Creation World Online
第76話
「ほっ、やっ、とりゃっ!」
そんな掛け声と共にアンリが舞う。
何度か同じ動作をすると、一度止まって噴水の端に腰掛ける。
「ふぅ…中々いいですね。やっぱり『舞踏』をとって正解でした」
スキル『舞踏』スキルレベルを上げても踊りが上手くなるだけという、所謂趣味スキルというやつだ。
特に舞踏は、同じ趣味スキルである『水泳』や『料理』などと違い基本的には何の役にも立たないのだ。
だが、今回に限ってはそうではない。明日の審査にはダンスの項目もあるのだ、つまり…ナクも何かしらを用意している可能性が高い。
「どうでした?シュウプロデューサー?」
「プロデューサー…?まあ、いいんじゃないか。ただ…」
周囲を見渡すとそこかしこに軽快なステップを踏む女性プレイヤーの姿がある。
彼女達も明日の大会に参加する予定のプレイヤー達なのだが…
「アレに比べるとやっぱりな…」
「まあ、年季が違いますからねえ…」
スキルを取り立てのアンリとこの大会のために普段からスキルを磨いてきた彼女達では当然ダンスのキレも違うのだ。
そんな俺達の前に1人のプレイヤーが現れる。
「やぁーほぉー。元気ー?」
「げっ、オラクマかよ。お前も出るつもりなんだよな…」
「んー。まぁねー」
そう言った彼女の名前はオラクマ。
小柄な身体にサラサラの金髪、青の瞳はくりくりと可愛らしい、一言で表すなら童話の中の少女。
そして、そんな彼女の特徴といえばその背中から生える真っ白な翼だろう。
1年前に初めて行われた『CWO美少女コンテスト』の優勝商品に天才服飾プレイヤー『シノア』によって作られた天使の翼をモチーフにした装備だった。
何が凄いのかと言うと、MPを消費する代わりに空を飛ぶことが出来るのだ。
通常、空を飛ぶには風魔術のスキルレベルを300以上にしなければならないのだが、その翼があれば例え風魔法を取っていなくても空を飛ぶことが可能となるのだ。
そして、そんなアイテムなのだから多数のプレイヤーが群がった。
その結果として、倍率が当初の20倍程度に膨れ上がり、主催者側が大いに慌てたなどという話もあるくらいの盛り上がりを見せたのだった。
参加プレイヤー3000人の中からオラクマは、ぶっちぎりのトップを取って優勝。
天才服飾プレイヤーに『また君の装備を作らせてくれ』と言わせて、オラクマは一種の伝説になっていた、その証拠に広場のプレイヤー達がこちらをチラチラと見ている。
「今回はどんな服を着るんだ?【天使】様」
「2つ名で呼ぶのは辞めてほしーなぁ…。今回はねー、あたっ!」
「…色々喋りすぎ」
そう言って眼鏡をかけた長身の男が、怠そうな声でオラクマの頭に辞書のようなものをぶつけてそう言った。
「もー!酷いよシノア君!別にいいじゃんか!」
「いや、敵に情報を教えるのは良くないだろ…」
クイっと眼鏡をあげながらシノアがそう言う。
しかし、それを言われた本人であるオラクマはキョトンとした表情を浮かべる。
「敵なんていないよ?」
不遜とも取れるような言葉、しかし彼女からすれば当然だと言える言葉であった。
「それじゃ、私は行くね。ばいばーい」
「それじゃ、失礼する」
満面の笑みを浮かべて手を振るオラクマと、軽く会釈をするシノア。
そんな2人を見た俺はというと。
「アンリ…」
「なんですか?」
「絶対に優勝するぞ!」
「任せてください!シュウ君、私頑張ります!」
「シュウ君じゃない!プロデューサーと呼べ!」
「意外と乗り気!?」
アンリが驚いた表情を浮かべているが、そんな事は関係ない。ウチの子が1番だという親バカ思考が俺の脳内を支配しているのだ。
「さあ、練習を始めるぞ!」
そんな俺の掛け声が広場に響き渡るのだった。          
そんな掛け声と共にアンリが舞う。
何度か同じ動作をすると、一度止まって噴水の端に腰掛ける。
「ふぅ…中々いいですね。やっぱり『舞踏』をとって正解でした」
スキル『舞踏』スキルレベルを上げても踊りが上手くなるだけという、所謂趣味スキルというやつだ。
特に舞踏は、同じ趣味スキルである『水泳』や『料理』などと違い基本的には何の役にも立たないのだ。
だが、今回に限ってはそうではない。明日の審査にはダンスの項目もあるのだ、つまり…ナクも何かしらを用意している可能性が高い。
「どうでした?シュウプロデューサー?」
「プロデューサー…?まあ、いいんじゃないか。ただ…」
周囲を見渡すとそこかしこに軽快なステップを踏む女性プレイヤーの姿がある。
彼女達も明日の大会に参加する予定のプレイヤー達なのだが…
「アレに比べるとやっぱりな…」
「まあ、年季が違いますからねえ…」
スキルを取り立てのアンリとこの大会のために普段からスキルを磨いてきた彼女達では当然ダンスのキレも違うのだ。
そんな俺達の前に1人のプレイヤーが現れる。
「やぁーほぉー。元気ー?」
「げっ、オラクマかよ。お前も出るつもりなんだよな…」
「んー。まぁねー」
そう言った彼女の名前はオラクマ。
小柄な身体にサラサラの金髪、青の瞳はくりくりと可愛らしい、一言で表すなら童話の中の少女。
そして、そんな彼女の特徴といえばその背中から生える真っ白な翼だろう。
1年前に初めて行われた『CWO美少女コンテスト』の優勝商品に天才服飾プレイヤー『シノア』によって作られた天使の翼をモチーフにした装備だった。
何が凄いのかと言うと、MPを消費する代わりに空を飛ぶことが出来るのだ。
通常、空を飛ぶには風魔術のスキルレベルを300以上にしなければならないのだが、その翼があれば例え風魔法を取っていなくても空を飛ぶことが可能となるのだ。
そして、そんなアイテムなのだから多数のプレイヤーが群がった。
その結果として、倍率が当初の20倍程度に膨れ上がり、主催者側が大いに慌てたなどという話もあるくらいの盛り上がりを見せたのだった。
参加プレイヤー3000人の中からオラクマは、ぶっちぎりのトップを取って優勝。
天才服飾プレイヤーに『また君の装備を作らせてくれ』と言わせて、オラクマは一種の伝説になっていた、その証拠に広場のプレイヤー達がこちらをチラチラと見ている。
「今回はどんな服を着るんだ?【天使】様」
「2つ名で呼ぶのは辞めてほしーなぁ…。今回はねー、あたっ!」
「…色々喋りすぎ」
そう言って眼鏡をかけた長身の男が、怠そうな声でオラクマの頭に辞書のようなものをぶつけてそう言った。
「もー!酷いよシノア君!別にいいじゃんか!」
「いや、敵に情報を教えるのは良くないだろ…」
クイっと眼鏡をあげながらシノアがそう言う。
しかし、それを言われた本人であるオラクマはキョトンとした表情を浮かべる。
「敵なんていないよ?」
不遜とも取れるような言葉、しかし彼女からすれば当然だと言える言葉であった。
「それじゃ、私は行くね。ばいばーい」
「それじゃ、失礼する」
満面の笑みを浮かべて手を振るオラクマと、軽く会釈をするシノア。
そんな2人を見た俺はというと。
「アンリ…」
「なんですか?」
「絶対に優勝するぞ!」
「任せてください!シュウ君、私頑張ります!」
「シュウ君じゃない!プロデューサーと呼べ!」
「意外と乗り気!?」
アンリが驚いた表情を浮かべているが、そんな事は関係ない。ウチの子が1番だという親バカ思考が俺の脳内を支配しているのだ。
「さあ、練習を始めるぞ!」
そんな俺の掛け声が広場に響き渡るのだった。          
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