【書籍化作品】無名の最強魔法師
エルフガーデンの秘密(前編)
「人間?」
「はい、私の夫は人間なの」
俺の目を見ながら話していたリンスタットさんは、話を止め髪をかき上げると俺に耳を見せてきた。
そこには……リネラスのような丸い人間とは違う――セイレスと同じ尖った耳があり……。
「私達、エルフが生む子供は基本はエルフの女児しか生まれないの。だからオークが相手でも人間が相手でもドラゴンが相手でも生まれるのはエルフの女児だけなの」
「そうなんですか……」
そうすると、エルフは女性しかいない?
だから、エルフガーデンは男にとっては楽園とかセイレスとか黒板に書いてたのか?
今一、分からないな。
一つだけ分かるのは女エルフしか生まれないならエルフの遺伝子を持たないのが生まれてくるのはおかしいのではと思い「それなら、リネラスが精霊眼を持って生れてこなかったのはおかしいのでは?」と問いかけると、リンスタットさんは否定的な意味合いを込めて頭を振ってきた。
「そうでもないのよ……最近は、増えてきているの。魔力を見る事ができない普通の目――精霊眼を持たない子供が生まれる割合がね」
「なるほど……」
俺は、リンスタットさんの言葉を聞きながらリネラスも魔力を見る事が出来ないということに、少しだけ安堵していた。
「あ、もしかして……セイレスの妹のセレンも?」
「ええ、そうね――セレンちゃんも精霊眼を持たない子供ね。だから、迫害を受けないためにエルフガーデンを両親と共に出て行ったみたいね」
「迫害?」
「ええ、精霊眼をもたない子供は魔力が見れないから、日常的に魔力を使うエルフから見たら異端に映るの。だから私の夫もリネラスを連れて森の外に出ていったの」
なるほど……リネラスがフィンデイカの村にいたのは、そういうことだったのか。
「リンスタットさんは、その時に、一緒に着いていったりは?」
「それは……できないわ、5歳以下の捨てられた子達を連れてはエルフガーデンを出られないから……」
「そうですか」
つまり、昼間に出会った子供たちは捨てられた子供というわけか。
「いろいろとエルフガーデンも問題があるな……」
「ええ……それに私の夫が外に出たのはそれだけじゃないの」
「それだけじゃない?」
「ええ……忌避されている子供を多く育てている事もあって、エルフガーデン内に存在するエルフ村との取引が出来ないのよ」
「それはまた……」
ずいぶんと身勝手なものだな。
自分達が面倒を見ないから他人が面倒を見てると言うのに……。
どうやら俺が思ってた以上にエルフというのは利己的な種族なようだ。
生活物資も……ん?
「リンスタットさん。それでは必要な生活物資はどこから購入を?」
「えー……っと、それは……」
俺の問いかけにリンスタットさんは視線を逸らしてくる。
きっと色々とあるのだろう。「別に無理なら話す必要はないです」と、告げるとリンスタットさんは俯いたまま小さい声で「はい」と返事をしてきた。
「それにしても、エルフの繁殖方法というか……種の存続の仕方が他種族とは思いませんでした……」
「そ、そうじゃないのよ! え、えっとね……ま、前はいたの……」
リンスタットさんは、何故か顔を真っ赤にして顔を伏せている。
なるほど、たしかに……アライ村に侵攻してきたウラヌス十字軍の中にいた弓兵の男とかエルフって感じだったな……。
「たしかに、俺も耳が長い男を見たことはありますね」
おもにアライ村を責めてきたウラヌス十字軍の中で……。
「そ、そうなのね……」
「ですがどうして、前はいたのに今はいないんです?」
先ほどからずっと顔を真っ赤にして俯かせたまま両手の指先を交互に弄りながら、落ち着かずにいる。
「……げ……の……」
声が小さくて聞こえないな。
「あの、もう少し大きく話してもらえますか?」
「だから……逃げられたの!!」
リンスタットさんは顔を真っ赤にして瞳を潤ませながら叫んできた。
「はい、私の夫は人間なの」
俺の目を見ながら話していたリンスタットさんは、話を止め髪をかき上げると俺に耳を見せてきた。
そこには……リネラスのような丸い人間とは違う――セイレスと同じ尖った耳があり……。
「私達、エルフが生む子供は基本はエルフの女児しか生まれないの。だからオークが相手でも人間が相手でもドラゴンが相手でも生まれるのはエルフの女児だけなの」
「そうなんですか……」
そうすると、エルフは女性しかいない?
だから、エルフガーデンは男にとっては楽園とかセイレスとか黒板に書いてたのか?
今一、分からないな。
一つだけ分かるのは女エルフしか生まれないならエルフの遺伝子を持たないのが生まれてくるのはおかしいのではと思い「それなら、リネラスが精霊眼を持って生れてこなかったのはおかしいのでは?」と問いかけると、リンスタットさんは否定的な意味合いを込めて頭を振ってきた。
「そうでもないのよ……最近は、増えてきているの。魔力を見る事ができない普通の目――精霊眼を持たない子供が生まれる割合がね」
「なるほど……」
俺は、リンスタットさんの言葉を聞きながらリネラスも魔力を見る事が出来ないということに、少しだけ安堵していた。
「あ、もしかして……セイレスの妹のセレンも?」
「ええ、そうね――セレンちゃんも精霊眼を持たない子供ね。だから、迫害を受けないためにエルフガーデンを両親と共に出て行ったみたいね」
「迫害?」
「ええ、精霊眼をもたない子供は魔力が見れないから、日常的に魔力を使うエルフから見たら異端に映るの。だから私の夫もリネラスを連れて森の外に出ていったの」
なるほど……リネラスがフィンデイカの村にいたのは、そういうことだったのか。
「リンスタットさんは、その時に、一緒に着いていったりは?」
「それは……できないわ、5歳以下の捨てられた子達を連れてはエルフガーデンを出られないから……」
「そうですか」
つまり、昼間に出会った子供たちは捨てられた子供というわけか。
「いろいろとエルフガーデンも問題があるな……」
「ええ……それに私の夫が外に出たのはそれだけじゃないの」
「それだけじゃない?」
「ええ……忌避されている子供を多く育てている事もあって、エルフガーデン内に存在するエルフ村との取引が出来ないのよ」
「それはまた……」
ずいぶんと身勝手なものだな。
自分達が面倒を見ないから他人が面倒を見てると言うのに……。
どうやら俺が思ってた以上にエルフというのは利己的な種族なようだ。
生活物資も……ん?
「リンスタットさん。それでは必要な生活物資はどこから購入を?」
「えー……っと、それは……」
俺の問いかけにリンスタットさんは視線を逸らしてくる。
きっと色々とあるのだろう。「別に無理なら話す必要はないです」と、告げるとリンスタットさんは俯いたまま小さい声で「はい」と返事をしてきた。
「それにしても、エルフの繁殖方法というか……種の存続の仕方が他種族とは思いませんでした……」
「そ、そうじゃないのよ! え、えっとね……ま、前はいたの……」
リンスタットさんは、何故か顔を真っ赤にして顔を伏せている。
なるほど、たしかに……アライ村に侵攻してきたウラヌス十字軍の中にいた弓兵の男とかエルフって感じだったな……。
「たしかに、俺も耳が長い男を見たことはありますね」
おもにアライ村を責めてきたウラヌス十字軍の中で……。
「そ、そうなのね……」
「ですがどうして、前はいたのに今はいないんです?」
先ほどからずっと顔を真っ赤にして俯かせたまま両手の指先を交互に弄りながら、落ち着かずにいる。
「……げ……の……」
声が小さくて聞こえないな。
「あの、もう少し大きく話してもらえますか?」
「だから……逃げられたの!!」
リンスタットさんは顔を真っ赤にして瞳を潤ませながら叫んできた。
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