そのゴーレム、元人間につき
喧嘩
おっさんとガケトカゲが何やら戦っている。
おっさんはともかくガケトカゲが戦っているのは不思議だな。
何かあったのだろうか。
「ランドさん、何かあったんですかね?」
「さぁな、聞いてみなくちゃ分からんがわざわざあそこに行くのも面倒だ」
「巻き込まれたら嫌ですもんね」
ここは無視して先に行くことにしようと、俺と女冒険者……睨まれた、心読むな……エマは少し遠回りして狐人間の元へと向かうことにした。
だが、肝心のゴリラがついてこないのだ、どうしたのかと振り返ってみると。
目をキラキラさせていた。
何故だ。
「スゴいウホ! 魔物界隈じゃ絶滅したとされているオーガがいるウホ! それと滅多に姿を表すことの無い、ガケトカゲが!? ここは最高の森ウホね!」
魔物界隈とか有るのか、これ俺は魔物からも情報が得られると言う利点ができたと見て間違いないだろうか。
「そんなに有名か?」
「ウホ、ランクは今じゃ高くないらしいけど昔は相当に恐ろしかったと言い伝えられるレベルウホ」
アイツら伝えられるレベルだったのかよ。
とてもそうは見えんな、酔っぱらいと田舎臭がするやつだぞ。
「あいさつしたいウホ」
「今は止めておけ、殺伐としてるし、あと面倒」
「行ってくるウホ」
「あ、」
話聞かねぇなあのゴリラ、余計にややこしくなるだろ、折角連れてきたのに追い出されたらアホだぞ。
「仕方ない、俺も行く」
「あ、私も行きますよ!」
2人で駆け出した。
近付くにつれて徐々に会話が聞こえるようになってきた。
「はぁ、はぁ、テメェ! あれは俺の取って置きの酒だったんだ! よくも飲みやがったなぁ!」
「昨日の宴で出ている酒飲んで良いって行ったのは角さんだべ!?」
下らんことで喧嘩してるだけだった。
何の訳もない、行け! ゴリラ! 殺っておしまい!
「おおお! オーガさんにガケトカゲさーん!」
「ぬぉ!? なんだこのゴリラ!」
「デケェべ!」
ゴリラのジャンピングハグをかわしたおっさんとガケトカゲは迎撃しようと息を合わせて無防備なゴリラを殴りかかる。
「ウホォォォォ!」
飛ばされたゴリラは真っ直ぐにこちらへと飛んでくる、舌打ちをしつつもエマの前に出てゴリラを受け止めるが2メートル程は後退した。
「話は後だ、ガケトカゲ、殺るぞ!」
「侵入者は排除だべ!」
襲いかかる2匹、ゴリラは大したダメージを負っては居ないが、攻撃によりやる気を滾らせて、反撃に出る。
放って置こうとしたがエマに止めて欲しいと言われ仕方なく向かうとする。
エマは俺に頼んで俺が視線を外した瞬間には気配を遮断し何処かへ逃げていた。
裏切り者め。
ここは森の中、木々が生い茂っている森はカウントゴリラの専売特許、巨体に似合わずその俊敏を活かしておっさんとガケトカゲを翻弄する。
おっさん達は一瞬驚いたものの、警戒を怠らず、いつ攻撃が来るかを見定めている。
俺はそのまま真っ直ぐに走り、後ろを向いているガケトカゲ目掛けて飛び上がるが、後ろにある気配に気付いたのかこちらを見ることなく尻尾の横薙ぎで俺は飛ばされた。
「もう1人いるべ!」
「何!? ……来るぞ!」
おっさん達はその場から離脱、するとその直後にはゴリラが勢いよく着地しするが反動を利用しおっさんに飛びかかる。
さすがにおっさんも回避は難しかったのか手と手を絡ませ押し合いになっている。
「はっ! 侵入者の癖にやるじゃねぇか!」
「光栄ウホ! 絶対勝つウホ!」
ランクで言うと圧倒的にゴリラが勝っているのだが拮抗している、どういう事だろうか。
そんなことを考えながらも俺はガケトカゲに飛ばされた後で直ぐに立て直して木を伝いながら機動力で翻弄する。
ゴリラと同じような戦法だ、だが俺の方が小さいし速い、だから俺の方が視認が難しいだろう。
再び背後を取った。
そのまま行くとさっきの二の舞になる気がするので、ギリギリまで同じ行動をすることにした。
「甘いべ! 同じ手段が通じると思ったべか!」
「甘いのはお前だ」
「んげっ!? ゴーレムさん!」
「とりあえずぶっ飛べ」
尻尾の一撃を横に避けて、空いた脇腹へと俺自身に[攻撃小up]、ガケトカゲに[防御小down]を付与、そこから一直線に殴り飛ばした。
付与ができるのは2つが限界なんだよな、レベル上げたらもっと行けるかな……
ガケトカゲが見えなくなったところでおっさんとゴリラの元へと向かおうとするが、茂みの向こうからガケトカゲが戻ってきた。
早くないか? 前は一撃でノックアウトだったのだが……
「滾るべ!」
「キャラ違うじゃん」
こんな戦闘に滾る奴だったのか?
いや、初めて戦ったときはおかしくなっていたから分からないけど。
少なくとも戦闘を好んでやるやつじゃなかった筈だ。
「ゴーレムさん! お帰りだべ! でもこの勝負は勝たせて貰うべ!」
勢いよく走ってきたガケトカゲは尻尾を叩きつけてくる。
以前より速度が増している気がするな。
余裕を持って回避をして再び接近して完全に空いている横腹へと拳を叩きつけようとするが逆にガケトカゲはこちらへと転がってきた。
バックステップで回避、再び攻撃に入ろうとするが尻尾が飛んでくる。
……微妙にやりづらいな。
決定的なものが無いのは辛いな、幸い大量の土が有るので1つ実験することにした。
今の一撃が足りないならもっと強くすれば良いのだ、『物質操作』[土]により、周りの土を一塊にして集める。
それを俺の右手へと集約させ、以前の俺よりも巨大な手を作った。
「うそん」
そう言うガケトカゲだが、構わず殴る事にする。
あまりの巨大さに動けないガケトカゲは何の抵抗もなく殴られ先程よりも遠くへと吹き飛んだ。
「……解除」
俺の腕から大量の土が落ちる。
落ちたせいで砂埃が舞う……見えづらいな。
さて、おっさんとゴリラの元へと行こう。
おっさんとゴリラは無駄に殴りあっていた。
殴られるのを回避、ガードもせずに受けては殴り返すと言うことを繰り返していた。
「ははは! まだまだだぁ!」
「ウホォ! これからが良いところだウホ!」
そうして何度か殴り合い、お互いの拳が交差し、お互いの顔を殴ってよろめいた。
俺はそんなゴリラの後ろから飛び蹴りでおっさん毎飛ばし、この戦いを終わらせた。
少し時間が経って、全員を俺の前で座らせ、事の説明を聞きただす事にした。
どうやら、本当にただの酒をめぐっての喧嘩だったらしい。
物凄くどうでも良い喧嘩だ、特に事を荒立てたゴリラは拳骨をお見舞いしておいた。
取り敢えずこいつらを連れて狐人間の元へと向かうことにした、1度に話した方が速いからな。
んで、道中コイツらは仲良くなっていた。
バカ笑いをしながら俺の後ろを歩くので無性に腹が立つ。
ストレス発散のために拳骨を1発ずつお見舞いして気はすんだが、向こうは不服そうだった。
無視することにして、俺達は狐人間の元へと向かった。
エマの奴はどこへ行ったのだろうか。
おっさんはともかくガケトカゲが戦っているのは不思議だな。
何かあったのだろうか。
「ランドさん、何かあったんですかね?」
「さぁな、聞いてみなくちゃ分からんがわざわざあそこに行くのも面倒だ」
「巻き込まれたら嫌ですもんね」
ここは無視して先に行くことにしようと、俺と女冒険者……睨まれた、心読むな……エマは少し遠回りして狐人間の元へと向かうことにした。
だが、肝心のゴリラがついてこないのだ、どうしたのかと振り返ってみると。
目をキラキラさせていた。
何故だ。
「スゴいウホ! 魔物界隈じゃ絶滅したとされているオーガがいるウホ! それと滅多に姿を表すことの無い、ガケトカゲが!? ここは最高の森ウホね!」
魔物界隈とか有るのか、これ俺は魔物からも情報が得られると言う利点ができたと見て間違いないだろうか。
「そんなに有名か?」
「ウホ、ランクは今じゃ高くないらしいけど昔は相当に恐ろしかったと言い伝えられるレベルウホ」
アイツら伝えられるレベルだったのかよ。
とてもそうは見えんな、酔っぱらいと田舎臭がするやつだぞ。
「あいさつしたいウホ」
「今は止めておけ、殺伐としてるし、あと面倒」
「行ってくるウホ」
「あ、」
話聞かねぇなあのゴリラ、余計にややこしくなるだろ、折角連れてきたのに追い出されたらアホだぞ。
「仕方ない、俺も行く」
「あ、私も行きますよ!」
2人で駆け出した。
近付くにつれて徐々に会話が聞こえるようになってきた。
「はぁ、はぁ、テメェ! あれは俺の取って置きの酒だったんだ! よくも飲みやがったなぁ!」
「昨日の宴で出ている酒飲んで良いって行ったのは角さんだべ!?」
下らんことで喧嘩してるだけだった。
何の訳もない、行け! ゴリラ! 殺っておしまい!
「おおお! オーガさんにガケトカゲさーん!」
「ぬぉ!? なんだこのゴリラ!」
「デケェべ!」
ゴリラのジャンピングハグをかわしたおっさんとガケトカゲは迎撃しようと息を合わせて無防備なゴリラを殴りかかる。
「ウホォォォォ!」
飛ばされたゴリラは真っ直ぐにこちらへと飛んでくる、舌打ちをしつつもエマの前に出てゴリラを受け止めるが2メートル程は後退した。
「話は後だ、ガケトカゲ、殺るぞ!」
「侵入者は排除だべ!」
襲いかかる2匹、ゴリラは大したダメージを負っては居ないが、攻撃によりやる気を滾らせて、反撃に出る。
放って置こうとしたがエマに止めて欲しいと言われ仕方なく向かうとする。
エマは俺に頼んで俺が視線を外した瞬間には気配を遮断し何処かへ逃げていた。
裏切り者め。
ここは森の中、木々が生い茂っている森はカウントゴリラの専売特許、巨体に似合わずその俊敏を活かしておっさんとガケトカゲを翻弄する。
おっさん達は一瞬驚いたものの、警戒を怠らず、いつ攻撃が来るかを見定めている。
俺はそのまま真っ直ぐに走り、後ろを向いているガケトカゲ目掛けて飛び上がるが、後ろにある気配に気付いたのかこちらを見ることなく尻尾の横薙ぎで俺は飛ばされた。
「もう1人いるべ!」
「何!? ……来るぞ!」
おっさん達はその場から離脱、するとその直後にはゴリラが勢いよく着地しするが反動を利用しおっさんに飛びかかる。
さすがにおっさんも回避は難しかったのか手と手を絡ませ押し合いになっている。
「はっ! 侵入者の癖にやるじゃねぇか!」
「光栄ウホ! 絶対勝つウホ!」
ランクで言うと圧倒的にゴリラが勝っているのだが拮抗している、どういう事だろうか。
そんなことを考えながらも俺はガケトカゲに飛ばされた後で直ぐに立て直して木を伝いながら機動力で翻弄する。
ゴリラと同じような戦法だ、だが俺の方が小さいし速い、だから俺の方が視認が難しいだろう。
再び背後を取った。
そのまま行くとさっきの二の舞になる気がするので、ギリギリまで同じ行動をすることにした。
「甘いべ! 同じ手段が通じると思ったべか!」
「甘いのはお前だ」
「んげっ!? ゴーレムさん!」
「とりあえずぶっ飛べ」
尻尾の一撃を横に避けて、空いた脇腹へと俺自身に[攻撃小up]、ガケトカゲに[防御小down]を付与、そこから一直線に殴り飛ばした。
付与ができるのは2つが限界なんだよな、レベル上げたらもっと行けるかな……
ガケトカゲが見えなくなったところでおっさんとゴリラの元へと向かおうとするが、茂みの向こうからガケトカゲが戻ってきた。
早くないか? 前は一撃でノックアウトだったのだが……
「滾るべ!」
「キャラ違うじゃん」
こんな戦闘に滾る奴だったのか?
いや、初めて戦ったときはおかしくなっていたから分からないけど。
少なくとも戦闘を好んでやるやつじゃなかった筈だ。
「ゴーレムさん! お帰りだべ! でもこの勝負は勝たせて貰うべ!」
勢いよく走ってきたガケトカゲは尻尾を叩きつけてくる。
以前より速度が増している気がするな。
余裕を持って回避をして再び接近して完全に空いている横腹へと拳を叩きつけようとするが逆にガケトカゲはこちらへと転がってきた。
バックステップで回避、再び攻撃に入ろうとするが尻尾が飛んでくる。
……微妙にやりづらいな。
決定的なものが無いのは辛いな、幸い大量の土が有るので1つ実験することにした。
今の一撃が足りないならもっと強くすれば良いのだ、『物質操作』[土]により、周りの土を一塊にして集める。
それを俺の右手へと集約させ、以前の俺よりも巨大な手を作った。
「うそん」
そう言うガケトカゲだが、構わず殴る事にする。
あまりの巨大さに動けないガケトカゲは何の抵抗もなく殴られ先程よりも遠くへと吹き飛んだ。
「……解除」
俺の腕から大量の土が落ちる。
落ちたせいで砂埃が舞う……見えづらいな。
さて、おっさんとゴリラの元へと行こう。
おっさんとゴリラは無駄に殴りあっていた。
殴られるのを回避、ガードもせずに受けては殴り返すと言うことを繰り返していた。
「ははは! まだまだだぁ!」
「ウホォ! これからが良いところだウホ!」
そうして何度か殴り合い、お互いの拳が交差し、お互いの顔を殴ってよろめいた。
俺はそんなゴリラの後ろから飛び蹴りでおっさん毎飛ばし、この戦いを終わらせた。
少し時間が経って、全員を俺の前で座らせ、事の説明を聞きただす事にした。
どうやら、本当にただの酒をめぐっての喧嘩だったらしい。
物凄くどうでも良い喧嘩だ、特に事を荒立てたゴリラは拳骨をお見舞いしておいた。
取り敢えずこいつらを連れて狐人間の元へと向かうことにした、1度に話した方が速いからな。
んで、道中コイツらは仲良くなっていた。
バカ笑いをしながら俺の後ろを歩くので無性に腹が立つ。
ストレス発散のために拳骨を1発ずつお見舞いして気はすんだが、向こうは不服そうだった。
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