公爵令嬢は結婚したくない!
偽善の対価
私は意識を失い、初めて夢を見た。
人は知識を整理するために夢を見るという。
そんなどうでもいい知識はある。
そう、ただの知識。
私はずっと、この世界。
この異世界で生きてきたのに生きてはいなかった。
何故なら、私はずっと誰かの思いに気がつかず理解しようともせず、一人だけで生きてきたつもりでいた。
その結果、お父様やお母様にどれだけ愛されていたのかを理解せず、私は一人で生きていると勘違いしていた。
そして、私は選択肢を間違えた。
何故なら自分が起こした行動がどう影響を与えるのかまったく理解していなかったから。
私は、自嘲する。
どうしても私は……。
本当に私は愚かだ。
どれだけ人に迷惑をかけてきたのか理解せず、どれだけ愛されてきたのすら理解せず、他人のためにと国が、民の生活が良くなればと歩き続けた。
それがどれほど、歪んでいて愚かしい行為だと気がついていたはずなのに。
それを私の中にある知識が教えてくれているのに、どうしてそんな簡単な事を理解しなかったのか。
夢を見た。
自らの行いを理解せずに知識に頼り慢心し、ただ一人……無様に踊り続けた、自分の正義だけを信じて行動した愚かな道化者の夢を。
夢を見た。
自らの為に、他者を利用したことで歪みが生じ、関わってきた多くの者を不幸にした愚かな者の夢を。
夢を見た。
両親の愛情を理解せずに、傷つけていた。
両親にあんな顔をさせていた愚かな私の夢を……。
夢を見た。
偽善を行った結果、国の価値観を高める事で、国同士の均衡を崩した愚かな人間の者の夢を。
そう……そう。
私は、理解してしまった。
自身のために、自分のために行動してきた結果がこれだ。
両親や家族、民や国に迷惑をかけて戦争にまで成りえる状態にもっていった。
それのどこに、正当性があるのだろうか?
正当性なんてある訳がない。
自分のためにと理解していたのに、人のために行動しているという嘘で自分を騙していたに過ぎない。
だから私はあの時、自分が犯した罪を、私が作った白色魔宝石が軍事転用されていた事を知った時……。
違う。
人の魔力量の上昇を知った時から軍事転用される事は理解していた。
私は、そこから目を背けていたに過ぎない。
何故なら、この国には大国の庇護がないのだから。
自国を守るために軍備を強化するなんて少し考えれば分かること。
私は理解しながら分かっていながら供給して、軍事転用から目を背けていた。
何故なら、私が作った物の末路が人の死に繋がっているなんて耐えられなかったから。
私は笑う。
なんて醜くて醜悪で愚かな行為なのだろうか?
なんて自分勝手な考えなのだろうか?
自分の起こした行動の結末を理解しながら、そこから目を背け……そして誰かを批難する。
そして、自分の意見が通らなければ力で相手を恫喝する。
これのどこに正義が秩序があるというのか。
私は、自分の両手を見る。
その両手は真っ白であった……だけど……。
私には、どこまでも血に濡れ汚れているようにしか見えなかった。
私は、ずっと知識を利用し数字だけを見て動いてきた。
でも、それは正しいと言えるのか?
言えるわけがない。
正しい答えなんてある訳がない。
でも、そこから目を背けてはいけない。
私は、いずれこの国を出ていくからと言いわけをして、そこから目を背けてきた。
本当に私は愚かだ。
自分が国から出るための行動原理を、他人の生活や国の経済を上向きさせるという偽善で覆い尽くして目を背けていたのだから。
だから……。
私が、リースノット王国にいると、いずれ私の特異性が広がれば取りあいになって戦争に成る可能性がある。
 だから、私はこの国に、いたらいけない。
記憶を保持出来た事でようやく、自分自身が存在したらいけない者だと言う事に気がついた。
そこでようやく私が、本当にしないと行けない事を理解する。
そう……私は。
私はゆっくりと瞼を開ける。
部屋の中は暗く、お父様は私の看病をしたからなのか疲れて寝ているみたい。
お母様も、私の部屋に運び入れた白いソファーの上で座ったまま寝ている。
私は、体中に魔力を巡らせていく。
体中の魔力が以前よりも、鋭敏に澄んでいるのが手に取るように分かる。
理解できる。
そう、私の魔力の使い方は間違っていた。
それが何故か理解出来てしまった。
私は、お父様とお母様を起こさないようにそっと起きる。
そして窓に向けて歩く。
私はお父様とお母様の表情を見ながら、一度だけ目を伏せる。
アルドーラ公国と戦うのは、私だけでいい。
だから、自分の不始末は自分でつける。
それが唯一、私ができる償い。
私は窓を開け《身体強化》魔法を発動させて窓から飛び降りと下の芝生が、私の素足を受けとめてくれた。
私は一度だけ自分の部屋を見る。
そして、小さく言葉を紡ぐ。
「お父様、お母様。今まで育てて頂きありがとうございます。私は、自分が犯した不始末を片付けてきます。愛してくださりありがとうございました」
私はそれだけ呟いて、シュトロハイム家を後にした。
人は知識を整理するために夢を見るという。
そんなどうでもいい知識はある。
そう、ただの知識。
私はずっと、この世界。
この異世界で生きてきたのに生きてはいなかった。
何故なら、私はずっと誰かの思いに気がつかず理解しようともせず、一人だけで生きてきたつもりでいた。
その結果、お父様やお母様にどれだけ愛されていたのかを理解せず、私は一人で生きていると勘違いしていた。
そして、私は選択肢を間違えた。
何故なら自分が起こした行動がどう影響を与えるのかまったく理解していなかったから。
私は、自嘲する。
どうしても私は……。
本当に私は愚かだ。
どれだけ人に迷惑をかけてきたのか理解せず、どれだけ愛されてきたのすら理解せず、他人のためにと国が、民の生活が良くなればと歩き続けた。
それがどれほど、歪んでいて愚かしい行為だと気がついていたはずなのに。
それを私の中にある知識が教えてくれているのに、どうしてそんな簡単な事を理解しなかったのか。
夢を見た。
自らの行いを理解せずに知識に頼り慢心し、ただ一人……無様に踊り続けた、自分の正義だけを信じて行動した愚かな道化者の夢を。
夢を見た。
自らの為に、他者を利用したことで歪みが生じ、関わってきた多くの者を不幸にした愚かな者の夢を。
夢を見た。
両親の愛情を理解せずに、傷つけていた。
両親にあんな顔をさせていた愚かな私の夢を……。
夢を見た。
偽善を行った結果、国の価値観を高める事で、国同士の均衡を崩した愚かな人間の者の夢を。
そう……そう。
私は、理解してしまった。
自身のために、自分のために行動してきた結果がこれだ。
両親や家族、民や国に迷惑をかけて戦争にまで成りえる状態にもっていった。
それのどこに、正当性があるのだろうか?
正当性なんてある訳がない。
自分のためにと理解していたのに、人のために行動しているという嘘で自分を騙していたに過ぎない。
だから私はあの時、自分が犯した罪を、私が作った白色魔宝石が軍事転用されていた事を知った時……。
違う。
人の魔力量の上昇を知った時から軍事転用される事は理解していた。
私は、そこから目を背けていたに過ぎない。
何故なら、この国には大国の庇護がないのだから。
自国を守るために軍備を強化するなんて少し考えれば分かること。
私は理解しながら分かっていながら供給して、軍事転用から目を背けていた。
何故なら、私が作った物の末路が人の死に繋がっているなんて耐えられなかったから。
私は笑う。
なんて醜くて醜悪で愚かな行為なのだろうか?
なんて自分勝手な考えなのだろうか?
自分の起こした行動の結末を理解しながら、そこから目を背け……そして誰かを批難する。
そして、自分の意見が通らなければ力で相手を恫喝する。
これのどこに正義が秩序があるというのか。
私は、自分の両手を見る。
その両手は真っ白であった……だけど……。
私には、どこまでも血に濡れ汚れているようにしか見えなかった。
私は、ずっと知識を利用し数字だけを見て動いてきた。
でも、それは正しいと言えるのか?
言えるわけがない。
正しい答えなんてある訳がない。
でも、そこから目を背けてはいけない。
私は、いずれこの国を出ていくからと言いわけをして、そこから目を背けてきた。
本当に私は愚かだ。
自分が国から出るための行動原理を、他人の生活や国の経済を上向きさせるという偽善で覆い尽くして目を背けていたのだから。
だから……。
私が、リースノット王国にいると、いずれ私の特異性が広がれば取りあいになって戦争に成る可能性がある。
 だから、私はこの国に、いたらいけない。
記憶を保持出来た事でようやく、自分自身が存在したらいけない者だと言う事に気がついた。
そこでようやく私が、本当にしないと行けない事を理解する。
そう……私は。
私はゆっくりと瞼を開ける。
部屋の中は暗く、お父様は私の看病をしたからなのか疲れて寝ているみたい。
お母様も、私の部屋に運び入れた白いソファーの上で座ったまま寝ている。
私は、体中に魔力を巡らせていく。
体中の魔力が以前よりも、鋭敏に澄んでいるのが手に取るように分かる。
理解できる。
そう、私の魔力の使い方は間違っていた。
それが何故か理解出来てしまった。
私は、お父様とお母様を起こさないようにそっと起きる。
そして窓に向けて歩く。
私はお父様とお母様の表情を見ながら、一度だけ目を伏せる。
アルドーラ公国と戦うのは、私だけでいい。
だから、自分の不始末は自分でつける。
それが唯一、私ができる償い。
私は窓を開け《身体強化》魔法を発動させて窓から飛び降りと下の芝生が、私の素足を受けとめてくれた。
私は一度だけ自分の部屋を見る。
そして、小さく言葉を紡ぐ。
「お父様、お母様。今まで育てて頂きありがとうございます。私は、自分が犯した不始末を片付けてきます。愛してくださりありがとうございました」
私はそれだけ呟いて、シュトロハイム家を後にした。
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