とある英雄達の最終兵器
第81話 決勝戦のはじまりはじまり~。恐らく一番今大会でダメージを受けたのは彼
「では、開始線について。――互いに礼。……はじめっ!!」
審判の掛け声と同時に4人は動く。
「まずは生意気なアンタよ!!」
ポニーテールの女――リーシャがテュールへと最短距離で駆けてくる。その手には一瞬で生成された短槍が二本握られている。
「させない」
レーベはそう小さく呟くとリーシャとテュールの中間地点へ躍り出る。――交差。
瞬き一つの時間でぶつかり合う二人。レーベの強烈な回し蹴りを短槍一本で受け止めるリーシャ。当然蹴りを放ったレーベはリーシャが吹き飛ぶものと思ったが――。
ニヤッ。
「甘い、わ、よっ!!」
その場でなんなく堪えきる。そしてリーシャはレーベには一瞥もくれずテュールへと二本の短槍を投擲――。
投擲された二本の短槍は先程のリーシャが駆ける速度よりも疾くテュールへと迫る。
――っ。
会場からは息を呑む音が唱和される。短槍は疾いながらも目で追えている生徒もいたのだが、テュールに向かう途中でその生徒達の目からも槍は消えていた。
そして、次に槍が姿を現したのはテュールの左右からであった。何もない空間を突如ヒビ割って生えてくる二本の短槍は、その勢いのままテュールへと牙を剥く。
「ほいっ、パシッ、パシッと。えぇーと、審判さーん? これ、大丈夫、で、す、かー? 普通に死者が出る、レベルのっ攻撃でしたけ、ど、って、いうか、続いてますけどっ!!」
リーシャの手には短槍が絶えず充填され、その槍一本でレーベを捌ききりながら片方ずつ短槍を投げ続ける。審判は……なんか気まずそうに下を向いていた。そうかいそうかい、見てみぬ振りかい……。
一方、レーベはリーシャを止めようと攻撃を続けているがその顔には苦々しさが浮かんでいる。
「やり、にくい」
レーベがそんな冗談か本気か分からない呟きを発すると同時に、会場内に大きな声が響き渡る。
『さて、こちら解説席です!! 早速謎の夜会マスクをしたベネ婦人に解説をお願いしたいと思いますっ!! 一体全体これはどうなっているんでしょうか!? 私はもはや何が起きているのかサッパリです!!』
『カカカ、そうさね。この戦いで今のとこ一番働いているのはマリって子さね。あの子は、今3つの行動を同時に進行しているのさ。短槍生成、レーベ選手への妨害、短槍のショートジャンプとね』
『なんと、あの槍はリーシャ選手が生成したものではなく、マリ選手の生成したものでした!! そして、レーベ選手が槍だけにやりにくいと言っていましたが、これもマリ選手の妨害によるものだったとのことです!! そして消えた槍の謎もマリ選手によるもの!! すごい、マリ選手すごいですっ!!』
◆
「ほぇー。マリって器用だね~」
「……あん? そうだな」
「どうしたんですか? アンフィス。そんなコソコソと隠れて、堂々と見たらいいじゃないですか」
「……うるせー」
観客席ではベリトとヴァナルがニヤニヤしながらアンフィスに詰め寄っていた。
「けどリーシャ先輩もすごいよ? レーベちゃんを妨害しているとは言え短槍一本で捌ききれるなんて」
感心するようなカグヤの言葉にベリトとヴァナルは頷き、アンフィスへと視線を送る。
「……こっち見んな」
依然として不機嫌なアンフィス。そしてその横には――ムクリ。
「ってて……。って、もう決勝戦始まってるじゃんっ!! つーか俺はなんで気絶してたんだ? う~む、記憶が……。まぁいっか。……で、どうなってるんだ?」
テップが起き上がりキョロキョロと辺りを見回した後そんなことを呟く。
「おぉー、テップおはようなのだー。今は3年生の方が攻めているのだ!」
「ほぇー、すげぇな。レーベとテュール相手に攻めるとか大したもんだなぁ。むっ!! しかも相手二人は可愛いじゃないかっ!!」
「あぁ、テップ~? 実はあっちのポニーテールの子がね、テップのことを気に入ったモゴモゴッ――」
すかさずヴァナルの口を塞ぐアンフィス。
「……テップ忘れろ」
「おいおいおいおい!! どういうことだよっ!? 遂に来たのか!? 俺あの先輩と面識ないけど遂に来たのか!? 俺もやはり可愛い後輩君キャラとしてファンがついていたということかっ!? 本当か!? ヴァナル本当なのか!?」
「もごもごっ」
「えぇ、本当ですよ。テップおめでとうございます」
答えられないヴァナルの代わりに執事が優しく微笑んでテップに語りかける。
「う……」
う?
女性陣が言葉を詰まらせたテップに対し首をかしげる。
「うぉぉおおおおお!!!! あの先輩の名前はなんとおっしゃるんだ!?」
「リーシャ様です」
「リーーーシャせんぱーーーい!! 頑張ってくださーーい!! 貴女のテッブグァボラッ!!」
…………。
「ちょっとテップ君が可哀想……かな」
「そうですね……。少しだけ気の毒な気がしてきました……」
「ハハハー、テップ白目むいているのだっ! おっかしいのだ~♪」つんつん。
「フッ、やれやれ、本当にお前らといると退屈しないな……」
女性陣は白目を剥いて泡を吹いているテップを横目に試合観戦へと戻るのであった。
審判の掛け声と同時に4人は動く。
「まずは生意気なアンタよ!!」
ポニーテールの女――リーシャがテュールへと最短距離で駆けてくる。その手には一瞬で生成された短槍が二本握られている。
「させない」
レーベはそう小さく呟くとリーシャとテュールの中間地点へ躍り出る。――交差。
瞬き一つの時間でぶつかり合う二人。レーベの強烈な回し蹴りを短槍一本で受け止めるリーシャ。当然蹴りを放ったレーベはリーシャが吹き飛ぶものと思ったが――。
ニヤッ。
「甘い、わ、よっ!!」
その場でなんなく堪えきる。そしてリーシャはレーベには一瞥もくれずテュールへと二本の短槍を投擲――。
投擲された二本の短槍は先程のリーシャが駆ける速度よりも疾くテュールへと迫る。
――っ。
会場からは息を呑む音が唱和される。短槍は疾いながらも目で追えている生徒もいたのだが、テュールに向かう途中でその生徒達の目からも槍は消えていた。
そして、次に槍が姿を現したのはテュールの左右からであった。何もない空間を突如ヒビ割って生えてくる二本の短槍は、その勢いのままテュールへと牙を剥く。
「ほいっ、パシッ、パシッと。えぇーと、審判さーん? これ、大丈夫、で、す、かー? 普通に死者が出る、レベルのっ攻撃でしたけ、ど、って、いうか、続いてますけどっ!!」
リーシャの手には短槍が絶えず充填され、その槍一本でレーベを捌ききりながら片方ずつ短槍を投げ続ける。審判は……なんか気まずそうに下を向いていた。そうかいそうかい、見てみぬ振りかい……。
一方、レーベはリーシャを止めようと攻撃を続けているがその顔には苦々しさが浮かんでいる。
「やり、にくい」
レーベがそんな冗談か本気か分からない呟きを発すると同時に、会場内に大きな声が響き渡る。
『さて、こちら解説席です!! 早速謎の夜会マスクをしたベネ婦人に解説をお願いしたいと思いますっ!! 一体全体これはどうなっているんでしょうか!? 私はもはや何が起きているのかサッパリです!!』
『カカカ、そうさね。この戦いで今のとこ一番働いているのはマリって子さね。あの子は、今3つの行動を同時に進行しているのさ。短槍生成、レーベ選手への妨害、短槍のショートジャンプとね』
『なんと、あの槍はリーシャ選手が生成したものではなく、マリ選手の生成したものでした!! そして、レーベ選手が槍だけにやりにくいと言っていましたが、これもマリ選手の妨害によるものだったとのことです!! そして消えた槍の謎もマリ選手によるもの!! すごい、マリ選手すごいですっ!!』
◆
「ほぇー。マリって器用だね~」
「……あん? そうだな」
「どうしたんですか? アンフィス。そんなコソコソと隠れて、堂々と見たらいいじゃないですか」
「……うるせー」
観客席ではベリトとヴァナルがニヤニヤしながらアンフィスに詰め寄っていた。
「けどリーシャ先輩もすごいよ? レーベちゃんを妨害しているとは言え短槍一本で捌ききれるなんて」
感心するようなカグヤの言葉にベリトとヴァナルは頷き、アンフィスへと視線を送る。
「……こっち見んな」
依然として不機嫌なアンフィス。そしてその横には――ムクリ。
「ってて……。って、もう決勝戦始まってるじゃんっ!! つーか俺はなんで気絶してたんだ? う~む、記憶が……。まぁいっか。……で、どうなってるんだ?」
テップが起き上がりキョロキョロと辺りを見回した後そんなことを呟く。
「おぉー、テップおはようなのだー。今は3年生の方が攻めているのだ!」
「ほぇー、すげぇな。レーベとテュール相手に攻めるとか大したもんだなぁ。むっ!! しかも相手二人は可愛いじゃないかっ!!」
「あぁ、テップ~? 実はあっちのポニーテールの子がね、テップのことを気に入ったモゴモゴッ――」
すかさずヴァナルの口を塞ぐアンフィス。
「……テップ忘れろ」
「おいおいおいおい!! どういうことだよっ!? 遂に来たのか!? 俺あの先輩と面識ないけど遂に来たのか!? 俺もやはり可愛い後輩君キャラとしてファンがついていたということかっ!? 本当か!? ヴァナル本当なのか!?」
「もごもごっ」
「えぇ、本当ですよ。テップおめでとうございます」
答えられないヴァナルの代わりに執事が優しく微笑んでテップに語りかける。
「う……」
う?
女性陣が言葉を詰まらせたテップに対し首をかしげる。
「うぉぉおおおおお!!!! あの先輩の名前はなんとおっしゃるんだ!?」
「リーシャ様です」
「リーーーシャせんぱーーーい!! 頑張ってくださーーい!! 貴女のテッブグァボラッ!!」
…………。
「ちょっとテップ君が可哀想……かな」
「そうですね……。少しだけ気の毒な気がしてきました……」
「ハハハー、テップ白目むいているのだっ! おっかしいのだ~♪」つんつん。
「フッ、やれやれ、本当にお前らといると退屈しないな……」
女性陣は白目を剥いて泡を吹いているテップを横目に試合観戦へと戻るのであった。
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