妹はこの世界でただ一人の味方
フロ
俺は思い出していた。幽霊の基準というものを。確か幽霊とはこの世に未練や恨みがあって成仏できない死者が幽霊というはずだと思っていた。まああながち間違いではなかったんだろうけど拍子抜けした。
今俺たち(結衣とカラカラ)の目の前にいるのは紛れもない幽霊。触ろうとしたら触れず空を切ったからそれはわかった。けれど未練があるならそれを達成させようと行動し、恨みがあるならそいつを殺すようになんらかの事をすると思ってた俺だったが、案外幽霊というのは自由気ままらしい。少なくとも目の前にいる幽霊は寝ていて随分と気持ち良さそうだった。これを起こす事が出来ない自分に少し苛立った。
時は少し遡り午前3時
3人(?)で待っていると一筋の淡い光が飛んでくるのを全員が確認した。学は幽霊などを信じておらず、蛍くらいの感覚で見て、カラカラは見慣れているので何も感じなかった。結衣はというと・・・
「お、お兄ちゃん・・・なんかいるよぉ。」
お、結衣が泣きそうな声で言ってきたな。それに腕に抱きついてきてくれるなんて嬉しい限りだ。普段なら許さないが今はお礼を言っておこう。
幽霊さん・・・いや、幽霊様。有難う御座います。お陰で妹の可愛い姿を見る事が出来ました。
学のお礼が届いたのか、その光は学たちの方に向かってきた。
「きゃぁぁぁぁ! お兄ちゃん!お兄ちゃん!近づいてきた! 来ないでぇ!」
光が近づいてきたお陰で・・・せいで結衣が俺の腕から体に抱きつく場所を泣きながら変えた。可愛くもあったが、結衣は辛いだけだろう。俺の胸に顔を埋めている結衣の体をそっと抱きしめてその光をじっと見つめていた。
ある程度予想していたがその光が近づいてきて見えるようになるとあの店員が光ってるものだと分かった。普通に気持ち悪いな、
「・・・何やってんだよ。ていうか屋敷ないことになってんだがどういう事だよ。」
「最初に俺の事を見ると騒ぎだしてこの家を飛び出す人もいたが、お前は違うみたいだな。シスコ・・・そんな目で見るなよ。お前の質問に関してだが、色々とここにいるってのがバレるとめんどくさそうだから今日全ての記録を変えた。」
記録を?
「そりゃすごい事だが、もしかして記憶も消したのか?前門番と話していると屋敷の事を知ってそうな雰囲気だったんだが。」
「ああ。それも消した。正確にいうなら書き換えた・・・だけどな。」
まじか。人々の記憶に干渉するスキルは俺でも作れなかったのに。確か俺が作れるのはあくまでそのスキルを二人以上が持つ場合のものだ。ユニークスキルは世界で一人だけ。ということは・・・
「まさか幽霊にまでなってユニークスキルが使えるとは・・・どんなチートだよ。」
「よくこの短時間で分かったな。さっきも同じような事を言ったがお前は幽霊を怖がらないんだな。」
確かに俺の考えは覆った。幽霊なんていないと思ってたからな。だけどまだ引っかかる事がある。
「それなんだけど、別に幽霊っていっても大したことないしてないだろ。浮いて、体光ってるだけじゃねぇか。そんなの俺でも出来るからな。怖くもなんともない。・・・それに結衣に無様な姿見せられないだろってお前よくも結衣を泣かしたな!なんか結衣がお前だと分かった瞬間離れたしよぉ・・・もっとこう・・・焦らしが欲しかったんだけど!」
あの怖がっている結衣をもっと見てたかったのに! あともう少し抱きつかれてたかった!
「なんか悪い事をしてしまったな・・・いや、俺が悪いのか?」
「悪いに決まってるだろ! この女神級で他のクソみたいな女とは違って純粋で可憐な心と体をもった女の子だぞ!貴様その女神級の泣き姿見たことあるのか!?あ゛あ゛!?」
「ちょっとお兄ちゃん! 私そんなに可愛くないから!適当な事言わないで!」
「結衣は黙ってろ!自分で自分を見下しちゃただの世界1の美人さんになっちゃうぞ! 結衣は女神なんだ! 崇められて当然なんだぞ!」
学が若干のシスコンっぷりを見せ、店員が少し引いていると結衣は許可が欲しそうに学を見つめた。それを学は縦に頷いて許可した。結衣はもう怖がっている様子を見せなかった。
「店員さん。名前はなんていうの?会話するときに不便で。」
おお! すっかり忘れてた。興味がなかったからだな。興味があるのは基本結衣のことだけだからな。
「俺はフーロック・レジンパーだ。生きてる頃にはフロと呼ばれてた。」
フロ・・・風呂。一区切りしたら風呂にでも入りに行くか。
「フロさんはなんでここにいるんですか?」
「まあこの屋敷は俺のだったんだが、ある日盗賊に襲われて奪われたんだ。独り身だったから別に悲しくはなかったんだが、誰にも見られたくないものがあってな。それを取り返さないとって思ったら幽霊になってた。」
それは面白いなーーーってそんな事で幽霊になれるの!?驚きだわ。
「フロさん。何を取り返したいんですか?」
ナイスだカラカラ。俺も気になってたんだよお。
「写真なんだが・・・昔死んだ親との写真でな。今でこそ簡単に出来るが昔は大金を払わないと撮ることができなかったんだ。それがいい思い出でさ。」
「はいはい。ストップ。家族がらみの話は終わりだ終わり。」
家族の話は結衣へのダメージがでかいはず。むやみに話をするような事じゃない。
「で?その写真を探すためにここにいると?」
「まあ半分正解だな。めんどくさいことにこの屋敷は大きいからな。探すのを手伝ってもらおうとしたんだ。あ、ちなみに盗賊たちは殺しておいたから新しく来ない限りは大丈夫だ。」
殺すってお前・・・そんな簡単に殺すとか言うなよ。人は一生懸命生きているんだぞ。それを殺すなんて人のすることじゃない。
自分の事を棚に上げて言う学をほったらかしにして話を進めるフロ。
「まあと言うわけでそれが見つかるまではここにいる予定だからよろしく。」
「「「・・・」」」
3人はその言葉に頷きつつ、戸惑っているのだった。
-------------------------------------------
以下作者のコメント
今親戚の家に行ってるんですけどそこで親に部屋にこもるなと言われ、書く時間がありませんでした。明日は30%の確率で投稿ができません。すいません。
隙をみてちょっとずつ書いてたんですけどこれから映画を見るのでここで区切っておきます。
今から言っておきますが、新年は番外編を投稿します。
親戚の家はお金をもらうために行くんですよね。でなければ犬アレルギーと猫アレルギーを持つ作者が両方飼っている家になんか行きませんよ。
あんまり長くいなくなると疑われるのでここら辺で失礼します。
いいね、コメント、フォローお願いします。
あと、フォロー数よりいいねの数が上回りました。やったね! 
今俺たち(結衣とカラカラ)の目の前にいるのは紛れもない幽霊。触ろうとしたら触れず空を切ったからそれはわかった。けれど未練があるならそれを達成させようと行動し、恨みがあるならそいつを殺すようになんらかの事をすると思ってた俺だったが、案外幽霊というのは自由気ままらしい。少なくとも目の前にいる幽霊は寝ていて随分と気持ち良さそうだった。これを起こす事が出来ない自分に少し苛立った。
時は少し遡り午前3時
3人(?)で待っていると一筋の淡い光が飛んでくるのを全員が確認した。学は幽霊などを信じておらず、蛍くらいの感覚で見て、カラカラは見慣れているので何も感じなかった。結衣はというと・・・
「お、お兄ちゃん・・・なんかいるよぉ。」
お、結衣が泣きそうな声で言ってきたな。それに腕に抱きついてきてくれるなんて嬉しい限りだ。普段なら許さないが今はお礼を言っておこう。
幽霊さん・・・いや、幽霊様。有難う御座います。お陰で妹の可愛い姿を見る事が出来ました。
学のお礼が届いたのか、その光は学たちの方に向かってきた。
「きゃぁぁぁぁ! お兄ちゃん!お兄ちゃん!近づいてきた! 来ないでぇ!」
光が近づいてきたお陰で・・・せいで結衣が俺の腕から体に抱きつく場所を泣きながら変えた。可愛くもあったが、結衣は辛いだけだろう。俺の胸に顔を埋めている結衣の体をそっと抱きしめてその光をじっと見つめていた。
ある程度予想していたがその光が近づいてきて見えるようになるとあの店員が光ってるものだと分かった。普通に気持ち悪いな、
「・・・何やってんだよ。ていうか屋敷ないことになってんだがどういう事だよ。」
「最初に俺の事を見ると騒ぎだしてこの家を飛び出す人もいたが、お前は違うみたいだな。シスコ・・・そんな目で見るなよ。お前の質問に関してだが、色々とここにいるってのがバレるとめんどくさそうだから今日全ての記録を変えた。」
記録を?
「そりゃすごい事だが、もしかして記憶も消したのか?前門番と話していると屋敷の事を知ってそうな雰囲気だったんだが。」
「ああ。それも消した。正確にいうなら書き換えた・・・だけどな。」
まじか。人々の記憶に干渉するスキルは俺でも作れなかったのに。確か俺が作れるのはあくまでそのスキルを二人以上が持つ場合のものだ。ユニークスキルは世界で一人だけ。ということは・・・
「まさか幽霊にまでなってユニークスキルが使えるとは・・・どんなチートだよ。」
「よくこの短時間で分かったな。さっきも同じような事を言ったがお前は幽霊を怖がらないんだな。」
確かに俺の考えは覆った。幽霊なんていないと思ってたからな。だけどまだ引っかかる事がある。
「それなんだけど、別に幽霊っていっても大したことないしてないだろ。浮いて、体光ってるだけじゃねぇか。そんなの俺でも出来るからな。怖くもなんともない。・・・それに結衣に無様な姿見せられないだろってお前よくも結衣を泣かしたな!なんか結衣がお前だと分かった瞬間離れたしよぉ・・・もっとこう・・・焦らしが欲しかったんだけど!」
あの怖がっている結衣をもっと見てたかったのに! あともう少し抱きつかれてたかった!
「なんか悪い事をしてしまったな・・・いや、俺が悪いのか?」
「悪いに決まってるだろ! この女神級で他のクソみたいな女とは違って純粋で可憐な心と体をもった女の子だぞ!貴様その女神級の泣き姿見たことあるのか!?あ゛あ゛!?」
「ちょっとお兄ちゃん! 私そんなに可愛くないから!適当な事言わないで!」
「結衣は黙ってろ!自分で自分を見下しちゃただの世界1の美人さんになっちゃうぞ! 結衣は女神なんだ! 崇められて当然なんだぞ!」
学が若干のシスコンっぷりを見せ、店員が少し引いていると結衣は許可が欲しそうに学を見つめた。それを学は縦に頷いて許可した。結衣はもう怖がっている様子を見せなかった。
「店員さん。名前はなんていうの?会話するときに不便で。」
おお! すっかり忘れてた。興味がなかったからだな。興味があるのは基本結衣のことだけだからな。
「俺はフーロック・レジンパーだ。生きてる頃にはフロと呼ばれてた。」
フロ・・・風呂。一区切りしたら風呂にでも入りに行くか。
「フロさんはなんでここにいるんですか?」
「まあこの屋敷は俺のだったんだが、ある日盗賊に襲われて奪われたんだ。独り身だったから別に悲しくはなかったんだが、誰にも見られたくないものがあってな。それを取り返さないとって思ったら幽霊になってた。」
それは面白いなーーーってそんな事で幽霊になれるの!?驚きだわ。
「フロさん。何を取り返したいんですか?」
ナイスだカラカラ。俺も気になってたんだよお。
「写真なんだが・・・昔死んだ親との写真でな。今でこそ簡単に出来るが昔は大金を払わないと撮ることができなかったんだ。それがいい思い出でさ。」
「はいはい。ストップ。家族がらみの話は終わりだ終わり。」
家族の話は結衣へのダメージがでかいはず。むやみに話をするような事じゃない。
「で?その写真を探すためにここにいると?」
「まあ半分正解だな。めんどくさいことにこの屋敷は大きいからな。探すのを手伝ってもらおうとしたんだ。あ、ちなみに盗賊たちは殺しておいたから新しく来ない限りは大丈夫だ。」
殺すってお前・・・そんな簡単に殺すとか言うなよ。人は一生懸命生きているんだぞ。それを殺すなんて人のすることじゃない。
自分の事を棚に上げて言う学をほったらかしにして話を進めるフロ。
「まあと言うわけでそれが見つかるまではここにいる予定だからよろしく。」
「「「・・・」」」
3人はその言葉に頷きつつ、戸惑っているのだった。
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以下作者のコメント
今親戚の家に行ってるんですけどそこで親に部屋にこもるなと言われ、書く時間がありませんでした。明日は30%の確率で投稿ができません。すいません。
隙をみてちょっとずつ書いてたんですけどこれから映画を見るのでここで区切っておきます。
今から言っておきますが、新年は番外編を投稿します。
親戚の家はお金をもらうために行くんですよね。でなければ犬アレルギーと猫アレルギーを持つ作者が両方飼っている家になんか行きませんよ。
あんまり長くいなくなると疑われるのでここら辺で失礼します。
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コメント
さらだ
何のことでしょうか(真顔)
六月 純
兄さん!簡単に人を殺すなよ!笑