異世界八険伝
14.ゴブリン集団との死闘!
「ミルフェさん、リンネさん、何か作戦はあるか? 」
ランゲイル隊長の表情が変わる。緊張感の中に、不敵な笑みを漂わせている。
恐らく、謙遜や遠慮ではなく、ボクたちがどれだけ戦力として使えるのかを、迷宮のことも視野に入れて試そうとしているに違いない。
「町までの距離は? 」
「あと5km、急いでも30分だ! 」
「魔物との距離は? 」
「あと700m、接敵まで約10分だな」
ボクが放つ矢継ぎ早の問いを速攻で打ち落とす隊長。
「援護は期待できないわよね――逃げるか戦うか。リンネちゃん、どうする? 」
ミルフェ王女から重い決断を迫られる。
でも、ここで逃げる訳には行かないよね? 町への壮大な魔物行列になっちゃうから!
「ゴブリンの群れのリーダーは狙えない? 統率を崩せるか、うまくいけば撤退させられるかも? 」
「ゴブリンのボスは表に出てこねぇ、鉄壁の砦に突入するようなもんだ! 」
「馬車は守りきれないよね? 2台を迂回させて町に援軍を頼む、ボクたちは群れを迎え撃ち、持久戦に持ち込むってのは? 」
「賛成ね、私はヒーラーよ。持久戦なら回復は任せて! 」
「意外! ミルフェちゃん魔法使いかと思った! 」
「魔法使いだったエリザベートお婆ちゃんが結婚後に聖神教へと出家してね、それ以来、王家の女性はみんな僧侶職なの――」
賢者を目指した転職じゃなくて、出家なのね!?
「まぁ、それしかねぇよな。人選は俺に任せてくれ! 」
すかさず、隊長は先頭車に指示を飛ばす。
「馬車2台を迂回させて町に援軍を呼びに行かせる! ホークとフリード、お前らはさっさと行け! ディーダとブランはすまねぇが俺に命を預けてくれ!! 」
「しかし、隊長! 魔物が多すぎます! 馬車を捨てて全員で戦いましょう! 」
「分からねぇのか? お前ら足手まといなんだよ! さっさと援軍を呼んでこい!! フィーネの連中はお前らよりずっと頼りになる! 」
「ホーク! こっちの馭者を頼む! 隊長命令は絶対だ、早く行け! 」
ボクたちの馭者役、ブランさんというのか。隊長の意図を察したみたい。足手まといと言いつつ、若者を逃がしてるところ、なんと言うか……さすが隊長だね!
「すまねぇが、俺とリンネさん、ディーダとブラン、1人50匹ノルマな! ミルフェさん、回復頼むぜ! 」
そんな無茶苦茶なぁ……。
玉砕覚悟なの!? それとも自信あり!?
ボクなんて昨日この世界に来たばかりだよ! もう少しスロースタートでお願い!!
「さぁ、私を囲みなさい! 回復は任せて! 」
ミルフェちゃん!
何だか女王様モードに入ってませんか!?
自然と円陣を組む。
ランゲイルさんが伸ばした手の甲に、護衛のベテラン冒険者ディーダさんとブランさんが掌を重ねる。その上にボクが、さらにその上にミルフェ王女が手を被せる。優しい温もりが、ボクの心ごと包み込む――。
お互いに命を預け合って戦うんだからね、気合いを入れないと! 5人だからバスケの試合前な感じかな?
隊長の檄が飛ぶ。
「絶対に勝つ! 生き残るぞ! 」
「「 おう!!! 」」
[ミルフェがパーティに加わった]
[ランゲイルがパーティに加わった]
[ディーダがパーティに加わっ]
[ブランがパーティに加わった]
わっ!
円陣を組むとパーティ結成!?
熱い、熱すぎるよ、この世界!!
「ゴブリンは弱ぇ、盗賊何かよりずっと弱ぇ! 頭を狙って1匹ずつ潰していけ! こんなの模擬戦、いや、単純作業だ!! 」
ゴブリンってどんな感じ? 300mにまで迫ってくる先頭集団を凝視する。
老人みたいに少し腰を曲げ、囲むようにじりじりと歩み寄る猿のような生き物――ボクよりも背が低いし、武器だって棒切れだ。まぁ、自分も似たような感じだけど。
確かに、強そうには見えない。そうだ、鑑定できるかな?
[鑑定眼!]
種族:ゴブリン(下級戦士)
レベル:6
攻撃:0.65(+1.05)
魔力:1.60
体力:1.30
防御:1.15(+1.60)
敏捷:0.90
器用:0.75
才能:0.25
単純作業、かな?
お陰で緊張感が抜けたよ、頑張れる!
「来た! 」
1匹目!
振り下ろされた木の棒を鉄棒で粉砕する。
動揺したところを一気に踏み込む!
側頭部に振り下ろす!!
崩れ落ちるゴブリン、数秒後には魔結晶に変わる――これなら、いける!
2匹目!
横から薙ぎ払う!
浅かったか!
反撃を避け、そのままカウンター!
頭部に一撃!!
大丈夫、攻撃が見える、単純作業だ!
ランゲイル隊長が群れの中に突っ込んでバスタードを振り回している、この人やはり強い!
他の護衛2人は、うまくコンビネーションを組んで2対1を作っている、安定してるね!
ミルフェちゃんは?
足元の石を拾って投げてる?
まぁ、まだ誰も大きな怪我をしてないからね!
あ、こら!
魔結晶は投げないで!!
3匹目!
このゴブリン、体がデカい!
剣を持ってるし、手も長い! 武器のリーチ差が違う、ヤバい!
攻撃を弾かずに潜り込む!
下から鉄棒を振り上げる!
2発!3発!
倒した――。
4匹目!
脚を斬られた!
でも、浅い! 血は出ていない!
すぐにミルフェ王女のヒールがくる!
温かい、痛みも感じない、大丈夫!
御返しに頭をガツン!
5匹目!
もう慣れてきた。
今度はこっちから先手を取って剣を持つ腕を潰す。
隙あり!
頭をガツン!
ゴメン、ちょっとグロい――。
★☆★
1時間、ほんと1時間も戦いは続いた。
途中から数えるのも忘れ、夢中に叩き続けた。愛用の鉄棒が、2箇所くらい曲がりくねってる。50匹のノルマは達成しているはず!
町からの援軍も到着したようで、ゴブリン軍団を側面から削っていく――。
その時、集団の最奥に二回りも大きなゴブリンが見えた!
ボスゴブリンだ!
鑑定眼が効かない!
隊長が斬り込み、ボクも追撃を入れる!
結局、意外とあっさり決着――。
MVPは隊長にあげるけど、ラストアタック賞は、ボクだね!
体躯の大小と強さは比例しない。Q.E.D.
生き抜いた5人は地面に倒れ込む。
疲れて手も脚も動かない!
誰か、魔結晶を回収してください――。
ランゲイル隊長の表情が変わる。緊張感の中に、不敵な笑みを漂わせている。
恐らく、謙遜や遠慮ではなく、ボクたちがどれだけ戦力として使えるのかを、迷宮のことも視野に入れて試そうとしているに違いない。
「町までの距離は? 」
「あと5km、急いでも30分だ! 」
「魔物との距離は? 」
「あと700m、接敵まで約10分だな」
ボクが放つ矢継ぎ早の問いを速攻で打ち落とす隊長。
「援護は期待できないわよね――逃げるか戦うか。リンネちゃん、どうする? 」
ミルフェ王女から重い決断を迫られる。
でも、ここで逃げる訳には行かないよね? 町への壮大な魔物行列になっちゃうから!
「ゴブリンの群れのリーダーは狙えない? 統率を崩せるか、うまくいけば撤退させられるかも? 」
「ゴブリンのボスは表に出てこねぇ、鉄壁の砦に突入するようなもんだ! 」
「馬車は守りきれないよね? 2台を迂回させて町に援軍を頼む、ボクたちは群れを迎え撃ち、持久戦に持ち込むってのは? 」
「賛成ね、私はヒーラーよ。持久戦なら回復は任せて! 」
「意外! ミルフェちゃん魔法使いかと思った! 」
「魔法使いだったエリザベートお婆ちゃんが結婚後に聖神教へと出家してね、それ以来、王家の女性はみんな僧侶職なの――」
賢者を目指した転職じゃなくて、出家なのね!?
「まぁ、それしかねぇよな。人選は俺に任せてくれ! 」
すかさず、隊長は先頭車に指示を飛ばす。
「馬車2台を迂回させて町に援軍を呼びに行かせる! ホークとフリード、お前らはさっさと行け! ディーダとブランはすまねぇが俺に命を預けてくれ!! 」
「しかし、隊長! 魔物が多すぎます! 馬車を捨てて全員で戦いましょう! 」
「分からねぇのか? お前ら足手まといなんだよ! さっさと援軍を呼んでこい!! フィーネの連中はお前らよりずっと頼りになる! 」
「ホーク! こっちの馭者を頼む! 隊長命令は絶対だ、早く行け! 」
ボクたちの馭者役、ブランさんというのか。隊長の意図を察したみたい。足手まといと言いつつ、若者を逃がしてるところ、なんと言うか……さすが隊長だね!
「すまねぇが、俺とリンネさん、ディーダとブラン、1人50匹ノルマな! ミルフェさん、回復頼むぜ! 」
そんな無茶苦茶なぁ……。
玉砕覚悟なの!? それとも自信あり!?
ボクなんて昨日この世界に来たばかりだよ! もう少しスロースタートでお願い!!
「さぁ、私を囲みなさい! 回復は任せて! 」
ミルフェちゃん!
何だか女王様モードに入ってませんか!?
自然と円陣を組む。
ランゲイルさんが伸ばした手の甲に、護衛のベテラン冒険者ディーダさんとブランさんが掌を重ねる。その上にボクが、さらにその上にミルフェ王女が手を被せる。優しい温もりが、ボクの心ごと包み込む――。
お互いに命を預け合って戦うんだからね、気合いを入れないと! 5人だからバスケの試合前な感じかな?
隊長の檄が飛ぶ。
「絶対に勝つ! 生き残るぞ! 」
「「 おう!!! 」」
[ミルフェがパーティに加わった]
[ランゲイルがパーティに加わった]
[ディーダがパーティに加わっ]
[ブランがパーティに加わった]
わっ!
円陣を組むとパーティ結成!?
熱い、熱すぎるよ、この世界!!
「ゴブリンは弱ぇ、盗賊何かよりずっと弱ぇ! 頭を狙って1匹ずつ潰していけ! こんなの模擬戦、いや、単純作業だ!! 」
ゴブリンってどんな感じ? 300mにまで迫ってくる先頭集団を凝視する。
老人みたいに少し腰を曲げ、囲むようにじりじりと歩み寄る猿のような生き物――ボクよりも背が低いし、武器だって棒切れだ。まぁ、自分も似たような感じだけど。
確かに、強そうには見えない。そうだ、鑑定できるかな?
[鑑定眼!]
種族:ゴブリン(下級戦士)
レベル:6
攻撃:0.65(+1.05)
魔力:1.60
体力:1.30
防御:1.15(+1.60)
敏捷:0.90
器用:0.75
才能:0.25
単純作業、かな?
お陰で緊張感が抜けたよ、頑張れる!
「来た! 」
1匹目!
振り下ろされた木の棒を鉄棒で粉砕する。
動揺したところを一気に踏み込む!
側頭部に振り下ろす!!
崩れ落ちるゴブリン、数秒後には魔結晶に変わる――これなら、いける!
2匹目!
横から薙ぎ払う!
浅かったか!
反撃を避け、そのままカウンター!
頭部に一撃!!
大丈夫、攻撃が見える、単純作業だ!
ランゲイル隊長が群れの中に突っ込んでバスタードを振り回している、この人やはり強い!
他の護衛2人は、うまくコンビネーションを組んで2対1を作っている、安定してるね!
ミルフェちゃんは?
足元の石を拾って投げてる?
まぁ、まだ誰も大きな怪我をしてないからね!
あ、こら!
魔結晶は投げないで!!
3匹目!
このゴブリン、体がデカい!
剣を持ってるし、手も長い! 武器のリーチ差が違う、ヤバい!
攻撃を弾かずに潜り込む!
下から鉄棒を振り上げる!
2発!3発!
倒した――。
4匹目!
脚を斬られた!
でも、浅い! 血は出ていない!
すぐにミルフェ王女のヒールがくる!
温かい、痛みも感じない、大丈夫!
御返しに頭をガツン!
5匹目!
もう慣れてきた。
今度はこっちから先手を取って剣を持つ腕を潰す。
隙あり!
頭をガツン!
ゴメン、ちょっとグロい――。
★☆★
1時間、ほんと1時間も戦いは続いた。
途中から数えるのも忘れ、夢中に叩き続けた。愛用の鉄棒が、2箇所くらい曲がりくねってる。50匹のノルマは達成しているはず!
町からの援軍も到着したようで、ゴブリン軍団を側面から削っていく――。
その時、集団の最奥に二回りも大きなゴブリンが見えた!
ボスゴブリンだ!
鑑定眼が効かない!
隊長が斬り込み、ボクも追撃を入れる!
結局、意外とあっさり決着――。
MVPは隊長にあげるけど、ラストアタック賞は、ボクだね!
体躯の大小と強さは比例しない。Q.E.D.
生き抜いた5人は地面に倒れ込む。
疲れて手も脚も動かない!
誰か、魔結晶を回収してください――。
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