[休止]The#迷走のディフォンヌ

芒菫

第十六走 「おい!前向いて走れ。じゃねぇとお前みてぇなやつは、小石とか小魚とかに引っ掛かりそうで危なっかしいだろうが。」

····とりあえず、昨日と今日の今の時間まで何を起こしていたのか。簡単に纏めておこうと思う。
まず、始めに俺がこの世界に来た時。謎の女の子がチンピラに構われてたから俺は必死に
なって助けた。後々、その女の子が「セシュレ」だったってのは今でも驚きだ。
次に、情報収集もやむを得ず夕日に当たる長き階段で隣に座っている「筒井善蔵つついぜんぞう」と出会い、行動を共にするが真夜中。突然狂犬達に襲われ、やっとのこと逃げることが出来たが善蔵と離れてしまう形となってしまった。
しかし、そこで昼間の少女と合流。そのご近くの禁書庫で火災が起きて、その少女セシュレ・スミンと言うのが分かった。
そして、龍韮衆のロハンという男に生死を迫られるが····
そこで奇跡の善蔵登場で、なんとか全員命を取られずにすんだ。
しかし、セシュレの目的はここの禁書庫であり、禁書庫にいたもう一人の少女「エレミー」の家族的存在のコブ爺が致命傷を負う。
そんなこんなで、セシュレは正体を明かして男2人はコブ爺を担いで上層と下層を繋ぐ道に急いだ。
しかし、突然セシュレが何らかの病気(と思われる)を発病。
やっとこさ名前が出てきた俺「田中礼司」は、セシュレを担ぎ、上層下層を繋ぐ門へ到達しエレミーに恩を貸す事となった。
そんで今はセシュレを王宮まで送っている最中。車は着いたみたいだけどまだ降ろしてくれないってのはどういうことなのかな。
隣にいる善蔵はさっきまでの推理力の脳が疼いているのか、右手を左手で押さえながら腰を45度曲げて考え事をしていた。
それを見て俺は、少し微笑みを浮かべた。

「ん?どうした?礼司。」

「いや?そんなことしてる善蔵の姿が見れて嬉しいなー。なんて思ったり?俺も同じようなことをショッチュウしてる人間だからね」

善蔵はふ~んと口で話し、そのまま俺をスルーして自分の世界に戻った。
完全に無視されてる気がしてやっぱり悲しい。まぁ、そんなことはどうでもいい。まずはここから出ること。
装甲車から出なければ。
と、考えを読み尽くしたように、アナウンスが脱出する考えが浮かぶ寸前に鳴り出した。
その声はリリーだった。

「待たせたようですわね。そろそろ出しますから、ドアから少し離れておいてくださいな。」

そういうと、リリーはドアを開かせる。
眩しい。回りが監禁状況で暗い為、やはり外に出て見る最初の印象は眩しいだ。

「とりあえず、屋敷に行くかしら。そこにエリア様がいますの。とりあえず、目の前にたっている屋敷に。」

「うをぉー。でっけぇな。流石、女王立候補。」

「うっせぇ、そんな推理ぶった発言は止めろ。とりあえず、おい!前を向いて走れ。じゃねぇとお前みてぇなやつは、小石とか小魚とかに引っ掛かりそうで危なっかしいだろうが。」

「え、あ····」

その言葉に、向こうはどれだけ重みを感じたかは知らんが、話を理解したようで2人は目の前に威勢よくたつ屋敷に向かってゆっくりと走り出した。

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