頼む!誰かこの不幸な俺を幸運にしてくれ!

あまたつ

第13話 勉強会のその後 その2

「じゃあ先にお風呂入るね」
「あ~!待ってください!私も一緒に入ります~!」
小田名が風呂に入ろうとしていたのを、ラックが大声で止めた。
「あ、じゃあ私も入る」
二人が更衣室に入っていった後を琴子が追っていった。
 ……さて、どうしてこうなった。
 俺は一人でソファーに座りながら、はあ~とため息をついた。
 何か俺はいてもいなくても変わらないようだし、もう先に寝ようかな。
 俺は2階へ上がり、自室でスマホをいじっていた。
 1階から3人の笑い声が聞こえた。
 ……楽しそうだな。
 よし、もう寝よう!そして、今度は男の友達とお泊まり会とやらをしよう!そうすれば、俺も楽しめるはず!
 俺はそう決意し、自室の電気を消した。
 目をつぶって横になると、1階から聞こえる声がより聞こえるようになった。
 ぐうぅ…。落ち着いて寝れん。
 すると、ひときわ大きいラックの声が聞こえた。
「じゃあ、そろそろ2階行きましょう!」
ドタドタと階段を上がる音が聞こえた。
『ガチャリ!』
「うおっ!?」
突然、すごい勢いでラックに俺の部屋のドアを開けられた。
「何寝てるんですか翔太様!楽しいのはこれからですよ!」
「え?」
「翔太様、つまらなそうな顔してました。でも!お泊まり会は、皆が楽しまないとダメなんです!」
……!
「さ!翔太様!一緒に楽しみましょ!」
……こいつ、見てないようでしっかり見てたんだな。
 気配りもできないような奴だと思ってたけど、本当は周りの事を考えられる優しいやつなのかも知れないな。
「……ありがとうラック。本当に」
俺はラックに微笑み返した。
「どうしたんですか?そんな薄気味悪い顔して」
くそ。俺の感動を返しやがれこのやろう。
「誰が薄気味悪いだ?この野郎ー!」
「ふぇえ?!」
急に怒鳴られたラックは、驚きながら後退りしたため、後ろに転んだ。
「キャッ!」
小さく悲鳴をあげて転んだラック。
「だ、大丈夫か?」
俺はラックに手を伸ばした。
 ラックは泣き目になりながらも、俺の手を握った。
 俺はラックの手を引っ張り、起き上がらせた。
 そして、耳元で俺はラックにささやいた。
「ありがとな、ラック」
「……へ?私何かしましたっけ?」
「分からなければ良いんだ。だが、伝えなきゃダメだと思っただけだから」
「そ、そうですか…」
ラックはキョトンとした顔で俺を見ている。
 すると、俺たちのもとに小田名と琴子が歩いてきた。
「あれ?何で翔ちゃん先に2階行っちゃったの?」
「ほんと!急にいなくなるんだもん!」
「悪い悪い、ちょっと用事がな」
「そうだったんだ」
「皆そろったことですし!これから何します?!」
ラックの嬉しそうな声が、廊下に響き渡った。

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