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仲買人

「いらっしゃいませ。こちらはオークションの窓口となっております。本日はどのようなご用件でしょうか?」

 オークションの窓口は、2階に上がってすぐのところにあった。
 窓口には受付嬢がおり、近づいた俺に声をかけてきてくれた。

「オークションに出品したいのですが、どうすればよろしいのでしょうか?」

「それでしたら二通りの方法がございます。……一つ目は商会に登録していただき、一定期間の研修を受けていただいた後に試験を受けて資格を獲得される方法。……二つ目は商会に登録しております仲買人または資格持ちの方に依頼する方法です。こちらの方法は、商会に紹介料を支払っていただく形になりますが、一つ目と違いすぐにオークションに出すことが可能です。どちらになさいますか……?」

 受付嬢の説明を聞いて、あらかじめ知っていた情報ヒカリたちが話していたことと内容が同じなので、信じることにする。
 やはり二つ目の人を紹介してもらうほうが、楽でいいだろう。

「それでは二つ目の人を紹介していただく方でお願いします。紹介料はいくらくらいになるのでしょうか?」

「はい……紹介ですね? それでしたらこちらのリストからお選びください。仲買人や資格を持つ方はランク付けされておりまして、ランクの高い方ほど良い取引ができるようになっております……」

 受付嬢はそう言ってリストが書いてある本を渡してくる。

「誰かおすすめの方はいますか? 予算的にはどのランクでも大丈夫なのですが……」

 どの人がいいのかわからない俺は、素直に受付嬢に聞いてみる。

「それでしたらこちらの方がおすすめですね。ランクは上から二つ目ですが、商会の中でも一番誠実だと言われている方になります」

 そう言って受付嬢が指差したのは、ランク2の一番最初に名前が書いてある「ショウコ・カグラザカ」と言う女性だった。

「ちょうど今別件で商会の方にこられておりますので、すぐに紹介することができます。いかがいたしますか……?」

 ふむ。
 すぐに紹介してもらえるのはありがたい。
 オークションはもうすぐだし、紹介してもらった相手とすぐにあえるのならそのほうがいいだろう。
 紹介料も5000円と十分払える額であるし、なにより女性で美人なのがポイントだ。

「ではそれでお願い致します。紹介料は今払えばいいのですか?」

「はい、それでは仲買人の「ショウコ・カグラザカ」を紹介いたします。紹介料は5000円になります。今払っていただいて結構です」

「わかりました。これでよろしいでしょうか?」

 俺は5000円を渡す。

「はい、確かに頂戴いたしました。それではこちらへついてきてくださいますか?」

「わかりました」

 俺は歩き出した受付嬢の後ろをついて行った。

・・・
・・


「失礼いたします」

 そう言うと、受付嬢は扉を開ける。

「こちらへどうぞ」

 中に入った受付嬢は、俺を中へと促してきた。

「失礼します……」

 俺はそれに従い中へと入る。

「ようこそ。私がショウコです。よろしく」

 俺が中に入ると、正面の机に座っていた美人が挨拶してくる。
 視線を向けると、そこにはリストにのっていたのと同じ顔の女性が笑顔でたっていた。

「俺はランといいます。今日はオークションの出品依頼で来ました。よろしくお願いします」

 俺はショウコさんに挨拶を返し、頭を下げる。

「では私はこれで失礼いたします。何かございましたらまた窓口までお越し下さい……」

 そう言うと、受付嬢は部屋を出ていった。

「さて……それでは話を始めましょうか?」

 受付嬢が部屋から出ると、ショウコさんはこちらにあるソファーに座る。

「どうぞおかけください。でないと落ち着いて話せませんでしょう?」

 そう言うと、ショウコさんは笑顔で首をかしげる。

「では失礼して……」

 俺は促されるままにソファーへと腰掛ける。

「本日はオークションの出品依頼とのことですが、何を出品したいのですか?」

「これをお願いしたいのです……」

 俺はキングスライムの枕を取り出してみせる。

「こ、これは……!?」

「キングスライムの枕です。いくら位で仲介していただけますか?」

 俺は相場がわからないので、ショウコさんに丸投げする。

「私が決めてよろしいのですか?」

「えぇ。受付嬢の人に一番誠実な方だと聞いているので、任せてしまったほうがいいと思ったのです」

 俺は素直にこたえる。

「…………そこまで言われては受けざるを得ませんね。仲介料は1割でいいので、ぜひとも私に売らせてください」

「1割でいいのですか? 少ない気がするのですが?」

「大丈夫です。今キングスライムの枕は欲しがっている方がいらっしゃいまして、おそらく1000万くらいになると思われますので……」

「1000万!? それはまた……すごいですね」

「ですので1割でも大丈夫なのですよ。それに、仕入れたことによる評判もありますしね?」

「わかりました。それでお願いします」

「承りました。いま契約書をお作りいたしますね」

 こうして俺はオークションに出品することが決まった。

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