老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
117話 苦労の代償
ドラゴンが崩れ落ちるのを確認した一同の集中力の糸は完全に切れてしまった。
這いずるように手分けしてこのホールへとつながる通路を結界で閉鎖し、車を取り出し身を清める余裕もなく泥のように睡眠を貪った。
ソーカだけは少し休息を取れていたので車周囲の結界を展開したり安全面への配慮をした後に、やはり崩れ落ちるように眠りについた。
タロは車の上に丸くなり周囲への警戒をしながら身体を休めていた。ドラゴンの遺体が不浄な物へとならないようにその聖なる気で包み込みながら。
「……お……お腹すいたー!!」
ユキムラが凄まじい腹の音をさせながら飛び起きた。
それに続きレンやソーカ、ヴァリィ、皆の気配を感じてタロも車内へと降りてきた。
ユキムラはストックしている即席の料理を取り敢えず手当たり次第テーブルへ吐き出していく。
肉料理、魚料理、パスタ、米料理、スープ、フルーツ無作為に並べる。
そして片っ端から頬張っていく、全員テーブルマナーなんてかなぐり捨てて食事を貪った。
タロもいつもよりがっついて食事を噛み締めているようだった。
皿はどんどん重ねられ、この2日分の全てをこの食事で取り戻さんばかりに全員無言で食に没頭した。
長い戦いがようやく終わりを迎えた、そんな食事風景。
「くるしー、もう入らないー……」
「師匠胃薬くださいー……」
「ユキムラちゃん私もほしい、ついつい食べすぎちゃった」
「もう、皆さんしっかりしてください。はい、少しはスッキリするからどうぞ」
胃の調子を整えるポーション、消化能力を促進し食後の胃痛胸焼けを改善する効果がある。
3人は一気に飲み干す。ハーブによる清涼作用によって口から胃にかけて爽やかな風が通るような感覚がある。同時にムカついていた感じも、張りに張った膨満感も収まる。
各種薬草に魔法も絡んだ特製だ。二日酔いもこれで一発だ。
「はー、飲むだけでも少しさっぱりするね」
「ソーカねーちゃんどんな胃袋してるんだよ……アイテ!」
レンはソーカにげんこつを食らう。しかし、ヴァリィもユキムラも心の中でその疑問を持っている。
誰よりも食べていたのに、全然ウエストも変わっていないし、どこに消えたんだ……。
その謎は解けることはない。乙女の謎なのだ。
ようやくまともに動けるようになった一同は改めて外に出て横たわる巨体を改めて下から眺める。
「でかいねー……」
「でかいですねー」
「これ、解体するんですよね……」
「ボロボロになっちゃったわね……バッグはお預けかしら……」
悲しそうなヴァリィだが、そんなヴァリィにユキムラはサムズアップで笑顔を向ける。
「そこは腕の見せ所さ! 気合い入れてやらせてもらいますよ!」
VOでは選んでピッだった解体もこの世界ではダイナミックにできるのでユキムラは楽しかった。
そして過去最大の獲物の解体にユキムラがやる気を見せていた。
ユキムラが解体にかかると、解体用の小型の刃物が信じられないほどスパスパとドラゴンをみるみる解体していく。魂を失ったドラゴンの肉体はその強靭な防御も消え去り、解体の理になぞってバラバラになっていく。
残念ながら頭部周りは残っていない。それでも巨体からは様々な素材が回収できた。
巨地竜の龍玉 ✕1
巨地竜の宝石肉 ✕1
巨地竜の骨 ✕32
巨地竜の鱗 ✕280
巨地竜の逆鱗 ✕1
巨地竜の背びれ ✕12
巨地竜の分泌袋 ✕2
巨地竜の胆石 ✕1
巨地竜の爪 ✕13
巨地竜の巨大魔石 ✕1
「よし、肉取れた。2キロくらいはあるね。こりゃダンジョン攻略終わったら……」ジュル。
まだ見ぬ道の美味に思わず唾液が溢れてしまうユキムラ。
「すごいエネルギーを感じるお肉ですね……」
ルビーのように真紅に輝きを放つ肉。宝石肉という名前がついていることも頷ける。
「生きてるみたいですね……美味しそう……」ごくり
「きゃー、ユキムラちゃんこんなに綺麗な鱗たくさん! 燃えちゃうわー!」
ヴァリィは深い褐色の美しい鱗を嬉しそうにいじっている。
竜種の特性上素晴らしい素材になることは疑いようがなかった。
「ワン!」
タロが龍玉に手を乗せてユキムラに承諾を求めているようだった。
「ん? どうしたのタロ? その龍玉欲しいの?
そうだねアースドラゴンは下位種だからいいよー、何に使うの?」
「わーーーおん!」
タロが龍玉をぽんと鼻の上にのせると龍玉が輝きを放つ。
その光がどんどんタロへと吸収されていく、全ての輝きがタロに吸い込まれると龍玉は真っ黒な球になって砕け散ってしまった。
「おお、何が起きたの? 今の知らないなぁ……」
ユキムラはVOでは見たことのない現象に興味深々だ。
タロは嬉しそうにユキムラの手をペロペロと舐めている。
外観上の変化はないみたいだ。
「まぁ、いいか。タロが欲しがるのも珍しいからね」
「それにしても師匠! 龍の素材はいろいろと作れそうですね!」
「ああ、そうなんだよレン君。次からはドラゴン種にも遅れは取らないぞ、もうこんなしんどい戦いはゴメンだからね。後で手伝ってね特化武器は今後のためにも早く作っちゃおう」
「おまかせください師匠!!」
「早くダンジョン攻略してドラゴンのお肉を食べましょー!!」
誰よりも力強い気合をソーカが込めてガッツポーズする。
皆の視線が痛いぞ、頑張れソーカ、負けるなソーカ!
その後汗を流したり消耗した武具の修繕などその日は休養日とした。
ダンジョンへはいって7日目が過ぎ8日目、37階層からの攻略再開だ。
這いずるように手分けしてこのホールへとつながる通路を結界で閉鎖し、車を取り出し身を清める余裕もなく泥のように睡眠を貪った。
ソーカだけは少し休息を取れていたので車周囲の結界を展開したり安全面への配慮をした後に、やはり崩れ落ちるように眠りについた。
タロは車の上に丸くなり周囲への警戒をしながら身体を休めていた。ドラゴンの遺体が不浄な物へとならないようにその聖なる気で包み込みながら。
「……お……お腹すいたー!!」
ユキムラが凄まじい腹の音をさせながら飛び起きた。
それに続きレンやソーカ、ヴァリィ、皆の気配を感じてタロも車内へと降りてきた。
ユキムラはストックしている即席の料理を取り敢えず手当たり次第テーブルへ吐き出していく。
肉料理、魚料理、パスタ、米料理、スープ、フルーツ無作為に並べる。
そして片っ端から頬張っていく、全員テーブルマナーなんてかなぐり捨てて食事を貪った。
タロもいつもよりがっついて食事を噛み締めているようだった。
皿はどんどん重ねられ、この2日分の全てをこの食事で取り戻さんばかりに全員無言で食に没頭した。
長い戦いがようやく終わりを迎えた、そんな食事風景。
「くるしー、もう入らないー……」
「師匠胃薬くださいー……」
「ユキムラちゃん私もほしい、ついつい食べすぎちゃった」
「もう、皆さんしっかりしてください。はい、少しはスッキリするからどうぞ」
胃の調子を整えるポーション、消化能力を促進し食後の胃痛胸焼けを改善する効果がある。
3人は一気に飲み干す。ハーブによる清涼作用によって口から胃にかけて爽やかな風が通るような感覚がある。同時にムカついていた感じも、張りに張った膨満感も収まる。
各種薬草に魔法も絡んだ特製だ。二日酔いもこれで一発だ。
「はー、飲むだけでも少しさっぱりするね」
「ソーカねーちゃんどんな胃袋してるんだよ……アイテ!」
レンはソーカにげんこつを食らう。しかし、ヴァリィもユキムラも心の中でその疑問を持っている。
誰よりも食べていたのに、全然ウエストも変わっていないし、どこに消えたんだ……。
その謎は解けることはない。乙女の謎なのだ。
ようやくまともに動けるようになった一同は改めて外に出て横たわる巨体を改めて下から眺める。
「でかいねー……」
「でかいですねー」
「これ、解体するんですよね……」
「ボロボロになっちゃったわね……バッグはお預けかしら……」
悲しそうなヴァリィだが、そんなヴァリィにユキムラはサムズアップで笑顔を向ける。
「そこは腕の見せ所さ! 気合い入れてやらせてもらいますよ!」
VOでは選んでピッだった解体もこの世界ではダイナミックにできるのでユキムラは楽しかった。
そして過去最大の獲物の解体にユキムラがやる気を見せていた。
ユキムラが解体にかかると、解体用の小型の刃物が信じられないほどスパスパとドラゴンをみるみる解体していく。魂を失ったドラゴンの肉体はその強靭な防御も消え去り、解体の理になぞってバラバラになっていく。
残念ながら頭部周りは残っていない。それでも巨体からは様々な素材が回収できた。
巨地竜の龍玉 ✕1
巨地竜の宝石肉 ✕1
巨地竜の骨 ✕32
巨地竜の鱗 ✕280
巨地竜の逆鱗 ✕1
巨地竜の背びれ ✕12
巨地竜の分泌袋 ✕2
巨地竜の胆石 ✕1
巨地竜の爪 ✕13
巨地竜の巨大魔石 ✕1
「よし、肉取れた。2キロくらいはあるね。こりゃダンジョン攻略終わったら……」ジュル。
まだ見ぬ道の美味に思わず唾液が溢れてしまうユキムラ。
「すごいエネルギーを感じるお肉ですね……」
ルビーのように真紅に輝きを放つ肉。宝石肉という名前がついていることも頷ける。
「生きてるみたいですね……美味しそう……」ごくり
「きゃー、ユキムラちゃんこんなに綺麗な鱗たくさん! 燃えちゃうわー!」
ヴァリィは深い褐色の美しい鱗を嬉しそうにいじっている。
竜種の特性上素晴らしい素材になることは疑いようがなかった。
「ワン!」
タロが龍玉に手を乗せてユキムラに承諾を求めているようだった。
「ん? どうしたのタロ? その龍玉欲しいの?
そうだねアースドラゴンは下位種だからいいよー、何に使うの?」
「わーーーおん!」
タロが龍玉をぽんと鼻の上にのせると龍玉が輝きを放つ。
その光がどんどんタロへと吸収されていく、全ての輝きがタロに吸い込まれると龍玉は真っ黒な球になって砕け散ってしまった。
「おお、何が起きたの? 今の知らないなぁ……」
ユキムラはVOでは見たことのない現象に興味深々だ。
タロは嬉しそうにユキムラの手をペロペロと舐めている。
外観上の変化はないみたいだ。
「まぁ、いいか。タロが欲しがるのも珍しいからね」
「それにしても師匠! 龍の素材はいろいろと作れそうですね!」
「ああ、そうなんだよレン君。次からはドラゴン種にも遅れは取らないぞ、もうこんなしんどい戦いはゴメンだからね。後で手伝ってね特化武器は今後のためにも早く作っちゃおう」
「おまかせください師匠!!」
「早くダンジョン攻略してドラゴンのお肉を食べましょー!!」
誰よりも力強い気合をソーカが込めてガッツポーズする。
皆の視線が痛いぞ、頑張れソーカ、負けるなソーカ!
その後汗を流したり消耗した武具の修繕などその日は休養日とした。
ダンジョンへはいって7日目が過ぎ8日目、37階層からの攻略再開だ。
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