老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
204話 フラグはごめんだ
「はい、ヘイト受けたら壁を背にしてそこで耐えてー」
ガニは必死にユキムラの指示を実行している。
前線に立って敵のヘイトのコントロールと、味方が援護しやすい立ち回りを叩き込まれている。
「ガニさんが寄せてから魔法を準備するんじゃなくて、寄せた時点で魔法が発動して殲滅できるタイミングで準備をしてください。あとデバフ切れてますよ」
レンはイオラナに魔術師としての立ち回りを指導している。
イオラナは攻撃系と阻害系魔法が得意だったので、教えれば習得できるとは言えまずはその方向を極めてもらうことにしている。
レベルアップとMP増加に合わせて使用できる魔法をどんどん増やしているのでまずは座学をしっかりとレンから教わっている。
二人共高レベルダンジョン攻略にまさか座学があるとは思っていなかったが、その全てが理にかなっており自らの成長を目に見えて感じることが出来るために、貪るように学んでいる。
「この階で今日は終えようか」
32階の探索を終えて階段とセーフゾーンが近かったので、少し早いけど本日のキャンプとなる。
ビジターの二人がハードなスケジュールをこなしていける最大の要因は、安全で超快適な夜の環境による物なのは疑いようがなかった。
既にダンジョンに入って7日が経過していた。
それでも普段から考えれば驚くほど快適、いや快適すぎる生活が送れていた。
「私達の記録が37階なので明日には抜かれますね……」
ガニはユキムラの作った冷やしうどんと天ぷらを興味津々に食べながら自分たちの攻略の時の話をし始める。
「あの時は帰り道に食料が底をついて……3日ほど絶食することになってしまって……」
「37階で荷物の一部を魔物に駄目にされたのが敗因でしたね、お父さんが無理するから……」
ダンジョンの中なのに見たこともないような美食に囲まれている今の環境が少し妬ましいぐらいに二人は感じていた。
特にイオラナは毎日シャワーが浴びられることに本当に感動している。
今日も食事を終えて汗を流したら皆で座学の時間だ。
ソーカとヴァリィも一緒にユキムラの講義を聞いている。
今日はガニとイオラナも一緒にユキムラの講義を聞くことになっている。
ソーカとヴァリィは魔法関係の知識はそこまで教わっていないのでイオラナと一緒にレンの授業を受けることが多い。
自分が使うかどうかは別として、理解しておくことで立ち回りを考えられるから知っておくことは大事。ユキムラは口を酸っぱくして言っていることだ。
日中は実践で身体を動かし、そこで現れた問題点はその日の内に丁寧に説明されて、さらにノウハウも教われる。戦いに身を置く人間としてはこれ以上無いほどの素晴らしい環境が与えられ、さらに二人はまだ若く伸び盛り。当然見違えるように成長を果たしていく。
MD攻略は人数も増えたせいで慣れてくると加速度的に早くなっていく。
90階層で巨大な海龍戦の時には白狼隊のメンバーと抜群のコンビネーションを見せて撃破している。
ユキムラ達は久しぶりのドラゴンミートに、このダンジョンで一番のいい笑顔を見せていた。
タロも龍玉が手に入ってご満悦だった。
初めてドラゴンミートの味わいは初めての二人を魅了して、その後再びの海龍との再会を心待ちにしていた。が、残念ながらそれ以降に海龍と出会うことはなかった……
最深部である100層にたどり着いた時には、このダンジョンへ入ったときとは別人と言っていいほどの戦士が二人誕生していた。
「明日は最深部と考えられている100階層に入ります。
ボス戦があることが予想されていますので、今日はゆっくりと休んでください」
99階のセーフエリアでキャンプを張る。
ダンジョンに侵入して半月ほど経過していたが、ビジターの二人も含めて一同に疲れは見えない。
むしろ戦い続けて研ぎ澄まされているようだった。
きちんと戦力として十二分に動くことが出来るようになっているガニ、イオラナはすでに講義も卒業してメンバーたちと和やかに過ごしている。
明日には前人未到の海底洞窟ダンジョンの最下層に挑むとは思えないほどにリラックスできていた。
「思えば凄い所まで来たものだ……」
ガニは食後に軽くユキムラ達と酒を酌み交わしながら語りだす。
「ガニさん、変なフラグは止めてくださいね。
普通に最深部に到着して、普通に帰りますからね!」
「それにしても……帰ったら父がなんというか……」
イオラナはため息混じりにつぶやく、イオラナの父は前のギルドマスターで未だに強靭な戦士の一人、ガニやイオラナと同じパーティのメンバーで、以前は海底洞窟ダンジョンの最深部到達パーティリーダーという人物だ。
「負けず嫌いなんですよね、絶対にバレたらユキムラさんたちに迷惑をかけます……」
「カパク様は……その、激しい方だからね……」
チラッとイオラナを見てバツが悪そうに頭を掻くガニ、イオラナもはぁ……と小さくため息をつく。
これだけでヴァリィやソーカはピーンと来た。
「それならガニさんが男らしく説得してくださればいいのですよ!」
急に興奮したソーカが立ち上がる!
「そーよー! 男気を見せて説得しないと!!」
「そうですね、お二人は弟子みたいなものですから、父親だろうが今の実力を見せつけてあげるといいですよ」
ユキムラは穏やかに答えるが、この問題の本質には気がついていなかった。
結局、このダンジョンが終わったら想い人の父親を説得する。
という微妙にフラグのようなフラグじゃないような物が立ってしまっていた。
ガニは必死にユキムラの指示を実行している。
前線に立って敵のヘイトのコントロールと、味方が援護しやすい立ち回りを叩き込まれている。
「ガニさんが寄せてから魔法を準備するんじゃなくて、寄せた時点で魔法が発動して殲滅できるタイミングで準備をしてください。あとデバフ切れてますよ」
レンはイオラナに魔術師としての立ち回りを指導している。
イオラナは攻撃系と阻害系魔法が得意だったので、教えれば習得できるとは言えまずはその方向を極めてもらうことにしている。
レベルアップとMP増加に合わせて使用できる魔法をどんどん増やしているのでまずは座学をしっかりとレンから教わっている。
二人共高レベルダンジョン攻略にまさか座学があるとは思っていなかったが、その全てが理にかなっており自らの成長を目に見えて感じることが出来るために、貪るように学んでいる。
「この階で今日は終えようか」
32階の探索を終えて階段とセーフゾーンが近かったので、少し早いけど本日のキャンプとなる。
ビジターの二人がハードなスケジュールをこなしていける最大の要因は、安全で超快適な夜の環境による物なのは疑いようがなかった。
既にダンジョンに入って7日が経過していた。
それでも普段から考えれば驚くほど快適、いや快適すぎる生活が送れていた。
「私達の記録が37階なので明日には抜かれますね……」
ガニはユキムラの作った冷やしうどんと天ぷらを興味津々に食べながら自分たちの攻略の時の話をし始める。
「あの時は帰り道に食料が底をついて……3日ほど絶食することになってしまって……」
「37階で荷物の一部を魔物に駄目にされたのが敗因でしたね、お父さんが無理するから……」
ダンジョンの中なのに見たこともないような美食に囲まれている今の環境が少し妬ましいぐらいに二人は感じていた。
特にイオラナは毎日シャワーが浴びられることに本当に感動している。
今日も食事を終えて汗を流したら皆で座学の時間だ。
ソーカとヴァリィも一緒にユキムラの講義を聞いている。
今日はガニとイオラナも一緒にユキムラの講義を聞くことになっている。
ソーカとヴァリィは魔法関係の知識はそこまで教わっていないのでイオラナと一緒にレンの授業を受けることが多い。
自分が使うかどうかは別として、理解しておくことで立ち回りを考えられるから知っておくことは大事。ユキムラは口を酸っぱくして言っていることだ。
日中は実践で身体を動かし、そこで現れた問題点はその日の内に丁寧に説明されて、さらにノウハウも教われる。戦いに身を置く人間としてはこれ以上無いほどの素晴らしい環境が与えられ、さらに二人はまだ若く伸び盛り。当然見違えるように成長を果たしていく。
MD攻略は人数も増えたせいで慣れてくると加速度的に早くなっていく。
90階層で巨大な海龍戦の時には白狼隊のメンバーと抜群のコンビネーションを見せて撃破している。
ユキムラ達は久しぶりのドラゴンミートに、このダンジョンで一番のいい笑顔を見せていた。
タロも龍玉が手に入ってご満悦だった。
初めてドラゴンミートの味わいは初めての二人を魅了して、その後再びの海龍との再会を心待ちにしていた。が、残念ながらそれ以降に海龍と出会うことはなかった……
最深部である100層にたどり着いた時には、このダンジョンへ入ったときとは別人と言っていいほどの戦士が二人誕生していた。
「明日は最深部と考えられている100階層に入ります。
ボス戦があることが予想されていますので、今日はゆっくりと休んでください」
99階のセーフエリアでキャンプを張る。
ダンジョンに侵入して半月ほど経過していたが、ビジターの二人も含めて一同に疲れは見えない。
むしろ戦い続けて研ぎ澄まされているようだった。
きちんと戦力として十二分に動くことが出来るようになっているガニ、イオラナはすでに講義も卒業してメンバーたちと和やかに過ごしている。
明日には前人未到の海底洞窟ダンジョンの最下層に挑むとは思えないほどにリラックスできていた。
「思えば凄い所まで来たものだ……」
ガニは食後に軽くユキムラ達と酒を酌み交わしながら語りだす。
「ガニさん、変なフラグは止めてくださいね。
普通に最深部に到着して、普通に帰りますからね!」
「それにしても……帰ったら父がなんというか……」
イオラナはため息混じりにつぶやく、イオラナの父は前のギルドマスターで未だに強靭な戦士の一人、ガニやイオラナと同じパーティのメンバーで、以前は海底洞窟ダンジョンの最深部到達パーティリーダーという人物だ。
「負けず嫌いなんですよね、絶対にバレたらユキムラさんたちに迷惑をかけます……」
「カパク様は……その、激しい方だからね……」
チラッとイオラナを見てバツが悪そうに頭を掻くガニ、イオラナもはぁ……と小さくため息をつく。
これだけでヴァリィやソーカはピーンと来た。
「それならガニさんが男らしく説得してくださればいいのですよ!」
急に興奮したソーカが立ち上がる!
「そーよー! 男気を見せて説得しないと!!」
「そうですね、お二人は弟子みたいなものですから、父親だろうが今の実力を見せつけてあげるといいですよ」
ユキムラは穏やかに答えるが、この問題の本質には気がついていなかった。
結局、このダンジョンが終わったら想い人の父親を説得する。
という微妙にフラグのようなフラグじゃないような物が立ってしまっていた。
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