不器用プラトニックラブ

風吹雪華

3話 決断の天秤

某日の放課後-

輝陽君に呼ばれ、急いで向かった。

(こんな時に何?
 どうせ遊びとかでしょ?)

しかし、そんな考えなど的中しなかった。



音楽室に向かっている途中に、友達の咲護穂架さきもりほのかとばったり会った。

穂架も吹奏楽部で、フルートをやっている。

「あれ、はるちゃん?
  ど〜したの?
  忘れ物?」

きょとんと、リスみたいに首を傾げ、尋ねてきた。

「輝陽君に呼ばれてね。」

「そうなんだ〜。
  でも莉世君、何だか別人みたいに真面目な顔つきだったよ〜。」

「えっ…」

まさか、まさかの…

輝陽君の真面目は、相当珍しい。

遊びの話じゃなかったとしたら…



緊張しながら音楽室の扉を開けた。

そこには、結生、輝陽君、富和君の3人が待っていた。

「輝陽君、私を呼び出して何の用?」

「今から一言も漏らさず聞けよ。」

「う、うん…。」

「実は…」



話の内容は、吹奏楽部の入部だった。

今、オーボエが足りていないらしく、やってくれとのことだった。

私は中学時代、吹奏楽部に所属していた。

丁度、オーボエをやっていて、全国大会に出場したことがある。

「なぁ琴嶺ことみね、頼むよー。
  オーボエやってたんだろー?」

「やってたけど…。
  急に言われても…」

「莉世も琉煌もこう言ってるんだから、入ってあげなよ。」

「富和君は言ってないでしょ。
  大体、あんたは入って欲しいと思って勧誘してるんでしょ?」

「まぁ…。」

「態度がそんな感じじゃないもんね。
  入って欲しいなら、態度改まったらどう?」

「俺はいつでも真面目だよな、琉煌!?」

「う〜ん、そうかな?
  でも、先生に怒られてばっかりだもんねぇ。」

「…琉煌、余計なこと言わなくていい。」



結局、時間を貰って考えることにした。

自分の正直な感情は曖昧だった。

自分自身に問うてみる。

やりたいのか、やりたくないのか…

悩むことを一旦置いて、机に伏せた。

何も考えず、無心になり、目を閉じた。



いつの間にか眠りについていた。

私は、どっちの選択肢を選ぶのだろう…?

頬杖を突き、ぼーっとしながら、壁を眺めていた。

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