朝起きたら、幼馴染が悪魔に取り憑かれていた件

そらちーヌ

【番外編】愛花とアクア

これは、父親に別れを告げ、人間界へと
飛び立ったアクア・ロドニーのお話。



よし、あの家だ。
「飛行魔法」で空を飛んでいたアクアは
目的の場所が視え、スピードが増す。
《宮園》と書かれた表札を確認し、
壁をすり抜け、すぅーと中へと入る。
ベットに寝っ転がっていた長い黒髪の
少女の肩をポンっと叩く。
『わぁっぁっ ︎』
予想外の反応にアクア自身もやや驚く。
『だ、誰…で…すか?』
私の角、翼を見た少女は、ゴクリと喉を
鳴らす。そこからは…まぁ予想通りだ。
一通り説明した私は、”愛花”の顔を
ちらっと見た。
その綺麗な顔には、動揺、不信感を
感じた。まぁそれは仕方がないことだ。
しばらくの沈黙の後、
『なるほどね…。』
愛花は1人で納得をし、首を縦にふる。
『いいよ。』
『え… ︎いいの ︎』
愛花の予想外の答えに、私は驚きを
隠せない。
いきなり来た角と翼の生えた自称アクマに
「カラダを貸せ」と言われ、首を縦に
振るような人間はなかなかいない。
実際に、私の先輩は『貸出人』を探すのに
3日もの時間を有したと聞いている。
『い、いいの…?あなたの体は
パラレルワールドに…。』
『うん。だって別にここと全く
変わらないでしょ?』
愛花の即答に『う、うん。』と返す。
確かにパラレルワールドは、本来私と
出会っていない生活を送る。
つまりここの世界と変わらないという
ことだ。
『強いのね。愛花は。』
『そんなことないよ…。
あの子のおかげだから…。』
そう言って愛花は自虐気味に笑う。
『あの子……?』
私はきき返す。
『中学校にいたの。私のことずーっと
見てくれてた同級生の女の子が。』
愛花はその子の笑顔を思い出したのか、
先ほどの自虐てきな笑みとは違う
柔らかな笑みを浮かべる。
そして暫くの時を、過ごした後
私は愛花の胸の前に、手を広げ
憑依魔法の魔法陣を、展開させる。
『悔いはない…?』
愛花に最終確認をする。
『うん…。』
愛花の返事に私は憑依魔法を発動させる。
徐々に、愛花の身体が消えていく。
『徳馬を…よろしくね。』
そう言って消えた愛花の笑顔を
私は忘れられなかった。
『徳馬』
愛花が最後に呟いた名前の少年が
写っている写真を愛花の机から
取り出す。
その少年の満面の笑顔を見て、
(仲良くなれるといいな…。)
アクマはクスリと笑った。















番外編を、書いてみました。
時々番外編を書きます!*\(^o^)/*
これからも当作品の応援よろしく
お願い致します ︎

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