シスコンと姉妹と異世界と。
【第76話】貸し出し権②(サニー編)
「ねえねえアリス。どっち着てったらいいかなぁ」
「サニーはスタイルいいんだから何着たってハマると思うよ?」
「えーー。じゃステラはどっちがいいと思う?」
「……こっち」
「じゃあこれにしよ!」
「わたしには聞いてくれないのか?」
「アリスがなんも言ってくれないから、ゾラがもう片方選んじゃったらもっと迷っちゃうもん」
「そういう事か。でもわたしもステラと同じほうを薦めようと思ってたから」
「じゃっ、満場一致だね!!」
選んでもらったのはシャツにスカートのラフなスタイルの上にに1枚羽織る簡単なもの。でも、あの3人に褒めてもらえたら嬉しいなぁ……。
______。
「ごめんごめん、ショーくんたちのこと待たせちゃった!?」
「おはようございますサニーさん。いや、大丈夫ですよ。僕らも今さっき着いたばっかなんで。姉さんたちが今朝ごはん買いに行ってくれてます」
「え!? ショーくんいるの!??」
なんだその言われようは。
「その言い方はさすがに、ショーくんに失礼が過ぎるんじゃないのかなぁ……」
「はわっ!? ゾラ、違うの! ショーくんもごめんね? ショーくんが嫌とかじゃなくてっ、むしろいてくれるのは嬉しいんだけど……」
「変だよステラ?」
「う、うん! ショーくんも誤解しないでね!? ただ、今日ショーくんが来るっていうのを聞いてなくて、もっと可愛いカッコしてくれば良かったって……」
「ステラさんスタイルいいから、何着ても似合いそうじゃないですか。その服も僕は好きですよ」
「す、好き!?」
「ショーくんってば、『スタイルいいから』なんてどんな想像してるのかなぁ?」
「アリスさん!」
「やほー、さっきぶり〜。焦ってやんのー」
「違いますって! ただ海行った時に実際に……」
ここまで言ったところで自らの失言を悔いる。ゾラさんと目が合う。サッと胸元を2人がが隠す。何でこうもまた……。
「おはようみんな。待たせてしまったか。ん、2人ともどうしたんだ?」
「御宅の弟さんがうちの娘2人にセクハラ行為を……」
「何もしてないって! 姉さん、アリスさんじゃなくて俺の方を信じて! 服似合ってて素敵だ、って言っただけなんだってば」
「わたしにはひと言もそんなこと言わなかったなぁ?」
「それで怒るのは理不尽じゃないかな!?」
「……朝ごはん、要らないの?」
「いるいる! はい、ローズちゃんマジ天使!!」
「とりあえず全員揃ったんだ。早いところ汽車に乗ってしまおう。2時間近い移動になるのだし、席がなくなってしまっては少し辛いからな」
(わたしには何も感想とかないの〜?)
え? 背後には誰もいないのに声が……。
(こっちこっち〜。サニーさんだゾ〜☆)
(サニーさん!? テレパス使えるんですか?)
(使えるよ〜。やろうと思えば全員と回線繋げられるよ!)
(サニーさん天才なんですね……)
(それほどでも……。で、今日の服装、どうかな?)
(いいと思いますけど……)
(どこら辺が!?)
(そうですね……。正直なとこサニーさんはパンツスタイルだと思ってたんで、そこをいい意味で裏切られて……。新鮮というか、女の子らしくて可愛いっていうか……。上手くは言えないですね)
(そんな褒めても何も出ないからね?)
(いや、そんなつもりは……)
(ゾラみたいにおっぱい出さないからね?)
ぶはあ!
「どうしたのショーくん、急にむせて……。ほら、このお茶でも飲んで落ち着いて」
「あぁ、ゾラさん、ありがとうございます……」
(間接チューだ)
ぶばぁ!!
「ホントに大丈夫、ショーくん!?」
「焦って飲むからだ……」
姉さんが背中を摩ってくれる。事情を知らないだけあって、こーゆー時は大概優しい。
(な、なんで知ってるんですか……)
(本人から聞いたから☆)
(……マジすか?)
(マジマジ。前にお風呂で一緒になった時に、なーんかゾラが悶々としてたから、どうしたの?って聞いてみたの。そしたらショーくんに胸を見られてしまった、なんて言うじゃない)
(俺が見ようとしたワケでは……)
(それもアリスから聞いてるから誤解してないよ☆)
(そうですか……。アリスさん口軽いなぁ)
(まぁお姉様に黙っておけばショーくんは安全だからネ)
(……言わないでくださいよ?)
(どうかな〜。ショーくん次第じゃないかな〜)
(そんなぁ……。不慮の事故なんですよ〜)
(そんなの女の子の裸とは関係無いもの。で、どうだった?)
(どう、とは?)
(ゾラのおっぱいに決まってるじゃーん)
(なっ!? ま、まぁ……大きくて柔らかそうで……)
「ゴホッゴホッ。ショーくん……」
なんでゾラさんがむせるんだ? ……まさか……。
(今本人に回線繋げたでしょう!?)
(バレちゃったか〜)
(なんてことするんですか……勘弁してくださいよ〜)
(じゃあひとつ約束して欲しいんだけど)
(今日はさ、一応わたしが『ショーくん1日貸し出し権』を使ったわけだからさ、わたしを1番に考えてほしいな〜なんて)
(はぁ……)
(僕は今日、サニーさんを一番に愛します。ほら復唱して)
(うぇっ!? 恥ずかしいですよ……)
(どうせ頭の中で話してるんだから周りには聞こえないわよ。ほら、言ってみて。秘密は守るから)
やむを得ない……。
(僕は今日、サニーさんを一番に愛します)
「「「「「え?」」」」」
「オープンチャンネルかよォォォォォ!!!」
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