Creation World Online
第24話
「そういえばシュウ。あんた、決勝戦で私の熱線をどうやって防いだの?」
「ん?ああ、あれはな…」
俺はアイテムボックスから1本の桃色に輝く紫の剣を取り出す。
この剣は、対高火力用・防御剣【再生と治癒のカラトスソード】である。
効果としては自動修繕、装着者の自動回復の2つである。
俺がドヤ顔でそう説明するとシラクモは頭に疑問符を浮かべる。
「そんなことできるわけ?少なくともそんな装備見たことないわよ?」
「だってこれは俺の作品だからな、当たり前だろ」
正確には俺とミラーナさんの合作なのだが。
作り方は簡単!まずはミラーナさんの固有技能【自動復元】を【空の魔法水晶】にエンチャントしてもらい、【自動復元の魔法水晶】を作る。
それを俺の錬金術でカラトスソードと錬金すれば完成である。まあ、作成するのにミラーナさんの協力が不可欠なのだが。
「みんな、そろそろボス部屋だよ。気を引き締めて」
キョウラクの言葉を聞いて前を向くと確かに重々しい扉が存在していた。おそらくあれがボス部屋だろう。
ボス部屋の前にたどり着いたキョウラクが扉を開こうとした途端扉がひとりでに開いて中から2人の見知った人間が出てくる。
1人は白衣を纏って右目から謎のオーラを出している白髪の混じった壮年の男性。
もう1人は壮年の男性と同じように白衣を纏った白髪金眼の小学生くらいの少年だった。
「おい、おっさん。ここでなにやってる」
「ん?ああ、シュウ君か!いやなに、前に言っていたスキルが完成したのでな!このボスを攻略すれば自動取得できるようにしておいたぞ!」
なるほど完成したのか、以外と早かったな。
俺がおっさんと会話しているとキョウラクたちが「誰この人」と言いたげな目でこちらを見ているので俺はおっさんたちの素性を説明する。
「まあ、というわけだ」
「はっはっは!そういうことだよ!それでは私はこれで失礼するよ!」
そう言っておっさんとユウタは歩いて去っていく。
さて、俺たちも行くか。
俺は固まっているキョウラクの肩をポンと叩くとキョウラクはハッとした表情で扉を開けた。
「おい、リンネ。なにしてんだ、行くぞ」
「…あっ、ごめんね〜。すぐ行くよ〜」
おっさんたちの去った方向を見てぼーっとしていたリンネに俺が声をかけると慌てた様子もなくリンネはこちらにかけてくる。
☆
ボス部屋に入って、まず俺たちの目に入ったのは石造りの座り心地を度外視した玉座とその上に肘をついて座る王冠を被って豪奢なマントを羽織った大きなゴブリンだった。おそらくあれがゴブリンキングなのだろう。
そのゴブリンキングを守護するように筋骨隆々のオーガが2体立っていた。
ゴブリンキングは俺たちを睥睨するとフンッと鼻で笑って挑発する。やけに人間臭いな。まあ、こんな挑発に乗る奴なんて__
「なんなのあいつムカつくんですけど!」
「同感するよ。さっさとぶっ倒してやる」
あ、いるのね。
シラクモとサイカは「フシャー」っと謎の呼吸をしながらそれぞれ戦闘の用意を始める。
そんなシラクモたちの様子を見てゴブリンキングが手を払うと、側に控えていたオーガがシラクモたち目掛けて走り出す。
対するシラクモも1体のオーガ目掛けて走り出すと下から戦鎚を振り上げる。
バギィ!という音を鳴らしながらオーガの棍棒をへし折った戦鎚は勢いを緩めることなく、そのままオーガの両腕を消し飛ばすとシラクモは戦鎚を軸に横回転するとそのままオーガの膝から下を消し飛ばす。なにあれ人間の動きじゃない。
ゲームならではの動きに軽く俺は引いてしまった。
「グォオオオ!」
「うるさい、死ね!」
苦痛に叫び声を上げる芋虫状態のオーガの頭部目掛けてシラクモが戦鎚を振りかぶると「グチャッ」という生々しい音と共に鮮血が舞い散り、地面に赤い花が咲く。
その中心にはオーガの返り血を浴びて赤い血化粧を施したシラクモが立っていた。
シラクモの頬を血が流れ落ちるのと同時にオーガだったものが光の粒子に変わるともう1体のオーガがシラクモに殴りかかる。
シラクモが気がついたときにはもう遅くガードが間に合わない、そう思われた時だった。
「【陽光盾】!」
「【ダークプレス】」
シラクモとオーガの間に光り輝く盾が現れたかと思うと、オーガが闇色の圧力によって押し潰され断末魔の悲鳴をあげることも許されず地面のシミになると光の粒子に変わる。
「たく、油断すんなよ」
「大丈夫かい?」
「ええ、2人ともありがと」
シラクモがキョウラクとキョウジに頭をさげると、2人は「気にするな」と笑って言う。
さて、残るは未だ玉座に座ったままのゴブリンキングのみか…
ゴブリンキングは配下を殺された事に腹を立てたのか勢いよく玉座から立ち上がると、雄叫びをあげながら玉座を持ち上げて投げてくる、俺目掛けて。いや、おかしくないだろうか、俺はなにもしてないというのに!
俺はそんな風に内心で愚痴りながらも身体を半歩ずらして玉座を避けるとゴブリンキングに向かって駆け出す。
ゴブリンキングはそんな俺を見て無駄に長い腕で振り払おうと腕を振るが俺はスライディングで腕を躱すと、腕関節目掛けてゼロ距離で火属性魔法【フレイムバースト】を放つと、ゴブリンキングの右腕関節が炭化し右腕が光の粒子に変わる。
ゴブリンキングは一飛びで俺から距離を取ると炭化した右腕関節部分を抑えて「グルル…」とこちらを警戒したように唸り声をあげる。
「シュウ君、どいて」
「ん?ああ、わかった」
俺がゴブリンキングをどう料理してやろうかと考えていると、サイカがそう言うので俺はその場から飛び退いた。
サイカを見るとサイカの頭上に複数の白色の魔法陣が輝いていた。
「消し飛べ【魔力砲】」
サイカがそう呟くと魔法陣から極太のレーザーのような白光が数十発放たれゴブリンキングを包み込むと、一気にゴブリンキングのライフを削り取ると、ゴブリンキングは光の粒子に変わる。
それと同時に『mission complete‼︎』の文字が浮かび上がり、アナウンスが流れる。
『第1界層がクリアされました。以下の特典をプレイヤーの皆様に送らせていいただきます。
1.付属技能【地形ダメージ軽減】の付与。
2.ギルド機能の解放
以上です。それでは残り89界層頑張ってください』
アナウンスはそれだけ伝えると完全に沈黙してしまう。
取り敢えずリザルトを確認するとLと経験値と幾つかのアイテムに混じってレアアイテムらしきものが混ざっていた。
確認してみると【隠者の耳飾】というものだった。
鑑定を使ってみると、
◇◇◇◇◇◇
名称:隠者の耳飾[未使用]【ランクA+】
効果:アバターの見た目を変えることができる。取り外しで切り替え可能。ただしアバターはランダム。一度使用するとプレイヤーは固定となる。
◇◇◇◇◇◇
つまり、見た目だけ変更できてこの耳飾を取り外すことによって元アバターと変更後アバターを変えられる代わりに、変更後はランダムでそれしか選べない、ということだろうか?なかなか悪戯に使えそうな装備だ。
俺たちがそれぞれリザルトの確認を終えてそろそろ帰ろうか、と言っているとキョウラクが「どうせなら2界層まで見て帰ろう」と言い出したので俺たちは2界層を見に行くことにしたのだった。
☆
ゴブリンキングのいた洞穴があった山の山頂、そこに俺たちは立っていた。
そんな俺たちの前には【ポータルキー】と、呼ばれる円柱が建っていた。
キョウラクが円柱に手を触れると円柱から光の柱が立ち昇り、上空でいくつもの光に分かれ飛んでいく。
これで街にあるモノリスによる転移が可能になったらしい。
すると、円柱の発光がさらに強くなると俺たちは謎の浮遊感に見舞われ、目を開けるとそこは山頂ではなく第2界層の街【エルト】だった。          
「ん?ああ、あれはな…」
俺はアイテムボックスから1本の桃色に輝く紫の剣を取り出す。
この剣は、対高火力用・防御剣【再生と治癒のカラトスソード】である。
効果としては自動修繕、装着者の自動回復の2つである。
俺がドヤ顔でそう説明するとシラクモは頭に疑問符を浮かべる。
「そんなことできるわけ?少なくともそんな装備見たことないわよ?」
「だってこれは俺の作品だからな、当たり前だろ」
正確には俺とミラーナさんの合作なのだが。
作り方は簡単!まずはミラーナさんの固有技能【自動復元】を【空の魔法水晶】にエンチャントしてもらい、【自動復元の魔法水晶】を作る。
それを俺の錬金術でカラトスソードと錬金すれば完成である。まあ、作成するのにミラーナさんの協力が不可欠なのだが。
「みんな、そろそろボス部屋だよ。気を引き締めて」
キョウラクの言葉を聞いて前を向くと確かに重々しい扉が存在していた。おそらくあれがボス部屋だろう。
ボス部屋の前にたどり着いたキョウラクが扉を開こうとした途端扉がひとりでに開いて中から2人の見知った人間が出てくる。
1人は白衣を纏って右目から謎のオーラを出している白髪の混じった壮年の男性。
もう1人は壮年の男性と同じように白衣を纏った白髪金眼の小学生くらいの少年だった。
「おい、おっさん。ここでなにやってる」
「ん?ああ、シュウ君か!いやなに、前に言っていたスキルが完成したのでな!このボスを攻略すれば自動取得できるようにしておいたぞ!」
なるほど完成したのか、以外と早かったな。
俺がおっさんと会話しているとキョウラクたちが「誰この人」と言いたげな目でこちらを見ているので俺はおっさんたちの素性を説明する。
「まあ、というわけだ」
「はっはっは!そういうことだよ!それでは私はこれで失礼するよ!」
そう言っておっさんとユウタは歩いて去っていく。
さて、俺たちも行くか。
俺は固まっているキョウラクの肩をポンと叩くとキョウラクはハッとした表情で扉を開けた。
「おい、リンネ。なにしてんだ、行くぞ」
「…あっ、ごめんね〜。すぐ行くよ〜」
おっさんたちの去った方向を見てぼーっとしていたリンネに俺が声をかけると慌てた様子もなくリンネはこちらにかけてくる。
☆
ボス部屋に入って、まず俺たちの目に入ったのは石造りの座り心地を度外視した玉座とその上に肘をついて座る王冠を被って豪奢なマントを羽織った大きなゴブリンだった。おそらくあれがゴブリンキングなのだろう。
そのゴブリンキングを守護するように筋骨隆々のオーガが2体立っていた。
ゴブリンキングは俺たちを睥睨するとフンッと鼻で笑って挑発する。やけに人間臭いな。まあ、こんな挑発に乗る奴なんて__
「なんなのあいつムカつくんですけど!」
「同感するよ。さっさとぶっ倒してやる」
あ、いるのね。
シラクモとサイカは「フシャー」っと謎の呼吸をしながらそれぞれ戦闘の用意を始める。
そんなシラクモたちの様子を見てゴブリンキングが手を払うと、側に控えていたオーガがシラクモたち目掛けて走り出す。
対するシラクモも1体のオーガ目掛けて走り出すと下から戦鎚を振り上げる。
バギィ!という音を鳴らしながらオーガの棍棒をへし折った戦鎚は勢いを緩めることなく、そのままオーガの両腕を消し飛ばすとシラクモは戦鎚を軸に横回転するとそのままオーガの膝から下を消し飛ばす。なにあれ人間の動きじゃない。
ゲームならではの動きに軽く俺は引いてしまった。
「グォオオオ!」
「うるさい、死ね!」
苦痛に叫び声を上げる芋虫状態のオーガの頭部目掛けてシラクモが戦鎚を振りかぶると「グチャッ」という生々しい音と共に鮮血が舞い散り、地面に赤い花が咲く。
その中心にはオーガの返り血を浴びて赤い血化粧を施したシラクモが立っていた。
シラクモの頬を血が流れ落ちるのと同時にオーガだったものが光の粒子に変わるともう1体のオーガがシラクモに殴りかかる。
シラクモが気がついたときにはもう遅くガードが間に合わない、そう思われた時だった。
「【陽光盾】!」
「【ダークプレス】」
シラクモとオーガの間に光り輝く盾が現れたかと思うと、オーガが闇色の圧力によって押し潰され断末魔の悲鳴をあげることも許されず地面のシミになると光の粒子に変わる。
「たく、油断すんなよ」
「大丈夫かい?」
「ええ、2人ともありがと」
シラクモがキョウラクとキョウジに頭をさげると、2人は「気にするな」と笑って言う。
さて、残るは未だ玉座に座ったままのゴブリンキングのみか…
ゴブリンキングは配下を殺された事に腹を立てたのか勢いよく玉座から立ち上がると、雄叫びをあげながら玉座を持ち上げて投げてくる、俺目掛けて。いや、おかしくないだろうか、俺はなにもしてないというのに!
俺はそんな風に内心で愚痴りながらも身体を半歩ずらして玉座を避けるとゴブリンキングに向かって駆け出す。
ゴブリンキングはそんな俺を見て無駄に長い腕で振り払おうと腕を振るが俺はスライディングで腕を躱すと、腕関節目掛けてゼロ距離で火属性魔法【フレイムバースト】を放つと、ゴブリンキングの右腕関節が炭化し右腕が光の粒子に変わる。
ゴブリンキングは一飛びで俺から距離を取ると炭化した右腕関節部分を抑えて「グルル…」とこちらを警戒したように唸り声をあげる。
「シュウ君、どいて」
「ん?ああ、わかった」
俺がゴブリンキングをどう料理してやろうかと考えていると、サイカがそう言うので俺はその場から飛び退いた。
サイカを見るとサイカの頭上に複数の白色の魔法陣が輝いていた。
「消し飛べ【魔力砲】」
サイカがそう呟くと魔法陣から極太のレーザーのような白光が数十発放たれゴブリンキングを包み込むと、一気にゴブリンキングのライフを削り取ると、ゴブリンキングは光の粒子に変わる。
それと同時に『mission complete‼︎』の文字が浮かび上がり、アナウンスが流れる。
『第1界層がクリアされました。以下の特典をプレイヤーの皆様に送らせていいただきます。
1.付属技能【地形ダメージ軽減】の付与。
2.ギルド機能の解放
以上です。それでは残り89界層頑張ってください』
アナウンスはそれだけ伝えると完全に沈黙してしまう。
取り敢えずリザルトを確認するとLと経験値と幾つかのアイテムに混じってレアアイテムらしきものが混ざっていた。
確認してみると【隠者の耳飾】というものだった。
鑑定を使ってみると、
◇◇◇◇◇◇
名称:隠者の耳飾[未使用]【ランクA+】
効果:アバターの見た目を変えることができる。取り外しで切り替え可能。ただしアバターはランダム。一度使用するとプレイヤーは固定となる。
◇◇◇◇◇◇
つまり、見た目だけ変更できてこの耳飾を取り外すことによって元アバターと変更後アバターを変えられる代わりに、変更後はランダムでそれしか選べない、ということだろうか?なかなか悪戯に使えそうな装備だ。
俺たちがそれぞれリザルトの確認を終えてそろそろ帰ろうか、と言っているとキョウラクが「どうせなら2界層まで見て帰ろう」と言い出したので俺たちは2界層を見に行くことにしたのだった。
☆
ゴブリンキングのいた洞穴があった山の山頂、そこに俺たちは立っていた。
そんな俺たちの前には【ポータルキー】と、呼ばれる円柱が建っていた。
キョウラクが円柱に手を触れると円柱から光の柱が立ち昇り、上空でいくつもの光に分かれ飛んでいく。
これで街にあるモノリスによる転移が可能になったらしい。
すると、円柱の発光がさらに強くなると俺たちは謎の浮遊感に見舞われ、目を開けるとそこは山頂ではなく第2界層の街【エルト】だった。          
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