Creation World Online
第63話
「落ち着いたか?」
「…はい。かたじけないでござる…」
アイテムボックスから、ホットミルクを取り出し、ニイナに与える。
「まったく…クリア、やりすぎだろ。こいつは、初心者なんだぞ?」
「ちょっと、やり過ぎちゃった、ごめん!」
深々と頭を下げて、クリアは謝罪する。
「たしかに、レベル差があり過ぎたよね。てことで、今からレベル上げに行こう!」
「へっ?きゃっ!な、何をするでござ_」
「…は?」
クリアが、ニイナを小脇に抱えて、走り去ってしまった。
…少女誘拐?
限りなく犯罪臭がするが、もう今更どうもできず、俺達は、無事にニイナ達が帰ってくることを、祈るしかなかったのだった。
結局、その日、ニイナ達は帰って来ず、帰ってきたのは、1週間後の決闘の日だった。
☆
1週間後、闘技場にやってきた俺達だったが辺りを見渡してもニイナとクリアの姿はない。
大丈夫なのか?クリアが暴走してないといいが…
背後から複数人の足音が聞こえてくる。
そちらを振り向けば、宵影が揃いの服を着た何人かのギルドメンバーを引き連れて歩いてくるところだった。
「おやおや、逃げずに来たんだな?ん?ニイナがいないじゃないか。なんだ、あいつ逃げたのか…それじゃ、勝負は我々の不戦勝ってことで…」
「はははっ、もう少し待てよ間抜け。今来たばかりなのに帰るのか?ああ、勝負したら負けるもんな?そりゃ、帰るわな?」
踵を返して帰ろうとする宵影をそう煽ると、顔を真っ赤にしてこちらを睨んでくる。
煽り耐性なさすぎだろ。アンリが爆笑してやがるぞ。
爆笑するアンリを見た宵影は「ふんっ」と鼻を鳴らすとギルドメンバーに指示を出す。
頭を下げたギルドメンバーはエアディスプレイを操作すると、1人を残してどこかへ駆けて行った。
「今、うちのメンバーにやつらを探させている。直ぐに見つかると思うけどね」
「…その必要は無いみたい」
ナクは上空を見上げてそう言う。
その視線を追って空を見上げてみると何やら黒い点が近づいて_って、なんか叫んでないか?
「いやあああああああ!?」
ズドン!という音と共に闘技場にヒビが入るが、自動修復機能により元に戻って行く。
自動修復機能のエフェクトの中で気持ちよさそうに伸びをするクリアと、
「私生きてる…?生きてるよね…?空から落ちたけど…本当に生きてる…?」
ブツブツと呟きながら四つん這いで震えているニイナの姿があった。
「ニイナさん!久しぶりですね!」
「!アンリさぁああああん!」
「うやっ!?」
アンリが声をかけるとニイナは泣きながらアンリに抱きつく。
「怖かったよう!怖かったよう!モンスターの前にいきなり放り出されたり、夜のフィールドに放置されたりしてめちゃくちゃ怖かったよう!死ぬかと思ったよぉおおおおお!」
「うわっ…それは」
「えっ!なんでそんな目で見るの!?」
ニイナの今日までの話を聞いてアンリは「このクズが」とでも言いたげな目でクリアを見る。
いや、実際生きて帰って来てくれて良かった。まあ、フレンド機能で生きてるってのは確認できてたから問題はないんだけどな。
「ふーん?少しは強くなったんじゃね?さあ、ニイナ始めようぜぇ!」
チッ、空気の読めないやつめ。
「ちっ、空気の読めないやつですね。これだからモテない男は…」
こいつ俺より酷いことを言いやがった。モテないとか言ってやるなよ。後ろのギルドメンバーも肩震わせて怒って…あ、違うあれ笑ってるわ。
「うるせえ!モテてないんじゃねえ!俺が寄せ付けてねえだけだ!そんなことよりお前は関係ないだろ!すっこんでろ!」
「ブフッ!」
この場で唯一怒っている宵影がそう叫ぶと後ろにいたギルドメンバーが堪え切れなくなったのか噴き出してしまった。
「おい!お前!何笑ってやがる!」
「いや…!だって、寄せ付けてないとか…!ぷくく…マッチング掲示板に書き込んでるくらいには飢えてるじゃないっすか…ブフッ!」
速攻でエアディスプレイを開いて確認する。宵影が何か言っているが無視しよう。
えーと、なになに?
「『こんな僕でも良ければ仲良くしてくれませんか?』そして、自撮り…フッ」
ナクが顔を背けて笑う。普段ポーカーフェイスなナクが珍しく笑っている。
でも確かにこの自撮りは笑うな。半眼で若干口が開いている。なぜこれでいけると思ったのだろうか。不思議だ…
「うるせえうるせえうるせえ!早くしやがれ!」
全てをぶちまけられた男宵影は恥ずかしさと怒りからか耳まで赤くして短剣でニイナを指す。
「ふう…もう大丈夫でござる。アンリ殿、お見苦しいところを見せたでござる」
「大丈夫ですよ。さ、頑張ってください」
「あの、アンリ殿!」
ニイナがモジモジしながら頬を朱色に染める。
まるで告白でもしそうな勢いだな。
「どうかしましたか?」
「もしこの勝負で勝ったら…も、もう一度ギュってして欲しいでござる…!」
最後の方はしりすぼみになりながらも自分のお願いを伝えたニイナ。
そんなニイナを見てニコッとアンリは笑うとニイナの手を握る。
「いいですよ!だから、頑張って勝ってくださいね?」
「っ!はいでござる!」
意気揚々という言葉がぴったり合うと言った様子で宵影と向かい合ってニイナは武器を構える。
ずっと笑っていたギルドメンバーが2人の間に立つと、2人は2m程離れる。
それに合わせて俺達もある程度距離を取る。
「それじゃ、ルール説明っす。勝負はハーフライフ制、武器・スキルの使用は縛りなし、周囲の参加は禁止、『赤緑双剣・ユキ』は勝者のものになる。そしてニイナちゃんが勝った時は宵影さんがギルドを抜けるってことで両者問題ないっすね?」
「はいでござる」
「ああ、問題ないぜぇ」
「それじゃ、始めっす!」
開始の合図と同時に宵影はニイナに向けて短剣スキル【四突】を放つ。
放たれた四連の突きをニイナは紙一重で躱すとそのままの勢いで短剣スキル【回旋】を発動し、宵影の背中に突き刺す。
「ぐっ…やるじゃねえか!」
「まだまだでござるよ!」
短剣を軸にしてニイナは宵影を蹴り飛ばすと、その勢いで距離を取る。
「ウォーミングアップは終わりでござる!【獣化】」
ニイナに狸耳が生え、8本の尻尾が現れる。
八尾狸に獣化したニイナが柏手を打つと、ニイナの姿が8人に分身する。
「さあ、覚悟するでござる!」
ニイナの分身達は様々な方向から未だに地面に膝をついている宵影目掛けて攻撃を仕掛ける。
そんな攻撃を宵影は不安定な状態で全て捌いていく。
一応はギルドマスターってだけのことはあるんだな。
「チッ…!ちょこまかと!【獣化】」
その瞬間、轟音と共に雷が宵影目掛けて落ちる。
その雷に巻き込まれてニイナの分身達は搔き消える。
雷が晴れるとそこには尖った耳と金色のぼさぼさの尻尾が生え、全身から微弱に電気を放つ宵影の姿があった。
「こうなった俺に…負けはねえ」
宵影はそう言ってニイナに斬りかかる。
ニイナが短剣を止めようと双剣で受け止めると、その身体は途轍もない速度で吹き飛ばされる。
「ぐっ…!宵影殿…!貴様も【獣化】を…!」
「ああ、ああ、その顔だ!その目も!口癖も!あの女そっくりだ!」
宵影はぺっと唾を吐き捨てるとニヤリと笑う。
「あの女が死んだのは…俺のせいだ。だが、俺はシステム上ではプレイヤーキルをしたことにはなっていない。なぜかって?簡単なことだよ。トレインしたのさ」
ゲラゲラと笑う宵影をニイナは睨む。
「いい表情だな?お前の姉の最後の言葉はなんだったと思う?『助けてくれ』だとよ。俺はそれを見ながら笑ってやったね。まったくもって愉快だった!」
「…クズめ」
「はっ!そのクズにお前は負けるんだよ!死ねや!」
振り下ろされる短剣の一撃。
しかし、ニイナは睨みつけたままあるスキルを発動する。
「【パリィスラッシュ】」
「なっ!バカな!短剣を装備しているお前がなんで双剣スキルを使用できる!」
驚いたような声で宵影がそう叫ぶ。
双剣スキル【パリィスラッシュ】片方の剣で敵の攻撃を弾き、もう片方で斬りつけるというスキルである。
剣術スキルの【パリィ】の上位互換というスキルなのだが、双剣限定のスキルのため短剣では使用できないはずなんだが。
クリアを見ると得意げな表情をしていた。
「おい、なんか知ってんだろ」
「当然じゃないか。僕が教えてあげたんだぜ?ねえ、シュウ君。僕の武器の種類ってなんだと思う?」
こいつ何言ってんだ?
「双剣じゃないのか。それがどうしたんだよ?」
「んー、半分正解かな」
そう言ってクリアはさらにドヤ顔をする。
半分…?てことはまさか…
「双剣と短剣?」
「その通り、そしてあの武器も似たような性能を持っている。初めて見たときは驚いたね。でも、遺産武器だ。そのくらいの性能があってもおかしくはないよ」
つまり、ニイナはまったく系統の違うスキルを使用できるってことなのか?
そうこうしている間にもニイナの攻撃は続いていく。
「はぁ…はぁ…!チクショウが!」
「トドメでござる。【回旋】【四突】【クロスブレイク】」
「そこまでっす!」
回転し、突き刺さった短剣から放たれた四連が宵影を貫き、クロスブレイクによって切り裂かれる。
そこで宵影のライフは既定値である半分に到達し、決着となった。
「これが、クリア式双短剣術【四連転双】にござる」
ニイナはそう言って獣化を解除すると、短剣をアイテムボックスに仕舞う。
こうして遺産を掛けた一騎打ちはニイナの勝利で幕を閉じたのであった。          
「…はい。かたじけないでござる…」
アイテムボックスから、ホットミルクを取り出し、ニイナに与える。
「まったく…クリア、やりすぎだろ。こいつは、初心者なんだぞ?」
「ちょっと、やり過ぎちゃった、ごめん!」
深々と頭を下げて、クリアは謝罪する。
「たしかに、レベル差があり過ぎたよね。てことで、今からレベル上げに行こう!」
「へっ?きゃっ!な、何をするでござ_」
「…は?」
クリアが、ニイナを小脇に抱えて、走り去ってしまった。
…少女誘拐?
限りなく犯罪臭がするが、もう今更どうもできず、俺達は、無事にニイナ達が帰ってくることを、祈るしかなかったのだった。
結局、その日、ニイナ達は帰って来ず、帰ってきたのは、1週間後の決闘の日だった。
☆
1週間後、闘技場にやってきた俺達だったが辺りを見渡してもニイナとクリアの姿はない。
大丈夫なのか?クリアが暴走してないといいが…
背後から複数人の足音が聞こえてくる。
そちらを振り向けば、宵影が揃いの服を着た何人かのギルドメンバーを引き連れて歩いてくるところだった。
「おやおや、逃げずに来たんだな?ん?ニイナがいないじゃないか。なんだ、あいつ逃げたのか…それじゃ、勝負は我々の不戦勝ってことで…」
「はははっ、もう少し待てよ間抜け。今来たばかりなのに帰るのか?ああ、勝負したら負けるもんな?そりゃ、帰るわな?」
踵を返して帰ろうとする宵影をそう煽ると、顔を真っ赤にしてこちらを睨んでくる。
煽り耐性なさすぎだろ。アンリが爆笑してやがるぞ。
爆笑するアンリを見た宵影は「ふんっ」と鼻を鳴らすとギルドメンバーに指示を出す。
頭を下げたギルドメンバーはエアディスプレイを操作すると、1人を残してどこかへ駆けて行った。
「今、うちのメンバーにやつらを探させている。直ぐに見つかると思うけどね」
「…その必要は無いみたい」
ナクは上空を見上げてそう言う。
その視線を追って空を見上げてみると何やら黒い点が近づいて_って、なんか叫んでないか?
「いやあああああああ!?」
ズドン!という音と共に闘技場にヒビが入るが、自動修復機能により元に戻って行く。
自動修復機能のエフェクトの中で気持ちよさそうに伸びをするクリアと、
「私生きてる…?生きてるよね…?空から落ちたけど…本当に生きてる…?」
ブツブツと呟きながら四つん這いで震えているニイナの姿があった。
「ニイナさん!久しぶりですね!」
「!アンリさぁああああん!」
「うやっ!?」
アンリが声をかけるとニイナは泣きながらアンリに抱きつく。
「怖かったよう!怖かったよう!モンスターの前にいきなり放り出されたり、夜のフィールドに放置されたりしてめちゃくちゃ怖かったよう!死ぬかと思ったよぉおおおおお!」
「うわっ…それは」
「えっ!なんでそんな目で見るの!?」
ニイナの今日までの話を聞いてアンリは「このクズが」とでも言いたげな目でクリアを見る。
いや、実際生きて帰って来てくれて良かった。まあ、フレンド機能で生きてるってのは確認できてたから問題はないんだけどな。
「ふーん?少しは強くなったんじゃね?さあ、ニイナ始めようぜぇ!」
チッ、空気の読めないやつめ。
「ちっ、空気の読めないやつですね。これだからモテない男は…」
こいつ俺より酷いことを言いやがった。モテないとか言ってやるなよ。後ろのギルドメンバーも肩震わせて怒って…あ、違うあれ笑ってるわ。
「うるせえ!モテてないんじゃねえ!俺が寄せ付けてねえだけだ!そんなことよりお前は関係ないだろ!すっこんでろ!」
「ブフッ!」
この場で唯一怒っている宵影がそう叫ぶと後ろにいたギルドメンバーが堪え切れなくなったのか噴き出してしまった。
「おい!お前!何笑ってやがる!」
「いや…!だって、寄せ付けてないとか…!ぷくく…マッチング掲示板に書き込んでるくらいには飢えてるじゃないっすか…ブフッ!」
速攻でエアディスプレイを開いて確認する。宵影が何か言っているが無視しよう。
えーと、なになに?
「『こんな僕でも良ければ仲良くしてくれませんか?』そして、自撮り…フッ」
ナクが顔を背けて笑う。普段ポーカーフェイスなナクが珍しく笑っている。
でも確かにこの自撮りは笑うな。半眼で若干口が開いている。なぜこれでいけると思ったのだろうか。不思議だ…
「うるせえうるせえうるせえ!早くしやがれ!」
全てをぶちまけられた男宵影は恥ずかしさと怒りからか耳まで赤くして短剣でニイナを指す。
「ふう…もう大丈夫でござる。アンリ殿、お見苦しいところを見せたでござる」
「大丈夫ですよ。さ、頑張ってください」
「あの、アンリ殿!」
ニイナがモジモジしながら頬を朱色に染める。
まるで告白でもしそうな勢いだな。
「どうかしましたか?」
「もしこの勝負で勝ったら…も、もう一度ギュってして欲しいでござる…!」
最後の方はしりすぼみになりながらも自分のお願いを伝えたニイナ。
そんなニイナを見てニコッとアンリは笑うとニイナの手を握る。
「いいですよ!だから、頑張って勝ってくださいね?」
「っ!はいでござる!」
意気揚々という言葉がぴったり合うと言った様子で宵影と向かい合ってニイナは武器を構える。
ずっと笑っていたギルドメンバーが2人の間に立つと、2人は2m程離れる。
それに合わせて俺達もある程度距離を取る。
「それじゃ、ルール説明っす。勝負はハーフライフ制、武器・スキルの使用は縛りなし、周囲の参加は禁止、『赤緑双剣・ユキ』は勝者のものになる。そしてニイナちゃんが勝った時は宵影さんがギルドを抜けるってことで両者問題ないっすね?」
「はいでござる」
「ああ、問題ないぜぇ」
「それじゃ、始めっす!」
開始の合図と同時に宵影はニイナに向けて短剣スキル【四突】を放つ。
放たれた四連の突きをニイナは紙一重で躱すとそのままの勢いで短剣スキル【回旋】を発動し、宵影の背中に突き刺す。
「ぐっ…やるじゃねえか!」
「まだまだでござるよ!」
短剣を軸にしてニイナは宵影を蹴り飛ばすと、その勢いで距離を取る。
「ウォーミングアップは終わりでござる!【獣化】」
ニイナに狸耳が生え、8本の尻尾が現れる。
八尾狸に獣化したニイナが柏手を打つと、ニイナの姿が8人に分身する。
「さあ、覚悟するでござる!」
ニイナの分身達は様々な方向から未だに地面に膝をついている宵影目掛けて攻撃を仕掛ける。
そんな攻撃を宵影は不安定な状態で全て捌いていく。
一応はギルドマスターってだけのことはあるんだな。
「チッ…!ちょこまかと!【獣化】」
その瞬間、轟音と共に雷が宵影目掛けて落ちる。
その雷に巻き込まれてニイナの分身達は搔き消える。
雷が晴れるとそこには尖った耳と金色のぼさぼさの尻尾が生え、全身から微弱に電気を放つ宵影の姿があった。
「こうなった俺に…負けはねえ」
宵影はそう言ってニイナに斬りかかる。
ニイナが短剣を止めようと双剣で受け止めると、その身体は途轍もない速度で吹き飛ばされる。
「ぐっ…!宵影殿…!貴様も【獣化】を…!」
「ああ、ああ、その顔だ!その目も!口癖も!あの女そっくりだ!」
宵影はぺっと唾を吐き捨てるとニヤリと笑う。
「あの女が死んだのは…俺のせいだ。だが、俺はシステム上ではプレイヤーキルをしたことにはなっていない。なぜかって?簡単なことだよ。トレインしたのさ」
ゲラゲラと笑う宵影をニイナは睨む。
「いい表情だな?お前の姉の最後の言葉はなんだったと思う?『助けてくれ』だとよ。俺はそれを見ながら笑ってやったね。まったくもって愉快だった!」
「…クズめ」
「はっ!そのクズにお前は負けるんだよ!死ねや!」
振り下ろされる短剣の一撃。
しかし、ニイナは睨みつけたままあるスキルを発動する。
「【パリィスラッシュ】」
「なっ!バカな!短剣を装備しているお前がなんで双剣スキルを使用できる!」
驚いたような声で宵影がそう叫ぶ。
双剣スキル【パリィスラッシュ】片方の剣で敵の攻撃を弾き、もう片方で斬りつけるというスキルである。
剣術スキルの【パリィ】の上位互換というスキルなのだが、双剣限定のスキルのため短剣では使用できないはずなんだが。
クリアを見ると得意げな表情をしていた。
「おい、なんか知ってんだろ」
「当然じゃないか。僕が教えてあげたんだぜ?ねえ、シュウ君。僕の武器の種類ってなんだと思う?」
こいつ何言ってんだ?
「双剣じゃないのか。それがどうしたんだよ?」
「んー、半分正解かな」
そう言ってクリアはさらにドヤ顔をする。
半分…?てことはまさか…
「双剣と短剣?」
「その通り、そしてあの武器も似たような性能を持っている。初めて見たときは驚いたね。でも、遺産武器だ。そのくらいの性能があってもおかしくはないよ」
つまり、ニイナはまったく系統の違うスキルを使用できるってことなのか?
そうこうしている間にもニイナの攻撃は続いていく。
「はぁ…はぁ…!チクショウが!」
「トドメでござる。【回旋】【四突】【クロスブレイク】」
「そこまでっす!」
回転し、突き刺さった短剣から放たれた四連が宵影を貫き、クロスブレイクによって切り裂かれる。
そこで宵影のライフは既定値である半分に到達し、決着となった。
「これが、クリア式双短剣術【四連転双】にござる」
ニイナはそう言って獣化を解除すると、短剣をアイテムボックスに仕舞う。
こうして遺産を掛けた一騎打ちはニイナの勝利で幕を閉じたのであった。          
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
15254
-
-
440
-
-
23252
-
-
381
-
-
34
-
-
3087
-
-
4
-
-
1359
-
-
24251
コメント