老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
90話 制服
ユキムラはいつものジョギングの時間に目が覚めた。
やはり良い寝具で寝ると心地が良い。体の調子まで良くなっているような気がする。
街でも最高級のアヒルでも飼いたいなぁ、こういった思いつきをすぐに実行するので、また一つユキムラの部下たちが苦労をすることになる。
軽く王都内をランニングして帰ると宿の前にヴァリィがいるのに気がつく。
離れた場所からでもえらい目立つ。
「ヴァリィさん!」
「あら、ユキムラちゃんおはよう。約束の品を届けに来たのと。
一つお願いがあるの。入ってもいいかしら?」
「ええ、そろそろ朝食ですからご一緒にいかがですか?」
「お言葉に甘えさせてもらうわ」
宿の人に一名の朝食の追加と奥の個室での朝食をお願いする。
それからレンとソーカ、タロを連れて用意された個室でヴァリィと話すことにする。
まずは朝食を楽しむ。詳しい話はその後だ。
流石に王都の宿の料理はレベルが高く、皆の舌と胃を喜ばせた。
食事を終え、本題の話を始める。
「まずはこれ、渾身の作品ができたわ」
そういってヴァリィが取り出したのは昨日ヴァリィに作ったスーツの形を元にしたと思われる、現代で言うと軍服や学生服に少しデザインが似ている。サナダ街のカラーである赤、ワインレッドに近い落ち着いたカラーとブラックがボディラインを縁取るように入っており、肩の部分に金の六文銭。
ユキムラはあまりのかっこよさに震えていた。
ちょっと中二病臭いのがまた最高にかっこよくてユキムラのハートに突き刺さった。
「一度見せた武具からここまでイメージを作れるものなんだね……着てみてもいいかな?」
「もちろんよ。二人とタロちゃんの分もちゃんとあるわ」
全員が袖を通す。統一した制服はやはり複数できて揃うとさらに決まる。
3人共思わず自分たちの姿に見惚れてしまう、それほどの出来だった。
「思った通り。最高ね」
ヴァリィはボタボタと鼻血を流して鼻に布を突っ込んでいる。
それほどにこの3人は決まっているのだ。
「レン襟のとこずれてるぞ」
「え? どこですか師匠……?」
「ほら、直してやるよ」
制服を着たレンのズレた襟章を制服を着たユキムラが直す。
普段はしっかりものの後輩のちょっとした天然を、慕っている先輩に直してもらう図。
その絵面のなんと甘美なことか……
その気のないソーカをして、違う、私は違う、でもでもでも……と悶ている。
しっかりと録画も忘れていない。
ヴァリィに至っては弁慶の立ち往生が如く目を血走らせ、鼻に突っ込んだ布は限界まで血を吸うておる。
一部の方々に夢のような映像を提供してしまった。
「ソーカも凄いにあっているな。女性的な魅力と凛々しさが凄く良いと思うよ」
普段見ないびしっとした格好をしたユキムラに真っ直ぐな称賛を受けて思わずソーカのハートに直撃してしまう。
「ゆ、ユキムラさんも本当に、本当に素敵だと思います。はい……」
「あ、ありがと……」
ゆでダコが二人出来上がる。もじもじしながらお互いの格好を見てはキャーキャーしている。
目が合うと顔を真赤にしてうつむいちゃうけど、ついついまた見てしまう。
微笑ましい中学生のような行動に、それはそれで良い物だとヴァリィは興奮している。
「タロもかっこいいなー、師匠見てくださいちゃんとシャツまでありますよ!」
真っ白な身体に赤と黒の服がよく似合う。
タロもその着心地に満足だ。
「わうん!」
「それでねユキムラちゃん。私決めた。あなた達についていくわ」
「え、でもお店とかは?」
「カイラと話し合ったわ。今まで溜まりに溜まっていた仕事も昨晩で全部終わっちゃったの。
私は自分では革新的なものを作っているって自負はあったわ。
でもユキムラちゃんに逢って、そして知ってしまった。別次元の世界があることを……。
もう、あそこに閉じこもって仕事をするのはカイラに任せたの。
私はもう一度一から修行の旅に出る。
ユキムラちゃんといるといくらでもインスピレーションが湧いてくるの!!
生まれ変わったような気分なの今、私!」
確かに昨日の最後の悩んでいるような表情は晴れ晴れとしている。
キラキラとした瞳で熱弁を振るうヴァリィの熱意は痛いほど伝わってくる。
「ヴァリィは俺達と旅をするってことだよね、サナダ街で過ごすって意味じゃないよね?」
ユキムラが真剣な顔をする。
その格好を相まって見惚れそうになるが、ヴァリィも真面目に頷く。
「ちょっと外でようか。あ、本当に素晴らしい衣装をありがとう。
謁見では喜んで着させてもらうよ。ヴァリィは動ける格好持ってる?」
「動ける格好……?」
「まぁ、こっちで用意するよ。そしたらいこう」
ユキムラはヴァリィを引き連れて王都そばの開けた平野へと移動する。
「ヴァリィさんこれどうぞ、たぶんサイズも大丈夫」
ユキムラは戦闘訓練用の装備を渡す。
「俺らの旅は結構危険な旅になるから、戦えるかも重要なんですよ」
「あら、ユキムラちゃんおもったより体育会系なのね。好きよ~そういう子。
私もね、いろいろとあるのよ。まっとうにあの店手に入れたわけじゃないから、荒事はそれなりにね」
「武器は何を?」
「もし、棍があると嬉しいわぁ~」
ユキムラは木製の棍を二本取り出す。
相手の能力を知るには同じ武器で相手をするのが早い。
「ところでユキムラちゃんって強いのー?」
「結構やると思いますよ、本気でどうぞ」
にやり。ヴァリィが棍を振るう。
  フォンフォンフォン
空気を切り裂いて軽々と振り回す。
  凄まじい速度、それだけでかなりの使い手なのは間違いない。
「ちょっと、軽いけど。行くわよ」
棍を中段に構え、ヴァリィが気合を入れると。
思わずユキムラもしっかりと構えてしまう。
  それぐらいの雰囲気を持っていた。
そして次の瞬間ヴァリィの巨体が信じられない速さでユキムラヘと襲いかかる。
やはり良い寝具で寝ると心地が良い。体の調子まで良くなっているような気がする。
街でも最高級のアヒルでも飼いたいなぁ、こういった思いつきをすぐに実行するので、また一つユキムラの部下たちが苦労をすることになる。
軽く王都内をランニングして帰ると宿の前にヴァリィがいるのに気がつく。
離れた場所からでもえらい目立つ。
「ヴァリィさん!」
「あら、ユキムラちゃんおはよう。約束の品を届けに来たのと。
一つお願いがあるの。入ってもいいかしら?」
「ええ、そろそろ朝食ですからご一緒にいかがですか?」
「お言葉に甘えさせてもらうわ」
宿の人に一名の朝食の追加と奥の個室での朝食をお願いする。
それからレンとソーカ、タロを連れて用意された個室でヴァリィと話すことにする。
まずは朝食を楽しむ。詳しい話はその後だ。
流石に王都の宿の料理はレベルが高く、皆の舌と胃を喜ばせた。
食事を終え、本題の話を始める。
「まずはこれ、渾身の作品ができたわ」
そういってヴァリィが取り出したのは昨日ヴァリィに作ったスーツの形を元にしたと思われる、現代で言うと軍服や学生服に少しデザインが似ている。サナダ街のカラーである赤、ワインレッドに近い落ち着いたカラーとブラックがボディラインを縁取るように入っており、肩の部分に金の六文銭。
ユキムラはあまりのかっこよさに震えていた。
ちょっと中二病臭いのがまた最高にかっこよくてユキムラのハートに突き刺さった。
「一度見せた武具からここまでイメージを作れるものなんだね……着てみてもいいかな?」
「もちろんよ。二人とタロちゃんの分もちゃんとあるわ」
全員が袖を通す。統一した制服はやはり複数できて揃うとさらに決まる。
3人共思わず自分たちの姿に見惚れてしまう、それほどの出来だった。
「思った通り。最高ね」
ヴァリィはボタボタと鼻血を流して鼻に布を突っ込んでいる。
それほどにこの3人は決まっているのだ。
「レン襟のとこずれてるぞ」
「え? どこですか師匠……?」
「ほら、直してやるよ」
制服を着たレンのズレた襟章を制服を着たユキムラが直す。
普段はしっかりものの後輩のちょっとした天然を、慕っている先輩に直してもらう図。
その絵面のなんと甘美なことか……
その気のないソーカをして、違う、私は違う、でもでもでも……と悶ている。
しっかりと録画も忘れていない。
ヴァリィに至っては弁慶の立ち往生が如く目を血走らせ、鼻に突っ込んだ布は限界まで血を吸うておる。
一部の方々に夢のような映像を提供してしまった。
「ソーカも凄いにあっているな。女性的な魅力と凛々しさが凄く良いと思うよ」
普段見ないびしっとした格好をしたユキムラに真っ直ぐな称賛を受けて思わずソーカのハートに直撃してしまう。
「ゆ、ユキムラさんも本当に、本当に素敵だと思います。はい……」
「あ、ありがと……」
ゆでダコが二人出来上がる。もじもじしながらお互いの格好を見てはキャーキャーしている。
目が合うと顔を真赤にしてうつむいちゃうけど、ついついまた見てしまう。
微笑ましい中学生のような行動に、それはそれで良い物だとヴァリィは興奮している。
「タロもかっこいいなー、師匠見てくださいちゃんとシャツまでありますよ!」
真っ白な身体に赤と黒の服がよく似合う。
タロもその着心地に満足だ。
「わうん!」
「それでねユキムラちゃん。私決めた。あなた達についていくわ」
「え、でもお店とかは?」
「カイラと話し合ったわ。今まで溜まりに溜まっていた仕事も昨晩で全部終わっちゃったの。
私は自分では革新的なものを作っているって自負はあったわ。
でもユキムラちゃんに逢って、そして知ってしまった。別次元の世界があることを……。
もう、あそこに閉じこもって仕事をするのはカイラに任せたの。
私はもう一度一から修行の旅に出る。
ユキムラちゃんといるといくらでもインスピレーションが湧いてくるの!!
生まれ変わったような気分なの今、私!」
確かに昨日の最後の悩んでいるような表情は晴れ晴れとしている。
キラキラとした瞳で熱弁を振るうヴァリィの熱意は痛いほど伝わってくる。
「ヴァリィは俺達と旅をするってことだよね、サナダ街で過ごすって意味じゃないよね?」
ユキムラが真剣な顔をする。
その格好を相まって見惚れそうになるが、ヴァリィも真面目に頷く。
「ちょっと外でようか。あ、本当に素晴らしい衣装をありがとう。
謁見では喜んで着させてもらうよ。ヴァリィは動ける格好持ってる?」
「動ける格好……?」
「まぁ、こっちで用意するよ。そしたらいこう」
ユキムラはヴァリィを引き連れて王都そばの開けた平野へと移動する。
「ヴァリィさんこれどうぞ、たぶんサイズも大丈夫」
ユキムラは戦闘訓練用の装備を渡す。
「俺らの旅は結構危険な旅になるから、戦えるかも重要なんですよ」
「あら、ユキムラちゃんおもったより体育会系なのね。好きよ~そういう子。
私もね、いろいろとあるのよ。まっとうにあの店手に入れたわけじゃないから、荒事はそれなりにね」
「武器は何を?」
「もし、棍があると嬉しいわぁ~」
ユキムラは木製の棍を二本取り出す。
相手の能力を知るには同じ武器で相手をするのが早い。
「ところでユキムラちゃんって強いのー?」
「結構やると思いますよ、本気でどうぞ」
にやり。ヴァリィが棍を振るう。
  フォンフォンフォン
空気を切り裂いて軽々と振り回す。
  凄まじい速度、それだけでかなりの使い手なのは間違いない。
「ちょっと、軽いけど。行くわよ」
棍を中段に構え、ヴァリィが気合を入れると。
思わずユキムラもしっかりと構えてしまう。
  それぐらいの雰囲気を持っていた。
そして次の瞬間ヴァリィの巨体が信じられない速さでユキムラヘと襲いかかる。
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