[休止]The#迷走のディフォンヌ

芒菫

第十三走 「並行世界と科学性理論」

今俺は、セシュレ・スミンという女性を抱えて筒井善蔵の背中を追いかけていた。
 何処までも遠く、切ない背中だ。
セシュレんは、この国「ウルニア」の王選挙候補に選ばれた1人「エリア・ローズ」の右腕で、主に政治担当。もう一人、左腕に「リリー」という少女が居らしく、そっちの方は主に主人の警護らしい。少女に警護役が務まるのか・・・?おっと、失言だ。
そして、筒井善蔵。俺と同じパラレルワールド、平行世界から来た剣豪。
 元の次元では、俺のような一般凡人でも一度は耳にしたことのある名前だが、謎は多く存在し、今も疑問に思っている。
しかし、向こうもそんな雰囲気にはしないし、俺も聞かない。それが一番・・・だと思う。

・・・さっきパラレルワールドと言った。そう、その通り今俺達は別次元の並行世界にいるのだ。
 勿論、何故俺が今此処にいて何故選ばれたのかすら予知出来ない。俺にはそれぐらいの脳しかない。
 恨まれることもやっていないし、強いて言えば、親孝行が出来なかったと言うのは事実。
ニート生活をしていれば親も呆れて、自然と憾みも消えていくだろう。
そう、俺には「検討」がつかないのだ。

そして、こちらの世界の方が科学も進歩していると考えられる。
 理由は2つ。まず、決定的な龍韮衆の観察委員主任「ロハン・アルダイル」と名乗っていた男の能力。
セシュレんが証言していた事を思い出すと「あの炎は魔法じゃないわ。人工的に作られた炎なのよ!あれは絶対そうよ。炎系魔法なら一々呪文を唱えないと発動しないから面倒なのよね。貴方もさっきから見てるから分かると思うけど、全く呪文を唱えずに炎の玉が大きくなっていってるのが分かるでしょう?それに・・・辺りも熱く・・・このままいくと完全に焼かれるわ。」
 人工的に起こす炎。今の人間の次元であそこまで危険性のありながら平気にしていられる人間は元の世界では絶対に存在しない。そう考えると、やはり、元の世界の科学は遅れていると言うのに示しがつく。

もう一つは、科学能力にランクがある事。
セシュレんが言っていたように、この国には上層と下層があり、上層にに当てはまらない人々は下層に移されるようだ。ここから俺は、この国には差別と区別の2つがあると読み取れると思う。
 一体、この国の闇は何処まで続いてるんだ・・・・

 そんな単純な結論でまとめ、俺は善蔵の背中を追う。
やはり夜深なのか、少し風が冷たくなってきた。大門まではもう少しだ・・・・。

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