仲良しだった幼馴染の先輩は学園のマドンナになっていた

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誰もが憧れる存在

 俺こと、佐藤秀次には2歳年上の朝倉志保という幼馴染がいる。小学生ぐらいの頃は一緒にお風呂に入るくらいの仲だ。

 「おれ、志保ねぇのこと大好きだよ」

 「私もよ祐希くん」

 こんなやり取りをしたのももう随分昔のような気がするな。今となっては....やばい、めっちゃくちゃ恥ずかしい_____

 そんな志保とは小中学校の頃は学校同士も近く、毎日一緒に登下校をするくらいには仲も良かったのだが....うん仲良かったよね?
 
 俺が中学2年になった時に志保ねぇが高校生になるのは必然だった。電車通学になったこともあり会う機会も段々と減っていく。中3になる頃にはまともに顔を合わせることもなくなった。

 でも、別に意識していた訳ではない。そう思いたいところだが結局高校は志保ねぇと同じ高校を志望した。県内でも屈指の名門校だった為、俺は必死に勉学に励んだ。

 結果は無事に「合格」の二文字。まだまだ短い人生だが、間違いなく俺は今ままで1番の喜びに浸っていた。


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 そんなこんなで無事に入学式を向かえた俺は久しぶりに志保ねぇの姿を目撃する。

 「生徒会長の朝倉志保です。分からないこと、不慣れなこともたくさんあるとは思いますが遠慮せずに私たち上級生を頼ってくださいね」

 生徒会長になっていた志保ねぇはとにかく美人だった。それにしばらく見ないうちに男の夢が詰まっている色々な所が成長していた....あっもうこのまま死んでもいいかも____\

 なんて馬鹿なことを考えていると同じ新入生である周りの男子が騒ぎ始めていた。

 「あれが噂の生徒会長か....」
 「絶対に仲良くなって会長と付き合うんだ!」
 「は、鼻血が.....ちょっとトイレ行ってくる」
 「俺、あの会長と仲良くなるためにこの学校に来たんだ!」
 
 こんな感じに似たようなことを考えている野郎どもがたくさんいる。勿論俺もその1人なのだが....

 でも本当に美人だ。動作一つ一つは由緒正しきお嬢さまって感じだがその声、口調はどこか親しみやすい雰囲気をかもしだしていて周りの人からの信頼が厚そうな、そんな印象だった。
 
 俺、あんな人が幼馴染なのか。でももう関わる機会もあまりないだろうなぁ。しかもあの外見だ、彼氏の1人ぐらいいるだろう。はぁぁぁぁ........

 自分で考えて落ち込むなんてことを頭の中でしているとようやく入学式が終わった。





 その日はクラス別に別れて自己紹介や書類の配布などをした。

 「秀次っていうのか、よろしくな!」

 「こちらこそよろしくね、えっと....春樹でいい?」

 「おう」

 隣の席の木村春樹と好きな音楽が一緒だったこともありすぐに仲良くなった。いきなり友達の1人も作れない!なんてことにならなくて良かったぁ。そう安心していると

 「おい、ここの生徒会長すげぇ美人じゃないか?」

 お前もか.....確かに100人に100人は好意を抱くようなそんな人だけど。

 「そうだね、やっぱりみんなしほ....会長を狙ってこの学校を選んだのかな?」

 「流石に全員がって訳じゃないと思うが少なくないと思うぞ」

 「ふーん。やっぱり春樹も?」

 「いや、 俺は今日始めて会長のことを知ったし見たしな。あれは誰でも惚れるだろ」

  みんな同じことを考えているらしい。

 「彼氏いるのかなぁ。いるんだろうなぁ。羨ましいなぁ」

 そんな春樹の独り言を聞きながら俺は付き合うまでは行かなくても、ヨリを戻したい。そう思った。

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