老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
197話 出立
ユキムラが開発疲れから爆睡している間にも、次のセンテナの街への移動準備はきちんと進んでいく。
商会の引き継ぎや商会員へのスキル発動具合など、レンとソーカが中心となって抜かりなく準備される。
結局ユキムラが起きたのは翌日の朝だった。18時間ぐらいぐっすりと寝たことになる。
寝だめにはあまり意味が無いとは言うが、やはり寝だめは気持ちがいい物でかけがえのないものなのだ。
「ふぁ~~、ごめんよぉ。気を抜いたらもう眠くて眠くて……」
目をこすりながらあさの食堂へユキムラが入ってくる。
「師匠、もう少し準備かかりますからシャワーでも浴びてきたらいかがですか?」
今日の朝食当番はレンだ。
まだ準備を開始し始めたぐらいで、レンはスキルではなく調理を自らの手でするつもりなので時間に少し余裕がある。
「あー、そうするー。鍛錬もサボっちゃったけど。まぁ昼にでもやるかなぁ……」
身体をパキパキと鳴らしながら伸びをして、浴室へと移動していくユキムラ。
「だめだよソーカねーちゃん。師匠をゆっくりさせてあげてよ」
コソコソとついて行こうとするソーカを牽制するレン。
「な、なんでそこから見えるのさ……って、そりゃそうか……仕方ない。我慢します」
「そっちまで大食いになられたら困るだろ師匠が……」
レンがソーカに聞こえないようにぼやく。
そんな素敵な朝のやり取り。
ヴァリィは最近よく夜も出かけている。
仕事はきちんとこなしているので別段白狼隊のメンバーも気にしていない。
皆それなりに事情を理解しているのだ。
朝食を取りながら今後の予定について話し合う。
「それでは師匠、この後ハルッセン様に出立の報告をして、海底洞窟ダンジョンの街センテナへ移動します。
すでにこの街の引き継ぎも終了しています。
ベイストの街も問題ないと報告が来ております」
「概ね順調だね。いろいろとありがとう」
「ユキムラさん、防壁装置もベイストへと輸送を開始してあります。
設置はGUに指示してあります。
パトスさんへの詳しい資料も送付済み、設置後はすぐに運用も可能だと思います」
「それもなるべく早く設置して魔素を確保しておかないとね」
「予定の3年まであと2年ほどですね……、残す街はセンテナとウラスタ、そしてフィリポネア」
「まぁ、準備は既に出来ているから後は時間かからないと思うから大丈夫だろう、次は規模の大きいMD攻略もあるから気合い入れないとね!」
ユキムラはゆったりと朝食を取って落ち着いた後、ハルッセンに出立の報告に向かう。
ヴァリィも帰ってきて合流した後に全員揃って領主の館へと向かう。
領主の館ではハルッセンを始めとした街の役人だけでなく、街の沢山の人々が白狼隊を送り出すために集まってくれていた。
「な、なんだか凄い騒ぎになってますね……」
人々の熱気にユキムラもタジタジになっている。
「それだけこの街の人間が皆様に感謝をしているのですよ。
これからの旅の無事を心から祈っております。
また、この街を訪れるときには歓迎いたしますわ」
ハルッセンが朗らかな笑顔でユキムラに会釈をする。
同時に楽団の演奏が始まり、半ばお祭り騒ぎで白狼隊を送り出す。
南国の街らしい明るく笑顔あふれる送り出し、その街の人達の気持が白狼隊のメンバーには暖かく染み渡った。
走り出す車が見えなくなっても、街の人達は悲しみをごまかすかのように、明るく楽しく騒ぎ続けるだった。
「ベイストもそうだったけど、なんか、いいねこの国の街は暖かくて」
「そうねー、やはり明るいもの来ていると気持ちも暖かくなるのよ!」
「そう言えばヴァリィさん、ハルッセンさんはいいんですかー?」
珍しくソーカがニヤニヤしながらヴァリィに話しかけてる。
「ふふふ、あの娘はね。
あの見た目のせいで随分と肩肘張っていて、父親や兄の様な存在を求めていたんでしょうね。
ま、世界をユキムラちゃんが平和にしてくれれば自由に行き来も出来るでしょ?」
「ああ、そうだね。頑張るよ!」
ユキムラは自分の知り得る人間、そしてこの世界の人間全てに幸せになってほしかった。
そのためならいくらでも頑張れる気がしていた。
その気持の根底には、自分の人生をかけて楽しませてくれたVOへの恩返しが含まれているのかもしれない。
今ではそれだけではなく、この世界で過ごした素晴らしい時間が、ユキムラに世界を愛させる理由になっているのは間違いなさそうだ。
「師匠、次の海底洞窟はそんなに大きいんですか?」
「ああ、そうだね。最深部は100階。
海を統べる神が眠っていると言われている。
基本的に水属性の敵なので、そこら辺は楽だと思うよ。
いくつかのギミックで潮の満ち引きを利用するからどうしても攻略に時間がかかる可能性がある。
んだけど、水陸両用+飛行装置つけて一気に攻略を目指すよ!」
「そういえばユキムラさん、あのGUを沢山引き連れて攻略しちゃ駄目なんですか?」
冒険やらゲーム的なものの根底をひっくり返すようなソーカの問いかけにユキムラは華麗に返答する。
「それは駄目だよ、GUはPT扱いにならないから俺達の成長にならない。
まだ俺達はレベル600程度なんだから、魔人達と戦うとなるといくらレベルを上げておいても安心はないよ。だからその選択肢は取りません」
「なるほど、すみません……」
「いやいや、安全であるのが一番だからPTメンバーになるんだったらそれも悪くないと思うよ」
そういう理由があるのなら仕方ない。
白狼隊のメンバーは、全員しっかりと理解するのであった。
商会の引き継ぎや商会員へのスキル発動具合など、レンとソーカが中心となって抜かりなく準備される。
結局ユキムラが起きたのは翌日の朝だった。18時間ぐらいぐっすりと寝たことになる。
寝だめにはあまり意味が無いとは言うが、やはり寝だめは気持ちがいい物でかけがえのないものなのだ。
「ふぁ~~、ごめんよぉ。気を抜いたらもう眠くて眠くて……」
目をこすりながらあさの食堂へユキムラが入ってくる。
「師匠、もう少し準備かかりますからシャワーでも浴びてきたらいかがですか?」
今日の朝食当番はレンだ。
まだ準備を開始し始めたぐらいで、レンはスキルではなく調理を自らの手でするつもりなので時間に少し余裕がある。
「あー、そうするー。鍛錬もサボっちゃったけど。まぁ昼にでもやるかなぁ……」
身体をパキパキと鳴らしながら伸びをして、浴室へと移動していくユキムラ。
「だめだよソーカねーちゃん。師匠をゆっくりさせてあげてよ」
コソコソとついて行こうとするソーカを牽制するレン。
「な、なんでそこから見えるのさ……って、そりゃそうか……仕方ない。我慢します」
「そっちまで大食いになられたら困るだろ師匠が……」
レンがソーカに聞こえないようにぼやく。
そんな素敵な朝のやり取り。
ヴァリィは最近よく夜も出かけている。
仕事はきちんとこなしているので別段白狼隊のメンバーも気にしていない。
皆それなりに事情を理解しているのだ。
朝食を取りながら今後の予定について話し合う。
「それでは師匠、この後ハルッセン様に出立の報告をして、海底洞窟ダンジョンの街センテナへ移動します。
すでにこの街の引き継ぎも終了しています。
ベイストの街も問題ないと報告が来ております」
「概ね順調だね。いろいろとありがとう」
「ユキムラさん、防壁装置もベイストへと輸送を開始してあります。
設置はGUに指示してあります。
パトスさんへの詳しい資料も送付済み、設置後はすぐに運用も可能だと思います」
「それもなるべく早く設置して魔素を確保しておかないとね」
「予定の3年まであと2年ほどですね……、残す街はセンテナとウラスタ、そしてフィリポネア」
「まぁ、準備は既に出来ているから後は時間かからないと思うから大丈夫だろう、次は規模の大きいMD攻略もあるから気合い入れないとね!」
ユキムラはゆったりと朝食を取って落ち着いた後、ハルッセンに出立の報告に向かう。
ヴァリィも帰ってきて合流した後に全員揃って領主の館へと向かう。
領主の館ではハルッセンを始めとした街の役人だけでなく、街の沢山の人々が白狼隊を送り出すために集まってくれていた。
「な、なんだか凄い騒ぎになってますね……」
人々の熱気にユキムラもタジタジになっている。
「それだけこの街の人間が皆様に感謝をしているのですよ。
これからの旅の無事を心から祈っております。
また、この街を訪れるときには歓迎いたしますわ」
ハルッセンが朗らかな笑顔でユキムラに会釈をする。
同時に楽団の演奏が始まり、半ばお祭り騒ぎで白狼隊を送り出す。
南国の街らしい明るく笑顔あふれる送り出し、その街の人達の気持が白狼隊のメンバーには暖かく染み渡った。
走り出す車が見えなくなっても、街の人達は悲しみをごまかすかのように、明るく楽しく騒ぎ続けるだった。
「ベイストもそうだったけど、なんか、いいねこの国の街は暖かくて」
「そうねー、やはり明るいもの来ていると気持ちも暖かくなるのよ!」
「そう言えばヴァリィさん、ハルッセンさんはいいんですかー?」
珍しくソーカがニヤニヤしながらヴァリィに話しかけてる。
「ふふふ、あの娘はね。
あの見た目のせいで随分と肩肘張っていて、父親や兄の様な存在を求めていたんでしょうね。
ま、世界をユキムラちゃんが平和にしてくれれば自由に行き来も出来るでしょ?」
「ああ、そうだね。頑張るよ!」
ユキムラは自分の知り得る人間、そしてこの世界の人間全てに幸せになってほしかった。
そのためならいくらでも頑張れる気がしていた。
その気持の根底には、自分の人生をかけて楽しませてくれたVOへの恩返しが含まれているのかもしれない。
今ではそれだけではなく、この世界で過ごした素晴らしい時間が、ユキムラに世界を愛させる理由になっているのは間違いなさそうだ。
「師匠、次の海底洞窟はそんなに大きいんですか?」
「ああ、そうだね。最深部は100階。
海を統べる神が眠っていると言われている。
基本的に水属性の敵なので、そこら辺は楽だと思うよ。
いくつかのギミックで潮の満ち引きを利用するからどうしても攻略に時間がかかる可能性がある。
んだけど、水陸両用+飛行装置つけて一気に攻略を目指すよ!」
「そういえばユキムラさん、あのGUを沢山引き連れて攻略しちゃ駄目なんですか?」
冒険やらゲーム的なものの根底をひっくり返すようなソーカの問いかけにユキムラは華麗に返答する。
「それは駄目だよ、GUはPT扱いにならないから俺達の成長にならない。
まだ俺達はレベル600程度なんだから、魔人達と戦うとなるといくらレベルを上げておいても安心はないよ。だからその選択肢は取りません」
「なるほど、すみません……」
「いやいや、安全であるのが一番だからPTメンバーになるんだったらそれも悪くないと思うよ」
そういう理由があるのなら仕方ない。
白狼隊のメンバーは、全員しっかりと理解するのであった。
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