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団体行動

「この道の先がボス部屋でいいんだよなっ……?」

 広場の先から伸びる一本道を走りながら、クーとキッカに問いかける。

「そうだよっ! この一本道の先にボス部屋があるんだよっ!」

 俺の少し後ろにいるクーが答えてくれる。

「もう見えてきてるでしょ? あの大きな扉がそうだよっ! あと数百メートルかなっ?」

 クーの説明にクーの隣を走るキッカが補足する。

「さっき言ってたが、この塔のボスはジャイアントスネークでいいんだなっ?」

 たしか、先ほどの広場でそう言っていたはずだ。

「「そうだよっ」」

 クーとキッカが声を揃えて答える。

「攻略法とかはどうなってるんだっ……?」

 こういう情報は、戦う前に聞いておいたほうがいいだろう。

「それはね……「あと数秒で着きますっ! 止まる準備を!」っておっとっと」

 先頭を走っていたヒカリが声を上げる。
その声に合わせてヒカリが速度を緩めたことで、俺たちは少しつまづきそうになってしまった。

「到着です……。みなさま大丈夫でしたか?」

 俺たちがヒカリを先頭にして走っていたのは、パーティースキルの一つである「団体行動」を使っていたからである。
このスキルは先頭のパーティメンバーの行動に合わせるものであり、移動速度などのパラメーターに関係なく行動することができる。

「ふぅ………。このスキルは便利だが、なれないと少し危ないな……。んで、さっきの話の続きだが……攻略法はどんな感じだ?」

 俺はクーとキッカに問いかける。

「基本は魔術マギで燃やすか、武器術アーツで切り捨てるかだねっ!」

「耐久力も高くないし、防御基本しないから……倒すのは簡単だよ!」

 二人が笑顔で答える。

「「ただねぇ……」」

 しかし、すぐにその表情がすぐれなくなる。

「一回捕まると抜けるのがほぼ不可能なんだよ……」

「締めつけでダメージ食らうし……捕まった人に攻撃が当たるから、パーティーメンバーはうかつに攻撃もできなくなるんだよ」

 なるほど、それは少し厄介だな。

「けど、それって捕まらなければいい話だよな? そんなに簡単に捕まっちゃうのか?」

 実際捕まるなんてのは、よほどのことがなければなることはないだろうことだ。
いくらヘビだといっても、でかいんだから動きも鈍いはずだしな。

「実はそうなんだよぉ……」

「うんうん。チャージって呼ぶんだけど、突進してくることがあってね? 一定以上のダメージを与えないと止まらない突進をしてくるんだよ……」

「チャージか……。そんなに危ないのか?」

「当たった相手は強制的に捕まるからね……」

「まぁ、当たらなければいいんだけど……」

「「避け続けるのがめんどくさいんだよっ!」」

 なるほど、そういう理由か。
たしかに……一定以上のダメージを与えなければ止まらないということは、追尾してくるということなのだろう。
それを避け続けるのはたしかに少しめんどくさそうだな。
 けどまぁ

「それこそ、やられる前にやれじゃないのか? 俺たちの集中砲火なら、十分に倒しきれるだろ?」

 俺たちの魔術マギの集中砲火を浴びせれば、倒すことは簡単なはずなのだ。
しかも、今の俺には弾を込めたガトリングがある。
遠距離攻撃に限れば、攻略組にも勝るのではないだろうか?

「耐久力とかは少ないんだろ? だったら楽勝だろ!」

 勝利を確信している俺は、二人の心配を吹き飛ばすように笑いかける。

「「たしかにそうだねっ!」」

「それに、急がないと時間がなくなるぜ? さっさとクリアして、次の塔に行ってやろうぜ!」

「「おーーー!」」

「かしこまりました、ラン様。殲滅いたします!」

 やる気になった三人を後ろに従えて、俺はボス部屋の扉を開いた。

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