Creation World Online
第61話
「現ギルドマスター?何のために?」
「多分…この武器が原因なんでござる」
そう言って短剣を撫でるニイナ。
その顔は、どこか懐かしそうだった。
「…拙者は、元々臆病者でござった。しかし、姉は拙者とは違いどんどん前線に出て、仲間も出来てそれなりに有名になっていたでござる」
そこでニイナは、エンリベルが淹れた紅茶を飲んで更に続ける。
「そんなある日のことでござった。姉にギルドに誘われたのでござる。当然ギルドメンバー達は大反対、しかし姉が全ての責任を持つと言ってくれたおかげで拙者は晴れてギルド入りができたのでござる」
その後、ニイナは色々なことを話してくれた。
姉の特徴、ギルドメンバーが徐々に優しくなったこと、最後まで自分を邪険に扱っていた現ギルマスへの愚痴など。
「拙者のこの口調は、姉のものなのでござる。姉に少しでも近づきたくて…」
ニイナは、そう笑って頬を赤らめると手に握っていた短剣を腰のホルダーに仕舞う。
そして、真剣な表情になる。
「最後に、姉の死の真相でござる。姉は、現ギルマスに殺されたと言ったのは覚えておられますか?」
「ああ、むしろ俺はそれが聴きたくてしょうがなかったぜ」
対面に座ってキョウジはそう言った。
そんなキョウジにコクリと頷いて、ニイナは続ける。
「皆様は、プレイヤーが死亡するとその装備がどうなるかご存知でござろうか?」
プレイヤーが死亡した際、そのプレイヤーが装備していた武具はギルドに所属しているのならば基本的にギルドボックスに送られる。
しかし、1つだけ例外が存在する。
それは、『遺産』と呼ばれるシステムを利用した場合である。
遺産システム、それはあるプレイヤーが死亡した場合、別のプレイヤーに設定しておいたアイテムを送信するというシステム。
更に、その遺産システムによって譲渡された武器は、本来の性能を遥かに超えた強化アイテムへと変化するのだ。
つまり、この武器は…
「なるほど、この武器はニイナの姉さんの遺産アイテムなのか」
「はい、その所為で2つ纏めてしか使えなくなっているでござるが。武器の名を【赤緑双剣・ユキ】という…オリジナル武器でござる」
少し悲しそうな声音で、ニイナはそう言った。
姉の死を代償にして得た力、悲しくない方がおかしいだろう。
どう声を掛けようか迷っていたその時、またもや来客を告げるブザー音が鳴り響いた。
またか!ったく、誰だよ…
「はーい、どちら様ですか」
「よお、初めまして」
玄関の扉を開くと、染め金髪に、ピアスを開けた目付きの悪い男が立っていた。
そんな男に対して俺は_
「あっ、羽毛布団は要らないんで帰ってもらっていいですか?」
「違え!誰が押し売りだ!」
「え?違うのか?」
格好からして、てっきり押し売りかと思ったぞ。
男は、一度咳払いをして羽織っていたコートを整える。
「初めまして、俺の名前は宵影。ギルド【Simon' S Familiar】のギルドマスターだ」
「そうか、それでこんな郊外まで何の用だ?」
「おいおい、惚けるなよ。ウチのギルメンがここに来てるだろ?邪魔するぜ」
ああ、こいつか。
そう言って俺の傍を通り過ぎようとする宵影。
俺はそんな宵影の足元に、そっと足を出す。
ゴンッ!
そんな音を鳴らして、宵影は地面にぶっ倒れた。
カッコつけてポケットに手を突っ込んで歩いてるからそうなるんだよ!
宵影はすぐに起き上がると、憤怒の表情でこちらを睨む。
「おい、テメェ…!何のつもりだ…?」
「いや、お前こそ何のつもりだよ。何、人のマイホームに勝手に入ってんの?菓子折りの1つくらい持って来いや」
すると、騒ぎを聞きつけたのか部屋の中に居たメンバー達がこちらを覗いて居た。
ニイナも当然居たのだが、宵影の姿を確認した瞬間、急に青ざめて隠れてしまう。
しかし、宵影はそんなニイナを見つけて、ニヤリと笑う。
「ほら、ウチのギルメンがいるじゃないか。さあ、早くニイナをこちらに引き渡してもらおうか」
「はあ?なんで俺達がそんなことしなきゃならないんだよ。あいつが戻りたくなったら戻るだろ。それとも…なにか退っ引きならない理由でも?」
「そいつは盗人なんだよ。ウチのギルドの大事な大事な財産を奪って行ったんだ。そんな盗人を庇うわけ?」
いやいや、それはおかしくないか?
「はあ…言っとくが、大体の事情は聞いてるからな?あの武器はニイナの物だろ。遺産システムで譲渡されてるんだ、何の問題もない」
「ギルドメンバーのものはギルド全体の物だ。なんでわからないかなー?」
わかるわけないだろ。そんな横暴なルール聞いたことないぞ。
その時、俺はいい案を思いついた。
「わかった、こうしよう」
「ん?なんだい?そろそろ武器を渡す気に…」
もう既に宵影は、欲望を隠す気が無いようで武器と言ってしまっていた。
そんな宵影の顔を指差してこう言った。
「武器をかけて勝負しようぜ。もちろんお前とニイナの一騎打ちだ」          
「多分…この武器が原因なんでござる」
そう言って短剣を撫でるニイナ。
その顔は、どこか懐かしそうだった。
「…拙者は、元々臆病者でござった。しかし、姉は拙者とは違いどんどん前線に出て、仲間も出来てそれなりに有名になっていたでござる」
そこでニイナは、エンリベルが淹れた紅茶を飲んで更に続ける。
「そんなある日のことでござった。姉にギルドに誘われたのでござる。当然ギルドメンバー達は大反対、しかし姉が全ての責任を持つと言ってくれたおかげで拙者は晴れてギルド入りができたのでござる」
その後、ニイナは色々なことを話してくれた。
姉の特徴、ギルドメンバーが徐々に優しくなったこと、最後まで自分を邪険に扱っていた現ギルマスへの愚痴など。
「拙者のこの口調は、姉のものなのでござる。姉に少しでも近づきたくて…」
ニイナは、そう笑って頬を赤らめると手に握っていた短剣を腰のホルダーに仕舞う。
そして、真剣な表情になる。
「最後に、姉の死の真相でござる。姉は、現ギルマスに殺されたと言ったのは覚えておられますか?」
「ああ、むしろ俺はそれが聴きたくてしょうがなかったぜ」
対面に座ってキョウジはそう言った。
そんなキョウジにコクリと頷いて、ニイナは続ける。
「皆様は、プレイヤーが死亡するとその装備がどうなるかご存知でござろうか?」
プレイヤーが死亡した際、そのプレイヤーが装備していた武具はギルドに所属しているのならば基本的にギルドボックスに送られる。
しかし、1つだけ例外が存在する。
それは、『遺産』と呼ばれるシステムを利用した場合である。
遺産システム、それはあるプレイヤーが死亡した場合、別のプレイヤーに設定しておいたアイテムを送信するというシステム。
更に、その遺産システムによって譲渡された武器は、本来の性能を遥かに超えた強化アイテムへと変化するのだ。
つまり、この武器は…
「なるほど、この武器はニイナの姉さんの遺産アイテムなのか」
「はい、その所為で2つ纏めてしか使えなくなっているでござるが。武器の名を【赤緑双剣・ユキ】という…オリジナル武器でござる」
少し悲しそうな声音で、ニイナはそう言った。
姉の死を代償にして得た力、悲しくない方がおかしいだろう。
どう声を掛けようか迷っていたその時、またもや来客を告げるブザー音が鳴り響いた。
またか!ったく、誰だよ…
「はーい、どちら様ですか」
「よお、初めまして」
玄関の扉を開くと、染め金髪に、ピアスを開けた目付きの悪い男が立っていた。
そんな男に対して俺は_
「あっ、羽毛布団は要らないんで帰ってもらっていいですか?」
「違え!誰が押し売りだ!」
「え?違うのか?」
格好からして、てっきり押し売りかと思ったぞ。
男は、一度咳払いをして羽織っていたコートを整える。
「初めまして、俺の名前は宵影。ギルド【Simon' S Familiar】のギルドマスターだ」
「そうか、それでこんな郊外まで何の用だ?」
「おいおい、惚けるなよ。ウチのギルメンがここに来てるだろ?邪魔するぜ」
ああ、こいつか。
そう言って俺の傍を通り過ぎようとする宵影。
俺はそんな宵影の足元に、そっと足を出す。
ゴンッ!
そんな音を鳴らして、宵影は地面にぶっ倒れた。
カッコつけてポケットに手を突っ込んで歩いてるからそうなるんだよ!
宵影はすぐに起き上がると、憤怒の表情でこちらを睨む。
「おい、テメェ…!何のつもりだ…?」
「いや、お前こそ何のつもりだよ。何、人のマイホームに勝手に入ってんの?菓子折りの1つくらい持って来いや」
すると、騒ぎを聞きつけたのか部屋の中に居たメンバー達がこちらを覗いて居た。
ニイナも当然居たのだが、宵影の姿を確認した瞬間、急に青ざめて隠れてしまう。
しかし、宵影はそんなニイナを見つけて、ニヤリと笑う。
「ほら、ウチのギルメンがいるじゃないか。さあ、早くニイナをこちらに引き渡してもらおうか」
「はあ?なんで俺達がそんなことしなきゃならないんだよ。あいつが戻りたくなったら戻るだろ。それとも…なにか退っ引きならない理由でも?」
「そいつは盗人なんだよ。ウチのギルドの大事な大事な財産を奪って行ったんだ。そんな盗人を庇うわけ?」
いやいや、それはおかしくないか?
「はあ…言っとくが、大体の事情は聞いてるからな?あの武器はニイナの物だろ。遺産システムで譲渡されてるんだ、何の問題もない」
「ギルドメンバーのものはギルド全体の物だ。なんでわからないかなー?」
わかるわけないだろ。そんな横暴なルール聞いたことないぞ。
その時、俺はいい案を思いついた。
「わかった、こうしよう」
「ん?なんだい?そろそろ武器を渡す気に…」
もう既に宵影は、欲望を隠す気が無いようで武器と言ってしまっていた。
そんな宵影の顔を指差してこう言った。
「武器をかけて勝負しようぜ。もちろんお前とニイナの一騎打ちだ」          
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