朝起きたら、幼馴染が悪魔に取り憑かれていた件

そらちーヌ

#20 マジメがーる

『すごいね〜弓月ちゃん ︎』
『あなたは、神の子だわっ!』
私は小さい頃からどうやら天才だったようで
何かをする度に周りの大人や、同学年の子から
褒められていた。



うざい。








あいつらは、私を自分の名誉としか思ってもない。
同学年の子は私に媚びを売り、周りの大人は
自分がこの子を育てたと言わんばかりに、やたらと
絡んでくる。
と、感じたのは私が小学4年生の時だった。
そんな私が唯一楽しみにしていたのは、大人に半ば
強制的に受けさせられていた、全国テスト。
自分が1位になり、賞状を貰う。それが楽しみだった
のではない。なぜなら私は「2位」だったから。
今まで私を褒めて讃えた大人達のあの悔しそうな
顔ときたら堪らない。
今思えば、私の精神は小学生ながらかなり異常だった
かもしれない。
そして、私に光を、幸せを与えてくれた人の名は
「宮園 愛花」
彼女と中学が2つしか離れていないと知った時は
神様を信じてしまいそうだった。
そんな彼女は追いかけて、私は「下川第2高等学校」
へと入学した。
だが、入学式から数日経ったが未だちらほら名前を
聞く程度で姿を見ていない。
私は、読んでいた本を上げ、顔を上げる。
『ねぇ!』

『ひぃっ ︎』
顔を上げた途端、目の前にいた少女の声に驚き、
椅子から無様にも転び落ちる。
『もぉ〜〜、愛花ちゃん。いきなり声掛けて…』
『いやぁいやぁー。ごめん。』
「愛花」と呼ばれた少女は笑いながら頭を掻いている。
私はついに出逢ってしまった。
金髪のツインテールに、立派な角、大きく広がった
漆黒の翼。
                                  *
                                     

                                  *


                                  *
             
                          『だれ?』

私が知っている「愛花」と程遠い外見に私を困惑の声を
上げる。
そんな私に「愛花」と呼ばれた少女、いや角や翼は
悪魔という表現の方が近いかもしれないが、
石のように固まり、後ろにいた2人の男子の内
1人が大きな口を開けて固まっている。
『え、えーとっ…。』
悪魔は必死に言葉を捻り出そうとするが、中々
出てこない。
『わっ…』
いきなり手を掴まれ、転がっていた私は無理やり起こされ後ろに引っ張られる。
私を引っ張ていたのは、先ほど大口を開けていた男子だ。
『ちぃ、トウマ!さきに帰ってってー!』
トウマ、ちぃと呼ばれた2人はポカーンと立ち尽くしていた。
そして、私は人気のない空き教室に、悪魔と男の子と、
まるで三者面談のような形で座っていた。

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