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プロローグ

『各種族百回の転生を確認・・・種族「半神」を解放します・・・なお「半神」は固定種族です・・・これ以降の転生はできませんのでご注意ください』

 そのアナウンスを聞いた俺は、おもわず人目もはばからずにキターーーーーと叫んでいた。
まぁ、キャラメイクの最中だから、まわりに誰もいないのだが……
それよりも、今問題なのはこの種族「半神」である。

 初期設定が設定したもの以外すべてランダムで決まるこのゲームでは、半神になれる可能性は今回のイベントを除けば、種族をランダムにして起こすたったの0.00001%しかないのだから、頑張ってイベントを起こしたかいがあるというものである。
まぁ、狙って起したわけではないのだが……
しかも、種族が固定されるということは、これ以降は死んでも必ず「半神」になれるということだから、すべての種族で百回ずつ死んだかいがあるというものである。
まぁ、イベントのおこし方なんて知らなかったが、百回死んだのは最強のキャラクターを作るためで、死にまくったのが無駄にならずにイベントになるとは、結果オーライ万々歳である。

『ステータス及びスキルの設定をおこなってください』

 いけない、呆けている場合ではなかった。
俺がこのゲームで設定できるのは、種族とステータスとスキルのみであり、それ以外の外見などはランダムになる。
 正確には、ランダムにした分だけもらえるポイントが増えるだけで、ある程度は自分の思い通りのキャラメイクはできる。
 しかしキャラメイクの時間が決められているので、急いで設定をしなければステータスとスキルさえもランダムになってしまう。
 そのためほとんどのプレイヤーは、好みの外見を設定するだけで、後はランダムにするのが一般的なようだった。

「いけねぇいけねぇ、急いで設定しなくては……」

 俺は、キャラメイク画面を操作してキャラクターのステータスとスキルの設定をおこなう。

「最強キャラをつくるために、ポイント全部とっておいて正解だったぜ。思った通り、使用ポイントは高いが、良いスキルばかりだ」

 このゲームでは、死んだときに余っていたボーナスポイントを、転生時に使うことができるのだ。
さらに、転生時のキャラメイクで使わなかったポイントは、そのままボーナスポイントになるので、事実上転生しまくればボーナスポイントをかなり増やすことができる。しかし、死ぬ度に上記のような設定を決め直さなければならないため、俺のように最強キャラを目指す人はおらず、気に入った外見になるまで転生し、それ以降はそのまますすめるのが一般的というか当たり前になっている。
なので、俺はまわりのやつからバカにされていたのだが、この種族「半神」になれたことでみかえせるだろう。
そのためには……

「とりあえず、五枠あるパッシブスキルを選ばないとな……」

 俺は最初に、常時発動型スキルであるパッシブスキルを選ぶ。
このゲームでは、同時に最大五つまでのパッシブスキルを発動できるので、パッシブスキル一覧を消費ボーナスポイントが多い順でソートしてから吟味する。

「一番上は……「覚醒」か。効果は……常時全能力プラス50%…だと。まさしく最強じゃねーか。当然確保だな」

 消費ポイントは1000ポイントとでかいが、それだけの価値はあるだろう。
俺のボーナスポイントは全部で6000(全六種族百回×初期ボーナスポイント10ポイント)あるので、まだまだ楽勝なのである。

「次は……「半神の目」か。効果は……鑑定+麻痺5+即死1%……か。これも確保だな」

 俺は1000ポイント使って「半神の目」も選択する。
鑑定は絶対に必要だし、麻痺5はたしか見た対象に80%の確率で麻痺を与えるだったはずだ。
それに、即死1%とか…まじで鬼だろ。
百体に一体は見ただけで殺せるんだぜ? 最強だろ。
しかも、パッシブスキルは使えば使うだけ強化されていくんだから、最高レベルの10になったら、どんな効果になるのか……今から楽しみだぜ。

「次は……「疾風迅雷」か。効果は……移動スピード+50%と攻撃速度+50%に回避率+50%か。これも確保だな」

 俺は900ポイント使って「疾風迅雷」を選択する。

「次は「烈火怒濤」か。効果は攻撃力+50%と防御力+50%にHP+50%か。もちろん確保っと」

 俺は900ポイント使って「烈火怒濤」を選択する。
この時点で四つ選択したわけだが、まだポイントは2200ポイントも残っているのに、かなりの最強キャラになってきている。
戦闘能力だけなら、最強間違いなしだろう。
あとは……

「索敵や隠密系が欲しいかな。何か良いのはないだろうか?」

 俺は画面をスクロールさせて確認していく。

「おっ、良いのみっけ。この「隠密索敵スカウトレンジャー」ってのにしよう。…名前がまんまだけど、常時半径100メートルの把握+常時敵からの発見率-50%とか、まさしく欲しかった能力だしな」

 俺は、800ポイントを使って「隠密索敵スカウトレンジャー」を選択した。

「後は…この残った1400ポイントを使って、ステータスを強化しよう」

 このゲームのステータスは五つある。
「力」「魔力」「体力」「精神」「運」の五つである。
「力」はそのまま物理攻撃力に影響し、持てるアイテムの数に関係する。
「魔力」はそのまま魔法攻撃力に影響し、MP及びスキル(アクティブスキル)の威力に関係する。
「体力」はそのままHP及び素早さに影響し、持てるアイテムの数及び物理防御力に関係する。
「精神」はそのまま魔法防御力及び魔法抵抗力に影響し、MPに関係する。
「運」だけは特殊で、すべてのパラメータに影響を与える。
俺はとりあえず、運に500ポイントふることにする。
続いて、運以外に200ポイントずつふる。
しかし、まだ100ポイント余っている。俺は、残った100ポイントでアクティブスキルをとることにする。

「アクティブスキルは何か良いのがあるかな?」

 俺は、アクティブスキルの一覧の中から100ポイント使うスキルをさがす。
しかし、なかなか良い物がみつからない。

『残り10秒を切りました』

「やばっ!はやくしないと……これだっ!「創造」これにしよう。ポイントもぴったり100ポイントだし」

『5・4・3・2・1』

「えぇい「創造」選択!これで決定だ!」

 俺は決定ボタンを押す。
瞬間、俺の体は光に包まれる。

「なんとか間に合ったか……」

俺のつぶやきは光とともに消えていった。

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