【書籍化作品】無名の最強魔法師
女性に花を贈る際の注意点(後編)
――翌朝。
俺は、移動式冒険者ギルド宿屋の前で2人を待っていた。
「しかし遅いな……」
俺は予定時間を越えても現れない2人を待ちながら一人呟く。
たかが花を購入しにいくだけなのに、どうして用意にそんなに時間が掛かっているのか。
「セイレスさん、どうかしたんですか?」
イノンとリネラスを、ジッと立って待ってる俺に近づいてきたセイレスさんに話かける。
するとセイレスさんは顔を真っ赤に染めて俺が作った黒板に白いチョークで文字を描くと見せてきた。
そこには、「私も一緒に行っていいですか?」と、書かれていた。
「別に構いませんよ! 一人より2人より皆で一緒に行った方がいいですから」
するとセイレスさんは、黒板を再度見せてくる。
そこには、「ありがとうございます!」と書かれていた。
「いえいえ別にいいですよ、気にしなくて」
皆で行った方が気分転換になるだろうし、今の俺ならある程度纏まった数の騎士団が狙って来ても倒すは可能だからな。
「ユウマさん、お待たせしました! あれ? セイレスさん、どうかしたんですか?」
イノンの言葉にセイレスが黒板を見せている。
「ええー! ユウマさん! どういうことですか?」
イノンが俺の方へ視線を向けて問い詰めてくる。
どうして怒っているのか分からない。
「いや、皆で行った方が楽しいかなと思って……」
「ユウマ! お待たせ! あれ? イノンとセイレスが揃ってどこかにお出かけなの?」
リネラスがイノンとセイレスを見てから二人に話しかけた。
すると――。
「えええー。リネラスさんも行かれるんですか?」とイノンが言いだすと、「え? どういうこと? もしかして……ユウマ! どういうことなの!? どうしてイノンとセイレスが一緒に行く事になってるの! 」と言いだした。
「いや、ほら、みんなで一緒に行ったほうがいいかなと思ってな……」
「お兄ちゃん最低です!」
いつの間にか足元に来ていたセレンに、最低呼ばわりされてしまったがどうしてか分からないんだが……。
「ま、まぁ……ほら! そうだ! あれだよ! うん……何か好きな物でも奢るからさ!」
何故か知らないが、とりあえずここは機嫌を取っておくほうがいいだろう。
「でも私に花を買ってくれるんだよね?」
リネラスの言葉に俺は頷くと、セイレスが黒板を俺に投げつけてきた。
俺は黒板が割れないように受け取ると、そこに書かれている文字を読む。
そこには、「私にプロポーズしたのに!」と書かれている。
いつプロポーズしたのか覚えてない……。
そしてイノンと言えば……。
「……へ、へぇー。花をリネラスさんに贈られるつもりなんですか?」
――と、俺に向けて問いかけてくる。
「お兄ちゃん、女性に花を贈る意味を理解してないの?」
「あ、あまり理解していません」
セレンの言葉に俺は丁寧語を使って答える。
するとリネラス、セイレス、イノンの雰囲気がいつものようにやわらかい印象に戻る。
先ほどまでの殺伐とした雰囲気が嘘のようだ!
「いいですか? ユゼウ王国では、女性に花を贈るということは一緒にこの花を育てていこうと言う意味があるのです。つまり結婚をしてくださいと言う意味があるのです」
イノンが人差し指を立てて俺に説明してくるとセイレス、リネラス、セレンまでもが何度も頷いている。
これは、とんでもない事を俺は仕出かしてしまったのではないだろうか?
イノンは俺の様子を見てため息をつく。
「困りましたね。結婚してくださいと告白した張本人がその意味を理解していなかったなんて……そうです! もうこの際、私を含めて3人とも娶ってしまうのはどうですか?」
リネラスとセイレスが、イノンの言葉を聞いて頷いてくるが話が飛躍しすぎてて困る。
俺はリネラスの方へ視線を向ける。
普段は、冒険者ギルドの青を基調とした事務服しか着ていないリネラスが白いワンピースを着ている。
そして無造作に、いつも纏めてある髪はきちんと櫛で梳かしてから背中に流してあり、髪が太陽の光を反射して金色に光輝いている。
そして顔にも薄く化粧までしている。
どうしよう、この感じ……リネラスの本気が感じられる。
そして、いつも町娘が切るような踝まであるスカートのワンピースを着て、その上からエプロンをきているイノンは、ひざ丈までのスカートのワンピースを着ており、長い栗色の髪の毛をきちんと後ろで纏めている。
そして化粧もきちんとしてあるのが一目で分かる。
セイレスなんて、エルフらしい短いスカートに露出の高い上着を着ている。
もちろんセイレスも口紅を差しており女性らしく見せているし、紫色の髪はウェーブまでかけてある。
3人とも本気に見えてしまう。
そして、その誤解を与えたのが俺ときたら。
「仕方ないですね。ユウマさんは、花を贈る意味を知らなかったようですから。今回は皆さんで買い物にいきませんか?」
ニコリと微笑みながらイノンは、リネラスとセイレスに話しかける。
イノンの話を聞いたリネラスとセイレスは互いに目配せをした後、盛大に溜息をついていた。
俺は、移動式冒険者ギルド宿屋の前で2人を待っていた。
「しかし遅いな……」
俺は予定時間を越えても現れない2人を待ちながら一人呟く。
たかが花を購入しにいくだけなのに、どうして用意にそんなに時間が掛かっているのか。
「セイレスさん、どうかしたんですか?」
イノンとリネラスを、ジッと立って待ってる俺に近づいてきたセイレスさんに話かける。
するとセイレスさんは顔を真っ赤に染めて俺が作った黒板に白いチョークで文字を描くと見せてきた。
そこには、「私も一緒に行っていいですか?」と、書かれていた。
「別に構いませんよ! 一人より2人より皆で一緒に行った方がいいですから」
するとセイレスさんは、黒板を再度見せてくる。
そこには、「ありがとうございます!」と書かれていた。
「いえいえ別にいいですよ、気にしなくて」
皆で行った方が気分転換になるだろうし、今の俺ならある程度纏まった数の騎士団が狙って来ても倒すは可能だからな。
「ユウマさん、お待たせしました! あれ? セイレスさん、どうかしたんですか?」
イノンの言葉にセイレスが黒板を見せている。
「ええー! ユウマさん! どういうことですか?」
イノンが俺の方へ視線を向けて問い詰めてくる。
どうして怒っているのか分からない。
「いや、皆で行った方が楽しいかなと思って……」
「ユウマ! お待たせ! あれ? イノンとセイレスが揃ってどこかにお出かけなの?」
リネラスがイノンとセイレスを見てから二人に話しかけた。
すると――。
「えええー。リネラスさんも行かれるんですか?」とイノンが言いだすと、「え? どういうこと? もしかして……ユウマ! どういうことなの!? どうしてイノンとセイレスが一緒に行く事になってるの! 」と言いだした。
「いや、ほら、みんなで一緒に行ったほうがいいかなと思ってな……」
「お兄ちゃん最低です!」
いつの間にか足元に来ていたセレンに、最低呼ばわりされてしまったがどうしてか分からないんだが……。
「ま、まぁ……ほら! そうだ! あれだよ! うん……何か好きな物でも奢るからさ!」
何故か知らないが、とりあえずここは機嫌を取っておくほうがいいだろう。
「でも私に花を買ってくれるんだよね?」
リネラスの言葉に俺は頷くと、セイレスが黒板を俺に投げつけてきた。
俺は黒板が割れないように受け取ると、そこに書かれている文字を読む。
そこには、「私にプロポーズしたのに!」と書かれている。
いつプロポーズしたのか覚えてない……。
そしてイノンと言えば……。
「……へ、へぇー。花をリネラスさんに贈られるつもりなんですか?」
――と、俺に向けて問いかけてくる。
「お兄ちゃん、女性に花を贈る意味を理解してないの?」
「あ、あまり理解していません」
セレンの言葉に俺は丁寧語を使って答える。
するとリネラス、セイレス、イノンの雰囲気がいつものようにやわらかい印象に戻る。
先ほどまでの殺伐とした雰囲気が嘘のようだ!
「いいですか? ユゼウ王国では、女性に花を贈るということは一緒にこの花を育てていこうと言う意味があるのです。つまり結婚をしてくださいと言う意味があるのです」
イノンが人差し指を立てて俺に説明してくるとセイレス、リネラス、セレンまでもが何度も頷いている。
これは、とんでもない事を俺は仕出かしてしまったのではないだろうか?
イノンは俺の様子を見てため息をつく。
「困りましたね。結婚してくださいと告白した張本人がその意味を理解していなかったなんて……そうです! もうこの際、私を含めて3人とも娶ってしまうのはどうですか?」
リネラスとセイレスが、イノンの言葉を聞いて頷いてくるが話が飛躍しすぎてて困る。
俺はリネラスの方へ視線を向ける。
普段は、冒険者ギルドの青を基調とした事務服しか着ていないリネラスが白いワンピースを着ている。
そして無造作に、いつも纏めてある髪はきちんと櫛で梳かしてから背中に流してあり、髪が太陽の光を反射して金色に光輝いている。
そして顔にも薄く化粧までしている。
どうしよう、この感じ……リネラスの本気が感じられる。
そして、いつも町娘が切るような踝まであるスカートのワンピースを着て、その上からエプロンをきているイノンは、ひざ丈までのスカートのワンピースを着ており、長い栗色の髪の毛をきちんと後ろで纏めている。
そして化粧もきちんとしてあるのが一目で分かる。
セイレスなんて、エルフらしい短いスカートに露出の高い上着を着ている。
もちろんセイレスも口紅を差しており女性らしく見せているし、紫色の髪はウェーブまでかけてある。
3人とも本気に見えてしまう。
そして、その誤解を与えたのが俺ときたら。
「仕方ないですね。ユウマさんは、花を贈る意味を知らなかったようですから。今回は皆さんで買い物にいきませんか?」
ニコリと微笑みながらイノンは、リネラスとセイレスに話しかける。
イノンの話を聞いたリネラスとセイレスは互いに目配せをした後、盛大に溜息をついていた。
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