頼む!誰かこの不幸な俺を幸運にしてくれ!

あまたつ

第7話 終わらない地獄

「あ、あの~。随分とお怒りのようですが?」
 ひきつった笑顔で、俺は周りを囲んでる生徒に問いかけた。
「………」
 無反応!一番たち悪いやつ!
 生徒達は今だに鬼のような形相で俺を囲んでいる。
「………」
 10秒間程沈黙が続いた。
 こ、これは殺されるのも時間の問題だな。
 よし、これは最終手段を繰り出すしかないようだな。ちょいと卑怯だが、こうなっては仕方ない。
 最終手段、それは…
 先生に助けを求める、だ。
 分かってる。高校生にもなって先生に助けを求めるだなんて格好悪いことくらい分かってる。
 でもしょうがないじゃん!死ぬもん!これ!
 そして俺は担任の教師に目を向けた。
 担任は今、教卓で書類の整理をしていた。
 頼む!俺の視線に気づけ!
 俺の念が届いたのか、教師と目が合った。
 が、すぐに書類の整理にもどった。
 教師ーーーーーーーー!
 最終手段だよ!?ねえ、最終手段だったんだけど!?
いや!なにその私関係無いし的な表情!
「……おい」
「ふぁい!」
 突然俺の右に立っていた男子生徒に声をかけられ、変な声が出てしまった。
 いつも喋っているグループにいるやつだ。
 いつもなら、何だよその声(笑)、的なリアクションとってくれただろう。いつもなら。
 そいつは俺を汚物を見るかのような目で俺を見てきた。これが現実である。
「……キスが何だって?」
 うっわお前真顔で言うなよ。
「ほ、ほら、彼女、ジョークが好きなんじゃないかな?俺は全く身に覚えないし、ね?」
 俺の精一杯の言い訳。
「翔太様は寝てたので身に覚えは無いと思いますよ?」
「口閉じてろっつったろ!」
 この野郎!俺を殺す気か!何?お前、人を不幸にするプロなの?
 ラックの爆弾発言を聞いて、生徒達は俺を驚くほど怒りに満ちた顔で俺を睨んできた。
 あ、俺死んだわ。
 俺が死の覚悟をしたとき、教師の声が教室に響いた。
「おーい。1時間目始めるぞー」
 教師の声を聞いた生徒達は、悔しそうな表情で俺の席をあとにした。
 俺の右隣に立っていた男子は、俺の席をあとにするとき、帰り際に、
「残りの人生を楽しめ…」
 と言い残していった。
 それ友達に言うような言葉じゃないよね?
「はあ、何で俺が責められにゃあかんのじゃ」
 俺は疲れ果てた表情で呟いた。
 まあ、結局教師に助けられる形になったな。感謝はしとこう、一応。
「さてと!」
 俺はラックの方を向いた。
 何事も無かったかのように授業の準備をしている。
 ラックが俺の視線に気づいた。
 ラックは笑顔で聞いてきた。
「何ですか?翔太様」
「殺す」
「ふぇ!?」
 ラックは驚きのあまり変な声が出た。

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