(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~
続 冒険者の思い出・後編
女性の胃袋に炒飯の山がそのまま消えてしまったのは、それからおよそ十五分後のこと。
「……ふう、美味かった」
スープまで飲み干した状態で、女性はそう言った。
「気を落とすことはありませんよ」
俺はただそう言葉をかけることしか出来なかった。
俺の後ろに――正確に言えば厨房の中に、死んだといわれている女性が探していた冒険者は居る。しかしながら、メリューさんは言わないでくれと言っていた。というよりも、どう接すればいいか解らないとも言っていた。メリューさんもメリューさんでここでの生活にかなり慣れ親しんでしまった、ということがあるのだろう。だからメリューさんは、もう戻れない。元の世界には、元の姿には。
それを理解しているからこそ、メリューさんはボルケイノに居続けるのかもしれない。
宿命であり、運命。
それが、メリューさんがメリューさんたる根源なのだろう。よく解らないけれど、よく解らないなりに、よく解らない風に解釈した結果だった。
「……あなたの探している方も、きっとあなたが気を落としていることについて、悲しんでいると思いますよ。あなたはそうあるべきじゃない、と。……こう言うのは、正直烏滸がましい話にはなると思いますが」
「ええ、そうね。……そうよね。ありがとう。正直、私もそう思っていた」
立ち上がり、目を瞑る女性。
女性の話は続く。
「けれど、迷っていた。私、このままやめてしまったら彼女のことを忘れてしまうのではないか、って。だからずっと彼女のことを忘れないために、探し続けていた。けれど、それはきっといいことではない。彼女もきっと、そう思っているのでしょうね。……ありがとう、あなたのお陰で、次に何をするべきか見えてきた」
テーブルにちょうどのお金を置いて、女性は踵を返す。
そうして女性はそのままボルケイノの扉を開けて、外へ出て行った。
◇◇◇
「あれで……良かったんですよね?」
俺は、女性が出て行ったのを確認して厨房に声をかける。
メリューさんが答えてくれることを期待していたからだ。
「ああ……。ありがとう、ケイタ。これで、もう、後残りはないよ」
メリューさんは静かに厨房から出てくると、俺の横に立った。
メリューさんの目には、涙が溢れていた。
これで、メリューさんとかつての友人であった冒険者の話は終わり。
でも、また何かひと悶着あるような気がする。俺の第六感が何となくそんなことを感じ取っていたのだけれど――それについては、また別の話になることだろう。
「……ふう、美味かった」
スープまで飲み干した状態で、女性はそう言った。
「気を落とすことはありませんよ」
俺はただそう言葉をかけることしか出来なかった。
俺の後ろに――正確に言えば厨房の中に、死んだといわれている女性が探していた冒険者は居る。しかしながら、メリューさんは言わないでくれと言っていた。というよりも、どう接すればいいか解らないとも言っていた。メリューさんもメリューさんでここでの生活にかなり慣れ親しんでしまった、ということがあるのだろう。だからメリューさんは、もう戻れない。元の世界には、元の姿には。
それを理解しているからこそ、メリューさんはボルケイノに居続けるのかもしれない。
宿命であり、運命。
それが、メリューさんがメリューさんたる根源なのだろう。よく解らないけれど、よく解らないなりに、よく解らない風に解釈した結果だった。
「……あなたの探している方も、きっとあなたが気を落としていることについて、悲しんでいると思いますよ。あなたはそうあるべきじゃない、と。……こう言うのは、正直烏滸がましい話にはなると思いますが」
「ええ、そうね。……そうよね。ありがとう。正直、私もそう思っていた」
立ち上がり、目を瞑る女性。
女性の話は続く。
「けれど、迷っていた。私、このままやめてしまったら彼女のことを忘れてしまうのではないか、って。だからずっと彼女のことを忘れないために、探し続けていた。けれど、それはきっといいことではない。彼女もきっと、そう思っているのでしょうね。……ありがとう、あなたのお陰で、次に何をするべきか見えてきた」
テーブルにちょうどのお金を置いて、女性は踵を返す。
そうして女性はそのままボルケイノの扉を開けて、外へ出て行った。
◇◇◇
「あれで……良かったんですよね?」
俺は、女性が出て行ったのを確認して厨房に声をかける。
メリューさんが答えてくれることを期待していたからだ。
「ああ……。ありがとう、ケイタ。これで、もう、後残りはないよ」
メリューさんは静かに厨房から出てくると、俺の横に立った。
メリューさんの目には、涙が溢れていた。
これで、メリューさんとかつての友人であった冒険者の話は終わり。
でも、また何かひと悶着あるような気がする。俺の第六感が何となくそんなことを感じ取っていたのだけれど――それについては、また別の話になることだろう。
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