そのゴーレム、元人間につき
会議
ゴブリンが星になった2日後、ここ最近定期的に開かれる会議と言う名目の世間話をするための集まりに俺とエマは参加している。
世間話だけではなくちゃんとこれからの方針などを決める為に集まる事もあるのだが別段冒険者が来るわけでもないので基本的になんの変化もなく、暇潰しに集まっているだけだ。
コイツらはこんなことを何十年も繰り返しているらしい、飽きないのだろうか。
「いやね、角ったらお酒飲むと同じ話ばっかりするんだよ、それが何十年も続いてるんだよ? 飽きないわけがないよねぇ」
「それはそれは、お悔やみ申し上げます」
「エマくん、それ使い方あってるのかなぁ?」
「それより今回集まった理由はなんですか?」
「無視かい? まぁ良いやそうだね、特に無いけど、何か変わったことはあったかなぁ?」
変わったことねぇ……何かあっただろうか。
いつも通りにのんびりと過ごして、スキルの練習をし続けただけだな。
俺からは特にないな、うん。
「無いな」
「いや、何言ってるんですかありますよ」
何? 俺とずっと過ごしていたのにいつの間に変わったことを見つけたんだ?
変わったこと……あれか、変な木の実の事だな、それしか考えられない。
「いや違いますよ、ゴブリンの事ですよ」
「ん? エマ君、ゴブリンって言うのは?」
「1つ確認なんですけど、この森にはゴブリンは生息していますか?」
「いや、この森は基本的にオーガ、グラスウルフ、そして私達妖狐だけだよぉ、ゴブリンは隣の森にいるのさ」
「隣の森?」
「まぁ説明は後さ、まずはそっちの話を聞きたいねぇ」
ゴブリン……あー、星になった奴か、居たなー確かに、でも生息していない? それなら俺が最初にあったお隣さんは何だったんだ?
しかし、隣の森……あぁ、西側から見えた森か、あそこにゴブリン達が居ると言うことか、なら尚更何故この森に来た?
「実は先日、ランドさんと探索をしたときにゴブリンに出会ったんですよ、ランドさんが3回ほどボコボコして恐らくゴブリンの生息地である森へ吹き飛ばしたんです、それで、この森にゴブリンが何故居るのかなと」
「ゴブリンが……牙、巡回はしていなかったのかい?」
「いや、我々もある程度は巡回をしているが恐らく見落としたのだろう、すまない」
「いいよいいよ、気にしてないさ、しかし、ゴブリンかぁ……うーん」
尻尾は腕を組み何か考えているようだった。
「何かあるのか?」
「いや、実はねぇ、うちの森の隣にも森があってねぇそこにも私達の様に暮らしている魔物が居るんだ」
「その中の1つがゴブリンか?」
「そうだよぉ、他には確か、オークとトレントだったかな? 何十年も顔会わせてないからうろ覚えだけどねぇ」
「はっ! あんな自己中なアホどもなんざに会う理由もねぇよ!」
角は酒を飲みながら愚痴を溢す、おい、一升瓶3本目だぞ酒乱。
「どういう事ですか?」
「いや、私達の森とあっちの森は大変馬が合わなくてねぇ、仲が悪いんだ。それで、一昔前にドンパチして今は不干渉って事になってるのさ」
「それで、気になっているのは?」
「ゴブリンが来たこと、恐らく偵察かもしれないね、近い内に騒がれるかもねぇ……でもまだ1回目だ猶予はあるさ」
「1回目?」
「そう、まぁ昔の話だけどねぇ向こうの森は攻めてくるときは2回使者を出してくるんだ、1人目が行き、数ヶ月経って後1人が行く、それでこっちが何もしなければ良いんだけどね、2回とも使者をボコボコにしちゃったらそれはもうどちらかが降伏するまで戦うのさ」
「意味が分からない戦いの始め方ですね」
「人間の戦いの始め方を倣ったつもりだけどこれは向こうがやり出したことだからねぇ、あっちはこちらと違って頭が悪いからね、こうなった訳だよぉ」
聞けば聞くほど分からん始め方だな、向こうが勝手にやって来た事らしいし、こっちが気にすることはないだろう。
「なら1人目をランドさんがボコボコにしちゃったんですけど、数ヶ月後のもう1人に何もしなければ良いんですね?」
「そうなるねぇ、今回は良いけど次は気を付けてね、1回目のボコボコは軽い喧嘩で終わるし」
「一応喧嘩にはなるんですね……」
「大丈夫だよ、喧嘩と言っても代表が出てきて一騎討ちするくらいさ、侵略行為は2回目からだよ」
うーん? まてよ、もし、最初のお隣さんが隣の森の使者だったとしたら、丁度数ヶ月は経っているか……でも攻撃はしてないし、死んでいたのは事実だが、もしこれで疑われていて今回のが2回目だとすると……うん、戦争だな。
ちょっと聞いてみるか?
「ランドさん、どうかしましたか?」
「ん、あぁ、少し思い当たる可能性があるわけだ」
「可能性? それは何だい? ランド君」
切り出してみるか。
「以前……いや大分前の話で俺が目覚めて散歩していたときの話だ、たまたま西側でゴブリンと出会ったわけだ」
「う、うん」
「それでそのゴブリンに挨拶をしたら茂みに飛んでいった訳だ、それを確認すると誰が殺ったか分からないが死体になっていた、怖い話だ。それで、そのゴブリンが森の使者だとしたら面倒なことになりそうだなと」
そう話した後、辺りは静まり返った。
尻尾は表情が固まりながらも、角、牙、ガケトカゲ、カウントゴリラへと話し、角、牙に至っては口をあんぐりして固まった。
なにかおかしな事を言っただろうか。
「ら、ランド君、挨拶って言うのは?」
「お前らにもしたことがあるぞ、右手を振ってお前らが茂みに飛び込む謎の挨拶だ、流行ってるのかあれ?」
「それって多分、君の右腕の威力が強すぎて私達が飛んだのかもしれないねぇ」
「なんだと……あれは挨拶じゃなかったのか」
「それは一体どんな挨拶だい……まぁその擦り合わせは後日だよぉ、今は君が最初にあったゴブリンが恐らく最初の使者……だとすると、うん、先日来たと言うゴブリンは2度目の使者か、そうか」
再び考え出す尻尾。
へぇー、あの吹っ飛ぶ奴挨拶じゃなかったんだ、なんか盛大な勘違いをしていたようだな、てことはあれ? フレンドリーファイアは? もしかして俺って侵入者的扱いだったのか?
「なぁ、俺って侵入者だったのか?」
「何を今更、私達の塵芥戦術焔の時点で攻撃だよ」
「なるほど」
「え? もしかして分かってなかったの?」
「歓迎かと思ってた」
「君は良い性格してるよ……」
額を抑え、天を仰ぐ尻尾。
どうやら俺は歓迎されていなかったみたいだ、まぁそれは過去の話、今は仲良し、全然問題ないな。
「となれば、角、牙、戦争になるかもね」
「かっ! そろそろアイツ等との決着をつけるとするか」
「うむ、準備に取りかかろう」
そう言って席から立ち上がる角、牙。
ふと、思った事を質問することにしよう。
「どうやれば勝ちなんだ?」
「そうだねぇ、大将の首を取れば良いかな、向こうの大将はどうせオークだよ、降伏すれば見逃すし、しなきゃ殺すよ」
「俺も参加するのか?」
「もちろん、君が原因と言っても過言じゃないからね、でも最初に投入することはないよまぁ、そこは追々決めていくとしよう」
尻尾も席を立ち、3匹はそれぞれ戻ろうとしている。
「た! 大変です! 隣の奴等が、攻めてきました!」
「な!? 早くないかい? ……そうか、ランド君がぶっ飛ばしたお陰で帰る手間が無くなって余裕が生まれたのか……角、牙急いで準備だ、戦術はいつも通りで良い」
「了解である」
「おうよー任せとけ」
ふむ、つまりあれだな俺がゴブリンをぶっ飛ばしたそのお陰で距離を一瞬で短縮することができ、相手は準備が早く済んだ訳だ、でもここからまだ距離はあるからな、こっちもそこまで手間取らないだろう。
「あの、何の話が起きたんですか?」
「そうだな、これから隣の森と戦争が始まる、その準備を急いでるわけだ」
「私達はどうするんですか?」
「俺、お前、ガケトカゲ、ゴリラは一先ず待機で防衛でもするんじゃないか? お前は危ないから祠に入っておけよ」
取り敢えず粗方説明して、別段することもない俺は西側の端へ、隣の森が見える地点へと暇なので様子見をすることにした。
案の定、うじゃうじゃと魔物がいるわけだ。
こちらへと進軍しているのが分かる。
まぁそこまで大規模じゃない……200位か?
この森よりも多い、あ、ゴブリンとオークは繁殖力強かったな、それでこの量か。
「いっぱいですね……」
「そうだな、さて様子見はこれくらいにして戻るぞ、手伝える事はあるかもしれないからな」
そう告げて戻ることにした。
数はあちらが多いが、うちの頭の尻尾はどうするのかね。
世間話だけではなくちゃんとこれからの方針などを決める為に集まる事もあるのだが別段冒険者が来るわけでもないので基本的になんの変化もなく、暇潰しに集まっているだけだ。
コイツらはこんなことを何十年も繰り返しているらしい、飽きないのだろうか。
「いやね、角ったらお酒飲むと同じ話ばっかりするんだよ、それが何十年も続いてるんだよ? 飽きないわけがないよねぇ」
「それはそれは、お悔やみ申し上げます」
「エマくん、それ使い方あってるのかなぁ?」
「それより今回集まった理由はなんですか?」
「無視かい? まぁ良いやそうだね、特に無いけど、何か変わったことはあったかなぁ?」
変わったことねぇ……何かあっただろうか。
いつも通りにのんびりと過ごして、スキルの練習をし続けただけだな。
俺からは特にないな、うん。
「無いな」
「いや、何言ってるんですかありますよ」
何? 俺とずっと過ごしていたのにいつの間に変わったことを見つけたんだ?
変わったこと……あれか、変な木の実の事だな、それしか考えられない。
「いや違いますよ、ゴブリンの事ですよ」
「ん? エマ君、ゴブリンって言うのは?」
「1つ確認なんですけど、この森にはゴブリンは生息していますか?」
「いや、この森は基本的にオーガ、グラスウルフ、そして私達妖狐だけだよぉ、ゴブリンは隣の森にいるのさ」
「隣の森?」
「まぁ説明は後さ、まずはそっちの話を聞きたいねぇ」
ゴブリン……あー、星になった奴か、居たなー確かに、でも生息していない? それなら俺が最初にあったお隣さんは何だったんだ?
しかし、隣の森……あぁ、西側から見えた森か、あそこにゴブリン達が居ると言うことか、なら尚更何故この森に来た?
「実は先日、ランドさんと探索をしたときにゴブリンに出会ったんですよ、ランドさんが3回ほどボコボコして恐らくゴブリンの生息地である森へ吹き飛ばしたんです、それで、この森にゴブリンが何故居るのかなと」
「ゴブリンが……牙、巡回はしていなかったのかい?」
「いや、我々もある程度は巡回をしているが恐らく見落としたのだろう、すまない」
「いいよいいよ、気にしてないさ、しかし、ゴブリンかぁ……うーん」
尻尾は腕を組み何か考えているようだった。
「何かあるのか?」
「いや、実はねぇ、うちの森の隣にも森があってねぇそこにも私達の様に暮らしている魔物が居るんだ」
「その中の1つがゴブリンか?」
「そうだよぉ、他には確か、オークとトレントだったかな? 何十年も顔会わせてないからうろ覚えだけどねぇ」
「はっ! あんな自己中なアホどもなんざに会う理由もねぇよ!」
角は酒を飲みながら愚痴を溢す、おい、一升瓶3本目だぞ酒乱。
「どういう事ですか?」
「いや、私達の森とあっちの森は大変馬が合わなくてねぇ、仲が悪いんだ。それで、一昔前にドンパチして今は不干渉って事になってるのさ」
「それで、気になっているのは?」
「ゴブリンが来たこと、恐らく偵察かもしれないね、近い内に騒がれるかもねぇ……でもまだ1回目だ猶予はあるさ」
「1回目?」
「そう、まぁ昔の話だけどねぇ向こうの森は攻めてくるときは2回使者を出してくるんだ、1人目が行き、数ヶ月経って後1人が行く、それでこっちが何もしなければ良いんだけどね、2回とも使者をボコボコにしちゃったらそれはもうどちらかが降伏するまで戦うのさ」
「意味が分からない戦いの始め方ですね」
「人間の戦いの始め方を倣ったつもりだけどこれは向こうがやり出したことだからねぇ、あっちはこちらと違って頭が悪いからね、こうなった訳だよぉ」
聞けば聞くほど分からん始め方だな、向こうが勝手にやって来た事らしいし、こっちが気にすることはないだろう。
「なら1人目をランドさんがボコボコにしちゃったんですけど、数ヶ月後のもう1人に何もしなければ良いんですね?」
「そうなるねぇ、今回は良いけど次は気を付けてね、1回目のボコボコは軽い喧嘩で終わるし」
「一応喧嘩にはなるんですね……」
「大丈夫だよ、喧嘩と言っても代表が出てきて一騎討ちするくらいさ、侵略行為は2回目からだよ」
うーん? まてよ、もし、最初のお隣さんが隣の森の使者だったとしたら、丁度数ヶ月は経っているか……でも攻撃はしてないし、死んでいたのは事実だが、もしこれで疑われていて今回のが2回目だとすると……うん、戦争だな。
ちょっと聞いてみるか?
「ランドさん、どうかしましたか?」
「ん、あぁ、少し思い当たる可能性があるわけだ」
「可能性? それは何だい? ランド君」
切り出してみるか。
「以前……いや大分前の話で俺が目覚めて散歩していたときの話だ、たまたま西側でゴブリンと出会ったわけだ」
「う、うん」
「それでそのゴブリンに挨拶をしたら茂みに飛んでいった訳だ、それを確認すると誰が殺ったか分からないが死体になっていた、怖い話だ。それで、そのゴブリンが森の使者だとしたら面倒なことになりそうだなと」
そう話した後、辺りは静まり返った。
尻尾は表情が固まりながらも、角、牙、ガケトカゲ、カウントゴリラへと話し、角、牙に至っては口をあんぐりして固まった。
なにかおかしな事を言っただろうか。
「ら、ランド君、挨拶って言うのは?」
「お前らにもしたことがあるぞ、右手を振ってお前らが茂みに飛び込む謎の挨拶だ、流行ってるのかあれ?」
「それって多分、君の右腕の威力が強すぎて私達が飛んだのかもしれないねぇ」
「なんだと……あれは挨拶じゃなかったのか」
「それは一体どんな挨拶だい……まぁその擦り合わせは後日だよぉ、今は君が最初にあったゴブリンが恐らく最初の使者……だとすると、うん、先日来たと言うゴブリンは2度目の使者か、そうか」
再び考え出す尻尾。
へぇー、あの吹っ飛ぶ奴挨拶じゃなかったんだ、なんか盛大な勘違いをしていたようだな、てことはあれ? フレンドリーファイアは? もしかして俺って侵入者的扱いだったのか?
「なぁ、俺って侵入者だったのか?」
「何を今更、私達の塵芥戦術焔の時点で攻撃だよ」
「なるほど」
「え? もしかして分かってなかったの?」
「歓迎かと思ってた」
「君は良い性格してるよ……」
額を抑え、天を仰ぐ尻尾。
どうやら俺は歓迎されていなかったみたいだ、まぁそれは過去の話、今は仲良し、全然問題ないな。
「となれば、角、牙、戦争になるかもね」
「かっ! そろそろアイツ等との決着をつけるとするか」
「うむ、準備に取りかかろう」
そう言って席から立ち上がる角、牙。
ふと、思った事を質問することにしよう。
「どうやれば勝ちなんだ?」
「そうだねぇ、大将の首を取れば良いかな、向こうの大将はどうせオークだよ、降伏すれば見逃すし、しなきゃ殺すよ」
「俺も参加するのか?」
「もちろん、君が原因と言っても過言じゃないからね、でも最初に投入することはないよまぁ、そこは追々決めていくとしよう」
尻尾も席を立ち、3匹はそれぞれ戻ろうとしている。
「た! 大変です! 隣の奴等が、攻めてきました!」
「な!? 早くないかい? ……そうか、ランド君がぶっ飛ばしたお陰で帰る手間が無くなって余裕が生まれたのか……角、牙急いで準備だ、戦術はいつも通りで良い」
「了解である」
「おうよー任せとけ」
ふむ、つまりあれだな俺がゴブリンをぶっ飛ばしたそのお陰で距離を一瞬で短縮することができ、相手は準備が早く済んだ訳だ、でもここからまだ距離はあるからな、こっちもそこまで手間取らないだろう。
「あの、何の話が起きたんですか?」
「そうだな、これから隣の森と戦争が始まる、その準備を急いでるわけだ」
「私達はどうするんですか?」
「俺、お前、ガケトカゲ、ゴリラは一先ず待機で防衛でもするんじゃないか? お前は危ないから祠に入っておけよ」
取り敢えず粗方説明して、別段することもない俺は西側の端へ、隣の森が見える地点へと暇なので様子見をすることにした。
案の定、うじゃうじゃと魔物がいるわけだ。
こちらへと進軍しているのが分かる。
まぁそこまで大規模じゃない……200位か?
この森よりも多い、あ、ゴブリンとオークは繁殖力強かったな、それでこの量か。
「いっぱいですね……」
「そうだな、さて様子見はこれくらいにして戻るぞ、手伝える事はあるかもしれないからな」
そう告げて戻ることにした。
数はあちらが多いが、うちの頭の尻尾はどうするのかね。
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