穏な空気が流れる。
『ダイジョブだ魔法で眠ってもらってる。逃げようとしてくれないからプロポがな、
それよりも頼みがある、俺を治してくれ。そして俺の仲間を助けてくれ!』
「すでにやっています、動かないで下さい」
カレンはすでにドニに回復魔法をかけている、ドニも気が付かないうちにドニの傷はほとんど治っていた。
『おお、全然気が付かなかった。すげえなお前らはやっぱり。
さて、急いで戻らねーと。一緒に来てくれるか? 説明は移動しながらする!』
「仕方ない、リク、カイ、クウ! セイは任せるぞしっかり守れ!」
ドニは立ち上がり開かれた扉から真っ直ぐ伸びる廊下を走りだす。
『無駄に広いんだよなこの城、俺たちしかいねーのに』
「説明してくれドニ、何があった?」
『ああ、そうだな。お前らが城で時間をかけてくれている間に俺達の傷も癒え、
バルビタール様の新しい肉体が出来上がって一気にお前らとの戦いに挑むつもりだったんだが……』
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『ようやく我が魂を納めるにふさわしい器が完成したな』
バルビタールの門前には培養液で満たされた巨大な試験管があった。
その内部には別次元でのバルビタールの姿に似た形をした【器】が完成していた。
バルビタールがこちらの世界に来てから龍脈の力を得た。
自らの力との親和性が大変良かった龍脈の力を利用して、弱い人の女のカラダではない自分自身の最強の肉体を創りだそうと考えたのだった。
「ちょっとバル君、弱い女の体って私の事!?」
口をとがらせて抗議する少女、セイだ。
『いや、その、声出てた?』
『はい、ハッキリとおっしゃってました。弱い人の女、と』
そばで控えるプロポが代わりに応える。
「勝手に連れ去ってきて、我が器だ-とか言ってたくせに!」
『仕方ないだろ! セイは戦いに向かないのは事実だし、この体から移動するのにセイのその女神の力のせいでリスクが高すぎるんだから!』
「そんなことこっちは知らないわよ! それに用済みならさっさと家に帰して!」
『い、いやそれはだなぁ……』
もごもごと口ごもるバルビタールの代わりにズバッとプロポが答える。
『バルビタール様はセイ様のことが大好きだからそばに居て欲しいのです』
『お、おい! プロポ!!』
「だから、何度も言ってるでしょ。その格好のバルちゃんは好きだけど。
ペットとしか思えないって!」
『だ、だからこうしてお主に合うように体を作ったんじゃないか!』
「ふーん……、でも私今の姿のイメージが強すぎるからなぁ……」
セイは試験管内の【器】を眺める。
黒髪の両脇から羊のような角、額にも角がある。顔つきは過去のバルビタールより少し若めだが、
そのせいか美青年と言っていい顔つきであった。
本来ウイルスに犯される事がなかったバルビタールの姿。と言った感じだ。
「そもそもあなたこの世界をぶっ壊すんでしょ?」
『それも説明しただろ? 最初はそういう感情に満たされて人間も虫けらみたいに思ってたんだけど、
なんか、なんでそんなこと考えていたのか解んなくなって、冷静になっていくとその、あれだ』
『冷静になってセイ様を見たらあまりにバルビタール様の好みにピッタリで一発で恋に落ちた、
そしたらこの世界でセイ様と一緒にのんびりと過ごしたくなった。
身の回りの世話とかしてくれる人とか、まぁ、寂しいから少し魔人を作ったりもしながら自分の体も作るからとりあえず力を取り戻すためにいろいろやってみるかぁ。でございます』
『ちょ、おま』
「へー」
実はこのやり取りは何回もされている。
今ではすっかりバルビタールの威厳はセイには通用しなくなっている。
魔剣バグオスの破壊と肉体の破壊によってウイルスは除去され、
本来の一魔人に過ぎないバルビタールに戻っていた。
過去に手に入れた強力な力の記憶があるためプロポや4魔将のような強力な魔人を作り出す力は持っていた。
魔人は交配によっても人と同じように生まれるが、高位の魔人が生み出すことも出来る。
兎にも角にも新しい肉体がついに完成したのだ。
バルビタールはとうとう今の体から生まれ変わることが出来る。
しかも新しい肉体はこの世界の龍脈の力をふんだんに利用しているために以前よりも強力な肉体になっている。
試験官から培養液が抜かれていき静かにその扉を開く。
『今こそ、我が魂と肉体は結び付けられる!!』
バルビタールは魔法陣を展開する、2つの魔法陣がバルビタールと【器】を包み込む。
2つの魔法陣は少しづつ距離を縮めて融合していく。
バリバリと周囲に雷を飛ばしながら少しづつ一つになっていく。
セイもプロポも4魔将も固唾を呑んで見守っている。
やがて魔法陣から放電する雷が収まっていき、魔法陣が消える。
そこに立っているのは先程の器とウサギが一匹。
『バルビタール様おめでとうございます』
プロポは男の前に跪き身にまとうローブを掲げる。
その男はそのローブを鷲掴みバサッと身にまとう。
今この瞬間、魔人バルビタールが完全に復活したのだった。
『おめでとうございます!』
『我らが王の復活、いや誕生だ!』
足元ではうさぎがぴょんぴょんとまるでバルビタールの復活を喜ぶがごとく飛び回っていた。
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