ルーズリアの王太子と、傾いた家を何とかしたいあたし
19……ダンスのレッスンの総仕上げ
リティは目の前で踊る女装のティフィと兄のデュアンに目を見開く。
先程までは、リティはデュアンと、ティフィはクレスと踊っていたものの、リティは基本のレッスンに留まり、クレスは久々のダンスにギブアップした。
その為、代わりに従兄弟同士で踊っている。
「す、凄いです……」
「つ、疲れた……めっちゃきつい……俺は元々苦手で、デュアン先輩程上手くないんだ……」
「えっと、デビュタントの時は最初の曲で、その後は五つは踊ったでしょう?お兄ちゃん」
「だんだん難易度が上がってくるんだよな……このダンスは、シェールドの国王陛下と妃殿下が色々アレンジして、難易度上げまくってるダンスだよ」
「難易度が上がる?」
リティは父を見る。
「ん?あぁ、ほら、リー兄貴達も合流して踊るから見ているといい」
すると、同じ曲だというのに、振り付けにステップが変わっている。
「デュアンのダンスが元々基本のステップ。で、兄貴達はその基本のステップの中に、応用して複雑なステップや手の動きなんかを入れているんだ。この曲はデビュタントでは踊らないから大丈夫だぞ」
「ふわぁ……リー伯父さま凄いです。あの動きについていくお姉様も……私も踊れるようになるのでしょうか?」
「パパとやって見るか?基本のダンスはある程度決まっているから、それに、こちらの地方の円舞も踊れるようにならないといけないな」
「あ、円舞は、昔習いました。おじいちゃんが教えてくれて……昔の屋敷で、じいややばあや達と一緒に踊ったんです」
嬉しそうである。
「でも、ステップがかなり早い筈だが?」
「大丈夫ですよ」
「それに何回転するか……」
「えっと、多分、それなりに、です」
「じゃぁ、隅の方で踊るか、テンポは一緒だし」
と踊り出したが、今までの自信なげなダンスとは違い、嬉しそうにクルクルと回る。
そのダンスに、いつしか踊っていた四人も踊るのをやめ、見入る。
ステップも完璧でその上、普通なら二回転する部分では一回転多く、そして、一番の見せ場であるドレスの裾が大きく広がる回転では片足でクルクルと回り続ける。
普通、目が回る為、さほど回転はしないが、リティは頭を素早く動かして目が回らないようにして、もう一方の足でバランスをとりながら安定した回転を続け、曲が終わるとポーズを取り、優雅にお辞儀をした。
「……円舞の中心で踊れそうだね」
感心したようにリスティルは呟き、にっこりと、
「じゃぁ、ティフィと今年の円舞はセンターでお願いね」
とティアラーティアは告げる。
キョトンと、リティは父親を見上げる。
「パパ。センターって何ですか?」
「中央でダンスを踊るんだ。毎年、ティアラと兄貴が踊っていたが、リティがデビュタントの後の、もう一つのパーティで円舞を踊るんだ。ティフィがパートナーで」
「えぇぇぇ!でも、あれは、おじいちゃんが教えてくれて、そんなに踊ってないです……」
「というよりも、パパは、円舞であれだけの見事なダンスを踊れるのに、デビュタントのダンスが自信なげなのかが知りたい」
ミューゼリックの一言に周囲は頷く。
もじもじとして、
「パパとママとお兄ちゃん達に、きちんとしたダンスを見て貰いたいです」
「きちんとしてなくていいぞ?パパとママの娘ですって、パパ達が見せびらかしたいだけなんだ。頑張りすぎずに力みすぎず、今のように笑顔で踊って欲しいな」
「そうだよ。可愛かったよ?お兄ちゃんと踊ろうね」
「はい」
「じゃぁ、もう一度、今度は皆でと円舞を踊ってみようか」
四組の小さい円だが、作って踊り始める。
そして、幾つかダンスのレッスンは終わったのだった。
その後、子供達と合流し、当日のドレスの色などを決めつつ着替えをしたリティは、ラディ達とお菓子を食べたり、庭で遊んだのだった。
先程までは、リティはデュアンと、ティフィはクレスと踊っていたものの、リティは基本のレッスンに留まり、クレスは久々のダンスにギブアップした。
その為、代わりに従兄弟同士で踊っている。
「す、凄いです……」
「つ、疲れた……めっちゃきつい……俺は元々苦手で、デュアン先輩程上手くないんだ……」
「えっと、デビュタントの時は最初の曲で、その後は五つは踊ったでしょう?お兄ちゃん」
「だんだん難易度が上がってくるんだよな……このダンスは、シェールドの国王陛下と妃殿下が色々アレンジして、難易度上げまくってるダンスだよ」
「難易度が上がる?」
リティは父を見る。
「ん?あぁ、ほら、リー兄貴達も合流して踊るから見ているといい」
すると、同じ曲だというのに、振り付けにステップが変わっている。
「デュアンのダンスが元々基本のステップ。で、兄貴達はその基本のステップの中に、応用して複雑なステップや手の動きなんかを入れているんだ。この曲はデビュタントでは踊らないから大丈夫だぞ」
「ふわぁ……リー伯父さま凄いです。あの動きについていくお姉様も……私も踊れるようになるのでしょうか?」
「パパとやって見るか?基本のダンスはある程度決まっているから、それに、こちらの地方の円舞も踊れるようにならないといけないな」
「あ、円舞は、昔習いました。おじいちゃんが教えてくれて……昔の屋敷で、じいややばあや達と一緒に踊ったんです」
嬉しそうである。
「でも、ステップがかなり早い筈だが?」
「大丈夫ですよ」
「それに何回転するか……」
「えっと、多分、それなりに、です」
「じゃぁ、隅の方で踊るか、テンポは一緒だし」
と踊り出したが、今までの自信なげなダンスとは違い、嬉しそうにクルクルと回る。
そのダンスに、いつしか踊っていた四人も踊るのをやめ、見入る。
ステップも完璧でその上、普通なら二回転する部分では一回転多く、そして、一番の見せ場であるドレスの裾が大きく広がる回転では片足でクルクルと回り続ける。
普通、目が回る為、さほど回転はしないが、リティは頭を素早く動かして目が回らないようにして、もう一方の足でバランスをとりながら安定した回転を続け、曲が終わるとポーズを取り、優雅にお辞儀をした。
「……円舞の中心で踊れそうだね」
感心したようにリスティルは呟き、にっこりと、
「じゃぁ、ティフィと今年の円舞はセンターでお願いね」
とティアラーティアは告げる。
キョトンと、リティは父親を見上げる。
「パパ。センターって何ですか?」
「中央でダンスを踊るんだ。毎年、ティアラと兄貴が踊っていたが、リティがデビュタントの後の、もう一つのパーティで円舞を踊るんだ。ティフィがパートナーで」
「えぇぇぇ!でも、あれは、おじいちゃんが教えてくれて、そんなに踊ってないです……」
「というよりも、パパは、円舞であれだけの見事なダンスを踊れるのに、デビュタントのダンスが自信なげなのかが知りたい」
ミューゼリックの一言に周囲は頷く。
もじもじとして、
「パパとママとお兄ちゃん達に、きちんとしたダンスを見て貰いたいです」
「きちんとしてなくていいぞ?パパとママの娘ですって、パパ達が見せびらかしたいだけなんだ。頑張りすぎずに力みすぎず、今のように笑顔で踊って欲しいな」
「そうだよ。可愛かったよ?お兄ちゃんと踊ろうね」
「はい」
「じゃぁ、もう一度、今度は皆でと円舞を踊ってみようか」
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