3人の勇者と俺の物語
171章 異界への扉
続々と仮設屋敷に人が集まってくる中、
しょんぼりとした表情のバルビタールがとぼとぼと現れた。
「子供が別にパパいなくても大丈夫って言われた、
いつもくっついてこられるからたまには出かけてね……って……」
「あー、うん……どんまい」
ちゃんと聞くと果てしなく長くなるので軽く流すに限る。
うっかり話しかけちゃったバッツが捕まっているが女神の盾のメンバーは自分たちの考えをまとめたり全員での話し合いの前に軽く言葉を交わす。
「全員揃ったかな?」
女神の盾のメンバー、デルス、ケイズ、ヴェルダンディ、アルスそれに【中央】の人。
円卓に並んでいる。事前に連絡しており【絶対者】ケイズもぎこちなくではあるがヴェルダンディ、アルスに受け入れられている。
「さて、そしたらみんなの意見を聞こうか」
デルスの仕切りで
事前に話し合っている女神の盾を代表してワタルが発言を始める。
「俺たち女神の盾のメンバーの総意は基本的には外界の方々の意見に従う。
ただ、一度マスターと呼ばれる人に会ってから意思決定をした方がいいと思います。
それに、できることなら我々の生活はいまのままで継続できる形が望ましいと思います」
ワタルの意見にうんうんと頷く神達。
「私はやはり情報は開示するべきだと思う、害意は無いことは理解したが、
知らずに取られているのと知った上で与えるのでは天と地ほどの差があると思う。
インフラを提供してもらっているから対価を払う。それを皆が選択してくれると信じている」
ケイズは憑き物が落ちたように冷静に意見を述べる。
やはり自分の苦労が徒労であったという事実は彼にとって大きなショックだったのだろう。
「私たちはこのままでもいいのではないかと思います。ただ、ワタル君のマスターと話してから決めたほうがいいというのはそう思います」
ヴェルダンディとアルスは同じ意見なようだ。発言を終えると見つめ合って頷いている。リア充め。
「僕としては、結論を出すためにもマスターという人に会ってみたい。
興味本位な面があることは隠さない。会いたい。それが僕の願いだ」
「デルス様の貢献は多大なものがありますから、マスターも喜ぶと思います」
やはりこちらの世界の人間がマスターの世界に行くことに対して否定的な感情は無いようだ。
「俺はデルスさんの言うとおり会うのに賛成です」
「私も会うことに賛成する」
「私たちはみなさんが会うことには反対しませんが、こちらに残らせていただきたいです」
「それはもちろん。僕はさっきも言ったとおりマスターって人にあいたい」
「それでは決まりですね。一応我々の方から案内役はつけます。
皆様に何かありましたら問題ですから」
【中央】の使者が手を挙げると昨日お世話してくれた執事の人が現れる。
「この者が皆さんをマスターのもとへ責任を持ってお連れいたします」
びしっとした所作で深くお辞儀をする執事。
こうして異世界への転送は決定した。
そのまま【中央】の使いに連れられて中枢設備へと向かう。
「あっさりと中枢へと連れてきたけどセキュリティとかは気にしないの?」
中枢部分には使者の人とどこか雰囲気の似ている青年~中年の男女が働いている。
基本的には機械のメンテナンスや需要と供給を見た調整をしているそうだ。
ついでに外観についてはこの世界の人間が来たときに違和感がないようにバラバラにしているだけで、
べつに全員一緒でも構わないという効率厨なお答えを頂いた。
中には目をみはるような美男子や美女もいるのにわざわざ違和感がないように普通の人も作っていたり、そこら辺はプログラムとしての考え方なんだと思わせた。
「この世界の方々にどうにかできるものではありませんし、
そちらのワタル様方には悪意はありませんので、
壊されたとしても相互に保全し合うシステム構築は万全を期しています。
皆さんの健康に関わることもありますから」
ケイズが言っていた宇宙を牧場のように家畜を利用した生体部品やら食事云々はじつはただの創作で、
実際はこの世界の有り余るエネルギーを用いた至極まっとうなバイオテクノロジーによって成り立っていた。この世界の人々の健康維持は科学の力で賄っており、何かを犠牲に成り立っているものではなかった。ケイズが【中央】に対する批判的な考えは全て根底から払拭されていた。
もう一つ面白いことと言えばワタル達の魔法はワールドクリエイターの外でも使用できる。
肉体的な能力も同じだ。
これはどうやらこの世界全体に溢れているエネルギーを具現化するのが魔法であり、ワールドクリエイターというシステムだから、だそうだ。
なお、神様たちで魔法が使える人間はいないそうだ、神様で人間ってもうなにがなんだかわからないけど仕方がない。ワタルたちのほうがむしろ神っぽい。
どんな肉体にも換装できるこの世界の神は魔法以外はたいがいなんでもできるんだけどね。
そのくせワールドクリエイター内だとシステムの力を借りて魔法が使える。
ワタル達が外で使えるのはイレギュラーなことだそうだ。
「さて、こちらです。右にある扉を開くと小さな小部屋になっています。
その奥の扉を開いていただければ向こうの世界になります。
我々がモニタリングしたところ扉が通じている先も皆様が過ごすことができる空間になっております」
確かに異世界に出たら空気もなにもない宇宙空間に出てしまいました。
ざんねんわたるたちのぼうけんはここでおわってしまった。
では困る。いろいろと。
「何から何まですみません。戻ってきたらまたいろいろと話しましょう」
デルスさんががっしりと握手をする。
そしてワタル達は小部屋に入り、新世界への扉を開く。
しょんぼりとした表情のバルビタールがとぼとぼと現れた。
「子供が別にパパいなくても大丈夫って言われた、
いつもくっついてこられるからたまには出かけてね……って……」
「あー、うん……どんまい」
ちゃんと聞くと果てしなく長くなるので軽く流すに限る。
うっかり話しかけちゃったバッツが捕まっているが女神の盾のメンバーは自分たちの考えをまとめたり全員での話し合いの前に軽く言葉を交わす。
「全員揃ったかな?」
女神の盾のメンバー、デルス、ケイズ、ヴェルダンディ、アルスそれに【中央】の人。
円卓に並んでいる。事前に連絡しており【絶対者】ケイズもぎこちなくではあるがヴェルダンディ、アルスに受け入れられている。
「さて、そしたらみんなの意見を聞こうか」
デルスの仕切りで
事前に話し合っている女神の盾を代表してワタルが発言を始める。
「俺たち女神の盾のメンバーの総意は基本的には外界の方々の意見に従う。
ただ、一度マスターと呼ばれる人に会ってから意思決定をした方がいいと思います。
それに、できることなら我々の生活はいまのままで継続できる形が望ましいと思います」
ワタルの意見にうんうんと頷く神達。
「私はやはり情報は開示するべきだと思う、害意は無いことは理解したが、
知らずに取られているのと知った上で与えるのでは天と地ほどの差があると思う。
インフラを提供してもらっているから対価を払う。それを皆が選択してくれると信じている」
ケイズは憑き物が落ちたように冷静に意見を述べる。
やはり自分の苦労が徒労であったという事実は彼にとって大きなショックだったのだろう。
「私たちはこのままでもいいのではないかと思います。ただ、ワタル君のマスターと話してから決めたほうがいいというのはそう思います」
ヴェルダンディとアルスは同じ意見なようだ。発言を終えると見つめ合って頷いている。リア充め。
「僕としては、結論を出すためにもマスターという人に会ってみたい。
興味本位な面があることは隠さない。会いたい。それが僕の願いだ」
「デルス様の貢献は多大なものがありますから、マスターも喜ぶと思います」
やはりこちらの世界の人間がマスターの世界に行くことに対して否定的な感情は無いようだ。
「俺はデルスさんの言うとおり会うのに賛成です」
「私も会うことに賛成する」
「私たちはみなさんが会うことには反対しませんが、こちらに残らせていただきたいです」
「それはもちろん。僕はさっきも言ったとおりマスターって人にあいたい」
「それでは決まりですね。一応我々の方から案内役はつけます。
皆様に何かありましたら問題ですから」
【中央】の使者が手を挙げると昨日お世話してくれた執事の人が現れる。
「この者が皆さんをマスターのもとへ責任を持ってお連れいたします」
びしっとした所作で深くお辞儀をする執事。
こうして異世界への転送は決定した。
そのまま【中央】の使いに連れられて中枢設備へと向かう。
「あっさりと中枢へと連れてきたけどセキュリティとかは気にしないの?」
中枢部分には使者の人とどこか雰囲気の似ている青年~中年の男女が働いている。
基本的には機械のメンテナンスや需要と供給を見た調整をしているそうだ。
ついでに外観についてはこの世界の人間が来たときに違和感がないようにバラバラにしているだけで、
べつに全員一緒でも構わないという効率厨なお答えを頂いた。
中には目をみはるような美男子や美女もいるのにわざわざ違和感がないように普通の人も作っていたり、そこら辺はプログラムとしての考え方なんだと思わせた。
「この世界の方々にどうにかできるものではありませんし、
そちらのワタル様方には悪意はありませんので、
壊されたとしても相互に保全し合うシステム構築は万全を期しています。
皆さんの健康に関わることもありますから」
ケイズが言っていた宇宙を牧場のように家畜を利用した生体部品やら食事云々はじつはただの創作で、
実際はこの世界の有り余るエネルギーを用いた至極まっとうなバイオテクノロジーによって成り立っていた。この世界の人々の健康維持は科学の力で賄っており、何かを犠牲に成り立っているものではなかった。ケイズが【中央】に対する批判的な考えは全て根底から払拭されていた。
もう一つ面白いことと言えばワタル達の魔法はワールドクリエイターの外でも使用できる。
肉体的な能力も同じだ。
これはどうやらこの世界全体に溢れているエネルギーを具現化するのが魔法であり、ワールドクリエイターというシステムだから、だそうだ。
なお、神様たちで魔法が使える人間はいないそうだ、神様で人間ってもうなにがなんだかわからないけど仕方がない。ワタルたちのほうがむしろ神っぽい。
どんな肉体にも換装できるこの世界の神は魔法以外はたいがいなんでもできるんだけどね。
そのくせワールドクリエイター内だとシステムの力を借りて魔法が使える。
ワタル達が外で使えるのはイレギュラーなことだそうだ。
「さて、こちらです。右にある扉を開くと小さな小部屋になっています。
その奥の扉を開いていただければ向こうの世界になります。
我々がモニタリングしたところ扉が通じている先も皆様が過ごすことができる空間になっております」
確かに異世界に出たら空気もなにもない宇宙空間に出てしまいました。
ざんねんわたるたちのぼうけんはここでおわってしまった。
では困る。いろいろと。
「何から何まですみません。戻ってきたらまたいろいろと話しましょう」
デルスさんががっしりと握手をする。
そしてワタル達は小部屋に入り、新世界への扉を開く。
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