シスコンと姉妹と異世界と。

花牧優駿

【第14話】新たな出会い



 「僕からもよろしく頼むよ!」

 「あ、あぁ、よろしく」

 「こら、ショー。お前より歳上だぞ」
 
 「僕はエリーゼと同い歳のアリス。アリス・デュボワ!名前の通り、れっきとした女の子だよ。エリーゼと同じ騎士科だよ!」

 アリスさんが、『きゃぴっ』☆といった笑顔を向けてくる。ラノベとかでよく見るかんじのボクっ娘である。
 このナリで男根が付いていたらなんと凶悪なことであろうか。……想像するもんじゃないな。すみませんアリスさん。

 「すみませんアリスさん……ちょっと気が動転してしまって」

 「ローズと申します。愚兄が失礼致しました」

 言い返す言葉もねえよ……。

 「いいのいいのー。どうせならスカートでも履いてくれば良かったね」

 「確かに、ソレは超見たいっすね……って痛い!」

 「お前そうやってはすぐ調子に乗るッ」

 顔を真っ赤にした姉さんにポカポカ叩かれる。

 「あはははっ。エリーゼのそんな姿は久しぶりに見るね」

 「もう!アリスまで……」

 「アリスさんは、お姉様とどのようなご関係になるのですか?」

 唯一流されなかったローズが軌道修正を計る。できる妹だよほんと。

 「僕は、アリスのパートナーという所かな。課題任務を一緒にここなしたり、ご飯食べに行ったり、買い物を楽しんだり……」

 「まるで彼女っすね」

 「なんで、わたしが男にされてるんだ」

 「エリーゼはね、2人も見たことあると思うけど大人気なんだよ。誰か他の人と組むと後から後から、次から次へとチーム結成の申し出が舞い込むことになる。だから僕と2人だけで任務に行ったりするわけ。剣士2人だから進行速度はゆっくりだけど……。まぁ、エリーゼが2人の入学を待ってた、ってところもあると思うんだけどね」

 「なるほど……。お姉様、今朝も大変そうでしたもんね」

 寮を出て校舎に着く頃には親衛隊員に待ち伏せされていた。とっさの判断で俺とローズはその場を脱出。「わたしを置いて行くなぁぁぁ!!」と目線で訴える姉さんを残して。

 「今朝もか!ほんと大変だねぇ人気者はぁ」

 アリスさんがめっちゃ笑ってる。まぁ毎日あんな感じならそりゃ姉さんも疲れるわな。助け舟出してくれてるアリスさんがスゲエよ。ボクっ娘属性だから妬まれないとかあるのかな?

 「笑い事じゃないぞ……。まぁ2人には出来るだけ早く、課題任務の進捗度合いをわたしたちに追いついてもらって、4人で全てを終わらせられたらと思っている」

 「でもそれじゃ、姉さん達を待たせることになっちゃうし……」

 「そうですよ。それはちょっと申し訳ないというか……」

 「わたし達は焦らないからいいんだ。その点に関してはアリスも賛同してくれているしな」

 「そゆこと。2人は魔法士科なんでしょ?それなら戦力も整うしね〜。僕は18までに卒業出来たらいいし」

 「2人がそう仰るのでしたら……」

 「まぁ……断る理由は無いです……」

 「課題任務は学園の授業の一環とはいえ、れっきとした任務扱いになるから報酬も出る。そのうち幾らかは学園に手数料として引かれるが、わたし達の年代では十分過ぎる程の報酬が頂ける。お前達の任務はわたし達経験者が手伝えば、手早く終えることが出来るはずだ」

 「僕たち4人で任務こなして、たまには美味しいものでも食べながら卒業までやって行こうよ!」

 「「お、お世話になります……」」

 4人でのパーティー結成が決まった。まだ入学式が済んだばかりだというのに。まぁ美少女3人に囲まれるのも悪くないか……。うん、凄くいいよね。

 「じゃあ折角だし4人で結成祝いに夜ご飯でも食べに行こうか!僕とエリーゼで奢るから!」

 「勿論構わないぞ」

 「「ご馳走になります」」

 「そこは2人とも遠慮しないんだね……。したら18時に寮の談話室で待ち合わせしようか」

 「ああ、分かった。ではアリス、また後でな」

 「はーい。バイビー。2人もまた後でね〜」

 アリスさんと別れてふと思う。

 「まだ昼前だけどこれからどうするの?姉さんは授業?」

 「今日は入学式だから授業は無いよ。とりあえず寮で昼食をとって、学校の中を案内しよう。今日くらいしか、静かに案内出来る日はないだろうからな……」

 「わかった。ローズもそれでいいか?」

 「うん! 早くお昼食べたいよ。もうお腹ペコペコ」

 相談の結果、寮の食堂に向かうことになった。親衛隊員の方々も居そうだけど……。俺の心配事はその1点のみだった。




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