不器用プラトニックラブ

風吹雪華

10話 涙の海の底

遼雅の奴…本当、どうしちゃったんだろ?

俺、何かしたか?

何もしてないよな?

いつ俺があいつを傷つけたって言うんだよ?

訳わかんねぇよ!

なぁ、誰か言ってくれよ、俺のせいじゃないって…。



翌日の昼休み-

あの日、俺が打ち上げに永を誘わなかったら、こんな事にならなかったんだろうな…。

「結生」

「…琉煌、どうしたんだ?」

「相当落ち込んでるんだね。」

「そりゃあそうだろ…幼馴染みの弟に嫌われてるんだ。」 

「あれはバレバレだよ…」

「えっ…?
  今、何て?」

「ううん、何でもないよ〜。」

「…?」

琉煌は何が言いたかったんだろ?



帰宅-

永の家に行こうか迷ってるところだ。

あんな事があったから、元気がない様子だった。

俺があいつを…って何言ってんだ俺!?

顔を見るだけ!
顔を見るだけだからな!

手を震えさせながらチャイムを押した。

永本人ではなく、おばさんが出てきた。

「結生君?
  どうしたの?こんな時間に…」

「おばさん、永、元気にしてますか?」

「それがね、最近顔色が悪くて…何かあったのかしら?」

「母さん、誰と喋って…結生君…!?」

「っ、遼雅!
  おばさん、話したかった相手が来てくれたので戻っていいですよ。」

「そう?
  じゃあ気をつけてね。」 

「…何しに来たの。」

「遼雅、永の事だけど…」

「あぁ、姉ちゃんなら大丈夫だよ。」 

「そうか…。」

「…この前ね、俺、姉ちゃんに告白したんだ。」

「…こ、告白?
  っていうか、身内だろ?」

「身内なんて関係ないよ。
  俺は本気で好きなんだ、それ以上としてね。」

「お前、シスコンにもいい加減」 

「姉ちゃんにキスしちゃったんだー。」

「えっ…」 

「驚いた?
  好きな人取られてがっかりだよねー。」

「好きな、人…?」

「とぼけんなよ。
  お前、姉ちゃんのこと好きなんだろ?
  俺は見てたからな。
  目で追ってるお前を、ずっと。」 

「…っ」

「話はそれだけ?
   …じゃあね。
 (結生君が言ってた身内…何か勘違いしてる)」

俺を見下ろす遼雅が恐怖で仕方がなかった。

全身が崩れ、立つことさえ出来なかった程、心底言葉が心に突き刺さった。

俺の守りたい人、笑顔にさせたい人、悲しませたくない人、好きな人…

もう、俺の大切な人が奪われたんだ…

あぁ、これが好きなんだ…。

今まで気付かなかった自分が腹ただしかった。 

今更なんて、間に合わないよな…。



夏休み-

部活が始まり、永に毎日呼び出される。

どんな顔をして会えばいいんだよ…

誰にも割ることが出来ない殻に閉じこもってしまったのだ…。

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