老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
110話 突入!!
「本当にそのまま向かわれるのですか?」
砦での滞在を打診されたが、まだ昼も過ぎてすぐだったのでそのまま古城へと向かうことにした白狼隊。馬も引かない車を物珍しく見ていた駐在の兵士たちに見送られてゴルゲン古城へと向かう。
ダンジョンを攻略して凱旋した暁には盛大に盛り上がりましょうと伝えると兵士たちは歓声を上げて見送ってくれた。
プロスト将軍もそのときにはあの小僧をやっつけた話を聞かせてくれと熱い握手を交わす。
出発して程なくしてゴルゲン古城へと到着する。
「こりゃすでにゴルゲン古城跡って言ったほうがいいね……」
ユキムラがそう言うのも無理はなかった。
ゴルゲン古城があった場所は多数の瓦礫が積まれている完全に廃墟だったのだ。
「ここの地下って言われてもこの状況じゃぁ……」
ソーカも積まれた石に登って周囲を探っている。
「たぶんこれを使えばなんとかなるはずなんだよねー」
ユキムラが取り出したのは火の宝珠。フェイリス様に作ってもらったとんでもないエネルギーの込められた宝珠だ。宝珠自体が炎で揺らめくように輝いている。
ユキムラが宝珠を掲げると周囲から光の粒子的なものが宝珠へと集まっていく。
「おお、なんか凄い」
そして集まった光の霧のようなものが地面に置かれた石版に吸い込まれていく。
「すごい、流石女神様から頂いた宝珠ですね師匠!」
レンは興奮してその石版へと近づく。
「レンちょっと下がっててね」
宝珠を持ったユキムラが近づき石版に宝珠をかざすとゴゴゴゴゴゴと音を立て石版がズレていき、そこには地下へと続く階段が現れていた。
「いままで見つからないもんなのねー」
「たぶん宝珠と来訪者がセットじゃないと見つけられないようになってるんだよ」
「なるほど、さすが師匠です」
「ハハハ……」
フラグ立て無いとイベントが発生しない仕様だよとは応えるわけにはいかないユキムラだった。
カツーンカツーンと足音が響く階段を降りていく。
長い年月が放置されていたにしては埃っぽいということもなく、荒廃した雰囲気もない。
普通に石打の通路といった雰囲気だ。
ただ照明はないのでいつもの壁付け照明をある程度の距離ごとに配置していく。
どれくらい降りただろうか、目の前に扉が現れる。
ユキムラはこの先に敵がいないことがわかっているので迷いなく扉を開ける。
同時に廊下の左右の松明にボッボッボッボッボッ……と炎が灯っていく。
芸術的な価値は分からないが、左右には戦士を象った像が並んでいて神聖な雰囲気のする空間だ。
「神殿みたいですね……」
ソーカは周囲に気を配りながら部屋へと侵入する。
レンやヴァリィ、タロも臆することなく普通に侵入する。
普通の冒険者ならもう少し警戒するのだが、俯瞰視点の怖いところは扉の向こうまで確認が事前に出来てしまう。
「あそこが祭壇だね。あそこに宝珠を捧げると、またダンジョンになると思う」
「えっとユキムラちゃんまた私がやる?」
「あ、しまったなー。ヴァリィ今レベル幾つか見える?」
「えーっと、多分これよねー……なんだっけユキムラちゃんをじっと見つめて……」
「それ嘘だから!!」
ユキムラに近づいて凝視しようとするヴァリィを必死でユキムラは止める。
その後集中してレベル数を把握する。
ユキムラ Lv207
レン Lv195
ソーカ Lv202
ヴァリィ Lv139
「やっぱり段々レベル差詰まってくるね。今回もヴァリィにお願いしよう」
とんでもない成長をしているが、ユキムラと旅をしているとなんだか自分の体に起きていることの現実感がない。強さの比べる対象がユキムラなのでいまいち自分の成長がわかりにくい。
VOでのPTにおける公平パーティの経験値分担は基本的に高レベルほど少なく低レベルほど多い。
なので結構高いレベルの狩り場へ潜ると簡単にレベル差が埋められる。
まだこんなレベルだからゆったりとした伸びだが、終末期なんてチュートリアル終えた1000付近のキャラを8000くらいの人間が引っ張って数時間で5000くらいへ上げてしまうなんて情緒もへったくれもない世界だった。
9800を越えると運営も焦ったのか突然対数的に必要経験値が跳ね上がって、9990らへんになると一年間効率よく狩り続けてやっとレベルが一つ上がるぐらいの経験値バランスになっていた。
そこまで行くと別にレベルが上っても対して強さには変化がない、そのくせデスペナルティで一ヶ月くらいの苦労が消え失せる。それでもユキムラはやり遂げた。
ユキムラ自体はいつものことをいつものようにやっていたら勝手になっていた。
その程度の認識だった。
「それじゃぁ行くわねー」
ヴァリィが一番奥の祭壇の窪みに火の宝珠を置く。
宝珠からマグマのような、炎が液体化したものが溝に沿って広がっていく。
祭壇上の溝を走っていく液体は薄っすらと光を放ち、薄暗い室内を照らし出す幻想的な現象を引き起こしていく。
そして祭壇上の文様全てに宝珠の力が満たされると白狼隊は光りに包まれその場から転移される。
砦での滞在を打診されたが、まだ昼も過ぎてすぐだったのでそのまま古城へと向かうことにした白狼隊。馬も引かない車を物珍しく見ていた駐在の兵士たちに見送られてゴルゲン古城へと向かう。
ダンジョンを攻略して凱旋した暁には盛大に盛り上がりましょうと伝えると兵士たちは歓声を上げて見送ってくれた。
プロスト将軍もそのときにはあの小僧をやっつけた話を聞かせてくれと熱い握手を交わす。
出発して程なくしてゴルゲン古城へと到着する。
「こりゃすでにゴルゲン古城跡って言ったほうがいいね……」
ユキムラがそう言うのも無理はなかった。
ゴルゲン古城があった場所は多数の瓦礫が積まれている完全に廃墟だったのだ。
「ここの地下って言われてもこの状況じゃぁ……」
ソーカも積まれた石に登って周囲を探っている。
「たぶんこれを使えばなんとかなるはずなんだよねー」
ユキムラが取り出したのは火の宝珠。フェイリス様に作ってもらったとんでもないエネルギーの込められた宝珠だ。宝珠自体が炎で揺らめくように輝いている。
ユキムラが宝珠を掲げると周囲から光の粒子的なものが宝珠へと集まっていく。
「おお、なんか凄い」
そして集まった光の霧のようなものが地面に置かれた石版に吸い込まれていく。
「すごい、流石女神様から頂いた宝珠ですね師匠!」
レンは興奮してその石版へと近づく。
「レンちょっと下がっててね」
宝珠を持ったユキムラが近づき石版に宝珠をかざすとゴゴゴゴゴゴと音を立て石版がズレていき、そこには地下へと続く階段が現れていた。
「いままで見つからないもんなのねー」
「たぶん宝珠と来訪者がセットじゃないと見つけられないようになってるんだよ」
「なるほど、さすが師匠です」
「ハハハ……」
フラグ立て無いとイベントが発生しない仕様だよとは応えるわけにはいかないユキムラだった。
カツーンカツーンと足音が響く階段を降りていく。
長い年月が放置されていたにしては埃っぽいということもなく、荒廃した雰囲気もない。
普通に石打の通路といった雰囲気だ。
ただ照明はないのでいつもの壁付け照明をある程度の距離ごとに配置していく。
どれくらい降りただろうか、目の前に扉が現れる。
ユキムラはこの先に敵がいないことがわかっているので迷いなく扉を開ける。
同時に廊下の左右の松明にボッボッボッボッボッ……と炎が灯っていく。
芸術的な価値は分からないが、左右には戦士を象った像が並んでいて神聖な雰囲気のする空間だ。
「神殿みたいですね……」
ソーカは周囲に気を配りながら部屋へと侵入する。
レンやヴァリィ、タロも臆することなく普通に侵入する。
普通の冒険者ならもう少し警戒するのだが、俯瞰視点の怖いところは扉の向こうまで確認が事前に出来てしまう。
「あそこが祭壇だね。あそこに宝珠を捧げると、またダンジョンになると思う」
「えっとユキムラちゃんまた私がやる?」
「あ、しまったなー。ヴァリィ今レベル幾つか見える?」
「えーっと、多分これよねー……なんだっけユキムラちゃんをじっと見つめて……」
「それ嘘だから!!」
ユキムラに近づいて凝視しようとするヴァリィを必死でユキムラは止める。
その後集中してレベル数を把握する。
ユキムラ Lv207
レン Lv195
ソーカ Lv202
ヴァリィ Lv139
「やっぱり段々レベル差詰まってくるね。今回もヴァリィにお願いしよう」
とんでもない成長をしているが、ユキムラと旅をしているとなんだか自分の体に起きていることの現実感がない。強さの比べる対象がユキムラなのでいまいち自分の成長がわかりにくい。
VOでのPTにおける公平パーティの経験値分担は基本的に高レベルほど少なく低レベルほど多い。
なので結構高いレベルの狩り場へ潜ると簡単にレベル差が埋められる。
まだこんなレベルだからゆったりとした伸びだが、終末期なんてチュートリアル終えた1000付近のキャラを8000くらいの人間が引っ張って数時間で5000くらいへ上げてしまうなんて情緒もへったくれもない世界だった。
9800を越えると運営も焦ったのか突然対数的に必要経験値が跳ね上がって、9990らへんになると一年間効率よく狩り続けてやっとレベルが一つ上がるぐらいの経験値バランスになっていた。
そこまで行くと別にレベルが上っても対して強さには変化がない、そのくせデスペナルティで一ヶ月くらいの苦労が消え失せる。それでもユキムラはやり遂げた。
ユキムラ自体はいつものことをいつものようにやっていたら勝手になっていた。
その程度の認識だった。
「それじゃぁ行くわねー」
ヴァリィが一番奥の祭壇の窪みに火の宝珠を置く。
宝珠からマグマのような、炎が液体化したものが溝に沿って広がっていく。
祭壇上の溝を走っていく液体は薄っすらと光を放ち、薄暗い室内を照らし出す幻想的な現象を引き起こしていく。
そして祭壇上の文様全てに宝珠の力が満たされると白狼隊は光りに包まれその場から転移される。
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