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弟子入り



ミーシャと別れた後、再びプレイヤー達が出している露店のとこまで来た。目的の人物を見つけた私はその人物に声をかけた。

「あ、いたいた!お~い、おじさん~!」
「おう、嬢ちゃんか。てか、まだおじさんじゃねえって言ってんだろう」
「先ほどはありがとうございました。ガルドさんのおかげで無事解決できました」
「おじさんに対しては何もなしか…。まあいい、そいつはよかったな。ところで俺の名前教えてなかったはずだが…。あぁそうかミーシャの奴から聞いたのか」
「はい。あ、私の名前も教えてませんでしたね。名前はマチです」
「マチか、覚えたぜ。だが嬢ちゃんの方がしっくりくるからそう呼ばせてもらうぜ」




「ほう、首飾りから腕輪に変えたのか。確かにこれなら問題はなさそうだな。」
「はい。おじさんのおかげです」
「なに、俺は大したことはしていない。実際にやったのはミーシャだからな」
「それでもおじさんから教えてもらってなかったらミーシャさんと会うことができなかったので、その俺にこの肉を受け取ってもらえませんか?」
「おいおい、こりゃああの赤熊の肉か?さすがにこれは受け取れないぞ」
「私が持ってても何もできないので、おじさんに使ってもらうのが良いと思ったんです」
「……はぁ、わかったよ。でも、そのかわりしばらくは嬢ちゃんがここに来たときは無料タダだ」

「うぅ~わかりました」

さすがにただでは受け取れないと思ったがおじさんの態度から見て、これ以上は引いてくれなさそうだと判断してしぶしぶ頷いた。

「それじゃあ今日は本当にありがとうございました」
「いいってことよ。しばらくは赤熊の肉を出す予定だから嬢ちゃんも暇があったら顔を出してくれよ」
「はい、それじゃあまた来ますね」

焼き鳥屋のおじさんに手を振ってその場を後にした。





レベル上げをしたいが、まだ24時間経っていないので能力値半減の効果消えていないので何もすることがなく、とりあえず宿屋を探した。LWOではログアウトすると一時間くらいはその場に残るので基本的には宿屋の自室でログアウトするのが定石である。昨日ログアウトしたときは街中でしてしまい、危険な-街中ではPKプレイヤーキルやセクハラ行為は行うことはできないが-状態であった。
宿をとった後、自室に籠り、自分のステータスを確認した。赤熊を倒した後、レベルが上がっていたためレベルは8となりSPが8、APが4獲得していた。【刀】に6ポイント振ふってlvは15に、残りは【察知】に振ってlvは3となった。APはAGIに全部振った。【刀】がlv15となったので新しいスキルを獲得した。


・【居合切り】:刀を鞘に戻し、間合いに入った敵に対して刀を高速で抜き放つ 消費MP5



「だいぶ脳筋よりの能力値になってきてるなぁ。DEFが薄いから攻撃食らったら数発でHPが0になりそう。まぁ、あたらなきゃ大丈夫だよね」

と、自分のステータスを確認して能力値だけじゃなく思考でもだいぶ脳筋よりになっていた。
ポイントを振り終わった後、お金をそろそろ稼がないといけないと思い、インベントリに入っている残りのフォレストオオカミの素材をギルドに売りに行くために宿を後にした。


「冒険者ギルドへようこそ。本日はどのような御用でお越しになられましたか?」
「すみません、フォレストオオカミ素材の買い取りをお願いしたいんですけど、ここで大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ。どのくらい持ち来られましたか?」
「このくらいなんですけど」

「か、かなり大量ですね。か、鑑定しますので少々お待ちください」

ドンっと100個近くある素材をインベントリからカウンターに出したら若干引いた感じの受付のお姉さんが一旦、奥へ引っ込んだと思ったらもう一人を伴って戻ってきて二人で鑑定し始めた。少し自重したほうが良かったかなと反省して、心の中で受付のお姉さんに「ごめんね」と謝った。

「お待たせしました。全部で13400Gとなります」

鑑定に時間がかかりそうだと思ったのでクエストボードを見て時間をつぶしていると、鑑定を始めてから30分ぐらいが経ったころに声がかかった。

「ありがとうございます。それとこの依頼を受注したいんですけどいいですか?」
「はい、大丈夫ですよ。……お待たせしました、受注完了しました」

・フォレストオウル:5体 7000G 討伐した証として、証拠となるモンスターの一部を提出すること

鑑定してもらっている間にクエストボードを見ていたらちょうど良さそうななものを見つけたため、能力低下状態が治ったらまた森でレベル上げをしようと思い、この依頼を手に取って受付のお姉さんのところに出して受注した。
森でのレベル上げでのときに全部ポーションを使い切ってしまったのでポーションがないので明日も使うだろうと思い、補充するためにギルドを出てポーションが売られているお店のところまで来た。
ポーションはスキルで作ることができないのでプレイヤーではなくNPCがポーションを作って売っているのが特徴的である。
店の前まで来てみたところ、店の雰囲気が少しおかしいことに気づいた。怪訝に思いながらも店主のおばあちゃんに声をかけた。

「すみません、ポーションを買いに来たんですけど」
「ふん、冒険者なんぞにやるポーションなんてないね」
「なっ……」
「何を間抜けな顔を曝しているんだい。冒険者に売るもんなんかないよ。わかったらとっとと帰んな」
「り、理由教えてくれてもいいんじゃないですか?」

いきなりの態度に唖然とし、その後に続く門前払いな言葉に少しだけイラっとしながら理由を聞かないと納得できるはずもなく聞き返した。

「理由もクソもないね。あんたたち冒険者といったら私たちに対する態度が高圧的で上から目線でものを強要してくるんだよ。最初は我慢していたけど直る気配が全くないときた。流石にみんな我慢の限界だよ」
「ごめなさい…」
「なんであんたが謝るんだい。あんたは何もしてはおらんだろうに」
「でも、冒険者のこの街の住民に対する態度に気づかずに傍観していたんです。見逃していた私たちにも責任はあると思います」
「……あんたはほかの奴らとは違うみたいだね。名前はなんていうんだい」
「…マチです」
「マチだね、覚えたよ。ポーションは売る気はないからね。……だが、ポーションを売ることはできないが作り方を教えることはできるよ。どうするんだいマチ?」
「っ!…教えてくれるんですか!」

ゲームを始める際にヤーウェさんから街の人に対する注意を受けていたはずなのに、それに気づかないで既に手遅れといった現状に表情を暗くしていると、ポーション屋のおばあちゃんからの提案に俯いていた顔を上げた。

「ただし、あたしゃ厳しいよ。ついてこれなかったらすぐに追い出すからね」
「ありがとうございます!えっと……」
「あたしの名前はアルバだよ」
「ありがとうございますアルバさん!」
「ほら、ぼさっとしてないで中へお入り。みっちりしごいてやるさね」

私はアルバさんの後に続いて店の奥へと入っていった。








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