~ゲームプログラマーが異世界をゲームと連動したら~お父さんお母さん。僕、創造神になりました

【   】

第10話

前回、かっこよく俺達に紹介してくれた(逆に可愛かった。)アテナもといアテナ=フォリュンヒルデとケルト=フォリュンヒルデと一緒に精霊王のところに向かうことになった。
そこで、ケルトにアテナとの関係を聞いたところ、アテナはケルトの妹らしい。ただ、ケルトと違い、限りなく近い「先祖返り」らしく、能力や素の攻撃力等はアテナの方が上らしい。

「っと、これが儂とアテナの関係じゃ。」
「へぇー。そう言われると二人とも凄い似てるな。」
「「じゃろう(でしょでしょ!)」」

「あはははは!返事のタイミングも完璧だな!」

そうこうしてるうちに王室に到着した。
案内してくれた兵士の方は、私が案内できるのはここまでなので、後は皆様で中にお入り下さいとの事。
そして扉を開け、豪華な部屋の中にはいると、煌めく羽を持つ、二人の父であり、この国の王と対面した。咄嗟に、3人は、ひざまづいた。あれ?!これでいいんだよな??!
大の大人が焦るほど、彼は厳かで威厳のある人だった。
「顔をあげてください。皆様はケルトを救ってくださった命の恩人です。」
「左様ですか....」
と言うことでおずおずと体を上げた。そこで座ることを勧められたので、おとなしく座る。

「今回の件、真に有り難う。娘が帰ってきて、本当によかった。」
とここで話を区切ったところで、王の目元にキラリと光るものがあった。そこで緊張の糸が切れたのか、ケルトも泣き出し、アテナももらい泣きして、3人揃って泣いた。その間俺は温かく、家族の愛と言うものを見ていた。

やがて、すすり声が鳴り止む頃、王も名前を名乗ってくれた。名前はエレジー=フォリュンヒルデと言うらしい。こちらもエレジーで良いそうだ。そして機会を窺っていた霞が何故ケルトをあんな場所に追いやったかをエレジーに聞いた。すると、エレジーはぽつりぽつりと過去の事について語りだした。

「昔、もう何千年前だったか、儂らには妻がおった。そして、ケルトとアテナという二人の可愛い娘達もおり、幸せな家庭を築き上げてきた。....しかし、その時間は長く続かなかった。」

犬兎「.....それは...どういう?」

「ここにはな、森の主なる強力なモンスターがいてな。300年に一度こちらの里に来ては悪逆非道の限りをつくし、暴れまわる。そこで儂の妻が民達の悲鳴を聞いていても経ってもいられなくなったのじゃろう。武装し、その怪物に果敢に挑んでいった。」
そこで一旦溜め息をつく。
「儂も直ぐに後を追い、騎士達と戦いを挑んだが、結果は無惨に負け、妻が連れ去られたという訳じゃ。」


「酷いな......」

霞「じ、じゃあケルトは?」

「儂は何としてでも二人の娘はあの怪物の魔の手から守ろうとし、ケルトをある洞窟に、アテナを魔法で妖精に変えた。洞窟には儂が強力な精霊結界を張り、自ら志願した王国騎士団長を禁呪である精霊の本来の姿にする
【原点回帰】を施し、守護者として配置した。そして、アテナは怪物が妖精を襲わないという特性を利用して、妖精に変えた。という訳じゃ」

「そういうことだったのか.....」

小日向の中で色々な考えが瞬時に飛び交う。その怪物を処理するべきか否か。仕方のない状況下に置かれていたにしても、王国騎士団長を殺してしまったこと。アテナの妖精化は直るのか等々。
そして少し席を外し、三人だけになり、その考えを伝える。

「二人とも。俺はあの怪物を倒して、母親を救いたいと思っているのだが、二人の意見を聞かせてほしい。」

犬兎「私は..お母さんを救いたい..大切な..人だし..。」

霞「私もそれに同感だ。困っていたらお互い様だしな。」

「皆..有り難う。」
と言うことで意見がまとまった三人はエレジー王にその旨を伝える。すると、また泣きながら、俺達にありがとう、ありがとうと礼を言われ、その夜に宴会が行われた。精霊の料理は精霊が調理したからか、うっすらと付与魔法エンチャントが掛かっていた。食べてみるとあら不思議。再生能力向上リバイブと瞬発力向上ヘイストと、炎熱耐性プロテクションファイアーが付いた。精霊つおい(語彙力)。

そんなこんなで夜。
実は俺にはある作戦があるのだ。簡単に言うと、今回の戦いを一般プレイヤーに教え、レイド戦をしようとおもっている。精霊は厄介者と王の妻が帰ってくるし、他国との交流も生まれる。俺達は俺達で経験値ウマーや、新ワールド解放の記念イベントみたいなことができるので、win-winの関係だろう。
早速情報を公式にアップして、一回ログアウト。GM に切り替え、始まりの町に転移門を設置。簡単に説明文を書いてクエストを発動。それを終えて、二人に説明するべく、もう一度ログイン
すると、面白いことが起こった。
霞は俺がGMだというのは知ってるのでまだいいのだが、犬兎はまだ知らないのでオロオロしていたのだ。本当に小動物かよと思いつつ、事情を説明。すると案外すんなり納得してくれた。犬兎曰く「何となくそんな気がした。」と超能力者よろしくな感覚で言い放った。 何だよ可愛いげがないなぁ~。
霞は凄かったぜ?例えで言うと昔仮面ラ○ダーやプリ○ュアみてスゲー!!ってなったりするよね?あんな感じ。
ともかくイベントの告知をしたので仲間が来るとエレジーに伝えた。

エレジー「それは真か?!とても心強い!なら褒美をこちらで準備させてくれ。冒険者の方々なのだろう?」

小日向「それは有り難い。これからも良縁を続けてほしいです。」

エレジー「もちろんだとも!此方からもお願いしたいほどじゃ。」

そして3日後、遂にその日がやって来た。
朝からプレイヤーの数が凄く、少ししたら広場が満員になった。新ワールドでの初のイベントということもあり、皆完全武装で参加してきた為、精霊エルフの皆さんが若干怖がっている。
そして、エレジーからの演説があった。

「冒険者の諸君、今回の討伐によく参加してくれた。誠に有り難う。今回の討伐対象はある樹じゃ。名を【堕ちた世界樹カラプト·オブ·ユグドラシル】という。とても強いため、心して挑んでほしい。」

何そいつ?すごい強そう。

「また、今回はこちらで褒美を用意させてもらった。貢献度の高いか低いかにより、褒美の量は変わる。頑張ってほしい。」

おぉ~と皆が色めき立つ。

「ボスドロップは貰っても?」

「あぁ。構わん。」

太っ腹だな~。

「しかし今回の目標は我妻を救い出すという依頼内容じゃ。妻を見つけ次第、救い出すことを第一目標としてほしい。救い出した者には、別で褒美を与えよう。では、これより討伐を始める!門を開けぇ!」

ゴゴゴゴゴ...と重々しく開く扉。オォォォォ!!と雄叫びをあげながら、その先に続く戦場へ我先にと入り、配置につく。独特な緊張感が走り抜ける。すると、遠くから聞こえる地響き。そんな音にいち早く気づいたアカウントを変えた最強の戦士の小日向は

小日向「皆!来るぞ!!」と叫ぶ。

そして、現れたものに驚く。

「で、でっけぇぇ~。」

全長は悠に85m程ありそうだ。黒々と茂る黒い葉、其処らの木の幹より太い根と、それに見合うだけの太い幹。思わず山をイメージしてしまったのも納得してくれるだろう。そして、口のような器官から金切り声のような叫びをあげる。

「皆!開戦だっ!気張れよ!」

オォッ!

今人と世界樹の闘いが始まる。



【  】です。投稿期間が大幅に過ぎてしまい、すみません。これからもこんな感じなので、気軽にお待ちいただけると幸いです。

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