あえて鈍感のふりをしてみた
第7話
〈春視点〉
はい、私に友達が1人増えました。
いえ、決して今までボッチだったとかそういう事ではありません。それなりに友達もいますよ。
三年生になって初めて一緒のクラスになった子と仲良くなりました。
今はその子と一緒に帰っています。
名前は近藤優香といいます。
なんでも、兄さんと同じく特進に受かったそうです。
今は近藤さんと下校中です。
「あれ、近藤さんのお姉さんもここの中学だったんですか?」
ここの中学で兄さん以外に札高の特進受かった人なんていましたっけ?進学は数人いるみたいですが。
「いや、ここは吹奏楽がすごいからあたし隣の街から来てたんだ。まあお姉ちゃんが札高行ったからついでに引っ越したんだけどね。」
ああ、なるほど。そういうことだったんですね。
「あたしのお姉ちゃんすごいんだよ!特進コースで次席なんだから!すっごく頭いいんだ!」
それを聞いて私は思わずニヤニヤしてしまいました。傍から見たら気持ち悪いですね…
「うん?春ちゃんどうしたの?あたしなんか変なこと言ったっけ?」
「いえ、実は私の兄さんは主席なんですよ。特進コースの。」
言っちゃいました!ああ、近藤さん、口をポカンと開けてますね。かわいい顔が台無しになってます。
「…え?…ええええ!!!!」
うわ!ビックリしました…まあそりゃあ驚きますよね。私も驚きましたし。
「すごい!!あ、じゃあ春ちゃんももしかしてすごい頭いい感じ?」
うぐっ…痛いところを…そんな尊敬の眼差しで見ないでくださいよう…
「いえ、私はそこまで良くないですよ。進学の方行ければいいなと思ってるくらいので。」
「そうなんだ!じゃああたしと進路同じだ!」
そうなんですね。なぜかここの中学からあそこの高校に行く人は少数派だから少し嬉しいですね。
「あ!、ねえねえ、春ちゃんのお兄ちゃんってどんな人?」
私の兄さんですか…
「…とにかく私のことを優先してくれますね。あの人が受験の時も、1人の時間が増えた私のことを心配してくれましたし、結構私のことを見てくれて、1番信用できる人ですかね。」
兄さんのことならまだまだ喋れますが、まあここまでにしておきましょう
「へ〜、春ちゃんってすごいお兄ちゃんのこと好きなんだね!かわいい〜!」
な!
「なんでそうなるんですか!!そんなこと言ってないじゃないですか!」
「んー?でも春ちゃんがお兄ちゃんの話をしてる時すごい恋してるって感じだったよ?もう分かりやすすぎるくらい。」
そんな…そこまでわかりやすかったなんて…
これは私の気持ちを兄さんが全く気づいてくれないのが悪いんです!
「まあでもあたしのお姉ちゃんもすごいんだ!なんでもできるし、なんでも知ってるし、すっっっごく優しいんだよ!あたしのお姉ちゃんは世界一すごいんだから!」
近藤さんは鼻息を荒くして自慢してますね。私もこんな感じだったのかと少し苦笑いしました。
でも、一つだけ聞き捨てならないことがありました。
「あの、一つ言っておきますが、世界一なのは私の兄さんです!」
ここだけは譲れません!
「違うもん!あたしのお姉ちゃんが1番すごいんだもん!」
「いいえ、私の兄さんです!」
お互いに譲れない戦いがここにありました。
「……ぷっ」
「あははははっ!!」
もうなんでこんなバカみたいな争いしてたのかわかりません。
「ふふっ、バカらしいですね。」
「うん!お互いにとってお互いのお兄ちゃんとお姉ちゃんが1番だもん!」
「はい!私も近藤さんもそれぞれの兄と姉が1番ですね!」
そしてまた歩き始めていると、ふと思いついたように近藤さんが口を開いた。
「ねえ、あたしのこと近藤さんじゃなくて、奏って呼んでよ!春ちゃんともっと仲良くなりたい!」
なるほど、私も近藤さんとはもっと仲良くなりたいのでこれから奏さんと呼びましょうか。
「わかりました、奏さん。」
「うん!よろしくね春ちゃん!」
そうして2人でお互いの兄や姉の話をしていたらもう私の家の近くまで来ました。
「あ、私の家この辺です。」
「あ、そうなんだ!じゃあご近所さんだ!」
え、そうなんですか?
そういえば確かに近くで引越しの作業してましたね。
「ん?私の家の前に誰か2人います。」
誰でしょうか…
男の人と女の人がなんか言い争っている感じが…
って、あれ男の方私の兄さんです…
「ん?あ!お姉ちゃんだ!」
「私の兄さんもいます…」
「じゃあ私たちみたくあっちも仲良くなったんだね!」
「なんか言い争ってる気もしますが…」
何を言い争ってるんでしょうか。
「…る…って!」
「…や、…なで…ばん!」
もっと近づいてみますか。
「いいや、俺の妹が1番だね!春ほど天使な子はいない!」
「いいや、ぜっっったい奏の方がかわいいもん!水野君は奏のこと見たことないからそう言えるんだよ!」
えぇ…なんか呆れました…
「ちょちょ!お姉ちゃん!何言ってんのさ!」
「ん?あ!奏!ほら水野君。この子かわいいしょ!」
「ん?春もいるじゃん!ほら近藤、春の方が絶対かわいいから!」
「なにをー!!」
「これは譲らん!」
もう…いいです。
このあと、うるさいと母さんに2人まとめて怒られてました。
「あえて鈍感のふりをしてみた」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
14
-
8
-
-
2,534
-
6,825
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
2,860
-
4,949
-
-
614
-
1,144
-
-
2,629
-
7,284
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
450
-
727
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
62
-
89
-
-
1,000
-
1,512
-
-
3,653
-
9,436
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
398
-
3,087
-
-
218
-
165
-
-
71
-
63
-
-
86
-
288
-
-
23
-
3
-
-
3,548
-
5,228
-
-
89
-
139
-
-
33
-
48
-
-
27
-
2
-
-
42
-
52
-
-
62
-
89
-
-
116
-
17
-
-
104
-
158
-
-
164
-
253
-
-
34
-
83
-
-
51
-
163
-
-
42
-
14
-
-
1,392
-
1,160
-
-
265
-
1,847
-
-
83
-
2,915
-
-
220
-
516
-
-
215
-
969
-
-
614
-
221
-
-
183
-
157
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
1,658
-
2,771
-
-
408
-
439
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
1,301
-
8,782
コメント
コオリ(氷織)
ニヤニヤがとまらない
ふとノノ
最高に面白い!
ミラル ムカデ
楽しすぎて飽きませんよ!
re:蟻
見ててついついにやけてしまいましたww続き楽しみにしてます!