(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
料理の修行志願?・前編
今日も今日とてドラゴンメイド喫茶『ボルケイノ』は暇だった。
「暇だなあ……」
俺はカウンターに崩れる形でぼうっと玄関のほうを眺めていた。
ボルケイノはテーブルが五つにカウンターがあるという形で、お世辞にも広いお店とは言えない。それにここがすべて埋まることは滅多にない。だからこそ今の人員で何とかなっている状態だといえるだろう。
「……いやあ、暇だなあ」
「おい、ちょっと待て。そこのガキ!」
背後で唐突にメリューさんが大声を出してきた。
いったい何があったのかと思い、振り返ると――そこに広がっていたのは顔を真っ赤にしたメリューさんがボロボロな服を着た少女を追いかけまわしている構図だった。
少女はパンを手に持っている。ただのパンではなく、フランスパンを半分に切ってそこにハムと野菜を入れたサンドウィッチのようなものだ。どうやら賄いか何かのようだったが、それを何かの偶然で入ってきた少女に奪われた、という算段か。だとすれば、かなり面倒な話になる。
第一に、どうしてボルケイノに入ってきたのかということについて。ボルケイノには幾つかの世界と繋がる『扉』があり、それを経由して通らなければやってくることは出来ない。しかしながら、少女はここに居る。いったい、どうやって?
第二に、少女はどの世界からやってきたのか。これは少女に質問すれば恐らく解決することだろう。まあ、問題は少女に聞いて『解らない』と言われたらアウトなのだけれど。
「ケイタッ! 急いでそいつを止めろ!」
やれやれ。メリューさんがそう言ってくるから仕方がない。俺としては暇だからもう少しこのやり取りを見ておきたいけれど、そういわれて無視してしまうと給料がマイナスにされかねないので、これは実行するしかない。言っておくが、あくまでもこれは仕方なく、やっている。
そうして俺はこちらに向かってくる少女を待ち構えて――そして思い切り抱きかかえた。
「……それにしても、どうしてこんなことをするんだ?」
じたばたしている少女を見て、俺は質問する。
メリューさんは漸く追いついて、少女の手からサンドウィッチを取り上げた。
「はあ、はあ、はあ……。ったく、久しぶりにこんなに走ったぞ。それにしても、このガキ。何でサンドウィッチを盗んだ?」
「いや、そんなことよりどうしてこの世界に入ることが出来たか、ですよ」
やってきたのはティアさんだった。
「……ティア。どうしたのよ、急に出てきて。もしかして、最近出番が少ないから、張り切っているのかしら?」
「……っ! あなたは、どうしてそういう核心をついたコメントばかり出来るわけ! ……まあ、それはいいでしょう。問題は、その少女です」
ティアさんは少女を指さして、言った。
確かにこの少女が問題だらけだ。なぜここに入ってくることが出来たのか、そしてなぜこのサンドウィッチを盗んだのか、いろいろと話を聞かねばならないだろう。
「暇だなあ……」
俺はカウンターに崩れる形でぼうっと玄関のほうを眺めていた。
ボルケイノはテーブルが五つにカウンターがあるという形で、お世辞にも広いお店とは言えない。それにここがすべて埋まることは滅多にない。だからこそ今の人員で何とかなっている状態だといえるだろう。
「……いやあ、暇だなあ」
「おい、ちょっと待て。そこのガキ!」
背後で唐突にメリューさんが大声を出してきた。
いったい何があったのかと思い、振り返ると――そこに広がっていたのは顔を真っ赤にしたメリューさんがボロボロな服を着た少女を追いかけまわしている構図だった。
少女はパンを手に持っている。ただのパンではなく、フランスパンを半分に切ってそこにハムと野菜を入れたサンドウィッチのようなものだ。どうやら賄いか何かのようだったが、それを何かの偶然で入ってきた少女に奪われた、という算段か。だとすれば、かなり面倒な話になる。
第一に、どうしてボルケイノに入ってきたのかということについて。ボルケイノには幾つかの世界と繋がる『扉』があり、それを経由して通らなければやってくることは出来ない。しかしながら、少女はここに居る。いったい、どうやって?
第二に、少女はどの世界からやってきたのか。これは少女に質問すれば恐らく解決することだろう。まあ、問題は少女に聞いて『解らない』と言われたらアウトなのだけれど。
「ケイタッ! 急いでそいつを止めろ!」
やれやれ。メリューさんがそう言ってくるから仕方がない。俺としては暇だからもう少しこのやり取りを見ておきたいけれど、そういわれて無視してしまうと給料がマイナスにされかねないので、これは実行するしかない。言っておくが、あくまでもこれは仕方なく、やっている。
そうして俺はこちらに向かってくる少女を待ち構えて――そして思い切り抱きかかえた。
「……それにしても、どうしてこんなことをするんだ?」
じたばたしている少女を見て、俺は質問する。
メリューさんは漸く追いついて、少女の手からサンドウィッチを取り上げた。
「はあ、はあ、はあ……。ったく、久しぶりにこんなに走ったぞ。それにしても、このガキ。何でサンドウィッチを盗んだ?」
「いや、そんなことよりどうしてこの世界に入ることが出来たか、ですよ」
やってきたのはティアさんだった。
「……ティア。どうしたのよ、急に出てきて。もしかして、最近出番が少ないから、張り切っているのかしら?」
「……っ! あなたは、どうしてそういう核心をついたコメントばかり出来るわけ! ……まあ、それはいいでしょう。問題は、その少女です」
ティアさんは少女を指さして、言った。
確かにこの少女が問題だらけだ。なぜここに入ってくることが出来たのか、そしてなぜこのサンドウィッチを盗んだのか、いろいろと話を聞かねばならないだろう。
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