そのゴーレム、元人間につき
終戦
オーク、トレントを降伏させ、宣言するように促し奴等はこの場から去っていった。
思ったより素直に言うことを聞いてくれたので助かる。
俺としてはもう少し戦っても良かったがあんまり戦い戦い言ってるとどこぞの酒好きオーガと同じになるので止めた。
戦いは早く終わるに越したことは無いからな。
そんで今、木の影に隠れているゴブリンだ。
じっと俺を見ているんだが一応は気づかないふりをしている。
なんか関わると面倒な事になりそうだし、もう用事もないし帰ろう。
そう考えた俺は近くのトレントではない普通の木を曲げ、大砲の準備をしていざ飛び立たんとする。
「ま、待ってくれ!」
……飛ぶ。
──ビュンッ!
重力に逆らい、本来の重さも感じさせない程の威力で真上に上がり森に向かいって飛ぶ。
風を切る音と共に飛び立った俺の眼前には広大な草原と澄み渡る空が広がっている。
うん、景色は変わらんが綺麗だな。
向こう側には少し集団が見えるので恐らく角、牙達とオーク、ゴブリンの群れだろう。
さて、飛ばしたオークとトレントの親玉コンビは快適な空の旅を満喫してくれただろうか。
飛ばしたのは俺の行き先である森だが、まあ大体で飛ばしたからな、明確な落下地点は知らん。
そこは気合いで頑張ってもらいたい訳だよ。
「ひ、ひぇええ! 止めてくれぇ!」
ん? こんな俺一人しかいない大空で声なんて聞こえる訳が無いんだけどな。
こんなに耳が良かったっけか? 気のせいだな、まさに空耳だ。
「は! 話きけよ!」
うるさいな、何だよ、話?
まず姿見せろやコラ、話はそっからだっつーの。
若干頭にきているが、独り言になって聞かれるのも恥ずかしいので黙って飛んでおこう。
逆に誰がこんな空の上で聞くんだろうか……ドラゴン? そんなもんが行きなり出たら死ぬな、あっはっは。
さっきから思っているが左足が微妙に重い気がする、姿勢も左に傾いてる感じがするし、まさか木を引っ付けたまま飛んできてしまったのだろうか。
俺は左足の方を見るが、なんか緑色の物体がくっついている。
うわ、気持ち悪。
なんだこれ。
するとその緑色の物体はもぞもぞと動きだしそこから現れた顔と目が合った。
「やっと、こっち向いたか」
知らんぷりだな、面倒だ。
「おい! 無視すんな! ちゃんと存在確認しただろう!」
はぁ、やれやれ、どうせ暇だ相手してやるか。
「なんだ? 無断乗車は罰金がペナルティが有るぞ、死ぬか半殺しどちらか選べ」
「どっちもどっちじゃねぇか! お断りだ! 話を聞けよ!」
「お前は俺を見ていたゴブリンか、何の様だ、どっち道落とされるんだから悔いの残らないようにな」
「あぁ、実は……って! 落とすの確定かよ! 元はと言えばお前が勝手に飛んだんだろ!」
「どのタイミングで飛ぼうが俺の自由だろ。それともなんだ、お前らの森には飛躍禁止か」
「うぐっ……そう言われるとそうだけど、お前明らかに俺を無視しただろう!」
「面倒事は御免なんでな」
「もっと優しくしろよ!」
なんで見ず知らずのやつに優しくしなきゃいけないのやら。
ワガママにも程がある。
話も進まないので俺は話を聞くことにする。
その後落とす。
「で、話ってのは? このままじゃ埒があかん」
「お前が聞かなかったんだろ! ……まぁ良い、話ってのは戦争の事だ! 俺達は負けたけどその後はどうなるんだ?」
「そんなこと俺が知るかよ。……丁度責任者の所に帰るからそこまで来い」
一応はこの戦いって長く続いていたらしいな。
コイツらからすれば歴史的な問題なのだろうか、俺にとってはどっちでも良いので、ここは尻尾に丸投げしよう。
そしてコイツはそんなことの為にわざわざ引っ付いて来たのか、どこぞの女冒険者じゃあるまいし。
「もしかして全員殺すとかは無いよな?」
「それ俺に聞くか? わかんねぇよ」
戦争の終わった後の交渉とか知らない。
捕虜にして敵に交渉を持ちかけるとかは分かるが今回のは全面降伏だからな、下手すりゃ殲滅かなぁ。
面倒だから参加しないぞ。
「全員殺すとしたらどうするんだ? 先に今死んでおくか?」
「ホントに発想が物騒だな! 出来れば殺さないでくれ。オークもトレントも糞だったけど殺されると寝覚めが悪くなるんだ」
優しいのか優しく無いのか分からないな。
俺は寝ないので別に寝覚めが悪くなることはない。
でもなぁ、目の前で惨殺見るのはちょっと、食欲が……無いな、食欲もなかった。
「それは自分で交渉してくれ。しかし、気になるな、お前、ゴブリンの癖によくそんなに物事が考えられるな?」
「相棒……お前が殺したゴブリンと俺は何故か頭が良かったんだ」
そこからゴブリンの話を聞いて……いや聞かされた。
なんでも頭が良かったら取り敢えず良い予感はしなかったから黙っていたんだと、すこぶるどうでも良い。
あとこのゴブリン、俺が先日吹き飛ばした奴だったらしく、取り敢えず俺は話が通じそうだったのでついてきたっぽい。
そんな話を一方的に去れていると眼前にオーク、ゴブリンの群れとオーガ、グラスウルフの群れが真下に来た。
喧嘩は終わっているらしい、寧ろオーク、ゴブリンは囲まれている。
あれなら迂闊には動けないわな。
しっかり者の牙がいるし、ここは何とかなるだろう。
この群れが激突したのは森を出てすぐだからもうすぐ着くだろう。
というか、もう見えてるし。
「これ、早いけどそのせいで俺死にかけたんだからな!」
「行きなり攻撃してくるお前が悪い」
ゴブリンを適当にあしらっていると高度が下がっているのが分かる。
結構良い地点で着陸することが出来そうだな。
それから数分して森の木の枝に体を打たれながらも森の中に入っていき、着陸する。
その前に足を振り、引っ付いているゴブリンを叩き落とし、見事に着地に成功する。
俺の方は別に枝が当たろうと当たらなかろうと痛みがないので問題はない。
ゴブリン? 死んだんじゃね? いや、落とすって最初に言ったからな、残り2、3メートルで落とされただけ感謝してほしい。
わざわざ探して案内する必要も無いので、そのまま歩いていく事にする。
「さて、どこに集まっているのやら……っと、いたいた」
上手いこと行ったらしい。
数十メートル先で尻尾がオークとトレントと向かい合っている。
向こうは戦闘体制だけどな、恩を仇で返しやがって。
恩を売った覚えはないが。
オークの方が槍を構えて突きを放ち、尻尾は普通にかわす。
トレントの方も蔦を伸ばし縦横無尽に攻撃しているが尻尾に攻撃は当たらない。
うーん、ありゃ幻覚使ってるな。
それと周りに少しずつ妖狐が集まっている。
俺が何をするわけでもなく終わるだろう。
「クソッ! 全然当たらねぇ!」
「どうなってるのよ! ただの狐ごときに私達が翻弄されてるわよ!」
「ちょっと調子に乗りすぎたねぇ、君達ごときじゃ私にはもう勝てないよぉ」
いつの間にか親玉コンビの後ろに現れた尻尾は手を叩いた。
すると待機していた妖狐達が縄を投げ、拘束。
そして縄へと火をつけ、親玉コンビを燃やす。
火力は弱めだが微妙に痛い奴だなあれ。
「──塵芥戦術焔・改」
何やら格好着けて技名を述べる尻尾に俺は話しかける。
「これってあんなに食らう技なんだな」
「おや、ランド君見ての通り凝らしめている最中さ。まぁ本来は跡形も残らないんだよ? 君がおかしいのさ」
その後、2、3分ほどじっくり炙って解放すると流石にもう抵抗はしなくなった。
と言うよりも俺を見た瞬間に縮こまった。
さて、これで話はしやすくなっただろうな。
思ったより素直に言うことを聞いてくれたので助かる。
俺としてはもう少し戦っても良かったがあんまり戦い戦い言ってるとどこぞの酒好きオーガと同じになるので止めた。
戦いは早く終わるに越したことは無いからな。
そんで今、木の影に隠れているゴブリンだ。
じっと俺を見ているんだが一応は気づかないふりをしている。
なんか関わると面倒な事になりそうだし、もう用事もないし帰ろう。
そう考えた俺は近くのトレントではない普通の木を曲げ、大砲の準備をしていざ飛び立たんとする。
「ま、待ってくれ!」
……飛ぶ。
──ビュンッ!
重力に逆らい、本来の重さも感じさせない程の威力で真上に上がり森に向かいって飛ぶ。
風を切る音と共に飛び立った俺の眼前には広大な草原と澄み渡る空が広がっている。
うん、景色は変わらんが綺麗だな。
向こう側には少し集団が見えるので恐らく角、牙達とオーク、ゴブリンの群れだろう。
さて、飛ばしたオークとトレントの親玉コンビは快適な空の旅を満喫してくれただろうか。
飛ばしたのは俺の行き先である森だが、まあ大体で飛ばしたからな、明確な落下地点は知らん。
そこは気合いで頑張ってもらいたい訳だよ。
「ひ、ひぇええ! 止めてくれぇ!」
ん? こんな俺一人しかいない大空で声なんて聞こえる訳が無いんだけどな。
こんなに耳が良かったっけか? 気のせいだな、まさに空耳だ。
「は! 話きけよ!」
うるさいな、何だよ、話?
まず姿見せろやコラ、話はそっからだっつーの。
若干頭にきているが、独り言になって聞かれるのも恥ずかしいので黙って飛んでおこう。
逆に誰がこんな空の上で聞くんだろうか……ドラゴン? そんなもんが行きなり出たら死ぬな、あっはっは。
さっきから思っているが左足が微妙に重い気がする、姿勢も左に傾いてる感じがするし、まさか木を引っ付けたまま飛んできてしまったのだろうか。
俺は左足の方を見るが、なんか緑色の物体がくっついている。
うわ、気持ち悪。
なんだこれ。
するとその緑色の物体はもぞもぞと動きだしそこから現れた顔と目が合った。
「やっと、こっち向いたか」
知らんぷりだな、面倒だ。
「おい! 無視すんな! ちゃんと存在確認しただろう!」
はぁ、やれやれ、どうせ暇だ相手してやるか。
「なんだ? 無断乗車は罰金がペナルティが有るぞ、死ぬか半殺しどちらか選べ」
「どっちもどっちじゃねぇか! お断りだ! 話を聞けよ!」
「お前は俺を見ていたゴブリンか、何の様だ、どっち道落とされるんだから悔いの残らないようにな」
「あぁ、実は……って! 落とすの確定かよ! 元はと言えばお前が勝手に飛んだんだろ!」
「どのタイミングで飛ぼうが俺の自由だろ。それともなんだ、お前らの森には飛躍禁止か」
「うぐっ……そう言われるとそうだけど、お前明らかに俺を無視しただろう!」
「面倒事は御免なんでな」
「もっと優しくしろよ!」
なんで見ず知らずのやつに優しくしなきゃいけないのやら。
ワガママにも程がある。
話も進まないので俺は話を聞くことにする。
その後落とす。
「で、話ってのは? このままじゃ埒があかん」
「お前が聞かなかったんだろ! ……まぁ良い、話ってのは戦争の事だ! 俺達は負けたけどその後はどうなるんだ?」
「そんなこと俺が知るかよ。……丁度責任者の所に帰るからそこまで来い」
一応はこの戦いって長く続いていたらしいな。
コイツらからすれば歴史的な問題なのだろうか、俺にとってはどっちでも良いので、ここは尻尾に丸投げしよう。
そしてコイツはそんなことの為にわざわざ引っ付いて来たのか、どこぞの女冒険者じゃあるまいし。
「もしかして全員殺すとかは無いよな?」
「それ俺に聞くか? わかんねぇよ」
戦争の終わった後の交渉とか知らない。
捕虜にして敵に交渉を持ちかけるとかは分かるが今回のは全面降伏だからな、下手すりゃ殲滅かなぁ。
面倒だから参加しないぞ。
「全員殺すとしたらどうするんだ? 先に今死んでおくか?」
「ホントに発想が物騒だな! 出来れば殺さないでくれ。オークもトレントも糞だったけど殺されると寝覚めが悪くなるんだ」
優しいのか優しく無いのか分からないな。
俺は寝ないので別に寝覚めが悪くなることはない。
でもなぁ、目の前で惨殺見るのはちょっと、食欲が……無いな、食欲もなかった。
「それは自分で交渉してくれ。しかし、気になるな、お前、ゴブリンの癖によくそんなに物事が考えられるな?」
「相棒……お前が殺したゴブリンと俺は何故か頭が良かったんだ」
そこからゴブリンの話を聞いて……いや聞かされた。
なんでも頭が良かったら取り敢えず良い予感はしなかったから黙っていたんだと、すこぶるどうでも良い。
あとこのゴブリン、俺が先日吹き飛ばした奴だったらしく、取り敢えず俺は話が通じそうだったのでついてきたっぽい。
そんな話を一方的に去れていると眼前にオーク、ゴブリンの群れとオーガ、グラスウルフの群れが真下に来た。
喧嘩は終わっているらしい、寧ろオーク、ゴブリンは囲まれている。
あれなら迂闊には動けないわな。
しっかり者の牙がいるし、ここは何とかなるだろう。
この群れが激突したのは森を出てすぐだからもうすぐ着くだろう。
というか、もう見えてるし。
「これ、早いけどそのせいで俺死にかけたんだからな!」
「行きなり攻撃してくるお前が悪い」
ゴブリンを適当にあしらっていると高度が下がっているのが分かる。
結構良い地点で着陸することが出来そうだな。
それから数分して森の木の枝に体を打たれながらも森の中に入っていき、着陸する。
その前に足を振り、引っ付いているゴブリンを叩き落とし、見事に着地に成功する。
俺の方は別に枝が当たろうと当たらなかろうと痛みがないので問題はない。
ゴブリン? 死んだんじゃね? いや、落とすって最初に言ったからな、残り2、3メートルで落とされただけ感謝してほしい。
わざわざ探して案内する必要も無いので、そのまま歩いていく事にする。
「さて、どこに集まっているのやら……っと、いたいた」
上手いこと行ったらしい。
数十メートル先で尻尾がオークとトレントと向かい合っている。
向こうは戦闘体制だけどな、恩を仇で返しやがって。
恩を売った覚えはないが。
オークの方が槍を構えて突きを放ち、尻尾は普通にかわす。
トレントの方も蔦を伸ばし縦横無尽に攻撃しているが尻尾に攻撃は当たらない。
うーん、ありゃ幻覚使ってるな。
それと周りに少しずつ妖狐が集まっている。
俺が何をするわけでもなく終わるだろう。
「クソッ! 全然当たらねぇ!」
「どうなってるのよ! ただの狐ごときに私達が翻弄されてるわよ!」
「ちょっと調子に乗りすぎたねぇ、君達ごときじゃ私にはもう勝てないよぉ」
いつの間にか親玉コンビの後ろに現れた尻尾は手を叩いた。
すると待機していた妖狐達が縄を投げ、拘束。
そして縄へと火をつけ、親玉コンビを燃やす。
火力は弱めだが微妙に痛い奴だなあれ。
「──塵芥戦術焔・改」
何やら格好着けて技名を述べる尻尾に俺は話しかける。
「これってあんなに食らう技なんだな」
「おや、ランド君見ての通り凝らしめている最中さ。まぁ本来は跡形も残らないんだよ? 君がおかしいのさ」
その後、2、3分ほどじっくり炙って解放すると流石にもう抵抗はしなくなった。
と言うよりも俺を見た瞬間に縮こまった。
さて、これで話はしやすくなっただろうな。
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